定住者と永住者の在留カードの違いは?それぞれの相違点まとめ

2022年12月01日
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福谷陽子 (監修)
ライター事務所HARUKA
弁護士を10年間経験した後、専業ライターへ転身。各種の法律メディアや法律事務所サイトにおいて、精力的に記事の執筆や監修を行っている。 モットーは「難しい法律を誰でも理解できるようにわかりやすく伝える」こと。 「法律×SEO」をキーワードに、弁護士時代に培った法律知識とウェブ業界で取得したスキルを両輪として幅広いウェブマーケターとして活動中。 https://legalharuka.com/

定住者や永住者の違いがよく分からない方も多いでしょう。定住者と永住者は、名称が酷似していますが、全く異なる在留資格です。在留期間や取得難易度にも違いがあるので注意しましょう。
このコラムでは、外国人を雇用する企業に向けて、定住者と永住者の違いを解説します。また、各在留資格の申請方法や必要書類も紹介しているので、内容を参考にして外国人をサポートしましょう。

目次

  1. 定住者と永住者の違い
  2. 定住者と永住者の在留カードは違うの?
  3. 定住者と永住者の共通点
  4. 永住者の在留資格を得る条件と必要書類
  5. 定住者の在留資格を得る条件と必要書類
  6. まとめ

定住者と永住者の違い

定住者と永住者の違いの画像

「定住者」と「永住者」は名称が似ていますが異なる種類の在留資格です。ここでは、それぞれの違いを紹介します。

対象になる外国人の違い

在留資格「定住者」は、法務大臣が特別な理由を考慮して日本在留を認めた外国人に付与されます。主に、日系人や日本人と再婚した外国人の連れ子などに許可されるケースが多いです。また、難民と認定された外国人にも定住者の在留資格が付与されます。出入国在留管理庁の資料によると、2022年6月末時点で定住者の在留資格を持つ外国人は202,385人おり、中長期在留者全体の6.8%を占めていました。

一方、在留資格「永住者」は、日本への永住を認められた外国人に付与されます。2022年6月末時点で永住者の在留資格を持つ外国人は、845,693人です。中長期在留者全体の28.6%を構成しており、最も多くの割合を占めています。

在留期限の違い

定住者の在留期限は外国人によって異なり、5年・3年・1年・6ヶ月のうちいずれかです。もしくは、5年を超えない範囲で法務大臣が個別に指定する場合もあります。

永住者はその名のとおり日本永住が許可されているため、在留期限はありません。犯罪を犯したり住所の申請を怠ったりなどの問題を起こさなければ、永続的に日本に在留できます。ただし、在留カードには有効期限があり、7年ごとに更新が必要です。

取得難易度の違い

定住者と永住者の在留資格は、取得難易度にも違いがあります。日本に永続的に在留できる「永住者」の在留資格は、簡単には取得できません。日本滞在歴や在留状況などが厳しく審査されます。

対して定住者の在留資格は、条件に当てはまる身分や立場の外国人であれば、永住者よりも許可されやすいです。

日本での暮らしやすさの違い

定住者と永住者では、永住者のほうが日本で生活しやすいといえます。

定住者をはじめとした在留期限のある外国人は、原則ローン契約やクレジットカードの作成ができません。在留資格が失効し、返済途中で母国に帰国されるリスクがあるためです。一方、永続的に日本に在留できる永住者は、ローン契約ができます。車や家などの高額な買い物をする際にローンを組めることは、日本での暮らしやすさに繋がるでしょう。

申請手続きの違い

定住者と永住者は異なる在留資格なので、申請手続きに違いがあります。
永住者の場合は「永住許可申請」を行います。永住者の在留資格を得るには、原則10年以上の日本居住歴が必要なため、初めて在留資格を得る外国人が永住許可申請を行うことはできません。

はじめて日本に住む外国人が定住者の在留資格を得る場合は、「在留資格認定証明書交付申請」をします。ほかの在留資格から変更する際は、「在留資格変更許可申請」です。

「永住者」と「定住者」以外の在留資格については「在留資格の種類を一覧で紹介!外国人を雇用する際の注意点も解説」を参考にしてください。

参照元
出入国在留管理庁「令和4年6月末現在における在留外国人数について

定住者と永住者の在留カードは違うの?

定住者と永住者の在留カードは違うの?の画像

定住者と永住者の在留カードに違いはありません。ただし、名称の似ている「特別永住者」には、在留カードではなく「特別永住者証明書」が交付されます。永住者と特別永住者は名前が似ているものの、全く異なる在留資格です。
永住者は、日本への永住を希望して永住許可申請を行った外国人に付与されます。一方、特別永住者は、日本統治時代に日本国籍を有し、その後母国の国籍に戻った外国人やその子孫にしか許可されません。歴史的背景が関係する特別な在留資格なので、在留カードではなく特別永住者証明書が交付されています。

特別永住者については「特別永住者とはどのような外国人か企業向けに解説!雇用上の注意点も紹介」でさらに詳しく解説しています。

定住者と永住者の共通点

定住者と永住者の共通点の画像

定住者と永住者には、就労制限がないという共通点もあります。「技術・人文知識・国際業務」「教育」などの在留資格は活動内容に制限があり、自由に仕事を選べません。一方、定住者や永住者などの身分に基づく在留資格を持つ外国人は、好きな仕事に就けます。

永住者の在留資格を得る条件と必要書類

永住者の在留資格を得る条件と必要書類の画像

ここでは、外国人が永住者の在留資格を得る条件と申請に必要な書類を紹介します。

永住者の要件

永住者の要件は出入国在留管理庁からガイドラインが公表されています。永住者の在留資格を得るには、あらかじめ法律で定められている要件を満たさなくてはなりません。ただし、一定の条件を満たせば要件が緩和されることもあります。

法律上の要件

法律上で明確に定められている条件は以下のとおりです。

1.素行が善良であること(法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること)

2.独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること(日常生活において公共の負担にならず、その有する資産または技能などから見て、将来において安定した生活が見込まれること)

3.その者の永住が日本国の利益に合すると認められること(※下記のア~イすべてに該当していること)

(ア)原則として引き続き10年以上本邦に在留していること、ただしこの期間のうち就労資格(在留資格「技能実習」および「特定技能1号」を除く)または居住資格をもって引き続き5年以上在留していること

(イ)罰金刑や懲役刑などを受けていないこと、公的義務(納税・公的年金・公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出などの義務)を適正に履行していること

(ウ)現に有している在留資格について、出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること

(エ)公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと

なお、日本人・永住者・特別永住者の配偶者または子である場合は、素行や独立生計要件は問われません。また、難民認定を受けている外国人は、独立生計要件を満たしていなくても永住申請が許可されます。

原則10年在留に関する特例

外国人が永住者の在留資格を得るためには、日本に10年以上在留していなくてはなりません。しかし、以下の条件に当てはまる場合は、特例として10年以上日本に住んでいなくても永住者の在留資格を得られます。

1.日本人、永住者及び特別永住者の配偶者の場合、実体をともなった婚姻生活が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上本邦に在留していること(その実子などの場合は1年以上本邦に継続して在留していること)

2.「定住者」の在留資格で5年以上継続して本邦に在留していること

3.難民の認定を受けた者の場合、認定後5年以上継続して本邦に在留していること

4.外交、社会、経済、文化などの分野において我が国への貢献があると認められる者で、5年以上本邦に在留していること

5.法務省告示131号の第36号もしくは第37号のいずれかに該当する活動を行い、当該活動によって我が国への貢献があると認められる者の場合、3年以上継続して本邦に在留していること(例:公私の機関で行う専門的な知識を必要とする研究・教育活動など)

6.高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に70点以上を有している者であって以下の(ア)(イ)に該当するもの

(ア)「高度人材外国人」として3年以上継続して本邦に在留していること

(イ)3年以上継続して本邦に在留している者で、永住許可申請日から3年前の時点を基準として高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に70点以上の点数を有していたことが認められること

7.高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に80点以上を有している者であって、次の(ア)(イ)に該当するもの

(ア)「高度人材外国人」として1年以上継続して本邦に在留していること

(イ)1年以上継続して本邦に在留している者で、永住許可申請日から1年前の時点を基準として高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に、80点以上の点数を有していたことが認められること

上記のように、日本へ貢献していたり人道的な理由があったりする外国人は、永住要件が緩和されます。

永住許可申請に必要な書類

就労関係の在留資格、もしくは「家族滞在」の在留資格から永住許可申請をする場合の必要書類は、以下のとおりです。

  • 永住許可申請書

  • 証明写真(縦4cm×横3cm)

  • 理由書

  • 家族滞在の在留資格から永住許可申請をする場合は、以下のいずれかの資料

1.戸籍謄本(全部事項証明書)

2.出生証明書

3.婚姻証明書

4.認知届の記載事項証明書

5.上記1~4に準ずるもの

  • 申請人を含む家族全員(世帯)の住民票

  • 申請人または申請人を扶養する方の職業を証明する資料(会社員の場合は在職証明書)

  • 直近(過去5年分)の申請人および申請人を扶養する方の所得および納税状況を証明する資料(納税証明書や預金通帳の写しなど)

  • 申請人および申請人を扶養する方の公的年金および公的医療保険の保険料の納付状況を証明する資料(ねんきん定期便や健康保険証の写しなど)

  • 申請人または申請人を扶養する方の資産を証明する資料(預貯金通帳の写しや不動産の登記事項証明書など)

  • パスポートもしくは在留資格証明書(提示)

  • 在留カード(提示)

  • 身元保証に関する資料

  • ある場合は日本への貢献に関する資料

  • 了解書

外国人の職業を証明する在職証明書は雇用する企業が発行します。外国人から依頼があったら速やかに対応しましょう。

永住者の在留資格については、「日本の永住者ビザの取得は難しい?申請方法や必要な条件を企業向けに解説」のコラムでさらに詳しくまとめています。

参照元
出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン(令和元年5月31日改定)」
出入国在留管理庁「永住許可申請3

定住者の在留資格を得る条件と必要書類

定住者の在留資格を得る条件と必要書類の画像

ここでは、外国人が定住者の在留資格を得る条件と申請に必要な書類を紹介します。

定住者の要件

定住者の在留資格は、あらかじめ定められている「定住者告示」に該当する外国人に付与されます。また、個々の事情を考慮されて付与されるケースも少なくありません。

定住者告示に該当する外国人の例は、「日系人2世および3世」「日本人・永住者・定住者の扶養を受
ける6歳未満の養子」「中国残留邦人およびその関係者」などです。

個々の事情により定住者の在留資格も付与される外国人の例には、「日本人との結婚で「日本人の配偶者等」の在留資格を取得したが、その後に離婚・死別して在留期間の更新が難しい外国人」「日本人との間に生まれ、日本人親から認知を受けた子供を養育・監護している外国人」があります。

定住者の在留資格申請に必要な書類

ここでは、すでに日本に在留する外国人が、日系3世として定住者の在留資格に変更する場合を例に提出書類を紹介します。

  • 在留資格変更許可申請書

  • 証明写真(縦4cm×横3cm)

  • 祖父母(日本人)の戸籍謄本または除籍謄本(全部事項証明書)

  • 祖父母の婚姻届出受理証明書(届出をしている場合のみ)

  • 申請人の出生届出受理証明書(届出をしている場合のみ)

  • 祖父母の死亡届出受理証明書(届出をしている場合のみ)

  • 申請人の住民票

  • 日本での滞在費用を証明するもの(預貯金残高証明書など)

  • パスポート(提示)

  • 在留カード(提示)

  • 身元保証書

  • 本国(外国)で発行された申請人の犯罪経歴証明書

  • 祖父母および両親の本国(外国)の機関から発行された結婚証明書

  • 両親および申請人の本国(外国)の機関から発行された出生証明書

  • 申請人の本国(外国)の機関から発行された認知に係る証明書(ある場合のみ)

  • 祖父母及び父母が実在していたことを証明する公的な資料(祖父母及び父母の旅券、死亡証明書、運転免許証など)

  • 申請人が本人であることを証明する公的な資料 適宜 (運転免許証、軍役証明書、選挙人手帳など)

  • 在留資格5年を希望する場合は、一定の日本語能力があることを証明する証明書(JLPTのN2に合格したことを証明する文書など)

外国人の立場によって、用意する書類は異なります。

参照元
出入国在留管理庁「在留資格「定住者」(外国人(申請人)の方が日系3世である場合)

まとめ

まとめの画像

定住者と永住者は名称がとても似ているものの、定義・在留期間などに違いがある別物の在留資格です。ただし、両方とも身分に基づく在留資格なので、職業の制限がないなどの共通点もあります。

それぞれの違いを把握して、雇用する外国人の在留資格の申請をサポートしましょう。