定住者と永住者の違いは?在留資格の特徴や取得要件、手続きの相違点も解説

2020年10月12日
福谷陽子 (監修)
ライター事務所HARUKA
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定住者と永住者の間には、違いがあります。言葉としては類似していますが、定義・在留期間・社会的信用度・取得要件や申請手続きなどの視点から多くの違いがあります。なお、永住者の方が、在留資格の取得に関する要件は厳しいとされています。

この記事では、定住者と永住者の違いを紹介するほか、各在留資格の取得が認められるケースについてまとめました。必要書類も把握して、各在留資格の申請に役立ててください。

定住者と永住者の違い

定住者と永住者には、言葉の定義をはじめ在留期間・社会的信用度・取得要件や申請手続きなどの点に違いがみられます。

・定義における違い

ここでは、2つの言葉が持つ定義における違いをまとめました。

定住者とは 

定住者とは、法務大臣から一定の在留期間を指定されて日本国内での居住が認められた者をさします。法務省の告示によってあらかじめ認められているケースもあります。法務省の「令和元年6月末現在における在留外国人数について(速報値)」によると、2019年6月末時点における定住者の数は197,599人です。

参照:総務省行政管理局「出入国管理及び難民認定法 別表第二」
法務省「令和元年6月末現在における在留外国人数について(速報値)」

永住者とは 

永住者とは、法務大臣から日本国内で永住する権利を認められた者のことです。法務省は「令和元年6月末現在における在留外国人数について(速報値)」の中で、2019年6月末時点における永住者の数を783,513人と報告しました。

永住者と類似する言葉に、「帰化」および「特別永住者」が存在します。帰化とは、日本国籍を持たない外国人が日本国籍の取得を申請し、法務大臣がその外国人に対して新たに日本国籍を認めることです。つまり「外国人が日本国籍を取得する場合」と理解すると良いでしょう。帰化すると日本人になるので、永住者や定住者とは違い、参政権が付与されます。

また、特別永住者とは、「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法」に定めのある在留資格を付与された者のことです。戦中に日本に占領されて日本人となり、戦後も日本に残った在日韓国人や台湾人が主となっています。そのため、一般の永住権とは、認定要件が大きく異なります。

参照:総務省行政管理局「出入国管理及び難民認定法 別表第二」
法務省「令和元年6月末現在における在留外国人数について(速報値)」

・在留期間における違い 

定住者の在留期間は個々のケースに応じて5年、3年、1年、6か月の期間で設定されますが、永住者の在留期間に制限は設けられていません。

・社会的信用度における違い 

永住者は、定住者に比べて社会的信用が高いと捉えられています。社会的信用が高まると、家や車などの大きな買い物をするときに銀行などでローンを組みやすくなる点がメリットです。

また、クレジットカード審査がとおりやすいケースも見られます。このような違いは、永住者には在留期限が設定されておらず返済の見込みが高いことが理由となり生まれるものです。

・取得要件や申請手続きにおける違い

具体的な違いは次章から紹介しますが、一般的には永住者の在留資格の取得要件の方が、定住者のものより厳しくなっています。

・定住者と永住者の共通点 

定住者と永住者の在留資格には、以下のような共通点も存在します。

  • 就労活動に制限がない

  • 再入国するためには許可が必要となる

  • 行政処分「退去強制」の対象となる可能性がある

  • 参政権を持たない

定住者の在留資格取得が認められるケース

定住者の在留資格を取得するには、法務省が定める告示に該当するか、もしくは法務大臣により個々の事情を考慮されて在留資格を与えられる必要があります。

・定住者告示に該当している 

定住者告示に該当する人は、以下のとおりです。

  • タイ国内において一時的に庇護されているミャンマー難民

  • 日系2世および3世

  • 日系1世が日本国籍を離脱した後に生まれた実子の実子たる孫

  • 日系2世および3世である定住者の配偶者

  • 日本に帰化した者の扶養を受ける子。永住者の扶養を受ける海外で出生した子。1年以上の在留資格を有する定住者の扶養を受ける未成年および未婚の実子。日系2世・3世の扶養を受ける未成年および未婚の実子。日本人・永住者・定住者の配偶者の未成年および未婚の連れ子

  • 日本人・永住者・定住者の扶養を受ける6歳未満の養子

  • 中国残留邦人およびその関係者

上記のいずれかに該当する人は、定住者の在留資格で来日が可能となります。

参照:法務省「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の規定に基づき同法別表第二の定住者の項の下欄に掲げる地位を定める件(平成2年法務省告示第132号)」
独立行政法人労働政策研究・研修機構「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の規定に基づき同法別表第二の定住者の項の下欄に掲げる地位を定める件の一部を改正する件(法務五〇)2020年4月1日」

・個々の事情を考慮されて在留資格を与えられる 

法務大臣により個々の特別な事情を考慮されて定住者の在留資格が認められるケースの代表例は、以下のとおりです。

  • 日本人との間に生まれ、日本人親から認知を受けた子供を養育・監護している外国人

  • 日本人との結婚で「日本人の配偶者等」の在留資格を取得したが、その後に離婚・死別して在留期間の更新が難しい外国人

  • 難民にあたる外国人であり、本国で迫害を受けるおそれがある外国人

個々の事情を個別的に判断されるため、上記のいずれかに該当すれば必ず定住者の在留資格が得られるというわけではありません。

永住者の在留資格取得が認められるケース

永住者の在留資格を取得するには、法律上の要件を満たす必要があります。

・法律上の要件 

永住許可が与えられる際の法律上の一般的要件は、以下のとおりです。

  1. 素行が善良であること(法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること)

  2. 独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること(日常生活において公共の負担にならず、その有する資産または技能などから見て、将来において安定した生活が見込まれること)

  3. その者の永住が日本国の利益に合すると認められること

さらに個別的要件として、以下も満たさねばなりません。

  • 原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし、この期間のうち就労資格(在留資格「技能実習」および「特定技能1号」を除く。)または居住資格をもって引き続き5年以上在留していることが必要です。

  • 罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。公的義務(納税・公的年金・公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出などの義務)を適正に履行していること

  • 現に有している在留資格について、出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること

  • 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと

永住許可を得るには、原則として上記の要件をすべて満たす必要があります。

参照:法務省「永住許可に関するガイドライン(令和元年5月31日改定)」

・原則10年在留に関する特例について 

法律では10年の在留期間を求めていますが、特例で以下の条件を満たす人には要件を緩和しています。()内は緩和後の要件です。

  • 日本人・永住者および特別永住者の配偶者または子ども(配偶者の場合、実体を伴った婚姻が3年以上継続し、かつ1年以上本邦に在留している。実子または特別養子の場合は1年以上本邦に在留している)

  • 定住者・難民の認定を受けた者(5年以上本邦に在留している必要があります)

  • 外交・社会・経済・文化などの分野において我が国への貢献が認められる者(科学技術研究者、スポーツ選手、大学教授や文学研究者などの例があります。5年以上本邦に在留していることが必要です。)

参照:法務省「永住許可に関するガイドライン(令和元年5月31日改定)」

定住者や永住者の申請書類

定住者と永住者の在留資格申請に必要な書類をまとめました。ただし、必要書類は申請者の置かれた状況によって大きく異なり、ここで紹介する書類はあくまでも一例です。

・定住者の在留資格申請に必要な書類 

定住者の在留資格申請に必要な書類の一例(会社などに勤務している日系3世の人が日本へ入国後に初めて在留期間の更新申請を行う場合)は、以下のとおりです。

  • 在留期間更新許可申請書 

  • 写真(縦4cm×横3cm) 

  • 祖父母(日本人)の戸籍謄本または除籍謄本(全部事項証明書)

  • 住民票(世帯全員の記載のあるもの)

  • 住民税の課税(または非課税)証明書および納税証明書(1年間の総所得および納税状況が記載されたもの)

  • 在職証明書  

  • パスポート   提示

  • 在留カードまたは在留カードとみなされる外国人登録証明書 提示

  • 身元保証書 

  • 身元保証人の印鑑

  • 申請人の犯罪経歴証明書(本国の機関から発行されたもの)

  • 祖父母および両親の本国(外国)の機関から発行された結婚証明書 

  • 両親および申請人の本国(外国)の機関から発行された出生証明書 

  • 一定の日本語能力があることを証明する書類

・永住者の在留資格申請に必要な書類 

永住者の在留資格申請に必要な書類の一例(定住者の在留資格を持つ人が申請する場合)は、以下のとおりです。

  • 永住許可申請書 

  • 写真(縦4cm×横3cm) 

  • 理由書 

  • 身分関係を証明する資料 

  • 申請人を含む家族全員(世帯)の住民票 適宜

  • 申請人または申請人を扶養する方の職業を証明する資料 

  • 直近(過去5年分)の申請人または申請人を扶養する人の所得および納税状況を証明する資料 

  • 申請人または申請人を扶養する方の公的年金および公的医療保険の保険料の納付状況を証明する資料

  • 申請人または申請人を扶養する方の資産を証明する資料

  • 直近3年分の住民税課税証明書

  • 直近3年分の住民税納税証明書

  • 自宅の賃貸借契約書コピー

  • 自宅のスナップ写真

  • パスポート 提示

  • 在留カードまたは在留カードとみなされる外国人登録証明書 提示

  • 身元保証書

  • 身元保証人の住民票、住民税納付に関する資料

  • 身元保証人の在職証明書

  • 身元保証人の身分証明書

  • 我が国への貢献に係る資料

必要書類の内容はケースによって異なります。詳細は入国管理局に相談するか、行政書士などの専門家に相談して確認しましょう。

まとめ

定住者と永住者では、定義・在留期間・社会的信用度などの視点から違いが見られます。取得要件や申請手続きにも違いがあるため、申請を検討する在留資格に応じて、両者を混合しないよう念入りに把握しておきましょう。