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日本に在留する外国人労働者は1,724,328人(2020年10月末現在)となり、過去最高値を更新しました。中でも外国人技能実習生は402,356人(同上)と年々増加傾向にあり、2017年には中国を抜き、ベトナムが最大の技能実習生送り出し国となっています。
日本企業が外国人技能実習生を雇用する場合、企業が直接外国人を雇用する方式(企業単独型)と企業が監理団体を通じて外国人を雇用する方式(団体監理型)を選ぶ必要があります。このコラムでは、「団体監理型」の受け入れ方式を中心に、監理団体を選ぶ際に気を付けるべきポイントをご紹介します。
参照 「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和2年10月末現在)
外国人技能実習制度は、日本で培われた技能、技術、または知識を移転し、開発途上地域等の経済発展を担う人づくりを目的として、1993年に制度化されました。
技能実習法第3条第2項に「技能実習は、労働力の需給の調整の手段として行われてはならない」と記されているとおり、当制度は労働力不足の解消を目的としておらず、国際協力の一つと位置づけられています。
参照 外国人技能実習制度とは | 外国人技能実習制度の円滑な運営を支援
昨今報道にもあるとおり、来日するために莫大な借金を抱えた技能実習生が、日本で就労しても借金を返済できなかったり、ブローカーの誘いに乗ってさらに借金がかさんでしまったりすることで、失踪してしまう事件が多発しています。技能実習生が、来日前に莫大な借金を抱える理由として、技能実習生が来日する際に契約する現地の送出機関、そして、その送出機関と契約を結んでいる日本の監理団体の悪質な関係性をあげることができます。
日本企業が技能実習生を雇用する場合、技能実習生が莫大な借金を抱えているという実態に疑問を持ち、適正でクリアなルートを確保して、技能実習生を雇用することが重要です。それでは、実際に技能実習生をどのように受け入れるのか、流れを確認していきましょう。
日本企業が技能実習生を受け入れるには、「企業単独型」と「団体監理型」の2種類の受け入れ方法があります。「企業単独型」は日本企業が海外の支店や関連企業等から職員を直接雇用し、技能実習を実施する方法であり、海外とのコネクションがない企業はこの方法を選択できません。2020年末では、「企業単独型」の受け入れが1.7%、「団体監理型」の受け入れが98.2%となり、「団体監理型」で受け入れる企業が圧倒的多数を占めています。ここでは、「団体監理型」での受け入れ方法をみていきましょう。
参照 法務省 外国人技能実習制度について
まず、関係者を整理しましょう。
・技能実習生:技能実習のために来日する外国人のこと
・実習実施者:技能実習生と雇用契約を結び、実習を実施する日本企業のこと
・送出機関:外国人の送り出し国にあり、現地で技能実習生を募集・推薦したり、事前教育を行ったりする機関のこと
・監理団体:日本の事業協同組合や商工会等の営利を目的としない団体であり、送出機関から技能実習生を受け入れ、技能実習の監督・指導(実習監理)及び実習実施者と技能実習生の雇用関係成立の斡旋を行う団体のこと
・外国人技能実習機構:法務省及び厚生労働省が所管する認可法人であり、技能実習制度の適正な実施を監督する機関のこと
技能実習生を受け入れるには、以下のプロセスを辿ります。それぞれ確認していきましょう。
まず、実習実施者は希望人材の職種や国籍、人数、実習開始時期を検討しましょう。技能実習生が従事する業務は7カテゴリ(農業関係、漁業関係、建設関係、食品製造関係、繊維・衣服関係、機械・金属関係、その他)に分けられていますので、この中から適切なものを選択します。
参照 技能実習制度の職種・作業について | 外国人技能実習制度
次に、実習実施者は監理団体を探す必要があります。監理団体がどの地域にあり、その監理団体がどのような実習生の国籍、実習生の職種・実習内容を対象にしているか確認しましょう。
区分 | 監理できる技能実習 | 許可の有効 |
---|---|---|
特定監理事業 | 技能実習1号、技能実習2号 | 3年または |
一般監理事業(監理業務を遂行するにあたって高い能力を有していると認められた「優良」団体) | 技能実習1号、技能実習2号、技能実習3号 | 5年または7年 |
参照 監理団体の検索(Search for Japanese Supervising Organizations)
実習実施者は、監理団体を選定した後、希望人材について監理団体に相談します。監理団体を通じて、現地に求人を出し、その求人を元に、現地の送出機関が技能実習生候補者を選抜します。実習実施者は、現地もしくはオンラインで技能実習生候補者と面接し、内定を出します。その後、監理団体を通じて、実習実施者と技能実習生が雇用契約を締結します。
実習実施者が技能実習生に内定を出した後、技能実習生の実習内容や目標、実習実施者の指導体制についての計画を示した「技能実習計画」を策定します。技能実習計画を策定したら、監理団体の指導を受け、監理団体を通じて外国人技能実習機構に当計画を提出し、認定を受けます。
技能実習計画の認定を受けたら、技能実習生の在留資格の申請を行いましょう。申請が許可されると、在留資格認定証明書が発行されますので、それを採用する技能実習生に送付し、在外公館(現地の日本国大使館・領事館)で査証(ビザ)を申請してもらいます。
参照 外国人技能実習機構 申請書様式 厚生労働省 技能実習計画審査基準・技能実習実施計画書モデル例・技能評価試験試験基準
技能実習生は入国後、監理団体による講習を受講する必要があります。1か月の講習の間、技能実習生は日本語や日本での生活のルールなどを学びます。
1か月の講習終了後、実習実施者の元、就労を開始します。目安として、技能実習生の内定から、半年ほどで技能実習生が入国し、1か月間の研修を経て就労を開始すると覚えておくとよいでしょう。
「団体監理型」で技能実習生を受け入れる場合、実習実施者はまず監理団体を選ぶことになります。技能実習生の受け入れから技能実習終了まで、長く付き合い続ける監理団体をどの基準で選ぶべきか、ポイントをご紹介します。
高いレベルの監理業務ができると認められた優良な監理団体は「一般監理事業」を行えます。「一般監理事業」の団体は技能実習第3号を扱える、受け入れ人数枠が倍になるメリットもあります。故に、特段の理由がない限り「一般監理事業」を行える監理団体を選択するとよいでしょう。
※人数枠の増員、技能実習3号は受け入れ企業側も優良認定される必要があります。
監理団体に対して、どのように監理業務を遂行しているのか、詳細に確認しましょう。監理団体が以下の役割をどれほど遂行してくれるのか、念入りに確認することで、誠実な監理団体かどうか判断できるでしょう。技能実習生からの相談に対して、通訳を通じて技能実習生と適切なコミュニケーションをとっているか、確認することも重要です。
3カ月に1回以上、実習実施者が適正に実習を遂行しているか監査を行う。
監査とは別に、1か月に1回以上、実習実施者が適正に実習を遂行しているか訪問して指導する。
送出機関と契約を締結し、求人票の作成や技能実習生候補者との面接の調整を行う。
採用する技能実習生が決定した後、実習実施者は技能実習計画を作成します。技能実習生の技能習得だけでなく、宿泊施設など技能実習生の生活環境に関しても指導する。
技能実習生第1号の技能実習生が入国した後受講する規定の講習を行う。
技能実習生からの相談に適切に応じ、助言・指導その他の必要な措置を実施する。
参照 技能実習制度 運用要領 |厚生労働省 外国人技能実習制度について 外国人技能実習制度とは | 外国人技能実習制度の円滑な運営を支援
監理団体の中には、技能実習生をサポートする現地の送出機関に接待を強要したり、営業力の弱い送出機関に対してキックバックを要求したりする団体もあるため注意が必要です。
また、送出機関が、技能実習生候補者から法外な手数料の徴収、偽りの求人での人材募集、低レベルな事前教育を行っていることもあります。監理団体と送出機関がグルになっているケースもあるため、実習実施者は信頼できる監理団体、送出機関を見つけることが何よりも大切です。
技能実習生は送出機関を通じて来日し、監理団体を通じて実習実施者の元で技能実習を行います。昨今、技能実習生が送出機関に対して不当な費用を支払い、膨大な借金を抱えたまま来日して、日本滞在中に借金を返すことができずに失踪するという事件が多発しており、そのような事件を防ぐためにも、実習実施者は適切に監理団体、送出機関を選ぶ必要があります。
Leverages Global Supportは現地の送出機関との関係をクリアにし、監理団体として監査や実習実施者へのサポートを責任を持って果たすことで、技能実習生として来日した外国人が長期的に安全安心のもと日本で就労できる体制を作り出し、実習実施者、監理団体、送出機関それぞれが満足できる健康的な制度の運用を実現します。
技能実習生の受け入れを検討している企業様の中で、「技能実習制度の相場を知りたい」「監理団体を適切に選びたい」「もっと外国人雇用について詳しく知りたい」という方は、弊社にて無料で相談を承っております。お電話もしくはWEBサイトより、お問い合わせくださいませ。