強制送還とは?退去強制になるケースと雇用側が注意すること

2021年09月06日
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濵川恭一 (監修)
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net

「強制送還になるケースを知りたい」「雇っている外国人が強制送還にならないか心配」という企業の方もいるでしょう。強制送還になる事由には不法入国や不法就労、超過滞在(オーバーステイ)などが挙げられます。このコラムでは、強制送還になるケースや送還時の流れを解説。強制送還にならないために雇用側が確認する在留カードの項目もまとめているので、ぜひご確認ください。

目次

  1. 強制送還とは
  2. 強制送還になるケース
  3. 強制送還になった場合
  4. 強制送還にならないために雇用側が確認すること
  5. まとめ

強制送還とは

強制送還とは、日本に滞在している外国人を行政手続により強制的に日本から退去させることを指します。主にテレビの報道などで「強制送還」や「国外退去処分」といわれていますが、正しくは「退去強制」です。

なお、「出国命令」とは異なります。強制送還は、出入国在留管理局から摘発を受けて身柄を収容した後に強制的に送還されるのに対し、出国命令は外国人が自ら出入国在留管理局に出頭。その後、収容されることなく出国する時に出される命令のことです。

強制送還になるケース

強制送還になるケースとして、主に不法入国や不法就労、オーバーステイが挙げられます。また、犯罪を犯した場合の処罰も強制送還です。以下で詳しく解説します。

不法入国

有効なパスポートを所持せず日本に入国した場合、不法入国になります。もちろん、偽造パスポートでの入国も不法入国です。また、コンテナ船や漁船で密航するなど、上陸許可なしに入国した場合は、たとえ有効なパスポートを所持していても不法入国となります。

不法就労

就労ができない在留資格にも関わらず働いた場合、不法就労となります。また、就労可能な在留資格を所持していたとしても、許可された職種以外の仕事に従事した場合は不法就労です。なお、令和2年9月時点で在留資格は29種類あり、そのうちの5種類は基本的に就労ができません。

参照元
出入国在留管理庁「在留資格一覧表(令和3年8月現在)

超過滞在(オーバーステイ)

外国人が日本に在留するための在留資格には、永住者を除き在留期限が定められています。在留カードには在留期間が記されており、期限が切れる前に更新または変更をしなくてはなりません。しかし、更新や変更をせずに在留期間を超えたあとも日本に滞在していると、超過滞在(オーバーステイ)として強制送還になります。

犯罪を犯した場合

日本で犯罪を犯して懲役または禁錮に処せられた場合、強制送還となります。また、脅迫目的の犯罪を行う恐れのある人や、日本の利益や公安を害する恐れがある人も強制送還の対象です。

強制送還になった場合

ここでは、強制送還になった場合の送還先や流れ、費用について解説します。

送還先

強制送還になった場合、国籍または市民権のある国に送還されるのが一般的です。ただし、国籍または市民権のある国に送還ができない場合は、本人の希望により以下のいずれかの国に送還されます。

・日本に入国する直前に住んでいた国

・日本に入国する前に住んだことのある国

・日本に向けて出港する際に、船舶に乗り込んだ港がある国

・出生した国

・出生時に、その出生地が属していた国

・その他の国

ただし、本人が上記の国を希望しても、送還先の国が許可しないと送還できません。

参照元
出入国在留管理庁
退去強制令書の執行・送還・自費出国

強制送還の流れ

強制送還の流れは、以下のとおりです。

1.入国警備官が違反調査を行う

不法入国や不法就労、超過滞在(オーバーステイ)など、強制送還事由に該当する外国人がいた場合、まずは入国警備官が違反調査を行います。

2.入国審査官が違反審査を行う

違反容疑がある場合は収容され、入国審査官が違反審査を行います。この時点で、外国人が異議を唱えなければ退去強制令書が発布。送還となります。

3.特別審査官によって口頭審理が行われる

入国審査官によって強制送還対象者に該当すると認定されても、外国人が異議を唱えたら特別審査官が口頭で審理します。口頭審理の結果、外国人が異議を唱えなければ退去強制令書が発布。その後、送還されます。

4.法務大臣による裁決

口頭審理でも外国人が異議を唱えた場合、法務大臣による裁決が行われます。法務大臣によって、特別に在留を許可する事情があるのか、ないのかを判断されるのです。もし、在留を許可する特別な事情がないと判断されれば、退去強制令書が発布され送還されます。

費用

強制送還にかかる費用は外国人本人か国、または運送業者のいずれかが負担します。

外国人本人が負担する

強制送還にかかる航空運賃や運送費用などは、基本的に外国人本人の負担です。これを「自費出国」といいます。

国が負担する

外国人が十分な費用を持っていない場合は、国が航空運賃や運送費用などを負担します。「国費送還」と呼ばれ、費用の捻出元は日本国民の税金です。不法就労者の増加に伴い国費送還が増えると、国民の負担が大きくなるため問題となっています。

運送業者が負担する

通常の上陸で審査に通らず上陸を拒否された場合には、これまで乗ってきた飛行機や船などに乗せて元の国に返すのが原則とされています。この場合の送還費用は、運送業者の負担です。

5年間は再入国が不可能

強制送還になった外国人は、基本的に退去日から5年間は日本への再入国ができません。これを「上陸拒否期間」といいます。なお、今回初めて出国命令により出国した場合は、出国した日から1年間が上陸拒否期間です。

過去にも出国命令を受けて出国していたり、強制送還されていたりするリピーターの場合は、退去日から10年間に渡って日本への再入国が禁じられています。また、日本や外国で1年以上の懲役または禁錮に処せられたことのある人(執行猶予含む)・薬物犯罪者・売春業務従事者については、半永久的に日本へ再入国はできません。

強制送還にならないために雇用側が確認すること

外国人が強制送還にならないよう、雇用する企業は在留カードの確認を徹底する必要があります。以下で確認する項目を解説するので、ぜひ参考にしてください。

在留期間

在留期間が過ぎていないか必ず確認しましょう。在留期間が過ぎた在留カードの場合、超過滞在(オーバーステイ)の可能性があります。

在留資格

在留資格で指定されている範囲外の仕事はさせないように注意しましょう。範囲外の仕事をすると不法就労となり、強制送還事由に当たります。なお、文化活動・短期滞在・留学・研修・家族滞在の5つの在留資格は、基本的に就労ができません。

就労制限の有無

就労制限の有無欄には、「就労制限なし」「指定書により指定された就職活動のみ可」「就労不可」のいずれかの記載があります。「就労制限なし」の記載であれば、日本人と同様で就労活動に制限はありません。「指定書により指定された就職活動のみ可」の記載は、パスポートに添付されている指定書で就労の有無について確認する必要があります。「就労不可」の記載は、原則として就労はできません。

資格外活動許可

「留学」、「家族滞在」、「文化活動」の在留資格を持つ人の就労制限有無欄には、「就労不可」の記載があります。しかし、カード裏面の資格外活動許可欄に「許可(原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く)」「許可(資格外活動許可書に記載された範囲内の活動)」のいずれかの記載がある場合は、定められた範囲内での就労が可能です。

まとめ

強制送還になる事由には不法入国や不法就労、超過滞在(オーバーステイ)などがあります。気をつけていたとしても、在留資格で指定された範囲外の仕事をさせてしまい、意図せず不法就労となるケースも…。その場合、雇用する外国人が強制送還になるだけでなく、雇っていた企業も不法就労助長罪という罪に問われます。そのため、在留期間や在留資格、就労制限の有無などをしっかりと確認したうえで雇用するようにしましょう。

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