特別永住者と帰化との違いは?外国人を雇用する企業に向けて解説

2022年05月18日
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濵川恭一 (監修)
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net

特別永住者と帰化との違いが明確に分からない企業の担当者もいるでしょう。特別永住者とは、元々日本国籍を持っていた外国人である「平和条約国籍離脱者」およびその子孫に対して付与される在留資格です。一方、帰化とは外国人が日本国籍を取得することを指します。このコラムでは、特別永住者と帰化との違いを詳しく解説。内容を参考にして、外国人の採用や雇用管理に活かしましょう。

目次

  1. 特別永住者とは
  2. 帰化とはどのような状態?
  3. 特別永住者と帰化との違い
  4. 帰化許可申請をする特別永住者が多いのはなぜ?
  5. 特別永住者が帰化許可申請をする流れ
  6. まとめ

特別永住者とは

特別永住者とは、入管特例法に基づいて創設された在留資格です。また、この在留資格を持つ外国人も特別永住者と呼ばれます。特別永住者は、日本と周辺諸国が辿ってきた戦争や植民地政策が大きく関係する在留資格です。そのため、類似する名称の在留資格である「永住者」とは異なる点が多くあります。

入管特例法に基づく在留資格

特別永住者は「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法」、いわゆる「入管特例法」のもと作られた在留資格です。また、この在留資格を持つ外国人も特別永住者と表します。特別永住者として認められるのは、平和条約国籍離脱者およびその子孫です。平和条約国籍離脱者について説明するには、日本が植民地政策を行っていた時代までさかのぼる必要があります。

平和的国籍離脱者とは

日本は、台湾や朝鮮半島を植民地としていた時代がありました。植民地時代は台湾や朝鮮半島、中国の東北部に住んでいた一部の人々も日本国籍を持っていたのです。なかには、日本に渡った人も多くいました。
1945年、日本は第二次世界大戦に敗戦します。日本の植民地であった台湾や朝鮮半島は、連合諸国に分割されたのち独立し、国民は日本国籍を失いました。これらの人々を平和条約国籍離脱者といいます。つまり、平和条約国籍離脱者は元々日本人であった人々なのです。

在留資格「特別永住者」ができた背景

平和条約国籍離脱者のなかには、日本国籍を失ったあとも日本に住み続ける人々がいました。国籍を失ったとはいえ、すでに日本で生活の基盤ができており、母国に帰れなかった人が多くいたのでしょう。また、1950年に朝鮮戦争が始まり、帰還はより難しくなりました。このような、国籍を失ったあとも日本に在留し続けていた中国や韓国、朝鮮人のために創設された在留資格が「特別永住者」です。

永住者との違い

特別永住者と永住者の大きな違いは、根拠法令です。特別永住者の在留資格は「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法」に基づいています。一方、永住者の根拠法令は、ほかの在留資格と同じ「出入国管理及び難民認定法」です。
対象の外国人にも違いがあります。永住者の在留資格を得られるのは「永住許可申請」を行い、許可された外国人です。一方、特別永住者の在留資格を得られるのは、平和条約国籍離脱者およびその子孫と決まっています。在日韓国人や朝鮮人、中国人に限定されており、希望して得られる在留資格ではありません。

特別永住者には特例措置が設けられている

以前日本国籍を所有していた人物(もしくはその子孫)という歴史的背景から、特別永住者には特例措置が設けられています。たとえば、外国人が再入国許可なしで海外に出国できる、「みなし再入国許可」の有効期間は本来1年間です。しかし、特別永住者のみなし再入国許可の有効期間は、2年間と延長されています。また、外国人の身分を証明する在留カードは常時携帯することが義務ですが、特別永住者に交付される特別永住者証明書は、常に持ち歩く義務がありません。

特別永住者とは?永住者とは違うの?外国人を雇用する企業に向けて解説」や「特別永住者とはどのような外国人か企業向けに解説!雇用上の注意点も紹介」のコラムでは、特別永住者の概要のほかに特別永住者を雇用する際の注意点も取り上げています。ぜひ、合わせてご一読ください。

参照元
e-Gov法令検索「本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法

帰化とはどのような状態?

帰化とは、特定の国籍の取得を求める外国人の申請に対して、その国の政府が許可し国籍を付与した状態のことです。外国人は帰化すると「海外出身の日本人」になります。後述する特別永住者と帰化との違いを正しく理解するためにも、まず帰化とは何なのかを知っておきましょう。

外国人が日本国籍を取得すること

帰化とは、他国の国籍を持つ外国人が日本の国籍を取得することです。外国人は法務局で帰化許可申請を行い、法務大臣から許可されれば日本国籍を得られます。法務省民事局の資料によると、2021年には8,167人の外国人が日本に帰化しました。累計の帰化許可者数は、2021年までに58万5488人います。

帰化するとさまざまなメリットがある

帰化により日本国籍を得ると、さまざまなメリットがあります。たとえば、ほとんどの外国人は住宅ローンやマイカーローンを日本人のようには組めません。多くの金融機関は、ローンの申し込み条件を「日本人もしくは永住者の在留資格を持つ外国人」としているためです。ほかの在留資格を持つ外国人は、住宅や自動車を購入する際に多額の現金を用意しなくてなりません。しかし、帰化をして日本国籍を得れば、日本人として扱われるためローンが組みやすくなります。そのほかにも、「選挙に参加できる」「戸籍を作れる」「ビザなしで観光旅行できる海外の国が増える」などのメリットが得られるのです。

母国の国籍は放棄しなければならない

国籍法第5条では帰化の要件の一つとして「国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によつてその国籍を失うべきこと」と定めています。そのため、外国人が日本に帰化するには、今まで有していた国籍を放棄しなくてはなりません。なお、母国の法律や制度によって自らの意思で国籍を離脱できない場合は、例外として帰化が認められます。

帰化についての情報は「帰化とは一体何か?永住者ビザとの違いや申請方法を解説」や「帰化とは?外国人を雇用する企業にわかりやすく解説!条件や申請方法も紹介」のコラムにより詳しくまとめています。ぜひ、ご覧ください。

参照元
法務省民事局「帰化許可申請者数、帰化許可者数及び帰化不許可者数の推移」
e-Gov法令検索「国籍法(昭和二十五年法律第百四十七号)

特別永住者と帰化との違い

ここでは、特別永住者と帰化者の違いを詳しく解説します。特別永住者や帰化者を雇用している企業は、参考にしてください。

国籍

特別永住者は在留資格「特別永住者」のもと、日本に在留している外国人です。元々は日本国籍を有していた人々(もしくはその子孫)とはいえ、現在の国籍は中国や韓国・朝鮮などにあります。一方、帰化者の国籍は日本です。

パスポート

特別永住者は、国籍のある国が発行したパスポートを持つことになります。パスポートの作成や更新をする際は、日本にある母国の総領事館で手続きしなければなりません。
帰化者は帰化が許可され官報で告示された時点で、元々持っていた国のパスポートを使用できなくなります。旅行や仕事などで出国する際は、日本のパスポートの取得が必要です。なお、帰化後に母国に入国する際は、自国民ではなく外国人扱いになります。そのため、国によっては、査証(ビザ)の発効が必要になる場合もあるでしょう。

戸籍

戸籍とは、日本国民の身分を家族単位で証明する文書です。そのため、外国人である特別永住者は自らの戸籍を持てません。戸籍がないため、日本人と結婚した場合は入籍ではなく、配偶者の戸籍にある身分事項欄に氏名や国籍などの情報が載るのみになります。
帰化者は、帰化の告知後1ヶ月以内に「帰化届」を提出すれば戸籍の作成が可能です。帰化届は、現在の居住地もしくは自らで本籍地と決めた場所を管轄する市町村役場に提出します。なお、日本人と結婚している外国人が帰化し、その帰化した人が筆頭者となる戸籍を新たに作る場合、日本人の配偶者や実子については、「入籍届」を提出する必要があります。結婚する時に提出する「婚姻届」とは異なりますので、注意が必要です。

参政権

日本における参政権は国民特有の権利です。そのため、外国人には政治に参加する権利がありません。日本に長く住んでいる特別永住者も同様です。なお、外国人住民投票条例を施行している一部自治体での投票は、この限りではありません。
対して、帰化者には選挙に投票する権利(選挙権)や公職の候補者になる権利(被選挙権)などが与えられます。

手続きする行政機関

特別永住者の各種手続きは在留資格に関することなので、住居地を管轄する地方出入国在留管理局にて行います。一方、帰化の手続きは地方法務局で申請を行います。帰化許可申請は国籍に関係するので、地方出入国在留管理局の管轄ではありません。

帰化許可申請をする特別永住者が多いのはなぜ?

特別永住者の在留資格を持つ外国人は減少傾向にあります。理由は、若い世代の特別永住者が帰化をするケースが増えているためです。ここでは、特別永住者が帰化をする理由を紹介します。

生活の拠点が日本にあるため

特別永住者の多くが帰化をするのは、生活の拠点が完全に日本に移っているためです。現在の特別永住者の多くは、平和条約国籍離脱者の子どもや孫、ひ孫に当たる世代になっています。日本で生まれ育ち、母国との繋がりがほとんどない人も少なくありません。母国に帰国する予定がなく生涯日本での生活を望む場合は、帰化をして日本国籍を取得したほうが生活しやすくなります。

日本人として生活している人が多いため

特別永住者のなかには、周囲に外国籍であることを公表せず日本人として生活をしている人々がいます。理由は、外国籍であることが原因でヘイトスピーチの被害にあったり差別されたりする可能性があるためです。まだ差別が根強かった時代には、「結婚を反対される」「内定を取り消される」などの差別に遭った人もいました。現代でも、まだ差別に遭う可能性がゼロとはいえない状況です。そのため、日本人として生活している特別永住者には、結婚前や就職前など節目のタイミングで帰化する人が多くいます。

特別永住者は帰化の要件が一部緩和されるため

特別永住者はほかの外国人と比べると、帰化の要件が一部緩和されています。たとえば、外国人は5年以上日本に継続して住んでいないと帰化が許可されません。しかし、特別永住者は日本で生まれ育っていることから、日本に住所もしくは居所を持っていれば良いとされています。また、帰化同意書や学歴を証明する書類の提出も不要です。勤務先に自分の国籍を伝えていない特別永住者の場合、在勤証明書の提出についても配慮されるケースが多いです。

特別永住者が帰化許可申請をする流れ

ここでは、特別永住者が帰化許可申請をする流れを解説します。ほかの外国人とプロセスは変わりませんが、特別永住者は帰化許可申請に掛かる審査期間が多少短縮されるようです。

  1. 住居地を管轄する法務局に連絡をし、相談予約をする
  2. 法務局の担当者に帰化を希望する旨を相談し、書類リストを受け取る
  3. リストをもとに、書類を収集、作成する
  4. 法務局に書類を提出する
  5. 法務局から連絡が来たら出頭し、面談を行う
  6. 審査結果を待つ
  7. 官報にて帰化の告示を確認する
  8. 連絡が来たら法務局に出頭し、「帰化届」や「帰化者の身分証明書」を受け取る
  9. 戸籍の作成や国籍喪失の届け出を行う

帰化の結果は法務局の連絡より先に官報に掲載されます。なお、帰化の効力が発生するのは、官報に住所や名前、生年月日が掲載された日からです。

まとめ

特別永住者と帰化との違いは、日本国籍の有無です。外国人は帰化すると日本国籍の取得に伴いさまざまなメリットを得られます。
特別永住者は帰化時に膨大な数の書類を用意しなくてはなりません。そのため、行政書士にサポートを受ける人も多くいます。もし、企業と繋がりのある行政書士がいる場合は、紹介してあげると良いでしょう。

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