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日本語能力試験は、日本語が母語ではない人を対象にして語学レベルを測る試験です。日本語能力試験は、多くの団体が主催しており、それぞれ試験開催数や日時は異なります。また、受験者の目的は、日本での就職やキャリアアップ、留学など、多岐に渡っています。
この記事では、下記の3つのポイントについて詳しく解説します。
・外国人向けの日本語能力試験の種類や概要
・日本語能力試験をどう選んだらいいか
・日本語能力試験のレベル選択基準
日本語能力試験は、2020年2月現在、10種類以上存在しています。今回は数ある中でも、出入国在留管理庁が在留資格審査の参考にしている日本語能力試験を3つピックアップしてご紹介します。
日本語能力試験JLPT(Japanese Language Proficiency Test)は、歴史も古くベーシックな試験です。日本語能力試験JLPTのスコアを有している人は、日本の出入国管理で優遇ポイントが与えられています。他の日本語能力試験でも、日本語能力試験JLPTのスコアが基準として用いられています。試験の実施は年に2回のみであり、世界46ヵ国(地域)の試験が同日に行われます。このため、受験のタイミングを逃さないように注意が必要です。
試験名 | 日本語能力試験JLPT(Japanese Language Proficiency Test) |
主催団体 |
・公益財団法人日本国際教育支援協会 ・独立行政法人国際交流基金 |
試験開始 |
・旧試験 1984年 ・新試験 2010年から実施 |
等級(レベル)と試験科目 |
N1(言語知識・読解 110分、聴解 60分) N2(言語知識・読解 105分、聴解 50分) N3(言語知識・読解 100分、聴解 40分) N4(言語知識・読解 90分、聴解 35分) N5(言語知識・読解 75分、聴解 30分) |
開催数 | 年2回(7月・12月) |
開催場所 | 日本国内、海外46の国と地域 |
受験料 | 5,500円 |
N1についてはこちら:日本語能力試験N1の難易度は?外国人採用で求められる日本語レベル
N2についてはこちら:日本語能力試験とは?特徴やN2のビジネスレベル
N3についてはこちら:日本語能力試験N3スコアのレベルとは
N1~N5のレベル感を知りたい方はこちら:日本語能力試験とは?日本語検定との違い・試験概要やレベルを解説
ビジネス日本語能力テスト(BJT)は、仕事の場でのコミュニケーション能力を主に測定するための試験です。法務省出入国在留管理庁から、在留希望者の日本語能力証明として認められています。オンラインで受験できるのが他の試験との大きな違いで、試験日などは設けられておらず自分の好きなタイミングで受験可能です。
試験名 | ビジネス日本語能力テストBJT(Business Japanese Proficiency Test) |
主催団体 | 日本漢字能力検定協会 |
試験開始 | 1986年 |
等級(レベル)と試験科目 |
【試験科目】 ・聞き取り35問 50分 ・聞き取り読み取り30問 30分 ・読み取り 35問40分 【レベル】 J1+ J1 J2 J3 J4 J5 |
開催数 | 随時 |
開催場所 | オンラインで受験 |
受験料 | 7,000円(日本の場合) |
実用日本語検定 J.TESTは、留学生・社会人問わず毎年約5万人が受験している試験です。個人で日本語レベルを測る目的で受験する人もいますが、従業員の語学や能力を評価する指針として導入している企業・団体も少なくありません。隔月で試験が実施されており、結果は合否ではなく、点数で出ます。その点数により、特A級~G級にレベルが別れます。また、出入国在留管理庁提出用の成績証明書も無料(受験料に含む)で発行されます。
試験名 | 実用日本語検定 J.TEST |
主催団体 | 日本語検定協会 |
試験開始 | 1991年 |
等級(レベル)と試験科目 |
【試験科目】 ・読解 80分 ・聴解 45分 【レベル】 特A級 A級 準A級 B級 準B級 C級 D級 E級 F級 G級 |
開催数 | 年6回(1月、3月、5月、7月、9月、11月) |
開催場所 | 日本国内、海外での実施 |
受験料 | 4,800円 |
参照:日本語能力試験JLPT公式サイト ビジネス日本語能力テストBJT公式サイト 実用日本語検定 J.TEST公式サイト
日本語能力試験には種類があることが分かりましたが、受験者や外国人雇用をする人は数ある試験の中からどのように選べばいいのでしょうか?基準となりうるポイントをご紹介します。
日本語能力試験JLPTのスコアレベルは、他の試験でも基準として使われています。例えば、実用日本語検定 J.TESTではレベルの表記が異なりますがB級以上はN2以上に相当すると公式サイトに記載されています。外国人採用する企業や機関がどの試験を基準にすればいいか決まってなければ、ベーシックなものを選択するのも一つの方法です。
企業によっては、受験する日本語能力試験の種類があらかじめ決められているケースもあります。別の試験を受けても無駄にはなりませんが、手間や時間を抑えたいなら事前に会社の規定があるかをチェックするとよいでしょう。採用する企業側もアナウンスや説明を早めにするなど、従業員が混乱しないような対策を取るのが大事です。
試験の種類によって、開催場所や試験日時が異なります。1年間に何回も受験できるものもあれば、半年に1回の開催の試験もあります。もし、企業が受験を義務付けている試験とタイミングが合わなければ、いつでもテストが受けられるものを暫定的に利用してみてはいかがでしょうか。
ビジネス日本語能力テストBJTは、仕事の場で必要なボキャブラリーやコミュニケーション能力を測定する試験です。より高いレベルのビジネス日本語会話を求める企業であれば、BJTなど専門性の高い試験を重視することもあります。
参照:実用日本語検定 J.TEST公式サイト「実施要項」
レベルごとに試験の内容が異なる試験を受ける場合、どのくらいのレベルを受けるかはその人の目的によって変わります。
外国人雇用をしている企業によっては、日本語能力試験JLPTの最高レベルN1が必須条件のところもあります。2019年の試験データを見てみるとN1の認定率が29.3%、N2では36%ほどだということが分かりました。やはり上位レベルだけあって、他レベルに比べると合格率が低めですが、N1を取得すれば、自分の日本語能力のアピールに繋がるでしょう。N1の認定の目安を見ると、「新聞の社説等を読んで内容を理解できるレベル」とあります。ある上場企業の採用担当者に聞いたところ、「N1を持っている外国人については、たとえ面接で緊張していて、うまく日本語を話せなかったとしても、二次面接に進めるようにしている」とおっしゃっていました。なお、N1合格者の点数にも注目してください。N1は、180点満点なのですが、ほとんどの方は、100点~110点台の点数です。
特定技能の在留資格を取得するには、日本語能力試験JLPTのN4以上のスコアレベルを持っていることが必要です。N4は基本的な日本語が理解できるレベルで、訪日してから実習を受けてより実践的な日本語や職務について学びます。
当然ですが、日本語能力試験の成績とは別に実際のコミュニケーション能力も大切です。試験では聞き取り力や読解力を選択式のテストで測るため、日本語能力試験の結果だけで、実際の会話力や文書作成レベルも見極めることは難しいです。つまり、日本語の試験では、「聞く」「読む」力は測れても、「話す」「書く」力を測ることが難しいのです。ですから、外国人を受け入れる企業は、、面接時に簡単な文書作成を取り入れることをお勧めします。。実際のビジネス現場では、聞き取りや読解も大事ですが、日本語で話す力、メールなどの文章作成も重要になってくるからです。また、日本語の能力よりも個人のビジネススキルや熱意を重視する企業もあり、判断基準は多様です。
参照:日本語能力試験JLPT公式サイト「過去の試験データ」
日本語能力試験は、今後さらに増加する外国人労働者と切っても切れない関係にあります。雇用する企業も日本語能力試験の内容について詳しく知っておくべきでしょう。