配偶者ビザを外国人が申請するメリットとは?雇用企業が確認すべき点も解説

2022年05月18日
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濵川恭一 (監修)
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net

外国人労働者が配偶者ビザへ切り替える際に、「何に注意すれば良いのか」「サポートできることはあるのか」と気になる企業は多いでしょう。そこで、このコラムでは配偶者ビザを持つ外国人を雇用するうえで、企業が注意すべき点を解説します。また、外国人がどのような流れで配偶者ビザを取得するのかも紹介。企業が配偶者ビザを持つ外国人を雇用するメリットもまとめているので、参考にご覧ください。


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目次

  1. 配偶者ビザとは
  2. 配偶者ビザを持つ外国人を雇用する企業が注意すべき点
  3. 配偶者ビザを取得する流れ
  4. 日本人と婚姻して3年以上経過すると永住許可申請が可能
  5. まとめ

配偶者ビザとは

配偶者ビザは、正式には在留資格「日本人の配偶者等」といい、日本人と結婚した外国人やその実子が取得可能です。なお、一般的には配偶者ビザと呼ばれているため、このコラムでも同じように呼称します。配偶者ビザを申請するには日本と相手国の双方で法律婚が成立し、同居(同居予定含む)していること等が条件です。外国人労働者が配偶者ビザへ切り替えを行うと、就労制限がなくなり幅広い仕事を任せられるようになります。現在の外国人労働者の在留資格にもよりますが、外国人労働者が配偶者ビザを取得するのは雇用企業にとってメリットといえるでしょう。

配偶者ビザを持つ外国人を雇用する企業が注意すべき点

外国人労働者が配偶者ビザを取得すると、社会保険の手続きや福利厚生の付与が必要になる可能性があります。企業は外国人労働者の扶養状況を確認したり行使できる権利を明示したりして、外国人労働者のサポートを行いましょう。

日本人と同じように結婚に関する福利厚生を与える

外国人労働者が結婚した場合、日本人の社員と同じように就業規則に則って婚姻休暇や祝い金といった福利厚生を付与しましょう。国籍の違いを理由に福利厚生や労働条件を変更してはいけません。外国人労働者が制度を知らなかったり忘れていたりする可能性を考慮して、婚姻した際に改めて結婚に関する福利厚生の説明を行うと親切です。

長期休暇の申請について認識をすり合わせる

挙式や新婚旅行のために特別休暇を与えていたり、有給休暇の取得を推奨していたりする企業は、外国人労働者にいつ長期休暇を取得するか確認しましょう。外国人労働者のなかには日本の休暇制度に馴染みがなく、どのように取得するのか分からない人もいます。有給休暇の残り日数や申請方法を明示し、スムーズに申請できるようサポートしましょう。また、繁忙期や年度初めなど、できるだけ長期休暇の取得を避けてほしい時期も共有しておくと、トラブルに発展する可能性が低くなります。

扶養について確認する

外国人が配偶者ビザを取得したことによって日本人配偶者の被扶養者になるのか、もしくは相手を扶養に入れるのかは必ずチェックしましょう。国籍を問わず日本に住む人々は社会保険や国民健康保険への加入が必要です。契約社員やパート・アルバイトといった雇用形態で働く外国人労働者が配偶者ビザを取得し配偶者の扶養に入る場合、年収に制限が掛けられます。一定の年収を超えると外国人労働者が配偶者の扶養から外れてしまうので、企業はあらかじめその旨を周知しておきましょう。また、外国人労働者が配偶者を扶養に入れる場合、企業への申告や社会保険の加入手続きが必要になるため、本人に早めに確認を取るのが賢明です。

配偶者ビザを取得する流れ

外国人労働者が配偶者ビザを新たに取得する際は、本人が在留資格変更許可申請を行います。ただし、企業が用意する書類や配慮すべき事項もあるので、雇用主側も配偶者ビザを取得するまでの流れを把握しておいた方が良いでしょう。ここでは、配偶者ビザの取得に掛かる期間や必要書類などを紹介します。外国人労働者に対して適切なサポートを行えるよう、流れを把握しておきましょう。

1.日本人と婚姻関係を結ぶ

先述したように配偶者ビザの申請は、日本人と外国人が正式な婚姻関係を結んでいる必要があります。たとえば、事実婚の夫婦であっても婚姻届を出していない場合、配偶者ビザの申請は認められません。なお、女性の場合は妊娠・出産などの関係で再婚禁止期間が設けられています。日本では、離婚から100日以上経過していないと再婚が認められないので注意しましょう。

2.在留資格の申請を行う

結婚相手と同居し婚姻届を役所に提出したら、在留資格「日本人の配偶者等」の申請が可能になります。昨今では配偶者ビザを悪用する外国人もいるため、年齢差が大きい場合や交際期間が短い場合、ビザ取得を目的とした偽装結婚ではないか厳正な審査が行われます特に偽装結婚が多い国籍の外国人の申請は、厳しくなる傾向にあります。また、夫婦で生活するのに十分な経済力があるのかも重要な審査項目です。夫婦のいずれか、または両方に一定の収入や財産があるかもチェックされます。必要書類を用意して不備がないかチェックし、スムーズに申請を行えるよう準備を整えましょう。

必要書類

日本で働く外国人労働者が在留資格「日本人の配偶者等」を申請する際、必要な書類は以下のとおりです。

  • 在留資格変更許可申請書
  • 証明写真(縦4cm×横3cm)
  • 日本人の配偶者の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 申請人の国籍国の機関から発行された結婚証明書とその和訳
  • 日本での滞在費を証明する資料
  • 身元保証書(身元保証人は日本人の配偶者)
  • 日本人の配偶者の住民票(世帯全員の記載があるもの)
  • 質問書
  • スナップ写真(夫婦で写っているもの2~3枚)

上記の必要書類のほか、在留資格変更許可申請を行う際にパスポートと在留カードの提示が必要です。日本での滞在費用を証明する資料は、外国人の滞在費用を支弁する人の直近1年分の住民税の課税証明書および納税証明書を用意しましょう。用意が難しい場合は、預金通帳の写しや採用内定通知書などでも構いません。質問書は日本語版のほかに英語や中国語、ベトナム語のテンプレートも用意されています。出入国在留管理庁のWebサイトからダウンロードし、利用しましょう。また、スナップ写真は無加工で容姿がはっきりと確認できるものであれば問題ありません。

配偶者ビザを申請する際の必要書類は?手続きについても解説!」は、各必要書類の要件や注意事項をまとめたコラムです。合わせてチェックしておきましょう。

配偶者ビザの取得に掛かる期間

在留資格変更許可申請で配偶者ビザを取得するには、平均で1~3ヶ月程度掛かります。ただし、申請を行う時期によってはさらに審査に時間を要するでしょう。必要書類に不備や不足があると、申請が許可されず再申請も通りにくくなります。スムーズに配偶者ビザを取得するためにも、入念な準備と余裕を持った提出が大切です。

配偶者ビザの取得費用

在留資格の変更が許可された場合、手数料として4,000円を収入印紙で納付します。また、配偶者ビザの申請書類の作成を行政書士に依頼する際は、依頼料も必要です。依頼料は作成してもらう書類の種類や枚数、行政書士事務所の料金設定などによって異なります。外国人労働者自身で配偶者ビザの必要書類をすべて用意すれば費用を安く抑えられますが、書類に不備が見つかり再申請になることもあるでしょう。一方、行政書士に依頼すれば費用が掛かるものの、申請がスムーズに進むよう書類を用意してくれます。外国人労働者が配偶者ビザの申請に必要な書類の用意に悩んでいるときは、行政書士を頼ることを一つの方法として提案してみましょう。

参照元
出入国在留管理庁「在留資格変更許可申請(日本人の配偶者)

配偶者ビザにも在留期間更新許可申請が必要

ほかの在留資格と同じように「日本人の配偶者等」にも在留期間が定められているため、満了する前に更新が必要です。在留期間を過ぎた外国人は、母国への帰国を余儀なくされます。なお、外国人が在留期間が過ぎたあとも日本で働いていた場合、企業は不法就労助長罪に問われるので注意しましょう。

必要書類

配偶者ビザの更新に必要な書類は以下のとおりです。

  • 在留期間更新許可申請書
  • 証明写真(縦4cm×横3cm)
  • 日本人の配偶者の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 日本での滞在費用を証明する資料(扶養者の住民税課税・納税証明書など)
  • 身元保証書(身元保証人は日本に居住する配偶者)
  • 日本人の配偶者の住民票

配偶者ビザの更新の申請は、在留期間が満了する日の約3ヶ月前から行えます。在留期間が過ぎて帰国を迫られないよう、早めに必要書類を用意して申請しましょう。企業も外国人の在留更新の時期を把握しておくことで、不法就労や更新忘れを防止できます。

配偶者ビザの更新間隔

配偶者ビザの在留期間は1年、3年、5年のいずれかが付与されます。そのため、付与されている在留期間が満了する前に在留期間の更新を行えば問題ありません。基本的に、初めて配偶者ビザを取得した年の在留期間は1年です。その後の更新の審査で問題がなければ3年、5年と在留期間が延長されます。婚姻期間や子供の有無、収入や生活状況が審査に影響するため、婚姻期間が長くなったり、一定以上の収入があったりすると、在留期間が長めに許可される傾向にあります。企業は外国人労働者が配偶者ビザを更新したら、在留期間が何年か確認しましょう。

参照元
出入国在留管理庁「在留期間更新許可申請(日本人の配偶者)

日本人と婚姻して3年以上経過すると永住許可申請が可能

外国人労働者が配偶者ビザを取得して3年以上経つと、永住許可申請を行えます。また、日本人と婚姻して3年以上経過し、直近1年以上日本に住んでいれば、今持っているビザの種類に関係なく永住許可申請ができます。永住許可申請の審査は厳しいですが、許可が下りれば日本人と同じようにさまざまな権利を得られるのが特徴です。外国人労働者が永住許可申請を希望するようであれば、企業はできる限りの支援を行いましょう。

最短3年で永住許可申請が可能

日本人と結婚している外国人は婚姻後最短3年で永住許可申請が可能です。永住許可申請にはいくつか要件があり、その中に最長期間の滞在が認められた在留資格を持っていることが挙げられます。配偶者ビザの最長の在留期間は5年ですが、永住許可に関するガイドラインによると当面の間は3年でも同等の扱いとなります。今後取り決めが変わる可能性もあるので、申請前にガイドラインをチェックしましょう。永住許可申請はほかの在留資格の申請に比べて必要書類が多く、審査にも時間が掛かります。申請から結果が出るまでおよそ6~10ヶ月ほど掛かるため、余裕を持って手続きをしましょう。詳細は「在留資格『日本人の配偶者等』から永住権を取得するには?要件を解説」のコラムでご確認ください。

永住許可申請の要件は厳しい

永住許可申請は審査だけでなく要件も厳しいです。以下の要件を満たした外国人のみ、永住許可申請を行えます。

  • 素行が善良であること
  • 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
  • その者の永住が日本国の利益に合すると認められること

10年以上日本に在留しており、その内5年は「技能実習」や「特定技能1号」以外の就労資格や居住資格を有する外国人は、日本の利益になると認められます。罰金刑や懲役刑を受けていない、公的義務を果たしているといったことも要件に含まれるため注意しましょう。詳しい要件や提出書類は、出入国在留管理庁のWebサイトで確認してください。なお、配偶者ビザを持つ外国人は「原則10年在留に関する特例」が適用されます。実態を伴った婚姻生活が3年以上継続し、1年以上日本に在留していれば永住許可申請が可能です。

外国人が永住許可申請を行うメリット

外国人が永住許可申請を行い日本への永住が認められると、在留期間が無期になり在留資格を更新する必要がなくなります。在留資格の更新を忘れて帰国を余儀なくされたり不法就労になったりする恐れがないので、雇用企業にとってもメリットといえるでしょう。なお、在留カードの更新は永住が許可されたあとも必要です。ほかにも永住許可が下りたことで日本人と同等の社会的信用を得られるようになり、住宅や車のローンを組めるといったメリットがあります。配偶者ビザを取得した外国人が永住許可申請を行う際、企業は必要書類の用意や手続きのフォローを行いましょう。

参照元
出入国在留管理庁「永住許可申請1」
出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン(令和元年5月31日改定)

まとめ

配偶者ビザは外国人が結婚し、中長期に渡って日本に滞在する際に取得可能です。就労制限がなくなり幅広い仕事を任せられるようになりますが、近年ビザ取得を目的とした偽装結婚が多いため審査が厳しい傾向にあります。外国人労働者がスムーズに配偶者ビザを取得できるよう、企業側も在留資格の取得・変更・更新に関する知識を身につけ、手続きのフォローを行いましょう。確実に配偶者ビザを取得してもらうため、行政書士といった専門家に頼るのも一つの方法です。