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外国人を雇用する企業のなかには、定住者ビザの概要が分からないという人もいるでしょう。定住者ビザは、定められている条件を満たす外国人のほか、法務大臣が個別に許可した外国人にも付与されます。特に、配偶者ビザから定住者ビザに変更を希望する外国人が多いようです。このコラムでは、定住者ビザの概要や申請に必要な書類を解説します。内容を参考にして、雇用する外国人の定住者ビザ取得をサポートしましょう。
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目次
定住者ビザとは、在留資格「定住者」を指します。本来、ビザとは入国査証を指す言葉です。しかし、日本には便宜上、在留資格をビザと表現する人も多くいます。そのため、このコラムでも定住者ビザとの表現を用いました。ここでは、定住者ビザの概要を解説します。
「定住者」とは、法務大臣が外国人個々の事情を考慮して付与する在留資格です。ほかの在留資格のように条件がはっきり決まっているわけではなく、さまざまな事情を持つ外国人に付与されます。
定住者ビザの在留期間は、5年、3年、1年、6ヶ月です。また、法務大臣が状況により、5年を超えない範囲で個別に指定する場合もあります。なお、定住者ビザには就労制限がありません。そのため、どのような業種の企業でも雇用できます。
定住者ビザを付与される外国人(定住者)は、「告知定住」「告示外定住」の2パターンに分けられます。
法務大臣の「定住者告示」により、あらかじめ定住者ビザの対象と定められている外国人は、告知定住に当てはまります。たとえば、国際連合難民高等弁務官事務所(UNHCR)が日本に保護を推薦する外国人や日系3世、「日本人の配偶者等」や「定住者」ビザを持つ外国人の配偶者などです。そのほかに、日本人や永住者、特別永住者などに養育される6歳未満の養子にも定住者ビザが付与されます。
法務大臣が個別に定住者ビザを許可するケースを告示外定住といいます。告示外定住が許可される外国人の例は以下のとおりです。
このなかでも、離婚や死別により配偶者ビザを失う外国人が定住者ビザを希望する事例は、非常に多いようです。
定住者ビザと名称が似ているビザに永住者ビザがあります。定住者ビザと永住者ビザの違いは、在留期限の有無です。定住者ビザは、在留期限が来たら更新をする必要があります。一方、永住者ビザを取得した外国人は、日本に無期限での在留が可能です。個々の事情を考慮して認められる定住者ビザとは違い、永住者ビザは日本での居住年数や収入、素行などの厳しい条件をすべて満たさないと許可されません。
「定住者と永住者の違いは?在留資格の特徴や取得要件、手続きの相違点も解説」のコラムでも詳しく解説しています。ぜひ併せてご一読ください。
参照元 出入国在留管理庁「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の規定に基づき同法別表第二の定住者の項の下欄に掲げる地位を定める件(平成2年法務省告示第132号)」
外国人が定住者ビザを取得する条件は、どのケースに当てはまるかで異なるのが特徴です。たとえば、日系2世や3世の定住者告示(3号・4号)には、「素行が善良であるもの」と定められています。そのため、日系2世や3世であっても国内外で法律を犯し、懲役や禁固刑などに処されてから日にちの経っていない場合は定住者ビザは許可されません。
独立して生計を立てられることも定住者ビザを得る条件です。生活保護や公的支援を受けなくてはならないような状況だと、定住者ビザの取得は難しいでしょう。配偶者や扶養されるものとして定住者ビザを希望する場合は、扶養者の収入や資産から独立生計要件が判断されます。
「定住者ビザとは?取得の条件や永住者との違いを外国人を雇用する企業に解説」のコラムもぜひ参考にしてみて下さい。
定住者ビザの申請に必要な書類は、人によって大きく異なります。なぜなら、定住者ビザに該当する事例が多岐にわたるためです。ここでは、離婚や死別により配偶者ビザを失い定住者ビザへの変更を希望する外国人を例に、必要な書類を解説します。
日本人配偶者との間に子どもがいる場合
外国人が配偶者ビザから定住者ビザに変更するには、なぜ配偶者との離婚・死別後も日本に残りたいのかを明確にする必要があります。そのため、申請理由書に日本に残る必要性や生活状況を詳しく記載し、提出するのです。
ここでは、日本人と離婚または死別した外国人が、配偶者ビザから定住者ビザに変更する流れを紹介します。
在留資格変更許可申請に必要な書類を用意します。「定住者ビザの申請に必要な書類」の項目で説明した書類のほかに、状況に応じて追加書類を求められることもあるようです。なお、職業を証明する書類に在職証明書があります。発行するのは申請人である外国人を雇用する企業です。発行に時間が掛かると在留資格の申請に影響が出る恐れもあるため、依頼があったら速やかに発行するようにしましょう。
用意した書類を提出するのは、外国人の住居地を管轄する地方出入国在留管理局です。なお、配偶者ビザから定住者ビザに変更する場合、離婚や死別から日を置いての申請は推奨されていません。配偶者との婚姻が解消された時点で、配偶者ビザの資格は喪失しているものとみなされます。配偶者ビザの在留期限が残っていたとしても、資格を喪失した状態で過ごしていては定住者ビザに変更する際の審査に悪影響を及ぼすでしょう。外国人は配偶者との婚姻が解消されたら、すみやかに在留資格変更許可申請を行うのが賢明です。
出入国在留管理庁は、在留資格の取得や更新、変更に掛かる際の処理時間を公表しています。2021年10月〜12月分の公表によると、ほかのビザから定住者ビザに変更するのに掛かる審査日数は20.5日程度でした。時期や混雑状況によって異なりますが、約1ヶ月程度は見ておくと良いでしょう。
審査の結果が出たら、地方出入国在留管理局からはがきが届きます。はがきには指定の日時が書いてあるので、それまでに地方出入国在留管理局に出頭しましょう。なお、はがきには明確に「許可」「不許可」とは書かれていません。結果は地方出入国在留管理局で聞くことになります。ただし、はがきに在留資格の更新に必要な収入印紙4,000円分を持参するよう記載があった場合は、許可されていると判断しても問題ありません。地方出入国在留管理局へ出頭後、新しい在留カードを受け取れば、在留資格変更許可申請の完了です。
参照元 出入国在留管理庁「在留審査処理期間」
定住者ビザの申請は不許可になることがあります。書類の不足や不備が原因の場合は、再提出により申請が許可される可能性もあるでしょう。しかし、定住者ビザへの該当性がないと判断された際は、帰国もしくはほかの在留資格への変更を検討しなくてはなりません。出入国在留管理庁が公表する、配偶者ビザから定住者ビザへの変更が認められなかった事例は以下のとおりです。
「日本在住歴が長い」「安定した収入がある」「実子の親権、もしくは監護権がある」などの条件を満たしていると、定住者ビザの許可が得やすい傾向にあります。
参照元 出入国在留管理庁「「日本人の配偶者等」又は「永住者の配偶者等」から「定住者」への在留資格変更許可が認められた事例及び認められなかった事例について」
定住者ビザは、法務大臣が特別な理由を考慮し認める在留資格を指します。定住者ビザを希望する外国人で特に多いのは、離婚や死別を理由に配偶者ビザから変更するケースです。雇用している外国人が定住者ビザへの変更を希望する場合は、身元保証人を引き受けたり申請理由書の添削を行ったりといったサポートを行いましょう。