ログインしてください
外国人を雇用を検討している企業のなかには、在留資格の変更について詳しく分からない方もいるのではないでしょうか。また、在留資格変更に必要な書類や申請書の記入方法を知りたい方もいるでしょう。在留資格の変更は、外国人留学生が就職するときや外国人が日本人と結婚したときなどに行います。このコラムでは、在留資格変更許可申請の概要や記入例を詳しく解説するので、参考にして滞りなく手続きを進めましょう。
在留資格変更許可申請とは、外国人が日本に在留する目的や日本での活動内容に変更があったときに行う手続きです。たとえば、在留資格「留学」を持つ外国人留学生が学校を卒業後、通訳として働く場合は「技術・人文知識・国際業務」へ変更する必要があります。ほかにも、働く業種が変わる際や日本人と結婚したときも、在留資格変更許可申請を行わなければなりません。相応しくない在留資格で就労すると、外国人はもちろん雇用する企業も処罰の対象となります。
在留資格変更許可申請は、住居地を管轄する地方出入国在留管理局で行います。地方出入国在留管理局のほか、支局や出張所でも手続きが可能です。所在地は出入国在留管理庁のWebサイトに掲載しているので、最も近い申請場所はどこにあるかを確認しましょう。
以下に該当する人が在留資格変更許可申請を行えます。
・在留資格の変更を希望する外国人本人
・外国人の法定代理人
・地方出入国在留管理局長に届け出た弁護士または行政書士で、外国人本人から依頼を受けた人
・地方出入国在留管理局長から申請取次の承認を受けた以下1~4に該当する人で、外国人本人から依頼を受けた人
1.外国人が経営している機関または雇用されている機関の職員
2.外国人が研修または教育を受けている機関の職員
3.外国人が行う技能、技術または知識を修得する活動の監理を行う団体
4.外国人の円滑な受入れを図ることを目的とする公益法人の職員
なお、在留資格の変更を希望する外国人が16歳未満、あるいは病気やその他の事由によって自ら申請できない場合は親族や同居人などでも申請可能です。
出入国在留管理庁が公表している、在留資格を変更する際の審査基準は以下8つです。
1.行おうとする活動が申請に係る入管法別表に掲げる在留資格に該当すること
2.法務省令で定める上陸許可基準等に適合していること
3.現に有する在留資格に応じた活動を行っていたこと
4.素行が不良でないこと
5.独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること
6.雇用・労働条件が適正であること
7.納税義務を履行していること
8.入管法に定める届出等の義務を履行していること
上記の基準を満たしているかだけでなく、これまでの在留状況や今後の在留の必要性などを総合的に考慮したうえで、法務大臣が変更を許可するか否かを判断します。そのため、1~8の審査基準をすべて満たしていても、在留資格の変更が許可されない場合もあるのです。
参照元 出入国在留管理庁「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」 出入国在留管理庁「在留資格変更許可申請」
在留資格変更許可申請に必要な書類は、変更を希望する在留資格によって異なります。また、企業のカテゴリー区分によって用意する書類が異なるので注意が必要です。
在留資格変更許可申請で外国人が用意する書類は以下のとおりです。
・在留資格変更許可申請書
・在留カード
・パスポートまたは在留資格証明書(提出できない場合は理由書)
・証明写真(3ヶ月以内に撮影したものを申請書に貼付)
・手数料4,000円(許可されたあとに手数料納付書に収入印紙を貼付し納付)
在留資格を変更するときは履歴書や職務経歴書、質問書などの提出が必要な場合もあります。雇用主は、外国人が不備なく書類の用意や記入ができるよう積極的にサポートしましょう。
ここでは、外国人が在留資格を「技術・人文知識・国際業務」へ変更する場合を例に、企業が用意する書類を紹介します。
区分 |
必要書類 |
|
カテゴリー1 |
・日本の証券取引所に上場している企業 ・保険業を営む相互会社 ・日本又は外国の国・地方公共団体 ・独立行政法人 ・特殊法人または認可法人 ・日本の国・地方公共団体認可の公益法人 ・法人税法別表第1に掲げる公共法人 ・イノベーション創出企業 ・一定の条件を満たす企業等 |
下記いずれか該当する書類を提出 ・四季報または日本の証券取引所に上場していることを証明する文書のコピー ・主務官庁から許可を受けたことを証明する文書のコピー ・イノベーション創出企業であることを証明する文書のコピー ・一定の条件を満たす企業等に該当することを証明する文書のコピー |
カテゴリー2 |
・前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中、給与所得の源泉徴収票合計表の源泉徴収税額が1,000万円以上ある団体または個人 ・在留申請オンラインシステムの利用申出の承認を受けている機関 |
下記いずれか該当する書類を提出 ・前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表のコピー ・在留申請オンラインシステムに係る利用申出の承認を受けていることを証明する文書(承認メール等) |
カテゴリー3 |
前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出された団体または個人 |
前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表のコピー |
カテゴリー4 |
1~3に該当しない団体または個人 |
【源泉徴収の免除を受ける場合】 源泉徴収を要しないことを明らかにする資料 【源泉徴収の免除を受けない場合】 ・給与支払事務所等の開設届出書のコピー ・直近3ヶ月分の給与所得や退職所得等の所得税徴収高計算書、または納期の特例を受けている企業は承認を受けていることを明らかにする資料 |
カテゴリー3と4に該当する企業は上記のほか、直近の決算文書のコピーや登記事項証明書、外国人の労働条件を明示した書類、企業の沿革・役員・組織・事業内容などが詳細に記載された会社案内の用意も必要です。書類に不備があると在留資格の変更が許可されず、予定通りに就労が開始できない可能性もあります。自社のカテゴリーを確認したうえで、漏れのないよう準備しましょう。
外国人留学生が日本で就職するために在留資格の変更をするときは、大学の卒業証明書を用意します。在学中に就職が決まり在留資格変更許可申請を行う場合は、卒業見込み証明書の提出で問題ありません。また、専門学校に通う外国人留学生の場合は、専門士もしくは高度専門士の称号を付与されたことを証明する文書が必要です。
参照元 出入国在留管理庁「日本での活動内容に応じた資料【在留資格変更許可申請・在留資格取得許可申請】」
在留資格変更許可申請の流れについては「在留資格変更許可申請とは?必要書類と手続きの流れを企業へ向けて解説!」のコラムでも紹介していますので、併せてご覧ください。
ここでは、日本の大学を卒業した外国人留学生が、在留資格を「技術・人文知識・国際業務」へ変更する場合を例に、申請書の記入例を紹介します。在留資格変更許可申請書の様式は在留資格によって異なるので、出入国在留管理庁のWebサイトから適切なものを選択し記入しましょう。
申請人等作成用1には、在留資格の変更を希望する外国人の国籍や氏名、パスポート番号などの個人情報を記入します。
【記入例】
証明写真…縦4cm×横3cm(3ヶ月以内に撮影したもの)
1.国籍・地域…ベトナム
2.生年月日…19●●年●月●日
3.氏名…○○○○○○○○(パスポートに記載されているとおりに記入)
4.性別…男・女(どちらかを丸で囲む)
5.出生地…ベトナム、ホーチミン(生まれた国と都市を記入)
6.配偶者の有無…有・無(どちらかを丸で囲む)
7.職業…学生
8.本国における居住地…ベトナム、ホーチミン
9.住居地…東京都●●区△△町0-00-101(日本での住所を番地まで記入)
・電話番号…03-●●●●-●●●●(なければ「なし」と記入)
・携帯電話番号…090-●●●●-●●●●(日本の携帯電話番号を記入)
10.旅券
(1)番号…AB000000(パスポート番号を記入)
(2)有効期限…20●●年●月●日
11.現に有する在留資格…留学
・在留期間…2年
・在留期間の満了日…20●●年●月●日(在留カードに記載のある年月日を記入)
12.在留カード番号…AB00000000CD(在留カードの右上にある番号を記入)
13.希望する在留資格…技術・人文知識・国際業務、在留期間…3年
14.変更の理由…大学卒業後も日本で働き暮らしていくため
15.犯罪を理由とする処分を受けたことの有無…有・無どちらかを丸で囲む(「有」の場合は具体的な内容を記入)
16.在日親族…有・無どちらかを丸で囲む(在日親族がいなければ「無」、日本に父母や祖父母、兄弟姉妹などの親族あるいは同居者がいる場合は「有」を丸で囲み続柄や氏名などを記入)
外国人の氏名が漢字表記の場合は、漢字とアルファベット両方の記入が必要です。パスポートに記載されているとおりに記入すれば問題ありません。
申請人等作成用2には、外国人を雇用する企業の情報や外国人の学歴・職歴などを記入します。
【記入例】
17.勤務先
(1)名称…株式会社△△△、支店・事業所名…△△支店
(2)所在地…東京都●●区●●0-0-10
(3)電話番号…03-●●●●-●●●●
18.最終学歴
(1)本邦
(2)大学(該当する学校をチェック)
(3)学校名…△△△大学
(4)卒業年月日…20●●年●月●日
19.専攻・専門分野…経済学(該当する専攻・専門分野をチェック)
20.情報処理技術者資格又は試験合格の有無…有・無(どちらかを丸で囲む。「有」を選択した場合は資格名や試験名を記入)
21.職歴…なし(学校卒業後の就労経験があればすべて記入)
22.代理人(法定代理人による申請の場合に記入。なければ「該当なし」と記入)
(1)氏名……●●●●●●●●
(2)本人との関係…雇用主
(3)住所…東京都●●区△△0-0-100
・電話番号…03-●●●●-●●●●
・携帯電話番号…080-●●●●-●●●●
※取次者(取次者がいる場合に記入。なければ「該当なし」と記入)
(1)氏名…●●●●●●●●
(2)住所…東京都●●区△△1-00-1
(3)所属機関等…△△△弁護士事務所、電話番号…03-●●●●-●●●●
最後に「以上の記載内容は事実と相違ありません。申請人(法定代理人)の署名/申請書作成年月日」の下に署名をして年月日を記入します。行政書士や弁護士などに申請を依頼した場合は、「取次者」の記入が必要です。
所属機関等作成用1には、在留資格変更後に外国人が働く職種や期間、および外国人を雇用する企業の詳細を記入します。
【記入例】
1.契約又は招へいしている外国人の氏名…●●●●●●●●
2.契約の形態…雇用・委任・請負・その他(いずれか該当するものをチェック)
3.所属機関等勤務先
(1)名称…株式会社△△△
(2)法人番号(13桁)…0000000000000
(3)支店・事業所名…△△支店
(4)雇用保険適用事業所番号(11桁)…0000-000000-0
(5)業種
・主たる業種を別紙「業種一覧」から選択して番号を記入…該当する番号を1つ記入
・他に業種があれば別紙「業種一覧」から選択して番号を記入…上記以外に該当する番号があれば記入(複数選択可)
(6)所在地…東京都●●区●●0-0-10、電話番号…03-●●●●-●●●●
(7)資本金…10,000,000円
(8)年間売上高(直近年度)…30,000,000円
(9)従業員数…200名、外国人職員数…30名、(このうち技能実習生)8名
4.就労予定期間…定めあり、期間3年0月(期間を定めない場合は「定めなし」をチェック)
5.雇用開始(入社)年月日…20●●年●月●日
6.給与・報酬(税引き前の支払額)…250,000円(金額を記入し年額・月額いずれかをチェック)
7.実務経験年数…0年
8.職務上の地位(役職名)…正社員
9.職種
・主たる職種を別紙「職種一覧」から選択して番号を記入…該当する番号を1つ記入
・「技術・人文知識・国際業務」「高度専門職」又は「特定活動」での在留を希望する場合で、他に職種があれば別紙「職種一覧」から選択して番号を記入…上記以外に該当する職種があれば選択して記入(複数選択可)
10.活動内容詳細…外国人が行う業務について具体的に記入
活動内容詳細が記入欄に書ききらない場合は、別の用紙に記入しても問題ありません。
所属機関等作成用2は外国人の雇用形態が派遣の場合、もしくは勤務地が所属機関等作成用1の3で記入した場所とは異なる場合に記入します。
【記入例】
11.派遣先等
(1)名称…有限会社△△△
(2)法人番号(13桁)…0000000000000
(3)支店・事業所名…△△支店
(4)雇用保険適用事業所番号(11桁)…0000-000000-0
(5)業種
・主たる業種を別紙「業種一覧」から選択して番号を記入…該当する番号を1つ記入
・他に業種があれば別紙「業種一覧」から選択して番号を記入…上記以外に該当する番号があれば記入(複数選択可)
(6)所在地…東京都●●区●●0-0-1、電話番号…03-●●●●-●●●●
(7)資本金…10,000,000円
(8)年間売上高(直近年度)…20,000,000円
(9)派遣予定期間…1年
最後に、「以上の記載内容は事実と相違ありません。所属機関等契約先の名称、代表者氏名の記名/申請書作成年月日」 の下に、署名をして年月日を記入しましょう。
なお、派遣先等の内容を記入しない場合でも、署名および年月日を記入したうえで所属機関等作成用2を提出しなければなりません。その際は、名称欄に「該当なし」と記入すると分かりやすいでしょう。
参照元 出入国在留管理庁「在留資格変更許可申請書」
在留資格変更許可申請書の書き方から手続きまで、さらに詳しく知りたい方は「在留資格変更許可申請書の書き方を目的ごとに解説!」のコラムもおすすめです。
在留資格の変更は、申請を行っても不許可になる可能性があります。外国人の在留資格が変更出来なければ、日本に滞在し続けられないため雇用できません。書類の不備が原因であれば、再提出により変更できる可能性があります。ただし、外国人の在留状況や活動内容が原因の場合は、再申請しても不許可になるでしょう。そうなった場合に企業はどのような対応を取るか、あらかじめ決めておくことが大切です。
在留資格変更許可申請は、外国人が日本に滞在する目的や活動内容が変わるときに、必ず地方出入国在留管理局へ届け出なければなりません。申請の際は、必要書類や記入内容に不備がないかを十分確認することが大切です。企業が用意する書類はもちろん、外国人の書類の準備や記入のサポートを積極的に行いましょう。