特定技能の職種・業種は14種類!雇用方法や注意点を企業向けに解説

2022年06月24日
WeXpats Bizは技能実習/特定技能の外国人採用・雇用支援サービスを提供しているLeverages Global Supportの関連サイトです。行政書士監修の下、外国人採用の現場で役立つ情報を発信しています。
濵川恭一 (監修)
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net

人手不足が深刻な産業分野では、労働力確保のために在留資格「特定技能」を持つ外国人の雇用が認められています。特定技能外国人を雇用できる職種・業種は限られているため、自社での受け入れが可能か気になる企業もあるでしょう。そこで、このコラムでは特定技能外国人を雇用できる特定産業分野について解説。「特定技能外国人はどうやって雇用する?」「雇用する際の注意点は?」といった疑問にもお答えします。

目次

  1. 特定技能外国人とは
  2. 特定技能1号の外国人が就労可能な職種・業種
  3. 特定技能2号の外国人が就労可能な職種・業種
  4. 特定技能外国人を雇用する方法
  5. まとめ

特定技能外国人とは

在留資格「特定技能」を持つ外国人のことを、特定技能外国人といいます。特定技能は、日本国内の労働力確保を目的として創設された在留資格です。少子高齢化や技術者不足によって深刻化する人手不足を解消するべく、2019年4月に特定技能制度が施行されました。

在留資格「特定技能」は、ほかの就労資格とは異なり、専門性が必要な業務だけでなく単純労働も行えます。ただし、特定技能外国人を雇用できるのは条件を満たした企業のみです。特定技能外国人の雇用を検討している企業は、特定技能制度の概要や受け入れ条件を調べましょう。

特定技能1号と2号の違い

在留資格「特定技能」には1号と2号があり、在留期間や技能の習熟度、働ける職種・業種などが異なります。特定技能1号は、「一定の知識や経験を要する業務を行える外国人」が対象です。在留期間は最長5年で、家族の帯同は認められていません。一方、特定技能2号は「熟練した技能や知識を要する業務を行える外国人」が対象です。家族の帯同が認められているうえ、在留期間に上限がなく、更新し続ける限り日本に滞在できます。特定技能2号は就労できる職種・業種が限られているのが特徴です。なお、2022年5月末時点で日本に在留する特定技能2号取得者はまだ数名ですそのため、特定技能外国人の雇用を検討している企業の多くは、特定技能1号の受け入れが中心になります。

雇用する際の注意点

特定技能外国人を雇用するには、受け入れ条件を満たしていなければなりません。特定技能外国人は、人手不足が深刻な特定産業分野でのみ受け入れが可能です。また、1年以内に会社都合の退職者がおらず労働や社会保険、租税に関する法令を順守しているなどの条件があります。 特定技能基準省令や上陸基準省令、出入国管理及び難民認定法施行規則、分野省令に詳しく記載されているので確認してみましょう。なお、特定技能1号を雇用する場合は外国人が安心して業務に従事できるよう支援する義務もあります。企業での支援が難しい場合、支援業務を代行してくれる登録支援機関の利用が必須になるので、あらかじめ調べておくと安心です。

在留資格「特定技能」については、「特定技能とはどのような在留資格?技能実習との違いや雇用の注意点を解説」で詳しくまとめています。特定技能制度や技能実習との違いを知りたい方は、参考にしてください。

参照元

出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数の公表

特定技能1号の外国人が就労可能な職種・業種

特定技能1号を持つ外国人が働ける職種・業種は、全部で14種類です。ここでは、業種ごとの業務内容や管轄省庁、受入人数、2021年12月末時点で従事している外国人数を紹介します。

1.介護職

介護職では、介護施設での入浴や食事介助、排泄介助といった身体介助が主な業務です。機能訓練の補助やレクリエーションの実施も、業務内容に含まれています。ただし、訪問介護や訪問入浴といったサービスでは、特定技能外国人の雇用は認められていません。

介護職は厚生労働省の管轄で、2023年までの最大受け入れ人数は60,000人です。2021年12月末時点では、特定技能1号を持つ外国人5,155人が介護職に就いています。

2.ビルクリーニング業

ビルクリーニング業は建物内の場所や素材、汚れの種類に応じて洗剤や用具を使い分けるなど、専門性が必要な仕事です。高齢者雇用や技能実習生の受け入れも併用して、人材確保が行われています。

ビルクリーニング業の管轄は厚生労働省で、2023年までの最大受け入れ人数は37,000人です。2021年12月末時点では、650人の特定技能外国人が働いています。

3.素形材産業

金属やプラスチック、ファインセラミックスなどの素材の加工・製品製造を行う素形材産業では、特定技能外国人にさまざまな業務を任せられます。詳しい業務内容は以下のとおりです。

  • 鋳造
  • 金属プレス加工
  • 仕上げ
  • 溶接
  • 鍛造
  • 工場板金
  • 機械検査
  • ダイカスト
  • めっき
  • 機械保全
  • 機械加工
  • アルミニウム陽極酸化処理
  • 塗装

 

素形材産業は経済産業省が管轄しており、2023年までの最大受け入れ人数は21,500人です。2021年12月末時点では、3,066人の特定技能外国人が働いています。業務の種類ごとに従事している人数も公表されているので、気になる方は出入国在留管理庁のWebサイトを確認してみましょう。

4.産業機械製造業

産業用の農業機械や工業用機械、木工機械などを製造する産業機械製造業でも、特定技能外国人を雇用できます。従事できる業務内容は以下のとおりです。

 

  • 鋳造
  • 塗装
  • 仕上げ
  • 電気機器組立て
  • 溶接
  • 鍛造
  • 鉄工
  • 機械検査
  • プリント配線板製造
  • 工業包装
  • ダイカスト
  • 工場板金
  • 機械保全
  • プラスチック成形
  • 機械加工
  • めっき
  • 電子機器組立て
  • 金属プレス加工

 

産業機械製造業は、経済産業省が管轄しています。2023年までの最大受け入れ人数は5,250人です。2021年12月末時点では、4,365人の特定技能外国人が、産業機械製造業に従事しています。

5.電気・電子情報関連産業

電子機器の組み立てを行う電気・電子情報関連産業でも、特定技能外国人の雇用を雇用できます。従事可能な業務は以下のとおりです。

 

  • 機械加工
  • 仕上げ
  • プリント配線板製造
  • 工業包装
  • 金属プレス加工
  • 機械保全
  • プラスチック成形
  • 工場板金
  • 電子機器組立て
  • 塗装
  • めっき
  • 電気機器組立て
  • 溶接

 

電気・電子情報関連産業は経済産業省の管轄です。2023年までの最大受け入れ人数は4,700人で、2021年12月末時点では、2,371人の特定技能外国人が働いています。業務内容ごとに従事している人数も公表しているので、気になる方はチェックしてみましょう。

6.建設業

技術者と若年層が少なく、労働力不足が問題視されている建設業は、特定技能外国人の雇用が認められる特定産業分野の一つです。建設業では、幅広い業務を特定技能外国人に任せられます。具体的な業務内容は以下のとおりです。

 

  • 型枠施工
  • 左官
  • コンクリート圧送
  • トンネル推進工
  • 建設機械施工
  • 土工
  • 屋根ふき
  • 電気通信
  • 鉄筋施工
  • 鉄筋継手
  • 内装仕上げ/表装・とび
  • 建築大工
  • 配管
  • 建築板金
  • 保温保冷
  • 吹付ウレタン断熱
  • 海洋土木工

 

建設業は国土交通省が管轄しています。2023年までの最大受け入れ人数は40,000人です。2021年12月末時点では、4,871人の特定技能外国人が建設業に従事しています。

7.造船・舶用工業

島国の日本にとって重要な工業とされている造船・舶用工業では、以下の6つの業務区分で特定技能外国人の雇用が認められています。

 

  • 溶接
  • 仕上げ
  • 塗装
  • 機械加工
  • 鉄工
  • 電気機器組立て

 

造船・舶用工業の管轄は国土交通省です。2023年までの最大受け入れ人数は13,000人で、2021年12月末時点で1,458人の特定技能外国人が従事してます。

8.自動車整備業

整備員の高齢化と若年層の人材不足が深刻な自動車整備業も、特定産業分野に含まれています。自動車の日常点検整備や定期点検整備、分解整備といった業務であれば、特定技能1号を持つ外国人を雇用可能です。

自動車整備業は国土交通省が管轄しており、2023年までの最大受け入れ人数は7,000人です。2021年12月末時点では、708人の特定技能外国人が自動車整備業で働いてます。

9.航空業

外国人観光客の増加やLCC(格安航空会社)の影響で需要が増加している航空業では、人手不足を補うために特定技能1号を持つ外国人の雇用が認められています。空港グランドハンドリング(地上走行支援業務、手荷物・貨物取扱業務など)や航空機整備(機体、装備品等の整備業務など)といった職種で、雇用可能です。

航空業は国土交通省が管轄しています。2023年までの最大受け入れ人数は2,200人で、2021年12月末時点で航空業で働く特定技能外国人は36人です。

10.宿泊業

インバウンド需要の増加に伴い、人材確保が急務とされている宿泊業は、特定産業分野に指定されています。特定技能外国人に任せられる業務内容は、フロントや接客、客室清掃などです。企画・広報やレストランサービスといった業務にも従事してもらえます。

宿泊業は国土交通省の管轄で、2023年までの最大受け入れ人数は22,000人です。2021年12月末時点では、121人の特定技能外国人が宿泊業に従事しています。

11.農業

労働者の平均年齢の高齢化と若年層の人材不足が深刻な農業では、特定技能外国人の雇用が認められています。特定技能外国人は原則直接雇用しか認められていませんが、農業では派遣での雇用雇用が可能です。そのため、繁忙期のみの雇用も実現できます。なお、特定技能外国人が従事できるのは、耕種農業か畜産農業に関わる業務全般です。

農業は農林水産省が管轄しています。2023年までの最大受け入れ人数は36,500人で、2021年12月末時点で農業に従事している特定技能外国人は6,232人です。

12.漁業

漁業は、農業と同じく特定技能外国人の派遣雇用が認められる特定産業分野です。漁業と養殖業に区分が分かれており、それぞれ特定技能外国人に任せられる業務内容が異なります。漁業における業務は、漁具の製作や補修、水産動植物の探索、漁具や漁労機械の操作などです。水産動植物の採捕や漁獲物の処理・保蔵、安全衛生の確保も漁業の業務内容に含まれます。一方、養殖業は養殖資材の製作や補修、養殖水産動植物の育成管理、収獲・処理などが主な業務です。漁業と同じく安全衛生の確保も行います。

漁業は農林水産省の管轄で、2023年までの最大受け入れ人数は9,000人です。2021年12月末時点では549人が漁業に従事しています。

13.飲食料品製造業

飲食料品製造業も特定産業分野の一つです。飲食料品製造業に従事する特定技能外国人は、酒類を除く飲食料品の製造や加工、安全衛生の業務に従事します。具体的には以下の業務に従事可能です。

 

  • 食料品製造業
  • 清涼飲料製造業
  • 茶・コーヒー製造業(清涼飲料を除く)
  • 製氷業
  • 菓子小売業(製造小売)
  • パン小売業(製造小売)
  • 豆腐・かまぼこ等加工食品小売業

 

飲食料品製造業は、農林水産省が管轄しています。2023年までの最大受け入れ人数は34,000人です。2021年12月末時点では、18,099人の特定技能外国人が飲食料品製造業に従事しています。

14.外食業

外食業も特定産業分野の一つです。特定技能外国人は飲食物の調理や接客、店舗管理などの業務を任せられます。

外食業の管轄は農林水産省です。2023年までの最大受け入れ人数は53,000人で、2021年12月末時点で1,985人の特定技能外国人が外食業に従事しています。

特定技能14業種を一覧で紹介!行える業務内容も解説」では、特定技能外国人が働ける職種・業種を一覧で紹介しています。今後、追加される可能性が高い業種もまとめているので、気になる方はチェックしてみましょう。

参照元

出入国在留管理庁「特定技能外国人の雇用を希望する企業・団体・個人等の方

出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数の公表

特定技能2号の外国人が就労可能な職種・業種

特定技能2号を持つ外国人が就労できる職種・業種は、建設業と造船・舶用工業の2つです。外国人が特定技能2号を取得するには、特定技能1号で5年間勤務し、指定された技能試験に合格する必要があります。6年目以降も特定技能外国人に働いてほしい企業は、特定技能2号の取得方法を調べておきましょう。なお、特定技能2号を受け入れられる特定産業分野は、今後拡大する可能性があります。2021年時点では特定技能2号を持つ外国人はいませんが、将来を見据えて情報収集を行っておくと良いでしょう。

1.建設業

建設業で特定技能2号を取得するには、業務区分に応じた「建設分野特定技能2号評価試験」か「技能検定1級」に合格する必要があります。一定の技能水準と日本語能力が認められれば、特定技能2号の取得が可能です。ただし、2022年4月時点で「建設分野特定技能2号評価試験」は開始時期が決まっていません。「技能検定1級」は2級所持者は2年、そうでない場合は7年の実務経験がないと受験できないので、特定技能2号の取得は難易度が高いといえます。

2.造船・舶用工業

造船・舶用工業で特定技能2号を取得するには、「造船・舶用工業分野特定技能2号評価試験」か「技能検定1級」に合格する必要があります。ただし、建設業と同じく「造船・舶用工業分野特定技能2号評価試験」は、実施のめどが立っていません。「技能検定1級」の取得には長期間の実務経験が必要なため、特定技能2号の取得条件を満たすのは難しいでしょう。特定技能制度の試験関係の情報は、出入国在留管理庁のWebサイトにまとめられています。特定技能2号評価試験の実施が決まったら情報が更新されるので、定期的にチェックしておくと良いでしょう。

参照元

出入国在留管理庁「試験関係

特定技能外国人を雇用する方法

特定技能外国人は、人手不足が深刻な業界にとって貴重な人材です。特定産業分野に該当する職種・業種であれば、条件を満たせば雇用できるので人手不足を解消する手段として検討してみましょう。ここでは、特定技能外国人を雇用する方法をまとめているので、採用ルートを把握したい企業は参考にしてください。

技能実習から特定技能へ移行する

技能実習2号を良好に修了した技能実習生は、特定技能1号への移行が可能です。技能実習生を受け入れている企業は、特定技能1号を取得する意思があるか、打診してみるのも良いでしょう。ただし、従事している業務内容によっては特定技能1号への移行ができません。技能実習生が行う作業と移行先の業務内容に関連性があるか、きちんと確認するのが大切です。

日本国内にいる特定技能外国人を雇用する

日本国内で特定技能1号評価試験に合格した外国人を雇用するのは、一般的な採用ルートといえます。ハローワークや登録支援機関といった人材紹介サービスを活用し、特定技能外国人を採用しましょう。また、在留資格「特定技能」は転職が可能な就労資格です。そのため、すでに特定技能1号を取得して日本で働く外国人を中途採用することもできます。ただし、特定技能外国人の転職にはさまざまな制約があるため、メインの採用ルートとして選択するのはおすすめできません。詳しく知りたい方は、行政書士や弁護士といった専門家に相談してみましょう。

海外から特定技能外国人を呼び寄せる

特定技能1号評価試験に合格した外国人を海外から呼び寄せるのも、一般的な採用ルートです。直接採用活動を行ったり職業紹介機関を利用したりして、人材を募集しましょう。なお、採用する特定技能の国籍によっては所定の手続きが必要なケースもあります。詳しい手続きが知りたい方は、各国の大使館に確認するのが確実です。在留資格「特定技能」に関する協力覚書(MOC)を作成している国もあるので、出入国在留管理庁のWebサイトで確認してみてください。

参照元

出入国在留管理庁「特定技能に関する二国間の協力覚書

まとめ

特定技能は、少子高齢化による労働人口の減少による人材不足を解消するために、2019年に創設された在留資格です。新しい在留資格のため、今後制度の適用範囲が拡大したり試験関係が整備されたりして、多くの業界に影響を与えるでしょう。特定産業分野に該当する企業は、特定技能外国人を雇用できます。人材不足に悩んでいる企業の方は、特定技能外国人の雇用も視野に入れてみましょう。