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JLPTのN1レベルについて知りたい企業の方もいるでしょう。JLPTは日本語能力試験の略称です。JLPTの最上位であるN1レベルは、日本人でも満点を取るのが難しいといわれています。このコラムでは、JLPTの認定基準や受験するメリットを解説。また、JLPTのN1レベルの外国人を採用すると得られるメリットも紹介しているので、参考にして外国人の採用に活かしましょう。
目次
JLPT(日本語能力試験)は、世界で最も受験者数の多い日本語能力を測る試験です。一部の地域を除き、7月と12月の年2回開催されています。ここでは、JLPTについて詳しく解説するので参考にしてください。
JLPT(日本語能力試験)は、日本語を母語としない外国人の日本語能力を測定する試験です。日本では「公益財団法人日本国際教育支援協会」が主催しており、海外では「独立行政法人国際交流基金」が各地機関の協力を得て実施しています。近年は、日本語の実力の測定のほか、就職や昇給に活かすのを目的とする受験者が増えている試験です。
高度外国人材はJLPTでN1もしくはN2のレベルに合格すると、日本の出入国管理上の優遇措置を受けるためのポイントが付与されます。この優遇制度は、高度人材の活動を「高度学術研究活動」「高度専門・技術活動」「高度経営・管理活動」に分類し、それぞれを「学歴」「職歴」「年収」などの項目に分けてポイントを設け、合計70点以上のポイントを取得した人に適用するものです。
「高度専門職1号」の場合の優遇措置には、下記の種類があります。
「高度専門職2号」の場合は、「高度専門職1号」で認められる活動以外に、就労に関する在留資格のほぼすべての活動を行えます。また、在留期間は「無期限」です。
JLPTの認定により取得できるポイントは、N1の合格者は15ポイント、N2の合格者は10ポイントと、合格したレベルによって異なります。
参照元 出入国在留管理庁 高度人材ポイント制とは?
JLPTは、「読む」「聞く」という言語行動を目安に「N1」から「N5」のレベルを設けており、「N1」が最も難易度の高いレベルです。ここでは、JLPTの「N1」レベルについて解説します。
JLPTの「N1」は、生活の幅広い場面での日本語を理解できるレベルです。具体的には、下記の基準が設定されています。
【読む】
【聞く】
上記のように、N1レベルの認定基準は、現実の生活での日本語理解ができることです。
「N1」の難易度や、在留資格取得のために必要な日本語レベルについては、「日本語能力試験N1の難易度は?外国人採用で求められる日本語レベル」や「日本語能力試験N1レベルの合格率は?企業に向けて解説!」のコラムでも詳しく解説しています。外国人雇用の採用基準に日本語能力試験を活かす際の注意点もまとめているので、参考にして、外国人材雇用をスムーズに進めましょう。
参照元 日本語能力試験JLPT 日本語能力試験とは
JLPTは、総合点と基準点で合否を判定します。JLPTに合格するためには、総合点が合格点以上であることと、各得点区分(言語知識、読解、聴解)の得点が基準点以上であることが必要です。N1~N3の合格点は、180点中それぞれN1が100点、N2が90点、N3で95点と定められています。レベルによって合格点が異なるのはテストの内容が異なるためです。各得点区分(言語知識、読解、聴解)の基準点はそれぞれ19点ずつとされています。
JLPTのN1レベルは、日本人でも満点が取りづらいといわれています。なぜなら、「日本語の表現として正解とはいえないが通じる」という表現が複数存在するからです。また、N1レベルの問題には、ビジネスで使う表現のほかに口語表現もあるため、日本人とのコミュニケーションが多い環境にいる人が有利でしょう。
なお、日本語能力試験公式Webサイトの「過去の試験のデータ(2020年)」によると、N1の認定率は、国内で41.8%、海外で48.3%の合計45.2%と発表されています。
参照元 日本語能力試験 JLPT 過去の試験データ
JLPTのN1レベルを取得している外国人は、日本人とのコミュニケーションもスムーズにできるため、企業側も安心して仕事を任せられるでしょう。ここでは、JLPTのN1レベルの人を採用するメリットについて紹介します。
JLPTのN1レベルを取得している外国人は、幅広い場面で使われる日本語の理解が可能なため、日本人とのやり取りが比較的スムーズです。職場の人やクライアントとも問題なく仕事が行えることが多いです。また、母国語と日本語のどちらも話せるので、企業にとって大きな戦力になる可能性が高いでしょう。
JLPTのN1レベルは、国家試験を受験するための条件に該当します。外国人が、母国で医師や看護師、歯科医師などの国家資格を取得していても、日本で国家試験を受ける必要があり、N2レベル以下の場合は受験自体ができません。日本の国家資格を取得している外国人は、日本人と同じレベルの
日本語能力があるため、企業としても採用しやすいでしょう。
企業がJLPTのN1レベルを採用に活かす場合、日本語能力と業務を行う能力は異なることを頭に入れておきましょう。ここでは、N1レベルを取得した外国人を採用する際の注意点について解説します。
JLPTのN1レベルを取得している人は、日本語を「読む」「聞く」能力は高いですが、「書く」「話す」が苦手な場合もあります。たとえば、漢字圏の受験者はもともと漢字を知っているため、「書く」のは得意だが「話す」のが苦手という人もいるでしょう。対して、非漢字圏の人は「話す」のは得意だが「書く」のは苦手という場合もあるのです。同じN1レベルでも、個々の得意分野や能力は異なるため、JLPTのレベルはあくまでも目安と考える必要があります。
JLPTは、「読む」「聞く」能力の測定のみを実施しているため、N1レベルを取得している人全員が、日本語でのコミュニケーション能力が完璧にできるとはいえません。また、外国人を採用する際に、日本語能力だけを重視すると、業務に必要なスキルが伴わない人材を採用してしまう場合があります。JLPTのN1レベルは、日本語能力が優れている証明になりますが、業務の遂行能力があるとは限りません。外国人の人柄や向上心なども考慮して、採用を進めるようにしましょう。
「日本語能力試験(JLPT)を外国人採用にどう活かす?企業に向けて解説」では、日本語能力試験の各レベルの認定基準や採用への活かし方を紹介しています。このコラムの内容を参考にして、自社に相応しい人材を採用しましょう。
JLPTは、日本語を母語としない外国人の日本語能力を測定する試験です。N1レベルは、最も難易度が高く「幅広い場面での日本語が理解できる」という基準が設けられています。しかし、JLPTのN1レベルを取得した人全員が、日本語でのコミュニケーションが完璧で業務の処理能力が高いとは限りません。外国人を採用する際は、JLPTのレベルのほかにも人柄や熱意などを総合的に考慮して判断しましょう。
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