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「雇用している外国人が帰化を希望している」という企業の方もいるでしょう。帰化申請には膨大な書類が必要で、審査が終わるまでかなりの期間を要します。
このコラムでは、帰化許可申請を行う際に必要な書類を解説。帰化をするための条件や手続きの流れも紹介しています。雇用する外国人が帰化申請をする際にサポートできるよう、必要書類や手続きの流れを把握しておきましょう。
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目次
帰化とは、現在の国籍を放棄または離脱して他国の国籍を取得することです。日本に帰化をするには、法務大臣の許可を得なければなりません。法務省によると、2020年に日本国籍を取得したのは772人でした。過去10年を見ても、毎年1000人前後の人が日本国籍を取得しています。
参照元 法務省 帰化許可申請者数等の推移
帰化の条件は、国籍法によって定められています。帰化するには住所や能力、素行、生計など数多くの条件があり、すべての条件を満たしても必ず帰化できるとは限りません。ここでは、帰化の条件について詳しく解説します。
帰化の申請をするときまで、継続して5年以上日本に住んでいなければなりません。また、正当な在留資格を有していることも条件です。
年齢が20歳以上であり、かつ国籍のある国の法律で成人の年齢に達していることが条件です。なお、2022年4月1日以降は、年齢が「20歳以上」から「18歳以上」に変更されます。
素行が善良であることが条件です。犯罪歴の有無や納税状況、反社会的な行動が無いかなどを総合的判断されます。
自身または生計同一の配偶者および親族が、収入や資産によって日本で安定した生活を送れるかを判断されます。生計を一つにする親族単位で判断されるため、申請者自身に収入がなくても配偶者やそのほかの親族の資産や技能によって、安定した生活を送ることができれば問題ありません。
帰化する人は無国籍である、または帰化によってそれまでの国籍を喪失するのが条件です。ただし、本人の意思で元の国籍を喪失できない場合は、当条件をクリアしていなくても帰化の許可が下りることがあります。
日本国憲法や日本国政府を、暴力で破壊することを主張したり企てたりする人は帰化が許可されません。なお、左記を行おうとする団体を結成、または加入したことがないことも条件です。
前述したとおり、帰化の条件は国籍法によって定められていますが、中には条件が免除されるケースがあります。
住所条件が免除されるケースは、以下のとおりです。
上記の外国人については、住所条件が免除されます。
住所条件と能力条件が免除されるケースは、以下のとおりです。
上記の外国人については、住所条件と能力条件が免除され帰化が許可される場合があります。
住所条件と能力条件および生計条件が免除されるケースは、以下のとおりです。
上記の外国人については、住所条件と能力条件および生計条件が免除され、帰化の許可が下りる場合があります。
「帰化とは一体何か?永住者ビザとの違いや申請方法を解説」や「帰化とは?外国人を雇用する企業にわかりやすく解説!条件や申請方法も紹介」では、制度の概要から申請のメリット・要件・手続き方法に至るまで幅広く解説しています。永住者との相違点や帰化申請の必要書類なども一覧にまとめていますので、帰化申請の検討時にご活用ください。
帰化許可申請を行う際は、以下の書類が必要となります。ただし、申請者の国籍や身分関係、職業などによって必要書類は異なるため、申請を行う法務局または地方法務局に相談するのがおすすめです。
・帰化許可申請書
申請を行う法務局または地方法務局で入手可能です。申請日から6カ月前以内に撮影した5cm×5cmの写真を貼って提出します。
・親族の概要を記載した書類
帰化申請をする人の親族を、外国在住と日本在住に用紙を分けて記載します。記載するのは、同居の親族や両親(養親を含む)、配偶者(婚約者を含む)、子(養子を含む)、 兄弟姉妹、配偶者の両親、離婚した夫または妻、内縁の夫または妻などです。すでに亡くなっている親族も記載します。
・帰化の動機書
自筆で帰化を希望する理由や日本に来た経緯、生い立ち、現在の生活状況などを書きます。帰化の動機書は、日本語で書かなければなりません。
・履歴書
就職活動のときに使用する履歴書の書式とは異なり、生まれてから現在までの居住暦や学歴・職歴、身分関係、出入国歴、技能資格、賞罰などを記載します。
・生計の概要を記載した書類
生計を同一とする家族全員の収入や支出、負債、不動産、預貯金、株券などを記載します。
・事業の概要を記載した書類
帰化申請者または申請者の生計を維持する人が、個人事業主や会社役員である場合に提出が必要です。会社の所在や開業年月日、経営者、営業内容、営業資本、従業員数、売上、負債、取引先などを記載します。なお、書類は1社につき1枚必要です。
・住民票の写し
本人と同居者全員、配偶者の住民票写しが必要です。なお、氏名(通称名を含む)や生年月日、性別、国籍、在留資格、在留期間、在留期間の満了日、在留カード等の番号(特別永住者証明書番号を含む)などの記載が必要となります。
・国籍を証明する書類
国籍証明書や本国の戸籍謄本、パスポートのコピーなどを提出します。
・親族関係を証明する書類
親族関係を証明する書類は、国籍によって異なります。韓国の場合は家族関係証明書や基本証明書、中国の場合は出生公証書や親族関係公証書、ベトナムの場合は出生証明書や婚姻証明書などです。
・納税を証明する書類
個人の場合、源泉徴収票や納税証明書、確定申告書等です。経営者の場合、個人の書類に加えて、決算報告書、許認可等のコピーなどが必要となります。
・収入を証明する書類
帰化申請者と16歳以上の同居者の所得証明書(非課税証明書)が必要です。
帰化許可申請の手続きの流れは、以下のとおりです。
1.住所地を管轄する法務局か地方法務局に事前相談をする
帰化許可申請を行う際、まずは住所地を管轄する法務局か地方法務局で事前相談を行います。申請者の国籍や身分関係、職業などによって必要書類が異なるためです。
2.事前相談を行った管轄の法務局で書類をチェックしてもらう
必要書類が準備できたら、事前相談を行った管轄の法務局でチェックをしてもらいます。帰化許可申請を行う際に添付する書類は100枚以上になることもあるので、添付漏れや記載漏れがないよう事前に確認してもらうのです。
3.法務局へ帰化許可申請に関する書類を提出する
帰化許可申請に関する書類一式を法務局へ提出します。
4.法務局で面接を行う
帰化許可申請に関する書類を提出してから約3カ月後に、法務局で面接が行われます。面接で質問される内容などは公表されていません。面接にかかる時間も人によって異なります。
5.法務省による審査が行われる
面接後は関係資料が法務省へ回され、法務省での審査が行われます。帰化許可申請をしてから審査が終わるまでにかかる期間は、半年から1年前後が一般的です。
6.帰化の許可または不許可が決定される
日本政府が発行している新聞(官報)に帰化者の氏名が掲載されます。一般的に官報掲載から2週間ほど経ってから法務局から連絡があり、帰化届の提出についての説明などを受けるのです。
もし、帰化が不許可となった場合は不許可通知が届きます。その後、住所地の市区町村役場で帰化届を提出することにより、戸籍謄本が作成されます。
官報の概要や帰化の告示が官報に掲載されたあとに行うべき手続きについては、「帰化の許可が官報に載ったあとはどうする?外国人を雇用する企業に向け解説」で確認できます。雇用する外国人が帰化申請をする際の参考にしてください。
帰化申請には、膨大な量の関係書類が必要です。また、帰化許可申請の手続きから審査が終わるまで、かなりの期間を要します。雇用する外国人やその家族が帰化申請を行う際にスムーズなサポートができるよう、必要書類や手続きの流れを把握しておきましょう。