民泊とは民宿と何が違う?関連する法律やビジネスとしての将来性を解説

2021年08月10日
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濵川恭一 (監修)
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net

民泊が企業・個人事業主からの注目を集めています。民泊とは、民家をホテルや旅館のように宿泊施設として有料で貸し出す宿泊形態です。このコラムでは、民泊が注目される理由や民宿との違い、運営するうえで把握すべき法律を解説。また、自社で管理する民泊の経営・管理を外国人に任せられるかもまとめています。

民泊とは

民泊とは、住宅の一部、またはすべてを活用して宿泊サービスを提供することを指します。ただし、法令上の明確な定義がないため、無料・有料問わず単純に一般の民家に宿泊することを民泊と呼ぶこともあるようです。

民泊が注目される理由

インターネットの普及とインバウンド需要の増加により、Webサイトを介して個人宅や投資物件を貸し出し、収入を得るという民泊ビジネスが注目されています。民泊は特に日本を訪れる外国人旅行客から人気があります。2017年7-9月期に観光庁が行った訪日観光客の宿泊施設利用率の調査によると、民泊はホテル・旅館に次いで3番目に利用率が高い宿泊形態でした。コロナが収束すれば、民泊の人気はさらに高まっていくと見られているため、企業や個人事業主に新たなビジネスとして注目されています。

民泊と民宿の違い

民宿は旅館業法のもと、施設設備やスタッフの配置に条件が設けられています。行政の許可を得なければ、民宿としての運営はできません。オーナーが常駐し、宿泊者と交流したり料理をふるまったりすることもあります。一方、民泊は通年営業を行う場合は旅館業法の許可が必要となりますが、営業日数が180日以内の場合、住宅宿泊事業法における届出だけで済みます。オーナー不在でも問題ないため、食事提供や交流がない宿泊施設として、有料で住宅を貸し出すのが民泊の主流です。

民泊にまつわる法律

民泊を運営する際は、住宅事業法・旅館業法・国家戦略特別区域法という法律が関わります。法令違反があった場合、違法民泊として取り締まられることになるので注意しましょう。ここでは、それぞれの法律の内容や違いをまとめています。

住宅宿泊事業法

住宅宿泊事業法は2018年に施行された法律です。民泊新法とも呼ばれており、対象となる住宅の定義は以下のように定められています。

 

  • 台所、浴室、便所、洗面設備を有する

  • 現に人の生活の本拠として使用されている家屋である

  • 入居者の募集が行われている家屋である

  • 随時その所有者、賃借人又は転借人の居住の用に供されている家屋である

 

民泊として運用する住居は、営業時以外は別荘として使用されていたり人が継続して住んでいたりする必要があります。運用時点で空き家の場合は、将来的に所有者の居住が決まっていれば問題ありません。また、住宅宿泊事業法における住宅宿泊事業には「家主居住型」と「家主不在型」の2種類があり、家主居住型の場合は、家主が住宅宿泊管理業者となり民泊事業ができます。家主が2時間以上家を空ける場合には「家主不在型」とみなされるため、ほかの人に住宅宿泊管理業者を委託しなくてはなりません。

住宅宿泊事業法のもと営業する民泊は、営業時間が年間180日以内と定められているので、通年営業する場合は旅館業法に則って営業許可を得ましょう。ほかにも詳細な要件が民泊制度ポータルサイトに記載されているので、確認することをおすすめします。

旅館業法

旅館業法は、宿泊料を受けて人を宿泊させる際に関係する法律です。住宅宿泊事業法が制定されるまでは、旅館業法では営業許可が下りなかった民泊が無許可で宿泊事業を行い、問題となっていました。

旅館業法が定める宿泊形態は「ホテル」「旅館」「簡易宿所」「下宿」の4種類です。旅館業法では民泊は「簡易宿所」に該当しますが、満たすべき要件が多く営業許可を得るのは容易ではありません。しかし、許可を得られれば通年営業が可能になるため、住宅宿泊事業法で届け出を行って民泊を経営するよりも多くの収入を得られるでしょう。

国家戦略特区域法

国家戦略特区域法とは、日本経済を活性化するため、指定の区域における大幅な規制緩和を可能とする法律です。日本の法律上認められない、もしくは許可されにくい事業を行いたい場合、法改正を待つとなれば長い時間を要します。そこで、国家戦略特区を活用すれば法改正を行わなくとも事業運営が可能となるのです。国家戦略特区のなかで民泊に関する条例を制定した自治体に限り、「特区民泊」の営業が認められます。

特区民泊は、旅館業法で営業許可を受けるのと比べ、手続きの手間やコストが少ないのがメリットです。また、特区民泊と住宅宿泊事業法を比べると、年間の営業日数制限がなく利益が確保できる点がメリットといえます。しかし、特区民泊に関する条例を定めている自治体は少なく、東京都大田区や大阪府など限られた地域でしか営業できないのが現状です。

 

参照元

観光庁「訪日外国人旅行者の宿泊施設利用動向

minpaku「対象となる住宅

民泊の将来性と課題

インバウンド需要の増加により民泊ビジネスは将来性が高いとされる一方で、違法民泊の横行やルールの整備不足が課題となっています。民泊ビジネスへの参入を検討している企業・個人事業主は、安定した事業運営のためにも将来性だけでなく、課題点にも注目しましょう。

日本で民泊経営を行う外国人は増加傾向にある

民泊は外国人旅行客がメインターゲットとなるため、在留外国人が言語能力を活かせるビジネスとして経営を始めることもあるようです。外国人オーナーが在住している民宿は、同じ出身国の旅行客にとって文化的な違いや言語の壁がないため親しみやすく、過ごしやすい環境といえるでしょう。外国人観光客を集客したい場合、民泊として貸し出す住居のフロントに外国人労働者を採用するのは良い方法といえます。なお、外国人が民泊の経営・管理を行う場合は、在留資格「経営・管理」が必要です。取得する際に学歴や資格は問われません。ただし、現実的な事業計画や資本金などの要件を満たしていることを証明するため、書類を地方出入国在留管理局に提出する必要があります。

違法民泊に対する対応を迫られている

民泊ビジネスは空き家の有効活用方法として人気が高いものの、許可や届け出なく非合法で営業を行う「ヤミ民泊」が横行しているのも事実です。ヤミ民泊が増えれば正当な許可を得て営業している民泊もあおりを受け、事業停止を余儀なくされるでしょう。そのため、違法民泊を運営した場合最大100万円の罰金が科せられるよう、宿泊事業法が改正されました。民泊を運営する際に虚偽の届け出を行った場合は6ヶ月以下の懲役、もしくは100万円以下の罰金が科せられます。また、住宅宿泊管理業者へ委託を行わなければ50万円以下、住所の変更届出をしなければ30万円以下の罰金が科せられるので十分注意しましょう。

昨今の民泊の増加に合わせてヤミ民泊の摘発・取り締まりが強化されていますが、いまだ非合法な営業が横行している状況です。民泊の安全な経営・管理のためにも、違法民泊に対する対応が今後の課題とされてます。

早急なルールの整備が求められている

日本人と外国人では生育環境や常識が異なるため、価値観が一致せずトラブルに発展することもあります。特に問題視されているのは騒音・ごみの分別です。多くの民泊では自治体のルールに沿ったゴミ出しを行っているため、ごみを捨てる際に宿泊者に分別してもらうことが珍しくありません。しかし、細かい分別ルールのない国から訪れた外国人は、なぜ分別するのか理解できずトラブルになることもあります。また、複数人で宿泊している場合は会話が盛り上がって声量が大きくなりやすいため、騒音で注意されることもあるでしょう。民泊を営む際は法律関係だけでなく、マナーやルールも気にかけるのが大切です。外国人にも分かりやすいよう、多言語での張り紙を用意したり宿泊に関する契約に行動規定を盛り込んだりすると、トラブルになる可能性を下げられます。民泊の管理者として外国人を雇用し、宿泊者への説明をお願いするのも良い方法でしょう。

自治体によって民泊への対応は異なる

日本政府は経済活性化のため民泊ビジネスを推進していますが、自治体ごとに民泊に対する反応や対応は異なります。たとえば、長野県軽井沢町では町内全域で民泊を禁止する方針です。特区民泊に取り組んでいる東京都の大田区でも、一部の地域では地域住民への配慮のために民泊が禁止されています。住宅街が多い地域や閑静な別荘地は、特に民泊に対する抵抗が強い傾向にあるので、ビジネスを展開できる場所は限られてくるでしょう。一方、大阪府大阪市のように民泊条例に対して前向きな検討を行っている自治体もあります。あらかじめ各自治体の民泊条例を確認し、民泊の運営が可能か確認しておくのが賢明です。

 

参照元

minpaku「各自治体の窓口案内(条例等の状況等)

外国人に民泊の経営・管理を任せる際に必要な在留資格

在留外国人の多くは就労制限があるため、民泊の経営や管理をする者として雇用する際は注意が必要です。状況によっては、在留資格「経営・管理」を取得する必要があるからです。また、身分系の在留資格を持つ外国人は日本人と同じように働けるので、管理業者を任せられるでしょう。そのほかの在留資格を持つ外国人を雇用した場合、雇用主は不法就労助長罪に問われます。処罰を受けることのないよう、外国人雇用を行う際は在留資格をきちんと確認しましょう。

まとめ

民泊とは、ホテルや旅館と異なり一般の住宅を宿泊施設として有料で貸し出す宿泊形態です。昨今の日本では新たなビジネスとして人気を博していますが、関係する法律が多く課題点もあるため、参入する企業・個人事業主は入念な下調べを行う必要があります。メインターゲットが外国人旅行客となる場合は、近隣住民との衝突やトラブルを避けるために、同じ言語話者の外国人を管理業者として雇用するのもおすすめです。しっかりと知識を身につけて、民泊ビジネスを成功させましょう。

 

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