難民とはどのような人?受け入れ状況や企業にできる支援もわかりやすく解説

2022年05月19日
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濵川恭一 (監修)
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net

「難民問題は日本とあまり関係ないのではないか」と、思っている方もいるのではないでしょうか。

確かに、日本は諸外国と比べると難民の少ない国です。しかし、2020年には難民認定申請を行った3,936人中、47名が難民として認められています。つまり、難民問題は日本にも大きく関わっているのです。このコラムでは、難民の定義や日本の難民受け入れ状況を解説。内容を参考にして、難民問題への理解を深めましょう。

目次

  1. 難民の定義
  2. 難民問題の現状
  3. 難民を支援するUNHCRの活動内容
  4. 日本における難民の受け入れ状況
  5. ウクライナ情勢に関わる難民受け入れ情報
  6. 難民に対して日本企業が行える支援
  7. まとめ

難民の定義

「難民の地位に関する条約」では、以下の条件に当てはまる人を難民と定義しています。
 

  • 人種、宗教、国籍もしくは特定の社会的集団の構成員であることや政治的背景を理由に迫害を受ける恐れがあり、国籍を有する国を逃れて国の保護を受けられない人、または国籍国の保護を望まない人

  • 上記の結果として、無国籍者かつ常居所を有していた国に帰ることができない人、または帰ることを望まない人
     

また、難民の地位に関する条約を補足するかたちで、「難民の地位に関する議定書」により「武力紛争や人権侵害などを逃れるために国境を越えて他国に庇護を求めた人々」も難民として定義されました。一般的には、難民の地位に関する条約および議定書に書かれた内容を「難民条約」と呼んでいます。この難民条約に当てはまる人々を条約難民といい、ほかの庇護を必要とする人々と区別しているのです。

難民を簡単にわかりやすく表現すると、「さまざまな理由により母国を追われてしまった人々」といえるでしょう。

難民条約の定義に当てはまらない難民

難民条約の定義には当てはまらないものの、難民と同様に庇護が必要とされる対象に「国内避難民」がいます。国内避難民は、難民と同じような理由で住み慣れた故郷を追われた人々のことです。避難先が国内であるため、難民条約で定義される難民には当てはまりません。それ故に、各国の法律が適用され、支援が行き届きにくい特徴があります。しかし、困難を抱え助けを必要としている状況は難民と一緒です。国際社会には、国内避難民に対して難民同様の保護・支援をする責任があるといえます。

難民と移民の異なる点

難民と移民の違いは、簡単にいうと母国を出国した理由です。移民は一般的に「理由や法的地位に関係なく定住国を変えた人々」とされています。そのため、難民も広い意味では移民に含まれるでしょう。しかし、難民は生命や安全を脅かされ強制的に母国を追われた人々であるのに対し、移民には自らの意思で住む国を変更した人々も多く含まれます。

難民と移民の違いについてさらに詳しく知りたい方は、「移民とは?外国人雇用を考える企業に移民と難民の違いを解説」のコラムも参考にしてください。

参照元
外務省「国内における難民の受け入れ」
UNHCR駐日事務所「難民とは

難民問題の現状

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、2020年末の時点で難民は2,640万人になりました。難民以外の故郷を追われた人々と合わせると、8,240万人にも上ります。難民が特に多い国はシリアやベネズエラ、アフガニスタンです。シリアやアフガニスタンは内戦や紛争が原因で多くの人々が故郷を追われました。ベネズエラは政治不安による貧困化や治安の悪化により、急激に難民が増えています。

難民の多くは母国に近隣する国に逃れている状況です。しかし、周辺諸国も難民発生国と同じように、開発途上であることがほとんどといえます。そのため、難民に対してだけではなく、難民受け入れ国に対する支援も国際社会の急務といえるでしょう。

参照元
UNHCR駐日事務所「数字で見る難民情勢(2020)

難民を支援するUNHCRの活動内容

UNHCRとは「The Office of the United Nations High Commissioner for Refugees」の略で、国連難民高等弁務官事務所のことです。第二次世界大戦後の1950年に国連の難民支援機関として設立されました。UNHCRでは、設立から70年以上経った現在でも難民問題の解決に向けて、援助物資の支援や自立支援を行っています。

援助物資の支援

UNHCRが援助物資の支援をする国は、約130ヶ国以上です。UNHCRはコペンハーゲンやドバイ、ヨルダンなど、世界数ヶ所に援助物資の備蓄倉庫を保有しています。緊急時には現地政府や国連の姉妹機関、NGOと協力して、テントや毛布、水、食糧、医療、生活用品などの援助物資の支給を行っているのです。

自立支援

UNHCRでは教育支援や女性に対する支援、今後生計を立てていくための支援を行っています。紛争や迫害によって移動を強いられた人の40%は18歳未満の子どもです。また、家長である男性を失くしたり暴力や性的被害を受けたりする女性も、多く含まれています。そのため、社会的・経済的弱者である子どもや女性が希望をもって生きていくための支援を行っているのです。

日本における難民の受け入れ状況

日本は世界的に見ても難民が少ない国です。地理的な理由のほか、難民認定の基準が極めて高いことも関係しているでしょう。ここでは、日本における難民の受け入れ状況を解説します。

日本で難民認定を受けた外国人の人数

2020年に難民申請を受けた外国人は、申請者数3,936人中47人でした。難民認定率は1.1%でした。また、難民には認定されなかったものの、人道的な配慮で日本への在留を認めた外国人は44人います。難民認定申請者数が前年2019年の10,375人から大幅に減少しているのは、2020年の新型コロナウイルスの流行拡大が影響しているでしょう。感染拡大防止措置として海外からの入国が厳しく制限されたため、難民申請を目的に入国する外国人が減少したのです。

日本で難民受け入れが始まった背景

日本で難民受け入れが始まった背景には「インドシナ難民」の存在があります。インドシナ難民とは、1970年代後半にベトナムやラオス、カンボジアのインドシナ3国から逃れてきた人々のことです。1975年にインドシナ3国は社会主義国に移行したため、迫害を受ける恐れがある人や社会主義に馴染めない人は船に乗り、日本をはじめとする周辺諸国に逃れました。日本はインドシナ難民の大量受け入れを経て、難民条約に加入します。インドシナ難民の存在が、日本の難民問題への取り組みをより強化させたといえるでしょう。

日本の難民認定者が少ない理由

日本の難民認定者が少ない理由は、地理的な理由と認定基準の高さが挙げられます。

難民の多くは陸路を移動し、母国の周辺諸国に逃れます。そのため、難民が中東やアフリカから日本に逃れてくることはほとんどありません。実際に難民を多く受け入れている国の多くは、難民発生国の近隣に集中しています。

日本の難民認定基準が非常に高いのも、難民が少ない理由の一つでしょう。日本で難民認定申請をする外国人のなかには、就労資格を得ることを目的とする「偽装難民」も紛れています。これらの外国人を安易に受け入れないように、難民認定には厳しい基準が設けられているのです。また、日本が難民と認めているのは一部の特例を除き、難民条約の定義に当てはまる人々に限られます。他国と比べて難民の定義が狭いため、難民許可申請をしても却下されるケースが多いのだといえるでしょう。

日本で難民申請が許可されると、定住者ビザが付与され就労ができます。詳しくは「難民に許可されるビザは?外国人を雇用する企業に向け解説」のコラムも参考にしてください。

ウクライナ情勢に関わる難民受け入れ情報

2022年2月24日にロシアがウクライナに軍事侵攻したことにより、多くのウクライナ人が国外に避難しました。大半はポーランドやルーマニアなどの隣国に逃れていますが、親族を頼りに来日するウクライナ避難民も増えつつあります。このような状況を踏まえて、出入国在留管理庁はウクライナからの避難民に対し在留資格「特定活動(1年)」を付与し、就労を許可することとしました。また、日本に在留していたウクライナ人が引き続き日本に居られるよう、在留期間の更新を許可しています。

参照元
出入在留管理庁「日本に在留しているウクライナのみなさんへ

難民に対して日本企業が行える支援

社会貢献の一環として、難民支援を行う日本企業が増えつつあります。難民に対して企業が行える支援の一例は以下のとおりです。
 

  • 収益から継続的に寄付をする

  • 自社製品から食品や粉ミルクなどを寄贈する

  • SNSで難民問題の啓発活動を行う

  • イベント開催を開催し募金を集める

  • 難民支援団体と支援事業を共同で実施する
     

このほかに、難民を積極的に雇用するという支援の方法もあります。日本で難民認定を得ても、言葉や文化の違いなどからなかなか安定した仕事に就けない難民は多いようです。このような仕事を求める難民に雇用機会を提供することは、自立支援にも繋がります。日本では、最大手衣料品メーカーが難民を積極的に採用するプロジェクトを立ち上げました。ほかの企業も追随するかたちで、難民を雇用する動きが増えつつあります。自社に無理のない範囲で、可能な支援から始めてみましょう。

まとめ

難民は世界的問題です。今後、世界情勢によってはさらに難民問題が深刻化することも考えられるでしょう。日本は一見、難民とは縁遠い国に感じられますが、実際には多くの外国人が難民認定申請を行っています。日本企業はこのコラムを参考にして、難民問題の理解を深め、支援に役立てましょう。

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