在留資格「特定活動」は就労不可?在留カードや指定書の確認方法を紹介

2023年02月02日
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濵川恭一 (監修)
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net

外国人雇用を検討する企業の採用担当者のなかには、在留資格「特定活動」を持つ外国人を雇っても良いのか知りたい方もいるでしょう。在留資格「特定活動」には既存の在留資格に該当しないさまざまな活動が許可されており、就労の可否は慎重に見極めなければなりません。
そこで、このコラムでは在留資格「特定活動」の種類や就労の可否の見分け方を紹介します。よくある疑問もQ&A形式で解決しているので、ぜひ参考にしてください。


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目次

  1. 「特定活動」とはどのような在留資格?
  2. 在留資格「特定活動」の種類
  3. 在留資格「特定活動」は就労不可?
  4. 就労不可の外国人を雇用したらどうなる?
  5. 在留資格「特定活動」に関するQ&A
  6. まとめ

「特定活動」とはどのような在留資格?

「特定活動」とはどのような在留資格?の画像

「特定活動」は、法務大臣が個別に外国人の活動を指定する特殊な在留資格です。昨今、従来の在留資格には当てはまらない活動を日本で行いたいと希望する外国人が増えてきています。しかし、在留資格をその都度作るわけにはいきません。そこで、日本政府は「特定活動」を設け、法務大臣の許可があれば今までの在留資格にはない活動をできるようにしたのです。

在留資格「特定活動」ができたことで、時代や世の中の流れに合わせた在留管理が可能になり、より外国人を受け入れやすくなったといえるでしょう。

在留資格「特定活動」については、「特定活動とはどのような在留資格?企業に向けて雇用時の注意点も解説」や「特定活動ビザの種類と外国人を雇用する際の注意点を解説」のコラムでも詳しくまとめています。

在留資格「特定活動」の種類

在留資格「特定活動」の種類の画像

在留資格「特定活動」には、大きく分けて3つの種類があります。それぞれできる活動や就労の可否が異なるので、よく内容をチェックしておきましょう。

出入国管理及び難民認定法に規定されている特定活動

「入国管理および難民認定法に規定されている特定活動」は、法務大臣の指定ではなく入管法により活動が定められています。種類は以下の3つです。

特定研究活動

日本の公私の機関で、高度な専門知識を必要とする特定の分野について研究を行う外国人に付与されます。また、研究指導や教育、関連する事業を経営する外国人も取得可能です。「特定の分野」にあらかじめ指定はなく、申請があった際にその都度審査されます。

特定情報処理活動

特定活動のうちの「特定情報処理活動」は、日本の公私の機関と契約し、自然科学や人文科学の分野で情報処理に係る業務を行う外国人に付与されます。自然科学は「医学」「工学」「化学」などの分野、人文科学は「経済」「政治」「歴史」などの分野のことです。

特定研究等家族滞在活動/特定情報処理家族滞在活動

上記で説明した「特定研究活動」および「特定情報処理活動」で活動する外国人の、扶養家族に許可される在留資格です。具体的には、配偶者と子どもが該当します。また、外国人本人もしくは配偶者の父母も、一定の条件を満たせば取得可能です。

告示特定活動

法務大臣があらかじめ内容を指定して許可しているのが「告示特定活動」です。随時追加・削除がされており、2023年1月時点では50号まであります。以下では、外国人を雇用する企業に関連のある種類を解説しているので、参考にしてください。

ワーキングホリデー

外国で一定期間の休暇を過ごす活動、およびその間の滞在資金を得るための活動を「ワーキングホリデー」といいます。ワーキングホリデーに関する協定を結んでいる国から来日する外国人は、所定の手続きを取れば在留資格「特定活動」を取得可能です。ただし、年齢や健康状態などの条件を満たしている必要があります。

ワーキングホリデーで来日している外国人は、就労に制限がないため雇用しても問題ありません。正社員雇用も可能ですが、滞在期間が最長で1年と決まっているため、アルバイト雇用になるケースがほとんどです。

インターンシップ

報酬のあるインターンシップを行う場合は、特定活動の在留資格で外国人学生を招へいできます。期間は1年で、更新申請が許可されれば最長で2年の在留が可能です。なお、報酬なしのインターンシップの場合、90日以内であれば「短期滞在」、90日以上1年以内であれば「文化活動」の在留資格が必要になります。

4年制大学又は大学院の卒業生でN1以上の日本語力を有する者

「特定活動46号」と呼ばれている在留資格です。日本の大学や大学院で得た知識・能力と高い日本語能力を活用することを条件に、さまざまな業務への従事が許可されます。「N1」とは日本語能力試験(JLPT)の最上レベルを指しており、ネイティブに近い高度な日本語能力がなくては取得できません。従事できる業務は、「タクシードライバー」「製造工場での技能実習生指導業務」「宿泊施設での通訳業務」などです。日本の教育機関を卒業した外国人の雇用の受け皿として、注目されています。

告示外特定活動

事前に告示されていないものの、法務大臣が今まで在留資格「特定活動」で認めてきた活動は告示外特定活動に該当します。告示外特定活動に当てはまる例は、以下のとおりです。

高齢の父もしくは母の呼び寄せ

ほとんどの在留資格では、親の呼び寄せは許可されていません。しかし、「高齢」「親族が本国にいない」など人道的に必要と判断された場合に限り、特定活動の在留資格で呼び寄せられる場合があります。

大学や専門学校を卒業後も継続して行う就職活動

大学や専門学校を卒業したら、「留学」の在留資格は失効します。しかし、在外中に就職先が決まらなかった外国人留学生が継続して就職活動を行う場合は、「特定活動」の在留資格に変更すれば引き続き日本に在留可能です。ただし、在留期限は最長で1年なので、その間に就職先を見つける必要があります。

帰宅困難者/雇用維持支援

2020年に新型コロナウイルスの感染が拡大した際、海外への出国が制限されて母国に帰れなくなる外国人が続出しました。また、新型コロナウイルスの影響による勤め先の倒産や人員整理で、失業してしまった外国人も多くいます。そのような外国人を救済するために、政府は在留資格「特定活動」を許可し、有していた在留資格の期限が切れたあとも日本に在留できる措置を取りました。
帰宅困難や雇用維持のために在留資格「特定活動」を許可された外国人の例は、以下のとおりです。

・技能実習生
・「特定技能」の在留資格のもと在留していたしていた外国人
・「技術・人文知識・国際業務」や「技能」など、就労に係る在留資格のもと在留していた外国人
・教育機関で所定の課程を修了したが帰国が困難になった留学生

在留資格「特定活動」が許可されるのは、それまで持っていた在留資格の期限が2022年11月1日までに切れる外国人に限られます。なお、新型コロナウイルスによる影響が少なくなってきていることから、今後は徐々に帰国に向けた措置に切り替えられていく見込みです。

参照元
出入国在留管理庁「在留資格「特定活動」」
出入国在留管理庁「新型コロナウイルス感染症の影響により実習が継続困難となった技能実習生等に対する雇用維持支援

在留資格「特定活動」は就労不可?

在留資格「特定活動」は就労不可?の画像

在留資格「特定活動」には、就労不可の種類と就労が許可されている種類があります。採用しようとしている外国人がどちらに該当するかは、在留カードや指定書を見て確認しましょう。

種類によって就労の可否は異なる

前述したとおり、在留資格「特定活動」には多くの種類があります。それぞれ許可されている活動が異なり、どのような仕事も従事可能なものや仕事内容の指定があるもの、就労事態が不可のものとさまざまです。たとえば、「37号:情報処理技術者」や「42号:製造業外国従業員」を持っている外国人は、定められた活動内であれば仕事に就けます。一方、「25号:医療・入院」や「40号:観光・保養」の場合は、就労そのものが不可です。

在留資格「特定活動」を持つ外国人を雇用する際は、どの種類を持っているかをしっかり確認しなくてはなりません。

在留カードおよび指定書の確認方法

外国人の在留資格の種類を確認する際は、在留カードおよび指定書を確認するようにしましょう。

在留カードの画像

引用:出入国在留管理庁「在留カードとは?

在留カードの表面の在留資格欄に「特定活動」とあったら、就労制限の有無欄を確認します。就労制限の欄に、「特定活動指定書により指定された就労活動のみ可」もしくは「在留資格に基づく就労活動のみ可」とあれば、就労できる可能性があります。ただし、自社の業務が行えるかはこの時点では判断できません。

在留カードの次は、外国人の指定書を確認します。指定書は、在留資格「特定活動」のもと許可されている活動が記載されている書類です。通常は、外国人のパスポートの内ページに貼付されています。指定書を確認し、外国人が許可されている活動内容と自社で行う予定の業務が当てはまれば、雇用可能です。

在留資格「特定活動」の指定書については「特定活動の指定書の見方とは?雇用時の注意点とともに解説」のコラムで詳しく解説しています。

就労不可の外国人を雇用したらどうなる?

就労不可の外国人を雇用したらどうなる?の画像

在留カードや指定書の内容をよく確認しないまま就労不可の外国人を雇用すると、不法就労助長罪に問われる可能性があります。故意でなかったとしても、刑罰の重さは変わりません。雇用主は3年以下の懲役か300万円以下の罰金、もしくはその両方を科せられます。外国人の不法就労を許していたコンプライアンス意識の低い企業として、イメージの低下にも繋がるでしょう。企業の信用・信頼を保つためにも、外国人雇用の際は入念に確認を行うべきです。

在留資格「特定活動」に関するQ&A

在留資格「特定活動」に関するQ&Aの画像

ここでは、在留資格「特定活動」に関するよくある疑問を、Q&A形式でまとめています。

在留資格「特定活動」はアルバイトしても良い?

外国人が持っている在留資格「特定活動」の種類が就労不可の場合でも、アルバイトならできる可能性があります。在留カード裏面の資格外活動許可欄に「許可(原則28時間以内・風俗営業等の従事を除く)」もしくは「許可(資格外活動許可書に記載された範囲内の活動)」とあれば、アルバイト就労が可能です。外国人アルバイトを雇用する際は、在留カードの裏面もしっかり確認するようにしましょう。

在留資格「特定活動」の取得方法は?

外国人が在留資格「特定活動」を取得する際は、「在留資格認定証明書交付申請」もしくは「在留資格変更許可」申請のどちらかが必要です。
「在留資格認定証明書交付申請」は、あらたに在留資格を取得する外国人が行います。日本国内でしか手続きできないため、外国人が海外にいる場合は就業予定の企業の担当者や親族、行政書士などが代理で申請するのが一般的です。
「在留資格変更許可申請」は、すでに何らかの在留資格を持っている外国人が種類を変更するために行います。

在留資格「特定活動」は何年在留できる?

在留資格「特定活動」の在留期限は、5年・3年・1年・6ヶ月・3ヶ月または5年を超えない範囲で法務大臣が個々に指定する期間と定められています。種類によっては、「在留期間更新許可申請」が許可されれば引き続き在留が可能です。ただし、あらかじめ在留できる期間が定められており、延長できない種類も少なくありません。

まとめ

在留資格「特定活動」は就労不可?在留カードや指定書の確認方法を紹介のまとめの画像

在留資格「特定活動」は、さまざまな種類の活動内容が含まれているのが特徴です。認められている活動内容によっては就労不可の場合もあるので、企業は在留カードや指定書をよく確認して雇用可否を判断しなければなりません。誤って就労できない人材を雇用すると不法就労助長罪に問われ、懲役や罰金を受けることになります。安定した企業経営を行うためにも、外国人雇用の際は問題や不備がないか丁寧にチェックしましょう。