技能実習生を受け入れるために必要な「送り出し機関」「監理団体」「登録支援機関」「出入国在留管理庁」の違いや関係は?

2020年11月11日
佐藤俊介 (監修)
行政書士佐藤事務所
法科大学院修了後、法律事務所で事務員として勤務した後、行政書士開業。現在は、相続・遺言関連業務、契約書等の作成、建設・不動産関係の許認可申請業務等を総合的に取り扱う。 http://gyosei-sato.com/

日本では、不足する労働力を解消する方法の一つとして技能実習生の受け入れが進んでいます。しかし、技能実習生の受け入れは企業単独で行うことはできません。

技能実習生を受け入れるためには監理団体や送り出し機関、登録支援機関や出入国在留管理庁など様々な機関や団体との連携が不可欠です。

初めて技能実習生の受け入れを行う場合には、どの機関や団体とどうやって関わっていけば分からない場合があるでしょう。そこで、今回は技能実習生を受け入れるために必要な様々な機関や団体の違いや関係性について解説していきましょう。

技能実習生を受け入れるためには様々な機関や団体を関わる必要がある

日本は基本的に外国人の移民を受け入れていません。その一方で、深刻化する労働力不足を補うために「国際協力」という名目で技能実習生を受け入れ、実質的な労働力として受け入れているのが実情です。

外国人を自社の労働力として活用するためには「外国人に日本の技術を教える」という名目で行われている技能実習生を受け入れるか、特定の技能を持つ外国人を一定期間だけ受け入れるかのいずれかの方法を選択する必要があります。現状では技能実習生を受け入れるケースが大半ですが、技能実習生を受け入れるのは様々な機関や団体との連携が欠かせません。

初めて技能実習生を受け入れる場合には「監理団体」「送り出し機関」「登録支援機関」「出入国在留管理庁」といった様々な機関や団体の役割や近い、関係性について理解し、それぞれの組織と適切に関わることが求められるでしょう。

技能実習生を受け入れるプロセス

技能実習生を受け入れるためには、どんなプロセスを経る必要があるでしょうか。まずは技能実習生を採用し、日本で受け入れるまでのプロセスについて紹介していきます。

・事業協同組合への申し込み 

技能実習生を受け入れるためには、まず事業協同組合への申し込みが必要です。事業協同組合は監理団体として技能実習生を受け入れて技能実習(就労)を行う間のコーディネートを担当します。事業協同組合に加入し、希望の国籍や人数、受け入れ時期を組合との協議で決定します。

労働条件を決定し、雇用契約書を作成したうえで送り出し機関の選定をおこないます。

・送り出し機関の選定

送り出し機関は、技能実習生を送り出す国で人材の募集や選考、来日前の教育や在留資格の取得に関する書類作成などをおこないます。組合によって送り出し機関が指定されている場合もあれば、複数の送り出し機関の中から組合との話し合いによって決定する場合もあります。

・受け入れ人材の募集

送り出し機関が決まると、送り出し機関によって技能実習生のとして来日する人材の募集をおこないます。応募者が集まった段階で採用担当者が現地へ赴き、選考を実施します。採用が決定した場合には、その場で技能実習生と雇用契約を締結します。

・受け入れ時研修

受け入れる技能実習生が決定したら、在留資格認定証明書の申請と技能実習生を受け入れるための「技能実習計画」を作成します。同時に送り出し機関が現地で技能実習生に対して日本語教育や日本で生活する上で必要な知識やマナーを習得します。

・技能実習生の受け入れ

在留資格認定証明書が交付されたら送り出し機関に送付し、送り出し機関が現地の日本大使館でビザの申請をおこないます。ビザが発行される目処が立った時点で具体的な入国日と入社日を決定。受け入れがスタートします。

・監理団体への定期報告

技能実習生の受け入れ期間中は定期的に監理団体から訪問指導や定期監査を受け、適切に技能実習生を受け入れているかを確認されます。特に技能実習計画と異なる業務に従事させていないか、労働時間を適正に管理し、割増賃金が発生した場合に適切に支払っているかを報告します。

技能実習生を受け入れに関係する諸団体

技能実習生を受け入れるためには様々な団体が関係してきます。そこで、それぞれの団体の役割について解説していきましょう。

・監理団体 

監理団体は企業の依頼を受けて技能実習生の受け入れに関する手続きや、受け入れ後の監理を企業に代わって行う団体です。技能実習生を受け入れるうえで中核になる団体で、技能実習生受け入れ全般をサポートします。後ほどご紹介する送り出し機関との調整や入国後の教育研修、実習期間中の指導や監査をおこなうため、技能実習生を受け入れる上で最も頻繁にやり取りすることになる団体です。

監理団体は許可を受けた事業協同組合や商工会など非営利組織が中心です。

・送り出し機関 

送り出し機関は海外に拠点があり、現地で技能実習生を募集・選考・教育を行う組織です。送り出し機関は次に紹介する監理団体と契約し、受け入れ企業のニーズに合った人材を国内から集めて、受入企業が面接をできるようにセッティングします。技能実習生が決定したら送り出し機関が日本に送り込む前の研修を行い、ビザの手配など相手国での手続き全般を依頼するため、しっかりとした送り出し機関を選ぶ必要があります。

中には技能実習生から費用を取ったり、不正な書類作成や相手国の政府に認可されていない無許可営業をしている行う送り出し機関も存在するため、送り出し機関の選定は慎重におこないましょう。

・登録支援機関

登録支援機関とは、特定技能1号の外国人を受け入れる場合に、企業から委託を受けて日常生活や職業生活を送るための支援を行う機関です。企業が特定技能1号の外国人を雇用する場合、企業は支援計画を策定することが求められていますが、登録支援機関は必要に応じて企業の支援計画の作成の委託を受けるなどの作成支援を行います。

・出入国在留管理庁

出入国在留管理庁は2019年に新設された庁で、それまで出入国を管理していた「入国管理局」が訪日外国人の増加により機能を拡充し庁として格上げされる形で創設されました。

技能実習生や特定技能を受け入れる場合に必要なのが就労を認めるビザですが、ビザの発行は出入国在留管理庁の重要な役割の一つであり、外国人の労働力を受け入れる上で必ず関わることになる組織です。出入国に関しては「出入国管理部」が担当し、入国後の外国人の生活環境の管理については「在留管理支援部」が行います。在留管理支援部では技能実習生や特定技能外国人の在留管理だけでなく受け入れ企業が計画に沿った業務を行っていない場合の勧告や指導をおこないます。悪質な場合には受け入れ停止措置やビザの発給を停止するといった対応も可能なため、出入国在留管理庁に対しては最もしっかりとした対応が求められます。

技能実習生の受け入れに必要な団体を理解し、必要な手続きを進めていこう

技能実習生を受け入れるためには、監理団体との連携を基本にしつつ、募集から採用、現地での教育やビザ取得の段階までは送り出し機関と、入国してからは出入国在留管理庁や登録支援機関との関わりが増えます。

外国人を労働力として受け入れるためには様々な手続きが必要ですが、国内の人材不足は深刻化しており、これからもますます技能実習生の制度を活用する企業は増えるでしょう。

技能実習生の受け入れには様々な団体との関わりや手続きが必要ですが、必要な手続きを果たすことで技能実習生を受け入れ、人手不足が解消できるようになります。

技能実習生を受け入れる場合には、監理団体や送り出し機関の選定を適切におこない、しっかりと法令に従って受け入れの手続きを進めていきましょう。