日本で働く外国人労働者の出身国・年齢・就労業種(2019年度)

2020年11月11日
青砥優伊(あおとゆい) (監修)
AOTO行政書士事務所
上場企業の法務部からベンチャー企業の法務部まで多岐に渡る企業法務を経験を基に、契約法務から外国人ビザまで対応可能な事務所を開業。英文メール、英文チャットにも対応可能なため、雇用予定の外国人との直接のコミュニケーションも対応可。東京大学法学部卒、2児の母。 https://www.shares.ai/site/office-nitta

日本国内では少子高齢化と人口減少により、急速に労働者自体が減少しています。さらに、特定の業種や特定の分野によっては人手不足が深刻化しています。現在そこまで人手不足が深刻ではない業種や分野でも、技術革新により今後人手不足になると予測されている分野もあり、日本では人材育成・人材確保が課題になっています。日本政府は日本経済の維持や発展のために、入管法の改正を行い、日本で働く外国人労働者への積極的支援を行い始めました。その影響もあり、日本国内の外国人労働者数は年々増加しています。

参照:総務省統計局「人口推計(令和2年(2020年)3月確定値,令和2年(2020年)8月概算値)(2020年8月20日公表)」
法務省「新たな外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組」p.6
経済産業省「IT人材需給に関する調査(概要) 平成31年4月」p.2
厚生労働省「福祉・介護人材確保対策について(令和元年9月18日)」
外務省「特定技能の創設」

外国人労働者数の変化

・外国人労働者の増加傾向

新型コロナウイルス感染症流行による入国制限前の時点では、外国人労働者数・外国人を雇用する事業所数共に2019年(令和元年)10月時点で過去最高の数値を更新しました。これは日本政府による外国人労働者受け入れ対策が進んでいることも要因のひとつです。全ての外国人労働者の中では「製造業」で働く方々が多く、次に「サービス業」や「卸売業、小売業」で働く方々、次いで「宿泊業・飲食サービス業」で働く方々が続きます。外国人労働者数も年々増加していますが、外国人労働者を雇用する事業所数も年々増加しています。全ての業種で増加傾向であり、特に外国人を雇用する「建設業」事業所や「医療・福祉」事業所が増えています。

参照:厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】 (令和元年 10 月末現在)
「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和元年10月末現在)

・日本政府の受入れ拡大政策

少子高齢化と人口減少による人手不足は、今後一層深刻化すると予想されています。そこで、2018年(平成30年)日本政府は本格的に人手不足対策としての在留資格「特定技能」が創設されました(※9)。また、人手不足のためでなく日本の技術革新や経済発展を目的とした在留資格も整備が進み外国人労働者受入れ拡大政策は全体的に進んでいます。

例えば出入国在留管理庁主催で、特定技能に係る求人・求職の情報を求めている企業や外国人に対し,マッチングイベントや説明会の開催が予定されています。

参照:法務省「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方 針について」 平成30年12月25日 閣
法務省出入国在留管理庁「マッチングイベント等の実施による特定技能制度の活用の促進について」

・新型コロナウイルス感染症流行による入国制限

日本では、2020年2月1日から新型コロナウイルス感染症流行を理由とする入国制限が始まりました。新型コロナウイルス感染症は世界に広がり、日本が入国拒否を行う対象地域が2020年2月時点で合計 146 か国・地域に及びました。これにより一時的に、在留資格認定証明書の交付や各国大使館での査証の発行が止まり、外国人の入国が難しくなりました。

しかし、2020年10月現在、ビジネス上必要な人材等に加え、順次、留学、家族滞在等のその他の在留資格も対象とし、原則として全ての国・地域からの新規入国を許可することを決定されました。(ただし、防疫措置を確約できる受入企業・団体がいることを条件とし、入国者数は限定的な範囲に留められます。)

参照:首相官邸 新型コロナウイルス感染症対策本部(第2回)
出入国在留管理庁 新型コロナウイルス感染症に関する取組について(令和2年2月12日)
外務省「国際的な人の往来再開に向けた段階的措置について」(令和2年10月22日)

外国人労働者の出身国

来日し日本で働く外国人労働者数は年々増加し、2019年(令和元年)は過去最高を更新しました。2019年(令和元年)の集計では、日本で働く外国人労働者の中でも、中国出身者が最も多く418,327人です。これは外国人労働者数全体の 25.2%に該当します。その次に多いのがベトナム出身者で401,326 人です。全体の24.2%を占めます。近年、特にベトナム出身者は大きく増加しているところが注目されています。そして、フィリピン出身者179,685 人(全体の10.8%)が続きます。全体の数の中では少ないものの、インドネシアやネパール出身者も前年度よりも増加しています。し

・身分に基づき在留する者

主に日系人などの「定住者」や、「永住者」、「日本人の配偶者等」、「定住者」が該当します。日本に在留する間の就労に特に制限がありません。2019年10月時点で外国人労働者数の中で最も多いのが「身分に基づき在留する者」を持つ方々です。「定住者」の中で最も多いのはフィリピン出身者で54,359人です。「永住者」の中で最も多いのは中国出身者で273,776人です。「特別永住者」の中で最も多いのは韓国出身者で281,266人です。「日本人の配偶者等」の中で最も多いのは中国出身者で17,002人です。

・専門的・技術的分野の在留資格

就労を目的とした在留資格です。2019年(令和元年)4月に創設された在留資格「特定技能」や、「高度専門職」などもこの中に含まれます。在留資格「教授」「芸術」「報道」「「技術・人文・国際業務」「高度専門職」「経営・管理」「法律・会計業務」「医療」「研究」「企業内転勤」「興業」を取得した外国人労働者の中で最も多いのは中国出身者です。

・特定活動

特定活動には、家事使用人、ワーキングホリデー、EPAに基づく外国人看護師・介護福祉士候補者、 外国人建設就労者、外国人造船就労者などがあります。「特定活動」全体で最も多いのは中国出身者です。しかし、それぞれの在留資格により若干傾向が異なります。在留資格「家事使用人」はフィリピン出身者が多く、「ワーキングホリデー」は韓国出身の方々、「EPAに基づく外国人看護師・介護福祉士候補者」はインドネシア出身者、「高度人材」は中国出身者が一番多いという特徴があります。

・技能実習

技能実習は、開発途上国への技術移転や人材育成の国際協力を目的とした制度です。

あくまでも研修などを通した「人づくり」が目的であり、人手不足解消のための外国人労働者受け入れではありません。そのため、在留期間は最長5年と一時的な在留しかできません。2017年に「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(技能実習法)」が施行され、技能実習生の保護について規程されています。

技能実習には在留資格「技能実習1号」と「技能実習2号」、「技能実習3号」があります。それぞれ最も多いのはベトナム出身者で、次に中国出身者です。

・留学(資格外活動)

在留資格「留学」は、本来は就労を目的とした在留資格ではありません。ただし、本来の在留資格の活動を阻害しない範囲(原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く)であれば、アルバイトなど報酬を受ける活動が可能です。この活動を「資格外活動」と言い、別途資格外活動許可申請が必要です。2019年(令和元年)の在留資格「留学」取得者は345,791人です。この在留資格「留学」の中で一番多いのは中国出身者です。次にベトナム出身者、ネパール出身者と続きます。

参照:厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】 (令和元年 10 月末現在)
厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和元年10月末現在)
統計局 在留外国人統計(旧登録外国人統計) 在留外国人統計 月次 2019年12月 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口

外国人在留者の年齢層

外国人在留者の年齢層には、出身国や男女で傾向に違いがあります。例えば、ベトナム出身者は10代後半から30代がほとんどである一方で、中国出身者や韓国出身者は幅広い年齢層が日本に在留しています。フィリピン出身者は、男性よりも女性の方が日本に在留しています。

参照:統計局 在留外国人統計(旧登録外国人統計) 在留外国人統計 月次 2019年12月 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口

まとめ

日本で急速に進む少子高齢化と人口減少により、人手不足が大きな課題になっています。特定の分野や特定の業種の人手不足が進んでいるため、日本政府は入管法を改正し人手不足解消を目的とした外国人労働者受入れを行い始めました。さらに、日本経済の維持や発展のため、高度な技術を持つ外国人労働者を積極的に受入れる政策も行なっています。2019年には日本で働く外国人労働者数も、外国人労働者を受け入れる事業所数も過去最高を更新し、多くの外国人労働者が日本で活躍しています。

しかし、日本在住の外国人労働者を採用する際は、現在の在留資格のまま転職することができるかどうかは実質的に判断されます。(判断基準は、職種、会社の経営状況、外国人の学歴、職歴や大学での履修科目と就労先の職種との関連性など多岐に渡ります。)

この実質的判断は様々な資料から総合的に判断されるため、安易に現在の在留資格のまま採用せず、出入国在留管理庁や申請取次行政書士等の専門家にご相談されることをお薦めいたします。