技能実習責任者の養成講習とは?当日の流れやテストの詳細まとめ

2022年06月24日
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濵川恭一 (監修)
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net

初めて技能実習を実施する企業の場合、「技能実習責任者」の役割が分からないこともあるでしょう。技能実習責任者には、技能実習の進捗や実習指導する職員を管理監督する役割があり、事業所ごとに1名を選任しなくてはなりません。技能実習責任者になるには、技能実習責任者養成講習を受講し、テストへの合格が必要です。このコラムでは、技能実習責任者養成講習の概要を解説。内容を参考にして、技能実習を始める準備を進めましょう。


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目次

  1. 技能実習責任者とは
  2. 技能実習責任者以外に選任が必要な役割
  3. 技能実習責任者養成講習の概要
  4. 技能実習責任者の更新講習はオンラインでも可能!
  5. まとめ

技能実習責任者とは

技能実習責任者とは、技能実習の進捗や関係する職員を管理する人のことです。技能実習を実施する事業所ごとに1名選任しなければなりません。

技能実習責任者の役割

厚生労働省による技能実習制度の運用要領によると、技能実習責任者には以下の項目を統括管理する役割があるとされています。

 

  • 技能実習計画の作成に関すること
  • 技能実習生が習得や技術の評価に関すること
  • 主務大臣や各種関係機関に対する届出、報告、通知そのほかの手続きに関すること
  • 帳簿書類の作成や保管、報告書の作成に関すること
  • 技能実習生の受け入れの準備に関すること
  • 監理団体との連絡調整に関すること
  • 技能実習生の保護に関すること
  • 技能実習生の労働条件、産業安全および労働衛生に関すること
  • 技能実習実習機構や関係機関との連絡調整に関すること

 

上記のように、技能実習責任者には技能実習に関するさまざまな事項の管理が求められています。技能実習責任者は技能実習の適切な実施に必要不可欠な存在といえるでしょう。

技能実習責任者になれる人・なれない人

技能実習責任者になれるのは、以下の条件を満たしている人です。

 

  • 実習実施者、またはその常勤の役員もしくは職員
  • 技能実習指導員、生活指導員そのほかの技能実習に関与する職員を監督できる立場にある
  • 過去3年以内に技能実習責任者に対する講習を修了している

なお、以下の欠格事由に該当している人は、技能実習責任者にはなれません。

 

  • 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終えた日から5年を経過していない
  • 過去5年以内に出入国または労働に関する法令に関し、不正や著しく不当な行為をした
  • 未成年

 

条件を満たしたうえで欠格事由に該当していない人であれば、特別な資格がなくても技能実習責任者になれます。

まず、技能実習制度について詳しく知りたい場合は、「外国人技能実習生の受け入れに必要な知識を企業に向けて解説」のコラムも参考にしてください。

参照元

厚生労働省「第4章 技能実習計画の認定等

技能実習責任者以外に選任が必要な役割

技能実習を実施する企業は、技能実習責任者以外に技能実習指導員と生活指導員も選任する必要があります。技能実習責任者とは異なり、養成講習の受講は必須条件ではありません。しかし、技能実習指導員や生活指導員が講習を受講し、修了すると優良な実習実施者としての加点対象となるのです。

ここでは、それぞれの役割や要件を解説します。

 

技能実習指導員

技能実習指導員は、技能実習生が実習で習得する技能を指導する人のことです。技能実習責任者が全体を管理する役割なのに対し、技能実習指導員は技能実習生へ作業の技術やノウハウを直接現場で教えます。また、技能実習生がケガや病気をせずに技能実習を行えるよう、安全衛生についてしっかり指導するのも役割の一つです。

技能実習指導員は技術を直接指導する立場にあるため、選任するには「修得等をさせようとする技能等について5年以上の経験を有する者」「実習実施者またはその常勤の役員若しくは職員のうち、技能実習を行わせる事業所に所属する者」との要件が定められています。1つの事業所で複数の職種・作業の技能実習を行う場合、各職種・作業ごとに技能実習指導員の選任が必要です。ただし、1人の技能実習指導員が複数の職種・作業で5年以上の経験があれば兼任が可能です。

 

生活指導員

生活指導員は技能実習生の生活サポートを行います。技能実習と直接関係のない、悩み事や困り事の相談に乗るのも生活指導員の重要な役割です。なお、技能実習生の生活状況を把握している必要があるため、生活指導員は技能実習を行っている事業所に常駐している職員であることが求められます。

なお、技能実習生の生活指導を行うのは、選任された生活指導員でなくても問題ありません。補助者を付け、複数人で生活指導をすることも認められています。

技能実習責任者以外の役割については、「技能実習生の指導員とは?役割や選任されるための要件について解説」や「技能実習指導員の役割や要件は?技能実習生を受け入れる企業向けに解説」のコラムも参考にしてください。

技能実習責任者養成講習の概要

技能実習責任者になるには、技能実習責任者養成講習の受講が必要です。ここでは、講習の内容や当日の流れ、理解度テストについて解説します。

 

技能実習責任者になるために受講が必須

技能実習責任者には、技能実習責任者養成講習を3年ごとに受講することが義務づけられています。講習を修了すると交付される「受講証明書」は、技能実習計画認定申請書類とともに外国人技能実習機構に提出しなければなりません。技能実習責任者になろうとする職員が養成講習を受けないと、技能実習の実施ができなくなるので注意しましょう。

技能実習責任者養成講習は、主務大臣が許可した養成講習機関で受講します。日時や会場、申し込み方法などは養成機関によってさまざまです。都合の良い日時を選択して申し込みましょう。

技能実習責任者養成講習の内容

技能実習責任者養成講習では、以下の項目について学びます。

  • 外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(技能実習法)について
  • 出入国管理及び難民認定法(入管法)について
  • 労働関係法令について
  • 技能実習指導のやり方について
  • 労働災害の防止や労働災害が起きたときの対応について

どの項目も、技能実習を円滑に実施するのに必要な内容ばかりです。技能実習責任者になろうとする職員はしっかり講習を聞き、理解できるように努めましょう。

技能実習責任者養成講習の当日の流れ

技能実習責任者養成講習の当日のタイムスケジュールは、会場や各養成機関によって異なるようです。ここでは、午前9時20分から講習がスタートした場合の当日の流れの一例を紹介します。

 

【技能実習責任者講習の当日スケジュールの一例】

  • 午前9時20分~午前9時30分:オリエンテーション
  • 午前9時30分~午前11時:技能実習法について
  • 午前11時~午前11時10分:休憩
  • 午前11時10分~午前11時40分:入管法について
  • 午前11時40分~午後12時40分:労働関係法令について
  • 午後12時40分~午後1時30分:休憩
  • 午後1時30分~午後2時:労働関係法令について
  • 午後2時~午後3時:技能実習指導の行い方
  • 午後3時~午後3時10分:休憩
  • 午後3時10分~午後4時10分:労働災害の防止や労働災害が起きたときの対応について
  • 午後4時10分~午後4時40分:理解度テストおよび解説
  • 午後4時40分~午後5時10分:休憩(採点結果待ち)
  • 午後5時10分~受講証明書・不合格通知の配布

 

技能実習責任者養成講習は、受講すべき時間が法律で定められている法定講習です。遅刻や早退などは認められませんので注意しましょう。また、受講態度が悪い(居眠り等)場合、受講証明書が発行されませんので、注意しましょう。

技能実習責任者養成講習の理解度テストとは?

技能実習責任者養成講習では、すべてのカリキュラムを修了したあとに正誤式の理解度テストがあります。10分間テストを行い、20問中7割の正答で合格です。過去問は公表されていませんが、講習をしっかり聞いていれば合格できるレベルといえるでしょう。

理解度テストに合格すると「受講証明書」が交付されます。なお、テストに不合格だった場合は別の日に再受講し、テストを受け直さなくてはなりません。受講料やテキスト代はテストのたびに掛かるので、できる限り1回で合格しましょう。

参照元

厚生労働省「外国人技能実習制度における養成講習について

技能実習責任者の更新講習はオンラインでも可能!

技能実習責任者講習の受講は、更新が目的であればオンラインでもできます。オンライン講習はZoomで行うので、1人1台ずつパソコンが必須です。なお、パソコンの使い方についてサポートを受けたり質問したりすることはできません。各養成機関はパソコンの操作に自信のない人は会場で講習を受けるよう求めています。そのため、パソコンやZoomの設定・操作をあまりしたことがない場合は、オンラインでの受講は控えるのが賢明です。

まとめ

技能実習責任者には、技能実習に関わる職員の監督・管理を適切に行えるよう、3年ごとに「技能実習責任者養成講習 」の受講が義務づけられています。技能実習を実施する企業は要件を満たす人物を選任し、技能実習責任者養成講習の受講を促しましょう。