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外国人を雇用する事業主は、ハローワークに外国人雇用状況届出書を提出しなくてはなりません。しかし、初めて外国人を雇用する場合、提出方法が分からないこともあるでしょう。このコラムでは、外国人雇用状況届出書の書き方や注意点を説明。外国人雇用状況届出書の提出は、法律で義務づけられています。内容を参考にして提出を進めていきましょう。
目次
外国人雇用状況届出書は、外国人の雇用・離職があった際にハローワークに提出する書類です。まずは、外国人雇用状況届出書の概要を知りましょう。
外国人雇用状況届出書は、事業主が外国人の雇用時・離職時に厚生労働大臣宛てに提出します。外国人が雇用保険に加入する場合の提出先は、雇用保険の適用を受けている事業所の所在地を管轄するハローワークの窓口です。外国人の雇用保険に加入しない場合は、勤務する施設の所在地を管轄するハローワークの窓口に提出します。
外国人雇用状況届出書は「労働施策総合推進法第28条」により提出が義務づけられているため、忘れないようにしましょう。
事業主に外国人雇用状況届出書の提出が義務づけられているのは、国が外国人の就業状況を把握するためです。厚生労働省は提出された外国人雇用状況届出書をもとに、外国人の人数や国籍、働いている事業所の所在地などを集計します。集計したデータは毎年1月末に「外国人雇用状況の届出状況まとめ」として発表されており、外国労働者の就業状況を把握するのに有益な資料として役立っているのです。
外国人雇用状況届出書を提出するのは、ただデータをまとめるためだけではありません。内容をもとに、事業主へ助言や指導をしたり外国人に再就職支援を行ったりします。
外国人雇用状況届出書の提出をする必要がない外国人もいます。「外交」「公用」「特別永住者」の在留資格を持つ外国人を雇用した場合、外国人雇用状況届出書の提出は必要ありません。「外交」は大使や公使、「公用」は外国政府や国際機関の公務を行う外国人などに付与される在留資格です。これらは、政府や国際機関に関わる特別な在留資格であるため、外国人雇用状況届出書の提出は対象外とされています。
「特別永住者」は、もともと日本国籍を持っていた人もしくはその子孫という、特別な背景がある外国人が持つ在留資格です。歴史的背景を鑑みて配慮が必要な存在とされており、日本人と同じように働けます。そのため、外国人雇用状況届出書の提出は必要ありません。
上記以外の在留資格を持つ外国人の雇用・離職時には、雇用形態に関係なく、必ず雇用状況届出書を提出します。
外国人雇用状況届出書については、「外国人雇用状況届出書とは?事業主に向けて記入項目や提出方法を解説」のコラムでも詳しく解説しているので、ご参照ください。
参照元
e-Gov法令検索「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(昭和四十一年法律第百三十二号)」
厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況について(報道発表)」
外国人雇用状況届出書は、外国人の雇用保険加入状況によって書き方は異なります。ここでは、外国人雇用状況届出書の書き方を雇用保険加入・未加入それぞれのパターンに分けて解説しているので、参考にしてください。
外国人が雇用保険に加入する場合、雇用保険被保険者資格取得届および喪失届が、外国人雇用状況届出書を兼ねます。つまり、雇用保険に加入する場合、「外国人雇用状況届出書」の提出は不要です。
外国人が雇用保険に加入する場合は、「雇用保険被保険者資格取得届(様式第2号)」を用意します。1~16の欄までは、日本人の雇用時と同様に記入して問題ありません。17~23の欄に外国人の氏名や在留カード番号、国籍・地域などを記入します。提出期限は雇用月の翌月10日までです。
雇用保険に加入している外国人が離職する際は「雇用保険被保険者資格喪失届(様式第4号)」を用意します。1~13の欄までは日本人の離職時と同様に記入し、14~19の欄に在留カード番号や国籍・地域などの情報を記入しましょう。提出期限は離職の翌日から起因して10日以内です。
雇用保険に加入しない外国人の雇用・離職の際は共通して「外国人雇用状況届出書(様式第3号)」を用います。1~10の欄に記入しますが、7の欄の「資格外活動許可の有無」は、離職時は空欄で問題ありません。提出期限は雇用・離職時ともに翌日の月末までです。
外国人雇用状況届出書については、「外国人雇用をする企業がハローワークでする手続きは?求人の出し方も解説」のコラムも参考にしてください。
参照元
厚生労働省「届出様式について」
外国人雇用状況届出書を書く際は、内容を間違えないよう十分注意しましょう。記載内容が間違っていたときの責任は事業主が負います。そのため、在留カードをよく見ながら記入したうえで、第三者のWチェックを挟むと安心です。
外国人雇用状況届出書は、外国人から在留カードを預かって記入します。その際、あらためて在留資格や在留期限に問題がないか、カードが本物であるかなどをしっかり確認しましょう。万が一採用前の確認で見落としがあっても、このタイミングであらためてチェックすれば、不法就労助長罪で罰せられるリスクを減らせます。
参照元
e-Gov法令検索「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(昭和四十一年法律第百三十二号)」
ここでは、外国人雇用状況届出書に関するよくある疑問をQ&A形式でまとめました。
外国人雇用状況届出書の提出を忘れた場合は、「労働施策総合推進法第28条」の違反により6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられます。外国人が雇用保険に加入しない場合は、特に忘れやすいので注意しましょう。
ハローワークを通さずに外国人を雇用した場合も、外国人雇用状況届出書の提出は必要です。ハローワークはあくまで提出場所で、最終的な提出先は厚生労働大臣になります。そのため、ハローワークを経由していなくても、「特別永住者」「外交」「公用」以外の在留資格を持つ外国人を雇用した場合は、必ず提出しなければなりません。
厚生労働省の「外国人雇用状況届出システム」を用いてオンラインでの提出が可能です。オンラインでの提出は、毎週日曜日の午後10時から翌午前8時のシステムメンテナンス時間以外であればいつでも行えます。なお、一度でも書面にて外国人雇用状況届出書(様式第3号)の提出をしたことがある事業主は、オンラインの画面からユーザーIDやパスワードを設定できない仕様です。このような場合は、以前外国人雇用状況届出書を提出したハローワークに問い合わせする必要があります。
参照元
厚生労働省「外国人雇用状況届出システム」
外国人雇用状況届出書の提出は、事業主の義務です。外国人が雇用保険に加入しない場合は、特に忘れやすいので注意しましょう。また、雇用時だけでなく、離職時にも提出が必要です。このコラムで外国人雇用状況届出書の書き方や提出方法を確認し、手続きを進めてください。