就労資格証明書とは?外国人の雇用を考える企業に向けて解説!

2021年11月12日
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濵川恭一 (監修)
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net

外国人を雇用するにあたり、就労資格証明書について詳しく知りたい企業の方もいるでしょう。就労資格証明書は、外国人が転職をする際に、転職先の職種に合った在留資格を保有していることを証明するものです。このコラムでは、就労資格証明書を発行した方が良い理由や、交付の手順を紹介。また、就労資格証明書の申請における注意点もまとめているので、参考にして外国人雇用の準備を進めましょう。

 

目次

  1. 就労資格証明書とは?
  2. 就労資格証明書を発行した方が良い理由
  3. 就労資格証明書の交付の流れ
  4. 就労資格証明書に関する注意点
  5. まとめ

就労資格証明書とは?

就労資格証明書は、外国人が日本国内で転職をする際に、転職先の職種に就ける在留資格を保有していることを証明する書類です。証明書には、「〇〇社における業務は~の活動に該当する」もしくは「〇〇社における業務は~の活動に該当しない」と書いてあり、後者の証明書が交付された場合、転職先で働けません。転職先が外国人の保有している在留資格の範囲内の業務を用意するか、外国人にほかの会社を探すよう伝えるしかなくなります。

就労資格証明書を発行した方が良い理由

就労資格証明書を取得しておくと、就労ビザの更新がスムーズに行えます。ここでは、雇用する外国人が就労資格証明書を取得した方が良い理由について、詳しく解説するので参考にしてください。

外国人が自社で働けるかを確認するため

就労資格証明書があると、企業側は外国人の在留資格で自社の業務を行えるかを確認できます。そのため、外国人を採用したものの就労する資格を保有しておらず雇用できないという事態を未然に防げるのです。なお外国人による転職予定の会社への就労資格証明書の提出は任意で行います。交付されていない外国人は雇用できないというわけではありません。

企業が不法労働者を雇用するのを防ぐため

企業は、雇用する外国人に就労資格証明書を提出してもらい確認することで、不法就労を防げます。外国人のなかには、在留期限が過ぎていたり、必要な在留資格を保有せずに働いたりしている人もいるのが現状です。不法就労をしている外国人を雇用してしまうと、企業側も不法就労長罪の罪を科せられます。就労資格証明書があるとこのような事態を防げるので、企業も安心できるでしょう。

就労資格証明書の交付の流れ

就労資格証明書は、必要書類を準備し出入国在留管理局で手続きを行います。ここでは、就労資格証明書の交付に必要な書類や手続きについて解説するので、参考にしてください。

1.申請書や在留カードなどの必要書類を用意する

就労資格証明書の交付に必要な書類は以下です。

  • 就労資格証明書交付申請書
  • 在留カード(在留カードとみなされる外国人登録証明書を含む)もしくは特別永住者証明書

※申請人以外の方が当該申請人に係る就労資格証明書交付申請を行う場合は、在留カードの写しを申請人に携帯させて、来庁する方が申請人の在留カードを持参する。

  • 旅券

上記書類以外にも、下記の書類が必要になる場合があります。

  • 転職後の活動の内容や報酬などが分かる書類(雇用契約書、辞令、採用通知書の写し)
  • 前年の源泉徴収票
  • 前職の会社が発行した退職証明書
  • 転職後の会社の概要が分かる書類(転職先の会社の商業・法人登記簿謄本、直近の決算書の写し、会社案内)
  • 本人の転職理由や雇用理由書など

転職をする場合は、前職の会社で発行された書類と転職先の情報が記載された書類の添付が必要です。

2.外国人または本人から依頼を受けた人が申請する

本人以外でも、本人から依頼を受けた人であれば就労資格証明書の申請ができます。たとえば、外国人を雇用する会社の社員や、外国人が行う技能・技術を習得する活動の監理を行う職員などです。

3.出入国在留管理局で手続きを行う

必要書類の準備が整ったら、外国人の居住地を管轄する出入国在留管理局で手続きをします。交付の審査対象は「就労できる在留資格を保有している、もしくは資格外活動の許可がされている」「就労に制限のない在留資格を保有している」のいずれかに当てはまる外国人です。

4.就労資格証明書の交付を待つ

勤務先を変更した場合は、就労資格証明書の交付に1~3カ月程度時間が掛かります。在留資格の期限が迫っている場合は、就労資格証明書の交付を待っていても更新に間に合わない可能性が高いです。そのような場合は、就労資格証明書交付申請ではなく、在留期間更新許可申請を行いましょう。

参照元
法務省 出入国在留管理庁
就労資格証明書交付申請

就労資格証明書に関する注意点

就労資格証明書は義務付けられている制度ではないため、企業が提出を強制できません。また、申請をしてから交付されるまでに時間を要します。ここでは、就労資格証明書の申請に関する注意点を紹介するので、参考にしてください。

手続きには時間が掛かる

就労資格証明書は、就労の制限がない永住者や定住者などの身分系の在留資格を持つ外国人であれば、原則申請を行った当日に交付がされます。しかしそれ以外の外国人は交付までに1~3カ月程度の時間が掛かるようです。そのため、在留資格の期限が迫っているにも関わらず申請をしてしまうのは危険です。あらかじめ余裕をもって申請をしなくてはなりません。

企業は就労資格証明書の提出を強制できない

就労資格証明書の提示は義務的なものでないため、企業が強制することはできません。就労資格証明書を提出してもらった方が安心して外国人を雇えますが、在留カードでも在留資格を確認できます。もし、在留資格と自社の業務内容に相違がないか不安な場合は、出入国在留管理局や専門家に相談するようにしましょう。

まとめ

就労資格証明書を取得している外国人は、保有している在留資格で転職先でも働けるという証明になるため、企業側も雇用しやすいでしょう。しかし、就労資格証明書の提出は義務付けられているものではないため、企業が強制的に提出を求めることはできません。外国人が就労資格証明書を取得していない場合は、雇用する前に在留カードの記載内容(在留期限や在留資格など)を確認しましょう。