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「雇用する外国人が引っ越しをしたけれど、必要な手続きが分からない」という企業の担当者もいるでしょう。外国人は引っ越ししたら、在留カードの住所変更をしなくてはなりません。手続きは原則本人が行いますが、雇用する企業も方法を把握しておくと良いでしょう。このコラムでは、在留カードの住所変更の方法をまとめています。内容を参考にして、引っ越しをした外国人従業員をサポートしましょう。
目次
外国人は、引っ越しをしたら在留カードの住所変更が必要です。ここでは、住所変更の手続きをする場所や申請人、必要なものについて解説します。
在留カードの住所変更を行う場所は、引っ越し先の区や市町村の役場です。在留資格の各種手続きのように、出入国在留管理局に行く必要はありません。期限は住所に変更があってから14日以内です。企業は、外国人が期日までに在留カードの住所変更をできるよう、シフトや有給の調節を柔軟に行いましょう。
在留カードの住所変更の手続きを行うのは、原則として外国人本人です。ただし、届出人本人が16歳未満の場合やケガ・病気の影響で自らが届け出ができないときには、届出人本人と同居する16歳以上の親族が代理人として手続きできます。また、法定代理人も届け出が可能です。なお、代理人が手続きをする場合は、外国人本人が申請できないことを証明する書類や委任状を提出します。
在留カードの住所変更には、外国人が持っている在留カードが必要です。また、今までの居住地の市町村窓口には「転出届」、これから居住する市町村窓口には「転入届(同じ市町村内での住所変更の場合は転居届)」を提出します。市区町村役場で転入や転出の手続きを行えば、出入国在留管理局に書類提出の必要はありません。
特別永住者が引っ越しした場合も、住所変更の手続きが必要です。特別永住者とは、第二次世界大戦中の日本の植民地政策により、日本国籍を持っていた外国人やその子孫を指します。終戦後、母国の国籍に戻ったあとも日本で暮らし続けていた人やその子孫には「特別永住者」の在留資格が付与されました。
特別永住者には在留カードではなく「特別永住者証明書」が付与されています。特別永住者証明書も、引っ越しをしたら住所変更の手続きが必要です。手続き方法は、在留カードの住所変更の方法と変わりません。
特別永住者については、「特別永住者とは?外国人を雇用する企業に向け解説」のコラムで詳しく紹介しています。
ここでは、外国人が引っ越したときの住所変更の流れを「同じ自治体での引っ越し」「違う自治体への引っ越し」に分けて解説します。
外国人が同じ区や市町村のなかで引っ越しをしたときは、引っ越してから14日以内に市町村の役場へ在留カードと「転居届」を提出します。転居届は、市町村役場の住民課窓口で取得可能です。転居届が受理されたら、在留カード裏面の「住居地記載欄」に新しい住所が記載されます。
違う自治体に引っ越す際は、まず今までの住居地の市町村役場へ「転出届」を提出します。転出届とは、今まで住所を置いていた自治体から出ていくことを証明する書類です。転出届は引っ越しの前後14日以内であれば提出できます。しかし、引っ越し後に以前住んでいた自治体の市町村役場に行くのは手間が掛かるので、引っ越し前に提出しておくのが一般的です。転出届を提出したら、「転出証明書」が発行されるので保管しておきます。
引っ越しが完了したら、14日以内に新住所を管轄する市町村役場に在留カードと「転入届」を提出します。また、あわせて以前住んでいた自治体から発行された「転出証明書」の提出も必要です。転入届が受理されたら、新しい住所が在留カードに記載されます。
ここでは、在留カードの住所変更に関する疑問をQ&A形式で紹介します。
外国人が在留カードの住所変更をしないと、入管法と住民基本台帳法の両方で定められた届出義務を怠っていることになります。
入管法で定められた住所変更の届出義務を怠ったときの刑罰は20万円以下の罰金です。また、在留状況が悪いと判断され、在留資格が取り消されたり次回の更新が不許可になったりする可能性もあるでしょう。また、永住申請の際にも不利益を被る可能性があります。
住民基本台帳法では、転入や転出などの届出を怠ると5万円以下の過料になる可能性があります。過料とは国や地方自治体による金銭納付命令です。
来日して間もない外国人は、日本の法律や決まりを理解しきれておらず必要な手続きを怠ってしまう可能性があります。雇用する企業は外国人の引っ越し後の届出が正しく行われているか確認し、必要であればサポートをしましょう。
住所以外に在留カードの内容に変更があった場合は、地方出入在留管理局にて「住居地以外の在留カード記載事項の変更届出」を行います。届け出の対象になるのは氏名、生年月日、性別、国籍・地域に変更があった外国人です。申請時には「在留カード記載事項変更届出書」のほか、記載事項に変更があったことを証明する資料を提出します。たとえば、結婚により氏名が変わった場合は、氏名が変更されたパスポートや結婚証明書(配偶者が日本人の場合は戸籍謄本)が必要です。
参照元 出入在留管理庁「知っておきたい!!在留管理制度あれこれ」 出入在留管理庁「住居地以外の在留カード記載事項の変更届出」
外国人は引っ越しをしたら、在留カードや特別永住者証明書の住所を変更しなくてはなりません。必要な届出を怠ると罰金や過料を科せられるほか、在留資格の申請に悪影響が出る恐れもあります。万が一、在留資格を失ったり更新できなかったりすれば、母国に帰国しなくてはなりません。そうなると、企業は雇用した貴重な人材を手放すことになります。そのため、雇用する外国人の引っ越し後の手続きを気に掛け、必要であれば手助けを行いましょう。