特定技能の14業種を解説!法務省の資料をもとに受け入れ状況も紹介

2022年07月07日
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濵川恭一 (監修)
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net

「若手の人材が確保できない」「人手不足解消のために外国人の雇用を考えている」という企業は多いのではないでしょうか。近年の日本は少子高齢化と労働人口減少によって、人手不足問題が深刻化しています。このコラムでは、特定技能外国人の受け入れが可能な14業種の概要を解説。また、それぞれの業種の受け入れ状況もまとめています。内容を参考にして、特定技能外国人の受け入れに踏み出しましょう。


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目次

  1. 特定技能とは
  2. 特定技能の14業種の概要と法務省発表の受け入れ人数
  3. 特定技能の14業種を巡る今後の動き
  4. まとめ

特定技能とは

在留資格「特定技能」は、2019年4月1日に出入国管理及び難民認定法(通称:入管法)の改正とともに新設されました。ここでは、在留資格「特定技能」の概要や創設された理由を紹介します。

人手不足の業界のために作られた在留資格

「特定技能」は、人手不足が深刻な業界のために創設された在留資格です。日本は少子高齢化にともなう労働人口の減少により、各業種で人手不足が深刻な状態にあります。生産性の向上や労働環境の改善などの取り組みを行ってはいるものの、国内の人材だけでは人手不足を補えない業種も存在するのが現状です。このような人手不足が顕著な分野(特定産業分野)で、一定の技能を有し即戦力となる外国人を受け入れやすくするために、特定技能の在留資格が生まれました。

特定技能の在留資格は、対象分野における一定の技能および基本的な日本語能力を試験で証明できれば取得できます。ほかの在留資格のように、高度な専門性や学歴は問われません。政府は2019年から2024年までの5年間で、345,150人の特定技能外国人の受け入れを計画しています。

技能実習からの移行も可能

技能実習で行っていた作業が特定技能の業種に当てはまる場合、在留資格を移行できます。

技能実習生は、人手不足が深刻な中小企業にとって重要な労働力です。とはいえ、技能実習の本質は発展途上国への技能の移転が目的であり、労働力の確保ではありません。そのため、最大5年の技能実習を修了した技能実習生は母国に帰国するのが決まりです。しかし、現在では技能実習修了後に特定技能の在留資格への移行が可能になったため、長期的に働けるようになりました。具体的には、5年間の技能実習修了後に特定技能の在留資格に移行した場合、さらに5年間日本での就労ができます。

技能実習2号を良好に修了した技能実習生は、特定技能の在留資格を得る際に受ける日本語試験の免除対象です。また、技能実習で行っていた作業と特定技能の在留資格のもと行う業務が一致する場合は、技能試験も免除されます。

特定技能には1号と2号がある

特定技能の在留資格は1号と2号があります。

特定技能1号は「一定の知識や経験を要する業務を行う外国人」が対象です。外国人がはじめに取るのは特定技能1号で、5年の在留期間があります。なお、現時点では在留期間の延長ができないため、5年経過後も日本で働くには、ほかの在留資格を得なければなりません。

特定技能2号は「熟練した技能を要する業務を行う外国人」が対象で、更新が許可された場合は無期限に在留ができます。また、特定技能1号ではできなかった家族の帯同も可能です。なお、対象になるのは造船・舶用工業と建設業の2業種のみです。ただし、「介護」を除くほかの業種でも、在留資格2号への移行が近年中に開始される見込みです。

特定技能については、「特定技能とはどのような在留資格?技能実習との違いや雇用の注意点を解説」のコラムも参考にしてください。

特定技能の14業種の概要と法務省発表の受け入れ人数

この項目では、特定技能の対象になっている14業種の概要や法務省が公表している2021年12月末時点の受け入れ人数、2024年までの受け入れ見込み人数を紹介します。政府が想定している見込み人数を超えると、入管法の規定で新規の受け入れは停止される決まりです。実際に「産業機械製造業」分野では、見込み人数を超過したため海外にいる外国人の新規受け入れは停止されました。ただし、今後の状況により受け入れ再開の措置が取られる場合もあります。

特定技能外国人の受け入れを検討する企業は、自社の業種であとどの程度の人数を受け入れられるのか確認してからにしましょう。

1.介護

介護分野では、外国人労働者の受け入れが積極的に進められています。主な業務は、介護施設での入浴や食事の介助、レクリエーションの実施などです。働きながら介護福祉士の国家資格を取得すると「介護」の在留資格への変更が可能になり、永続的に日本で就労ができます。

2021年12月末までの受け入れ人数は5,155人、2024年までの受け入れ見込み人数は6万人です。

2.ビルクリーニング業

ビルクリーニング業で行う業務は、ビルやホテルの玄関や廊下、トイレなどの清掃が該当します。特別な技能を必要としない分、賃金が低く人材が集まりにくい業種です。特に若者の採用が難しい傾向にあります。特定技能外国人は、業界にとって重要な戦力となるでしょう。

2024年までの見込み人数は37,000人ですが、2021年12月末までの受け入れ人数は650人に留まっています。

3.素形材産業

金属やプラスチック、ファインセラミックスなどの素材を加工し製品を製造します。多くの製品の基礎となる重要な業種ですが、需要の増加に人材の数が間に合っていない状況です。

2021年12月末までに3,066人の特定技能外国人が在留しており、2024年までに21,500人の受け入れを見込んでいます。

4.産業機械製造業

産業用の農業機械や工業用機械、木工機械などを製造する業種です。多くの産業を支える業種ですが、製造業は後継者不足により人材が集まりにくく、人手不足が深刻化しています。

産業機械製造業で働く特定技能外国人の人数は2022年2月末に5,400人となり、受け入れを見込んでいた5,250人を超過しました。そのため、海外からの特定技能外国人の新規受け入れが停止されています。なお、ほかの在留資格からの変更や在留期間の更新は引き続き可能です。

5.電気・電子情報関連産業

電気や電子部品の製造を行う産業です。IT化による生産率の向上が図られてはいるものの、電子自働車の普及による需要増の影響もあり、人手不足の状況が続いています。2021年12月末までで、2,371人の特定技能外国人を受け入れ済みです。政府は2024年までに4,700人に増やすことを見込んでいます。

6.建設

建設業分野は、労働環境が過酷というイメージが根強く人材が集まりにくい業界です。また、高齢化も進んでいるため、若い労働力を積極的に確保していくことが求められます。

政府は2024年までに40,000人の特定技能外国人の受け入れを見込んでいますが、2021年12月末時点での受け入れ人数は4,871人です。今後も十分受け入れの余地のある業界といえます。

7.造船・舶用工業

造船・舶用工業とは船を作る業種全般を指します。航路や天候の関係で、瀬戸内や九州地方周辺に企業が集中しているのが特徴です。地方は若者の都市部流出で労働力が確保しにくい傾向にあり、造船・舶用工業も人材不足の状態が続いています。1,458人の外国人を受け入れており、2024年までの見込み人数は13,000人です。

8.自動車整備

自動車の点検整備や分解整備を主に行う業種です。労働人口の減少のほか、昨今の自動車離れにともない整備業務に関心を持つ若者が減っているのも、人手不足の原因といわれています。

2024年までに7,000人の特定技能外国人の受け入れが見込まれており、2021年12月末時点では708人が在留している状況です。

9.航空

特定技能「航空」の分野は、「航空グランドハンドリング業務」と「航空機整備」業務からなります。航空グランドハンドリング業務とは、航空機の誘導や移動のほか、手荷物・貨物の取り扱い業務などのことです。2024年までの受け入れ見込みは2,200人ですが、2022年12月末時点では36人に留まっています。

10.宿泊

ホテルや旅館でのフロントや接客、レストランでのサービス提供を業務を行う業種です。2021年12月までに121人の特定技能外国人を受け入れています。2024年までの見込み人数は22,000人ですが、2020年からの新型コロナウイルス流行の影響で客足が伸びず、人材の受け入れをためらうホテルや旅館が多いようです。

11.農業

農業は、技能実習生や特定技能外国人を積極的に受け入れることで、少子高齢化による後継者不足をカバーしようとしている業種です。 2021年12月末までに6,232人の特定技能外国人を受け入れており、その多くは北海道や茨城県、千葉県など農業が盛んな都道府県に集中しています。2024年までには36,500人を受け入れる見込みです。なお、農業分野では農閑期を考慮し、派遣形態での特定技能外国人の雇用が許可されています。

12.漁業

特定技能「漁業」は「漁業」と「養殖業」に分かれています。2021年12月末では549人が在留しており、2024年までには9,000人を受け入れる見込みです。労働条件が悪いイメージや地方の過疎化の影響により、今後も人手不足が続くと予想されます。業界全体として、外国人労働者の受け入れ促進が急務といえるでしょう。漁業分野も季節によって閑散期があるため、特定技能外国人の派遣雇用が許可されています。

13.飲食料品製造業

飲食料品の製造や加工、安全衛生が主な業務です。製品の加工や選別をすべて機械化するのが難しく、人材不足の状況が続いています。飲食料品製造業分野で働く特定技能外国人は2021年12月末時点で18,099人と、特定技能14業種のなかで最も多い人数です。今後2024年までに34,000人の受け入れを見込んでいます。

14.外食業

特定技能「外食業」では、飲食物の調理や接客、店舗管理などが行えます。不規則な勤務形態や低賃金などの理由で人手不足が深刻な業種であり、特定技能外国人の雇用は重要な戦力になるでしょう。

2021年12月時点では1,985人の特定技能外国人が在留しており、2024年までに53,000人の受け入れを見込んでいます。

特定技能「外食業については「特定技能「外食業」はどのような在留資格?」のコラムで詳しく解説しています。

参照元
出入在留管理庁「特定技能1号在留外国人数(令和3年12月末現在)

特定技能の14業種を巡る今後の動き

現在定められている特定技能の14業種は、今後12業種に再編される見込みです。また、将来ほかの人材不足の業界が特定技能に追加される可能性もあるでしょう。

12業種に再編される方針が示されている

2022年4月26日に、特定技能の製造3分野(素形材産業分野、産業機械製造業分野、電気・電子情報関連産業分野)を統合することが閣議決定されました。これにより、特定技能14職種は12職種に再編されます。再編された理由は、1つの事業所が3分野それぞれで特定技能外国人を受け入れるケースが増えているためです。製造3分野を統合することで、事業所が受け入れの際に行う手続きの簡略化を狙っています。詳細は、今後の関係省令の施行とともに発表される予定です。

将来業種が追加される可能性もある

特定技能には、今後新たな業種が追加される可能性があります。追加の候補として挙がっている職種は「コンビニエンスストア」「トラック運転や配達荷物の仕分け」「廃棄物処理」です。

コンビニエンスストアは常に増え続けており、慢性的な人手不足に陥っています。しかし、特定技能外国人を受け入れる条件である正社員雇用がコスト的に難しいため、追加が見送られました。また、「トラック運転や配達荷物の仕分け」は、外国人が日本の複雑な交通ルールのもと大型トラックを運転する危険性を、「産業廃棄物処理」は健康被害を考慮し、それぞれ見送られています。

以上の3分野は追加検討中ではあるものの、さらに人材不足が進行し国内の人材だけでは足りないと判断されれば、特定技能に含められる可能性があるでしょう。

参照元
特定技能外国人人材制度(製造3分野)ポータルサイト
「製造3分野(素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業)の統合と今後の対応について

まとめ

特定技能は、法務省が人手不足が深刻で国内だけでは人材を確保できないと判断した業種です。14業種が定められていますが、今後は12職種に再編されます。また、新たな業種が追加される可能性も大いにあるでしょう。特定技能外国人の受け入れを検討する企業は、最新情報をチェックしておくのをおすすめします。