技能実習計画とはどのようなもの?企業に向けて内容や審査基準を解説

2021年11月12日
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濵川恭一 (監修)
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net

技能実習を始めようとする企業のなかには、技能実習計画が何なのかよく分からない方もいるでしょう。このコラムでは、技能実習計画の概要や記載される内容、外国人技能実習機構の認定審査基準を解説します。また、企業に技能実習計画の作成を指導する「技能実習計画作成指導者」も紹介。技能実習計画の認定を受けないと技能実習が始められません。このコラムを参考にして、スムーズに技能実習生の受け入れをスタートしましょう。

 

目次

  1. 技能実習計画とは?
  2. 技能実習計画に書いてある内容
  3. 技能実習計画の認定基準は?
  4. 技能実習計画作成指導者とはどのような人?
  5. 企業は適切に技能実習計画の作成を行おう
  6. まとめ

技能実習計画とは?

技能実習計画とは、技能実習の内容や進め方を具体的に示したもので、団体管理型の場合は監理団体の指導のもと受け入れ企業が作成します。技能実習経計画が外国人技能実習機構に認定されて初めて、技能実習生の受け入れが可能です。

技能実習の進め方を示したもの

技能実習計画とは、技能実習の進め方を示したものです。技能実習が適切に行われるようにするのが作成の目的であり、技能実習は技能実習計画に沿って進められます。技能実習生の受け入れを望む企業にとっては、適切に技能実習計画を作成するのが第一の関門といえるでしょう。

受け入れ企業が作成し外国人技能実習機構へ提出する

技能実習計画は技能実習生を受け入れる企業が作成します。監理団体を通じて技能実習生を受け入れる団体管理型の場合、監理団体の指導のもとで技能実習計画を作成しなくてはなりません。その際は技能実習計画作成指導者の指示を仰ぎます。

技能実習計画は、技能実習生一人ひとりに合ったものが必要です。技能実習1号~3号の区分に合わせて作成し、外国人技能実習機構へ提出します。

認定を受けないと技能実習が始められない

技能実習生の受け入れは、技能実習計画が外国人技能実習機構の認定を受けたうえで、そのほかの条件を満たせば開始できます。技能実習計画の審査基準やモデル例を厚生労働省が公開しているので、技能実習計画がどのようなものか分からない企業の方は、厚生労働省のWebサイトを参考にすると良いでしょう。

参照元
厚生労働省
技能実習計画審査基準・技能実習実施計画書モデル例・技能実習評価試験試験基準

技能実習計画に書いてある内容

技能実習計画に記載する内容は、職種によって異なります。全ての職種に共通する記載内容は以下の通りです。

  • 申請者が既に法第十七条の規定による届出を行っている場合は、当該届出に係る実習実施者届出受理番号

  • 法人にあっては、その役員の役職名及び法人番号

  • 申請者の業種

  • 技能実習責任者の役職名

  • 技能実習指導員及び生活指導員の氏名及び役職名

  • 技能実習生の生年月日、年齢及び性別

  • 技能実習生の区分

  • 技能実習の目標、内容及び期間

  • 団体監理型技能実習に係るものである場合は、実習監理を受ける監理団体の名称及び住所並びに代表者の氏名

  • 報酬、労働時間、休日、休暇、宿泊施設、技能実習生が負担する食費及び居住費その他

  • の技能実習生の待遇

  • その他主務省令で定める事項

以上の内容を技能実習計画に記載することは、技能実習法で定められています。

参照元
e-Gov法令検索
外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律施行規則(平成二十八年法務省・厚生労働省令第三号)第七条「技能実習計画の記載事項」
厚生労働省 
技能実習制度運用要領 第4章技能実習計画の認定等

技能実習計画の認定基準は?

外国人技能実習機構の認定基準は、以下の条件を満たしているかどうかです。

  • 修得等をさせる技能が技能実習生の本国において修得等が困難な技能等であること

  • 技能実習の目標が主務省令で定める基準に適合していること

  • 技能実習の内容が主務省令で定める基準に適合していること

  • 技能実習を実施する期間が各区分ごとに定められている期間と一致すること

  • 前段階の技能実習の際に定めた目標を達成していること

  • 技能検定や技能実習評価試験などの評価が適正に行われること

  • 技能実習を開始するのに適切な体制が取られ、事業所の整備や責任者の選定が正しく行われること

  • 団体管理型の場合は、許可を受けている監理団体による実習監理を受けること

  • 日本人との同等報酬など、技能実習生に対する適切な待遇が確保されていること

  • 技能実習生の受入れ人数の上限を超えないこと

  • 技能実習第3号の場合は、申請者が優良要件の認定を受けていること

細かい条件がありますが、上記全てを満たしていないと技能実習計画の認定を受けられないので注意しましょう。

参照元 厚生労働省 外国人技能実習制度について

技能実習計画作成指導者とはどのような人?

技能実習計画作成指導者とは、監理団体に所属し、技能実習を受け入れる企業に向けて技能実習計画の作成方法を指導する立場の人です。以下で詳しく説明します。

企業に技能実習計画の作成を指導する人

技能実習計画作成指導者は、企業に技能実習の作成を指導するのが役割です。団体監理型で技能実習を受け入れる企業は、監理団体の指導のもと技能実習計画を作成する決まりがあります。指導において中心的な役割を持つのが、技能実習計画作成指導者です。技能実習作成指導者は以下の点を確認しつつ、受け入れ企業への指導を進めます。

  • 技能実習を行う事業所や技能実習生の宿泊場所の環境は適切か

  • 技能実習計画の認定基準に合った内容で技能実習が行われるか

  • 関係法令を厳守しているか

  • 技能を適切かつ効率的に習得させられそうか

  • 技能実習生に行わせる作業が普段から事業所で行われている作業か

また、技能実習計画作成指導者は受け入れ企業に対し、技能実習計画の審査基準を説明したうえで、業務の内容が必要なものとして実施できるかを確認する役割も持ちます。

技能実習計画作成指導者になる要件

技能実習計画作成指導者になるために、試験や講習への参加は必要ありません。ただし、受け入れ企業に適切に指導が行えるよう、技能実習生が習得予定の技能についての高度な専門知識や経験が必要とされます。細かい条件としては、監理団体ごとの取り扱い職種の実務経験が5年以上、もしくは技能実習計画の指導歴がある人が技能実習計画作成指導者としての活動が可能です。なお、実務経験の年数は、技能実習生が行う作業と一致する必要はありません。農業や建設など、職種単位で一致していれば経験年数に含められます。

企業は適切に技能実習計画の作成を行おう

企業は技能実習計画の作成を適切に行い、スムーズに技能実習をスタートしましょう。特に団体監理型で受け入れる場合は、技能実習計画指導者の指導にしっかり従い、認定基準を満たした技能実習計画を作成します。技能実習計画に不備があると技能実習は始められません。分かりにくい部分は逐一確認し、自己判断で進めないようにしましょう。

まとめ

技能実習計画は技能実習生を受け入れる企業に作成義務があります。外国人技能実習機構の認定を受けるには、定められた基準をクリアしなくてはなりません。技能実習制度を正しく理解しないまま進めると、技能実習計画の不備に繋がります。まずは、技能実習制度への理解を深めてから作成に取り掛かりましょう。

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