日本の最低賃金は外国人労働者にも適用される!企業が知るべき制度を解説

2022年01月31日
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濵川恭一 (監修)
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net

外国人の雇用を検討している方のなかには、日本の最低賃金が適用されるのか気になる方もいるでしょう。日本の最低賃金法や労働基準法は、外国人労働者にも適用されます。このコラムでは、日本の最低賃金制度について解説。外国人を最低賃金未満で雇用した場合に発生する罰則もまとめています。企業の信用を失墜させないためにも、外国人労働者と最低賃金に関する理解を深めましょう。

目次

  1. 外国人雇用でも日本の最低賃金が適用される
  2. 日本の最低賃金を下回ると罰則がある
  3. 外国人雇用の際は最低賃金法以外の法令にも注意
  4. まとめ

外国人雇用でも日本の最低賃金が適用される

日本の最低賃金は使用者とすべての労働者に適用されます。国籍による区別はないため、外国人労働者にも最低賃金以上の賃金支払いが必要です。また、日本の最低賃金は2種類あり、業種によってどちらを適用するかが異なります。

日本の最低賃金は2種類

日本の最低賃金は、「地域別最低賃金」と「特定最低賃金」の2種類があります。一般的には最低賃金といえば地域別最低賃金をイメージすることが多いですが、特定の業種で働いている場合、適用されるのは特定最低賃金です。

1.地域別最低賃金

地域別最低賃金は都道府県ごとに異なり、その地域の物価や平均的な生活水準をもとに金額が決められています。2021年10月時点では、1時間あたりの地域別最低賃金が最も高いのは東京都で1,041円です。一方、沖縄県や高知県は820円と低めの賃金が設定されています。外国人従業員の賃金を決める際は、地域別最低賃金を下回っていないか確認しましょう。

2.特定最低賃金

特定最低賃金は、地域別最低賃金よりも高い賃金を支払うべき産業に設定されています。該当する産業に従事する外国人には、地域別最低賃金と特定最低賃金のうち、高い方を支払わなければなりません。2021年3月時点では227件の特定最低賃金が設定されています。特定産業で外国人を雇用する方は、どちらの最低賃金を支払うべきか事前に確認しておくと安心です。

日本の最低賃金と外国人雇用と関係については、「日本の最低賃金は外国人にも関係する?企業に向けて解説」のコラムでも詳しく取り上げていますので、ぜひ、ご参照ください。

日本の最低賃金は上昇傾向にある

多くの労働者に適用される地域別最低賃金は、毎年少しずつ金額が引き上げられています。地域別最低賃金の金額を決めているのは、中央最低賃金審議会と地方最低賃金審議会です。中央最低賃金審議会が提示した引き上げ額の目安を参考に、地方最低賃金審議会が地域の実情に応じた地域別最低賃金の改正を行っています。

地域別最低賃金の決定基準は労働者の生計費や賃金、通常の事業の支払い能力です。なお、労働者の生計費は、健康的で文化的な最低限度の生活が営めるように考慮されています。

参照元
厚生労働省「令和3年度地域別最低賃金改定状況

日本の最低賃金を下回ると罰則がある

使用者が労働者に支払う賃金が最低賃金を下回っていた場合、最低賃金法に反するため罰則が科せられます。地域別最低賃金を支払わなかった場合は50万円以下、特定最低賃金未満なら30万円以下の罰金です。最低賃金は毎年10月に改定されるので、その都度労働者の給与に反映させましょう。

最低賃金の計算方法

使用者が労働者に払わなければならない最低賃金は、以下の計算方法で確認できます。

時間給制の場合

時間給で支払う最低賃金の計算方法は、時間給≧最低賃金額(時間額)です。1時間当たりの賃金が最低賃金を下回らないように気を付けましょう。

日給制の場合

日給で支払う最低賃金は、日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)で計算できます。ただし、日額が決まっている特定最低賃金が適用される場合、計算方法は日給≧最低賃金額(日額)です。

月給制の場合

月給制の最低賃金の計算方法は、月給÷1ヶ月の平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)です。日給と同じような計算式ですが、月給の場合は平均した所定労働時間で計算します。

出来高払い制の場合

出来高払い制でも最低賃金は適用されます。出来高払いやそのほかの請負制で計算された賃金の総額÷該当する賃金の算定期間において働いた総労働時間数金額≧最低賃金(時間額)になれば問題ありません。時間給や日給などに比べて計算方法が複雑になるため、間違えないように注意してください。

外国人労働者の賃金はいくらが適正?最低賃金や平均金額を参考に解説」のコラムでは、最低賃金の計算方法のほか、外国人労働者の平均賃金に関する情報もまとめています。ぜひ、合わせてご一読ください。

日本の最低賃金はすべての労働者に適用される

地域別最低賃金も特定最低賃金も、国籍や雇用形態にかかわらず日本で働くすべての労働者に適用されます。そのため、国籍の違いを理由に外国人と日本人で賃金を区別してはいけません。外国人だからといって不当に低い賃金を設定したり、同じ仕事を行う日本人より給与を低くしたりするのは違法です。また、試用期間中も最低賃金が適用されるので注意しましょう。一定の条件を満たせば賃金が最低賃金を下回っても問題ない「減額特例」という制度もありますが、審査は厳しく申請が認められることはほとんどないようです。

最低賃金法に違反すると罰金を支払わなければならないうえ、企業の評判が悪くなる可能性があります。企業の経営者・使用者として最低賃金法はきちんと守りましょう。

参照元
厚生労働省「最低賃金のチェック方法は?

外国人雇用の際は最低賃金法以外の法令にも注意

外国人を雇用する際は労働基準法や入管法など、日本の最低賃金法以外の法令にも注意しましょう。外国人労働者が従事できる業務は在留資格によって異なります。在留資格の範囲内で認められていない業務は任せられません。雇用の際は在留カードをチェックして、採用のミスマッチを防ぎましょう。また、外国人留学生をアルバイトで雇用する場合は、就労時間の制限にも注意しなければなりません。週28時間を超えて外国人留学生を働かせると、不法就労助長罪に問われてしまいます。綿密にコミュニケーションをとって不法就労を防ぎましょう。なお、外国人雇用の際はハローワークへの届出が必須です。

外国人労働者にも日本人と同じように、労働基準法が適用されます。労働者を国籍で区別せず、対等に扱うように心掛けましょう。使用者は原則1日8時間、週40時間を超えて労働者を働かせてはいけません。また、休憩時間は6時間を超える場合45分以上、8時間を超える場合は1時間以上必要です。休日は最低でも週1日、もしくは4週間で4日以上と定められています。労働基準法で定められた法定労働時間を超えて働いてほしい場合は、労働者と使用者の間で「36(サブロク)協定」を締結しましょう。

まとめ

日本の最低賃金や労働基準法は外国人労働者にも適用されます。また、外国人雇用の際は入管法にも注意しなければなりません。法令違反になると企業イメージが悪くなってしまうので、外国人雇用を検討している方は事前に受け入れ準備を整えることをおすすめします。