キャリアアップ助成金の正社員化コースは外国人も対象?企業が受給する条件とは

2022年05月20日
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濵川恭一 (監修)
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net

外国人労働者もキャリアアップ助成金(正社員化コース)の対象なのか、知りたい企業もあるでしょう。キャリアアップ助成金の正社員化コースは、継続的な就労を目的としています。そのため、帰国を前提としている在留資格を持つ外国人は対象外です。それ以外の外国人労働者は、要件を満たせば日本労働者と同じように支給対象になります。このコラムを、キャリアアップ助成金を申請する際の参考にしてください。

目次

  1. キャリアアップ助成金の正社員化コースとは
  2. キャリアアアップ助成金(正社員化コース)の受給要件
  3. キャリアアップ助成金(正社員化コース)の支給金額
  4. キャリアアップ助成金受給までのプロセス
  5. キャリアアップ助成金を申請する際に気を付けること
  6. まとめ

キャリアアップ助成金の正社員化コースとは

助成金とは、特定の取り組みをした企業や団体に国から支給される資金で、返済の必要がありません。助成金の一種であるキャリアアップ助成金は、非正規労働者のキャリアアップを促進させる取り組みをした企業に支給されます。キャリアアップ助成金には複数のコースがあり、なかでも「正社員化コース」に関心のある企業が多いようです。ここでは、キャリアアップ助成金の正社員化コースについて詳しく解説します。

非正規労働者を正社員に転換した企業に支給される

キャリアアップ助成金の正社員化コースは、パートやアルバイト、契約社員などを正社員に転換した企業に支給されます。非正規労働者を正社員に転換後、継続して6ヶ月賃金を支払うことが条件です。正社員化コースはほかのコースと比べ受給要件が緩やかなので、申請を検討する企業も多くあります。

外国人も対象になる

キャリアアップ助成金の正社員化コースは、条件を満たせば外国人労働者の正社員転換であっても支給されます。ただし、帰国を前提とした在留資格を持つ外国人は対象になりません。具体的には「技能実習」や「特定技能1号」の在留資格を持つ外国人です。また、在留資格「特定技能」で在留しているEPA人材(看護師・介護福祉士)の場合、介護福祉士の国家試験に合格する前の段階では在留期間の上限があるため、対象外とされています。

キャリアアップ助成金を受け取ることは企業の発展に繋がる

キャリアアップ助成金(正社員化コース)を受給することで、企業の成長や発展に繋がるでしょう。非正規社員の正社員化は一定のコストやリスクが伴うため、なかなか踏み切れない企業も少なくありません。そこで、キャリアアップ助成金を受け取り、コスト面での問題が解決されれば正社員転換を進められる企業も出てきます。企業は正社員を増やすことで、人材が定着し技術が補填できるといったメリットを得られるでしょう。また、支給されたキャリアアップ助成金は使用目的が限定されていないため、人材育成や社内環境の整備に活用することで、さらなる企業の発展に繋げられます。

キャリアアップ助成金の制度改正について

キャリアアップ助成金の正社員化コースは、2022年4月1日から制度改正があります。従来の制度からの変更点は以下のとおりです。

変更される項目

変更前(2022年3月31日まで)

変更後(2022年4月1日から)

支給の対象者

・有期雇用から正規雇用

・有期雇用から無期雇用

・無期雇用から正規雇用

・有期雇用から正規雇用

・無期雇用から正規雇用

(有期雇用から無期雇用転換への助成を廃止)

正社員の定義

同一の事業所内の正社員に適用される就業規則が適用されている労働者

同一の事業所内の正社員に適用される就業規則が適用されている労働者

ただし、「賞与または退職金の制度」かつ「昇給」が適用されている者に限る

非正規雇用労働者の定義

6ヶ月以上雇用している有期または無期雇用労働者

賃金の額または計算方法が「正社員と異なる雇用区分の就業規則等」の適用を6ヶ月

以上受けて雇用している有期または無期雇用労働者

キャリアアップ助成金のルールは、毎年変更があります。申請する際は最新の情報をチェックしましょう。外国人雇用で利用できる助成金については「外国人雇用で利用できる助成金の種類は?補助金との違いも解説」のコラムも参考にしてください。

参照元
厚生労働省「キャリアアップ助成金

キャリアアアップ助成金(正社員化コース)の受給要件

キャリアアップ助成金(正社員化コース)を受給する企業は、定められた要件をすべて満たさなくてはなりません。ここでは、正社員に転換させる従業員の要件および企業の要件を解説します。

労働者の要件

キャリアアップ助成金の対象になる非正規労働者の定義は以下のとおりです。

  • 有期労働契約の期間が6ヶ月以上3年以下の有期雇用労働者
  • 無期雇用労働の期間が6ヶ月以上の無期雇用労働者
  • 6ヶ月以上の期間継続して派遣先の事業所その他派遣就業場所で業務に従事している、有期派遣労働者または無期派遣労働者(派遣元事業主に有期雇用労働者として雇用される期間3年以下の者)
  • 企業が実施した有期実習型訓練を受講し、修了した有期雇用労働者
  • 正社員求人に応募し、正規雇用になることを約束して入社している労働者ではないこと

このほかに、雇用される企業と密接な関係にある人(親族や関係会社の元社員など)を正社員に転換しても、キャリアアップ助成金は支給されないという決まりがあります。

企業の要件

キャリアアップ助成金(正社員化コース)を受給できる企業の要件は、「有期・無期雇用労働者から正規雇用に転換するか」「派遣労働者を正規雇用に転換するか」で分かれます。ここでは、有期・無期雇用労働者から正規雇用に転換する場合に焦点を当てて解説するので、受給を検討する企業は参考にしてください。

  • 有期および無期雇用労働者を正社員に転換する制度を、就業規則や労働協約などに規定している事業主
  • 有期および無期雇用労働者を正社員に転換する制度に基づき、正社員に転換した事業主
  • 正社員に転換した元非正規雇用労働者を、6ヶ月以上雇用し賃金を支払った事業主
  • 多様な正社員への転換の場合にあっては、非正規雇用労働者を正社員に転換した日において、対象労働者以外に正社員(多様な正社員を除く)を雇用していた事業主
  • 支給申請日において転換制度を継続して運用している事業主
  • 転換後の6ヶ月間の賃金を、転換前の6ヶ月間の賃金と比較して3%以上増額させている事業主
  • 非正規雇用労働者を正社員転換した前日から起算して6ヶ月前の日から1年を経過する日までのあいだに、雇用保険被保険者を解雇や事業主都合での離職をさせている事業主でないこと
  • 非正規雇用労働者を正社員転換した前日から起算して6ヶ月前の日から1年を経過する日までのあいだに、特定受給資格者離職者の数を、当該事業所における当該転換を行った日における雇用保険被保険者数で除した割合が6%を超えている事業主でないこと
  • 正社員に転換させる制度を、対象の労働者本人の同意で運用している事業主
  • 正社員に転換した日以降の期間について、当該者を雇用保険被保険者として適用させている事業主
  • 正社員に転換以降、社会保険の適用要件を満たす労働条件で雇用している事業主
  • 母子家庭の母等または父子家庭の父の転換に係る支給額の適用を受ける場合にあっては、当該転換日において母子家庭の母等または父子家庭の父の有期雇用労働者等を転換させた事業主
  • 勤務地限定正社員制度、職務限定正社員制度または短時間正社員制度に係る加算の適用を受ける場合にあっては、キャリアアップ計画書に記載されたキャリアアップ期間中に、勤務地限定正社員制度、職務限定正社員制度または短時間正社員制度を新たに規定し、有期雇用労働者等を当該雇用区分に転換又は直接雇用した事業主
  • 生産要件を満たした場合の支給額の適用を受ける場合にあっては、当該生産性要件を満たした事業主

キャリアアップ助成金の加算を受ける場合は適用要件が増えます。自社が適用要件を満たしているか確認してから申請を進めましょう。

参照元
厚生労働省「受給要領

キャリアアップ助成金(正社員化コース)の支給金額

キャリアアップ助成金の正社員化コースは、支給額が中小企業と大企業で異なる特徴があります。具体的な支給額を以下の表にまとめました。

 

有期雇用からの正社員転換

無期雇用からの正社員転換

中小企業事業主

57万円(生産性が向上された場合は72万円)

28万5000円(生産性が向上された場合は36万円)

大企業事業主

42万7500円(生産性が向上された場合は54万円)

21万3750円(生産性が向上された場合は27万円)

なお、「派遣社員を直接雇用した場合」「母子家庭や父子家庭の母や父を正社員転換した場合」には、助成金に加算があります。

参照元
厚生労働省「受給要領

キャリアアップ助成金受給までのプロセス

企業がキャリアアップ助成金(正社員化コース)を受給する流れを解説します。注意点として、キャリアアップ計画書は助成金の申請時ではなく、非正規労働者を正社員に転換する前に提出しなければなりません。

1.キャリアアップ計画書を提出する

キャリアアップ助成金の正社員化コースは、キャリアアップ計画のもと非正規労働者を正社員に転換した企業に支給される資金です。そのため、非正規労働者の雇用形態を変更する前に、企業の所在地を管轄するハローワークもしくは労働局にキャリアアップ計画書を提出します。キャリアアップ計画書は厚生労働省のWebサイトからダウンロードしましょう。
キャリアアップ計画提出にあたり、キャリアアップ管理者の設置も必須です。多くの場合、キャリアアップ管理者は事業主や役員が担当します。なお、支店や事業所がある場合はそれぞれで選任しなくてはなりません。そのため、支店長や所属長などに任せると良いでしょう。

2.就業規則の改訂を実施する

キャリアアップ助成金(正社員化コース)を受給するには、就業規則や労働協約などの内容に基づいて雇用形態を変える必要があります。そのため、就業規則に非正規労働者を正社員に転換する制度の規定をあらためて明記しましょう。特に、転換時の試験内容や転換時期の記載は必須です。
就業規則や労働協約などの改訂を終えたら、労働基準監督署に提出します。

3.正社員転換のための試験を行う

改訂した就業規則や労働協約の内容に沿って、正社員転換のための試験や面接を行います。あらかじめ定めた内容とは異なる手段で正社員への転換を行うと、キャリアアップ助成金は受け取れません。

4.従業員を正社員雇用に転換する

非正規労働者を正社員に転換したら、転換後の労働契約書や労働条件通知書を必ず交付しましょう。その後、6ヶ月間正社員として賃金を支払います。

5.6ヶ月後に支給申請をする

正社員に転換し、6ヶ月分の賃金を支払った日の翌日からキャリアアップ助成金(正社員化コース)の受給申請が行えます。なお、申請期限は6ヶ月目の給料の支払い完了から数えて2ヶ月以内です。申請忘れを防ぐために、6ヶ月目の給料を支払った直後に申請書を提出できるよう、準備を整えておくのをおすすめします。
キャリアアップ助成金の申請後、労働局の審査に半年近く掛かることも珍しくありません。審査後、支給決定書が届けば助成金の支給が決定されたことになります。都道府県や労働局によって異なりますが、キャリアアップ計画書の提出から助成金の支給まではおおよそ1年程度を想定しておきましょう。
助成金についてさらに理解を深めたい企業の方は「外国人雇用で利用できる助成金にはどのようなものがある?企業に向け解説」も参考にしてください。

キャリアアップ助成金を申請する際に気を付けること

労働基準法違反をしている企業は、キャリアアップ助成金を受け取れません。また、外国人労働者に対して詳細の説明を怠ると、後々トラブルに繋がる可能性があります。

労働基準法違反をしていないことを確認する

キャリアアップ助成金をはじめとした雇用に関する助成金は、労働基準法違反をしていたら受け取れないので注意しましょう。雇用に関する助成金を管轄しているのは厚生労働省です。労働基準法の遵守を呼びかけている厚生労働省が、違反をしている企業に対して助成金を支給することは考えられません。特に多いのが残業に関する違反です。キャリアアップ助成金の対象である労働者に残業代を適切に払っているかを確認し、違反のないようにしましょう。

外国人労働者への説明を怠らない

キャリアアップ助成金(正社員化コース)対象の労働者に対して、制度の概要をしっかり説明しましょう。労働者のなかには「正社員になったら誰が助成金を受け取れるの?」「よく分からないうちに書類にサインしてしまったけど大丈夫なのか」といった疑問を抱えている人がいるようです。日本語能力に課題のある外国人労働者はなおさらでしょう。このように労働者が混乱するのは、企業の説明不足が原因です。対象者の不安を解消し企業への信頼を高めるためにも、キャリアアップ助成金の説明は入念に行いましょう。外国人労働者の場合は、理解度を確かめながら行うことをおすすめします。

まとめ

非正規労働者の正社員雇用を検討している企業は、キャリアアップ助成金の正社員化コース申請を検討してみましょう。外国人の非正規労働者を雇用している場合でも、要件を満たせばキャリアアップ助成金の受給が可能です。キャリアアップ助成金を受給することで、コストを抑えながら人材の定着が望めるでしょう。

キャリア アップ助成金については「外国人雇用で利用できる助成金にはどのようなものがある?企業に向け解説」のコラムでも解説しています。併せてチェックしてみて下さい。

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