在留カードに記載されている項目とは?企業向けに確認すべきポイントを解説

2022年05月19日
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濵川恭一 (監修)
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net

外国人雇用を行う企業は、不法就労を防止するために在留カードを確認する必要があります。しかし、初めて外国人雇用を行う企業の場合、何をチェックすればいいのか分からず戸惑うことがあるでしょう。そこで、このコラムでは企業が在留カードで確認すべき項目を解説します。確認不足で不法就労者を雇用して罪に問われないよう、在留カードの見方を把握しておきましょう。


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目次

  1. 在留カードとは
  2. 在留カードに記載されている在留資格の種類
  3. 外国人を雇用する際に在留カードで確認する項目
  4. 在留カードの確認は不法就労の防止に有効
  5. まとめ

在留カードとは

在留カードは、日本に中長期にわたって在留する外国人に交付される身分証明書です。日本への上陸許可や在留資格の種類、在留期間などが記載されています。偽造防止のためにICチップが組み込まれており、在留カードの表面の右下には出入国在留管理庁長官の角印が押されているのが特徴です。

在留カードに記載される項目

在留カードには表面と裏面があり、それぞれ記載されている項目が異なります。カードの表面にある項目は以下のとおりです。

  • 在留カード番号

  • 氏名

  • 生年月日

  • 国籍・地域

  • 住居地

  • 在留資格

  • 在留期間(満了日)

  • 就労制限の有無

  • 顔写真(16歳以上の場合のみ)

  • 許可の種類

  • 許可年月日

  • 交付年月日

  • 有効期限

外国人のなかには、偽造した在留カードを用いて日本で不法就労を働く人もいます。在留期間や有効期限が全角で統一されていなかったり右下にある角印が不自然なほどきれいに押されていたりする場合は、偽造在留カードの可能性が高いので注意しましょう。上記の項目とも照らし合わせて確認することで、不法就労者を雇用するリスクを下げられます。なお、在留カードの裏面にも重要な情報が記載されているので、あわせて確認しましょう。記載項目は以下のとおりです。

  • 住居地記載欄(住所変更がある場合)

  • 資格外活動許可欄

  • 在留期間更新等許可申請欄

裏面には、表面に記載された住所から引越したときに新しい住居地に変更した旨が記載される欄があります。ほかにも、資格外活動許可の有無や在留期間や在留資格の変更・更新の申請を行っているか確認できる欄があるので、忘れずに確認するのが大切です。

在留カードの有効期限

在留期間が無期限の外国人でも在留カードの更新は必須です。在留カードには有効期限があり、一定の期間ごとに更新する必要があります。永住者や高度専門職2号に該当する16歳以上の外国人は、交付日から7年が有効期限です。また、ほかの在留資格を持つ16歳以上の外国人は在留期間の満了日が有効期限になります。

在留カードの携帯は義務

在留カードを交付されている外国人には常時携帯義務があり、怠った場合には20万円以下の罰金が科せられます。また、警察官や入国審査官などから提示を求められた際に応じないと、1年以下の懲役か20万円以下の罰金が科せられるでしょう。
在留カードを携帯していなくても、パスポートがあれば問題ないと考える外国人は少なくありませんが、携帯義務を果たしていないため処罰の対象となります。在留資格の手続きのために一時的に手元にない場合は、各法令内の範囲内であれば問題ありません。ただし、トラブルを防ぐためにコピーを携帯しておくのが賢明です。紛失・盗難などの理由で在留カードを携帯できない場合は、速やかに警察に届け出たのち、再交付申請を行いましょう。

参照元
出入国在留管理庁
「「在留カード」はどういうカード?」
「紛失等による在留カードの再交付申請

在留カードに記載されている在留資格の種類

2022年5月時点で在留資格は29種類あります。ここでは在留カードに記載されている在留資格の種類について、該当例や日本で行える活動内容とあわせて解説するので、外国人雇用の参考にご覧ください。

就労可能な在留資格

ここでは在留資格29種類のうち、19種類ある就労可能な在留資格について紹介します。日本での就労が認められるのは、就労に関する資格や身分に基づく在留資格のみです。また、在留資格「特定活動」は指定書によって活動内容が定められているため、場合によっては一定の範囲内で就労できます。

外交

国際慣行や条約などを理由に外交使節と同等の特権や免除を受ける外国人は、在留資格「外交」を取得できます。該当例としては、外国政府の大使や公使、総領事、代表団構成員やその家族です。

公用

日本国政府の承認した外国政府や国際機関の業務に従事する外国人は、在留資格「公用」を取得できます。該当するのは外国政府の大使館・領事館の職員や国際機関から公務のために派遣される人、在留資格を取得する外国人と世帯を同一とする家族です。

教授

日本の大学や高等専門学校で研究や指導を行う外国人は、在留資格「教授」に該当します。大学教授や助教授といった職種に就く場合に該当するでしょう。

芸術

収入を伴う芸術活動を行う外国人は、在留資格「芸術」に該当します。著述家や画家、作曲家などが該当する職種です。

宗教

宗教上の活動を行うために来日する外国人は、在留資格「宗教」を取得します。宣教師や修道士といった職種が該当するでしょう。

報道

外国の報道機関との契約によって日本を訪れる外国人は、在留資格「報道」に該当します。外国の報道機関に勤めるカメラマンや記者といった職種の外国人が、取得可能な在留資格です。

高度専門職

法務省令で定められた基準のもと、高度な専門性を活かして業務に従事する外国人は、在留資格「高度専門職」を取得可能です。日本の発展に寄与するような自然科学や人文科学、経営、研究といった業務に従事する職種が該当します。

経営・経理

企業経営や事業管理を行う外国人は、在留資格「経営・管理」を取得します。なお、法律上資格がなければ行えない経営・管理業務には従事できません。

法律・会計業務

弁護士や公認会計士などの資格を持って日本で働く外国人は、在留資格「法律・会計業務」を取得できます。この在留資格を取得できるのは、独占資格を持ち法律または会計に関わる業務を行う外国人のみです。

医療

医師免許や看護師免許を持ち、医療に係る業務を行う外国人は、在留資格「医療」に該当します。該当する職種は医師や歯科医師、看護師などです。

研究

日本の公的機関や私的機関との契約に基づき研究業務に従事する外国人は、在留資格「研究」に該当します。該当する職種は、在留資格「教授」に当てはまらない研究者です。

教育

日本の小中学校や高等学校など、各教育機関において語学やそのほかの科目の教育を行う外国人は、在留資格「教育」を取得します。語学教師や外国語指導助手(ALT)などが該当する職種です。

技術・人文知識・国際業務

日本で自然科学や人文科学、国際業務の技術や知識を要する業務に従事する外国人は、在留資格「技術・人文知識・国際業務」を取得します。該当する職種は幅広く、エンジニアやデザイナー、営業、通訳などです。

企業内転勤

日本に本店や支店、関連会社を持つ外国企業から外国人が転勤してくる際は、在留資格「企業内転勤」に該当します。在留資格「技術・人文知識・国際業務」と同じ業務に従事可能です。

介護

日本で介護福祉士資格を持つ外国人が介護業務や介護技術の指導業務に従事する場合、在留資格「介護」に該当します。

興行

演劇やスポーツといった興行に係る活動や芸能活動を行う外国人は、在留資格「興行」に該当します。該当する職種は歌手やプロスポーツ選手、俳優などです。

技能

日本で産業上の特殊な分野において熟練した技能を要する業務に従事する外国人は、在留資格「技能」を取得します。該当する職種はパイロットや金属の加工職人、コックなどです。

特定技能

特定の産業分野において専門的な知識や技術を持ち、業務に従事する外国人は在留資格「特定技能」に該当します。農業や漁業、宿泊業など特定産業分野に該当する職種が対象です。

技能実習

開発途上国の発展に寄与するため日本に技能を習得しに来日する外国人は、在留資格「技能実習」を取得します。あくまで技能移転を目的としているため、ほかの就労資格とは異なり、労働力の需給調整のために雇用できないのが特徴です。

就労できない在留資格

外国人が持つ在留資格のなかには、就労が認められていない種類もあります。ただし、資格外活動許可を得ていれば本来の在留目的の妨げにならない範囲で就労が可能です。在留カードに以下の在留資格が記載されていた場合、裏面の資格外活動許可欄もあわせて確認しましょう。

文化活動

収入を伴わない学術・芸術上の活動を行う外国人は、在留資格「文化活動」を取得します。該当するのは日本文化の研究者や外国大学の講師などです。

短期滞在

日本に短期間滞在し、観光やスポーツ、親族の訪問などを行う外国人が取得するのが在留資格「短期滞在」です。観光客や会議参加者などが該当します。

留学

日本の大学や専門学校、短期大学などの教育機関で教育を受ける外国人は、在留資格「留学」に該当します。各教育機関の生徒・学生となる外国人が対象です。

研修

日本の公的機関や私的機関に受け入れられ、技能の習得をする外国人は在留資格「研修」を取得します。在留資格「技能実習」に該当しない技能の習得を目的とした外国人が対象です。

家族滞在

家族帯同が可能な在留資格を持つ外国人の扶養を受ける配偶者や子どもが取得するのが、在留資格「家族滞在」です。

参照元
出入国在留管理庁
「在留資格一覧表」
「資格外活動許可について

外国人を雇用する際に在留カードで確認する項目

外国人雇用を行う企業には在留カードの確認が義務づけられています。不法就労助長罪は、企業がその実態を把握していなかった場合にも適用されるため、「知らなかった」では済まされません。不法就労によって処罰を受けたり企業の信用を失ったりしないよう、面接の段階で在留カードをすみずみまで確認し、雇用しても問題ないか確かめるのが大切です。

就労制限の有無

在留資格によっては就労が認められていない場合があります。そのため、外国人雇用を行う企業は在留カードの就労制限の有無を確認しましょう。身分に基づく在留資格を持つ外国人の在留カードには、「就労制限なし」と記載されており、日本人と同じように業務を任せられるのが特徴です。
在留資格「特定活動」を持つ外国人の在留カードには、「指定書により指定された就労活動のみ可」と記載されています。指定書は外国人のパスポートに添付された書類です。日本で行える活動内容が記されており、就労の可否や具体的な業務について確認できます。
在留資格「留学」や「家族滞在」の外国人の在留カードには、「就労不可」と記載されていることが多く、原則雇用は認められていません。ただし、在留カードの裏面に「許可(原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く)」「許可(資格外活動許可書に記載された範囲内の活動)」とある場合は雇用が可能です。

在留期間

在留カードに記載されている在留期間が過ぎていないか確認するのも重要です。外国人の在留資格が「永住者」「高度専門職2号」以外の場合、在留期間の満了日と在留カードの有効期限は同一なので、あわせてチェックしましょう。なお、在留期間内であっても満了日が近い場合、雇用手続きを行う前に帰国を余儀なくされたりスピーディーに申請を進めたりしなければならない可能性があります。

在留カード番号の有効性

外国人雇用を行う雇用主は、ハローワークに「外国人雇用状況の届出」を提出する義務があります。書類に在留カード番号を記載する必要があるので、面接の時点で番号を控え有効性を確認しておくと良いでしょう。有効性の確認は出入国在留管理庁のWebサイトで行えます。昨今の偽造在留カードのなかには正規の在留カード番号を記載したものもあるため、確実に不法就労を防げるわけではありません。しかし、企業としてのリスクは幾分減らせるでしょう。なお、当該外国人が雇用保険に加入する場合は、この届出は不要です。

参照元
出入国在留管理庁
「在留カード等番号失効情報照会

在留カードの確認は不法就労の防止に有効

外国人雇用を行う企業に義務づけられている在留カードの確認は、不法就労を未然に防ぐために有効な手段だといえます。偽造在留カードを持って日本で働こうとする外国人は少なくありません。万が一、雇用した外国人が不法就労者だった場合、どのような理由があっても企業は不法就労助長罪に問われます。まずは目視で正規の在留カードと食い違う点がないか確認し、在留カード番号を紹介することで不法就労者を雇用するリスクを下げられるでしょう。また、精巧に作られた偽造在留カードを見分けるためのアプリやサービスも開発されているので、あわせて利用することをおすすめします。また、法務省の公式サイトでは、在留カードが正式なものかどうか簡単にチェックできるページもありますので、こちらも利用しましょう。

参照元
出入国在留管理庁
「在留カード等番号失効情報照会

まとめ

在留カードは、日本に中長期間に渡って滞在する外国人が所持している身分証明書です。在留カードには、在留期間や就労可否、就労制限などに関する記載があります。不法就労者を雇わないよう、必ず在留カードに記載されている項目を確認しましょう。また、昨今では精巧につくられた偽造在留カードが横行しています。外国人雇用のリスクを減らすためにも、在留カードが本物か見分けるためのチェックツールを利用することを検討してみましょう。

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