製造業はなぜ人手不足?データを参考に原因や企業ができる対策を解説

2023年06月02日
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製造業は人手不足が深刻な業界の一つです。「採用しても人が足りない」「退職者があとを絶たない…」と悩む経営者も多いでしょう。このコラムでは、製造業の現状や人手不足になる原因を解説します。原因を知り、人手不足解消に向けて適切な対策を考えましょう。人手不足が続いた場合の影響や具体的な解決策もまとめているので、問題解消の参考にご覧ください。


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目次

  1. 製造業が人手不足に陥る原因
  2. データで分かる人手不足な製造業の現状
  3. 人手不足が製造業に与える影響
  4. 製造業の人手不足解消に役立つ解決策
  5. まとめ

製造業が人手不足に陥る原因

製造業が人手不足に陥る原因の画像

経済産業省が発表した「2022年版ものづくり白書」によると、2021年の製造業就業者数は1,045万人です。全産業に占める製造業の就業者の割合は、低下傾向で推移しています。人手不足の背景には、日本の少子高齢化や指導者の減少、製造業へのネガティブイメージなどが挙げられるでしょう。

少子高齢化による労働者の減少

日本は少子高齢化が進んでおり、若年層の労働者が年々減少しています。近年では開発が進んでいる都市部に拠点を構える企業が増えており、就職のために地方から大都市へと上京する人も多いようです。
製造業の企業は多くが広大な土地を求めて地方に工場を建設するため、都市への人口密集も相まって人材確保の難易度が高くなっています。少子高齢化と都市部への人口流出が続けば、製造業の人手不足はさらに深刻さを増すでしょう。

指導者となる人材の不足

製造業では技術を持つ多くの人材の高齢化が進んでおり、すでに退職している人もいるため継承が難しく、後継者育成が難航しています。これまでは技術者の業務を若い労働者が実際に見て学び、スキルを習得する方法が一般的でしたが、現在では現実的ではありません。技術継承ができないために、製造業に欠かせない技能人材は不測の一途をたどっています。人手不足を解消するには今後どのように技術継承を行うかが課題になるでしょう。

製造業に対するネガティブイメージ

製造業の仕事は、若い労働者が敬遠する「きつい」「危険」「汚い」の3Kの要素があります。就職先の候補から外されやすいため、製造業は人手不足に陥りやすい傾向にあるでしょう。
製造業は生活必需品の部品を製造・加工したり、建設に必要な材料や重機を提供したりする大切な仕事です。しかし、バブル崩壊後の大規模リストラや時代の変化から将来への不安も大きく、良いイメージを持っていない人も少なくありません。仕事内容や大変さは職場によって差がありますが、油や薬品の匂いがきつく汚れやすい、24時間稼働しているところは勤務シフトが過酷というイメージが根強いようです。

現在働いている人材の流出を抑えるのが、人手不足解消の第一歩。「人手不足の原因は何?自社に合った対策と採用で人材流出を押さえよう」では、人材流出・人手不足の問題解消に役立つ解決策をまとめています。このコラムとあわせてチェックしてみましょう。

参照元
経済産業省「2022年版ものづくり白書(ものづくり基盤技術振興基本法第8条に基づく年次報告)

データで分かる人手不足な製造業の現状

データで分かる人手不足な製造業の現状の画像

ここでは、2022年版ものづくり白書のデータを参考に製造業全体の現状を紹介します。

製造業の就業者のなかでも特に若年層が減少している

製造業の就業者のなかでも若年層は減少傾向にあります。製造業の34歳以下の若年就業者は2008年ごろまでは332万人以上いました。しかし、2012年以降から2021年までは、毎年260〜270万人前後で推移しています。若年就業者は業界の将来を担う存在です。人手不足解消のためにも、若年就業者の増加に力を入れた対策を考えましょう。

定年退職者の雇用延長や再雇用を行う企業が多い

技術者の減少を食い止めるために、定年退職した人材を再雇用したり雇用期間を延長したりする企業は多いようです。製造業における65歳以上の高齢就業者数は2017年以降毎年90万人を上回っています。高齢就業者を再雇用・雇用延長する目的の多くは若年就業者への技能継承・人員補充です。高齢就業者は技術が身についており、製造業を支える重要な人材といえますが、「再雇用できるとは限らない」「就業時間に制限がある」など課題が多いのも事実です。また、若年就業者に比べると伸びしろがなく、高齢従業員の再雇用は人材不足の問題解決策とはならないでしょう。

参照元
経済産業省「2022年版ものづくり白書(ものづくり基盤技術振興基本法第8条に基づく年次報告)

人手不足が製造業に与える影響

人手不足が製造業に与える影響の画像

慢性的な人手不足は企業にも業界にも悪影響をおよぼします。人手不足によって顕在化している問題を把握し、経営に支障が出る前に対策を講じましょう。

競争力低下

人手不足の状況が続くと、会社の将来を担う人材がいなくなってしまうため競争力の低下を招きます。本来であれば新人教育を担う中堅社員が新入社員の分まで仕事をこなさなければならず、成長の機会が失われるでしょう。また、新入社員も十分な教育を受けられずに離職する恐れがあります。技術の後継者になる若い社員がいない企業は、中堅社員に見合った創造力や高度な判断力を必要とする仕事を任せられず、後継者の育成もできないため徐々に衰退してしまうでしょう。

事業縮小・倒産

人手不足によって、事業縮小を余儀なくされたり倒産したりする企業も数多くあります。製造業の中小企業は必要最低限の人数で運営している現場も多く、人手不足に陥ると生産ラインが維持できず、黒字経営にもかかわらず倒産するケースも。安定して生産ラインを維持するには積極的に正社員やパートを雇用する必要がありますが、製造業はマイナスイメージが根強く、求人募集を出しても人手を確保できないのが現状です。製造業に対する印象が良くならないと、人手不足による黒字倒産を防ぐのは難しいと考えられます。

過重労働による負のスパイラル

人手不足によって一人当たりの業務量が増えてくると、過重労働や有休消化率の低下、残業の慢性化といった問題が起きやすくなります。労働環境が悪化すると離職者が増え、さらに人手不足が深刻になる負のスパイラルに陥る場合もあるでしょう。また、モチベーションやパフォーマンスの低下に伴ってミスや事故を誘発する可能性もあり、労働災害や製品の品質低下も招きかねません。

製造業の人手不足解消に役立つ解決策

製造業の人手不足解消に役立つ解決策の画像

企業にも業界全体にも悪影響をおよぼす人手不足を解消するには、適切な対策を講じる必要があります。

業務のDX化

産業用ロボットの導入やAIによる業務の自動化など、DX化を進めることで作業工数が適正に保たれ、生産性が向上します。DX化を推し進めると一人当たりの業務量が減るため、残業時間の削減や有休消化率の向上につながるでしょう。また、技術や知識の継承も、データベース化すれば技能人材がいなくとも後継者育成を進められます。

製造業のイメージアップ

人手不足を解消するには、製造業に対する3Kのイメージを払拭するのも大切です。SNSの運用や企業の動画チャンネルの開設など、イメージアップの方法は数多くあります。中小企業の場合は知名度アップにもつながるので、イメージアップ戦略として取り組んでみましょう。ただし、人手不足に対して即効性のある対策ではないので、長期的な戦略として考えてください。

就職支援機関との連携

ハローワークや転職エージェントといった就職支援機関と連携して採用活動を進めれば、人手不足をスムーズに解消できる可能性があります。人材紹介会社や派遣会社は、登録後すぐに条件に合致する人材を探してくれるため、採用期間を短縮できるのも魅力です。無料で求人を掲載できたり労働契約を結ぶまで費用が発生しなかったりと、利用するサービスごとに特徴があります。自社に合った就職支援機関を上手に活用して人手不足解消を目指しましょう。

人手不足の解消事例や対策方法を企業に向けて紹介!優秀な人材を確保しよう」では、人手不足解消の成功事例を紹介しています。今後の対策にお悩みの方は参考にしてください。

外国人採用の強化

外国人採用は人手不足を解消に導く解決策です。技能実習制度や特定技能制度の創設に伴い、製造業における外国人労働者の総数は年々増加傾向にあります。2021年時点で46.6万人の外国人労働者が製造業に従事しており、そのうち18万人が技能実習生、7.6万人が専門的・技術的分野の在留資格を持つ外国人です。外国語のマニュアル作成や環境の整備などは必要ですが、一度受け入れ体制が整えばその後は安定して外国人を雇用できるでしょう。シルバー人材や女性労働者の雇用拡大同様、外国人の採用にも力を入れるのが人手不足問題の解決策です。

外国人労働者の受け入れが多い職種は?技能実習や特定技能の業種も紹介」では、製造業で利用できる外国人受け入れ制度を詳しく解説。雇用を検討している企業の役に立つ情報をまとめています。

働きやすい職場環境の整備

福利厚生の充実や雇用形態の見直しなど、従業員が働きやすい職場環境を整備することも大切です。労働環境が良いと従業員が離職しにくくなります。小さい子どもがいる人も働きやすいように社内託児所を用意したり休憩室をリラックスできる環境に整えたりと、できることは多いのでぜひやってみましょう。実際に職場環境の改善に成功した企業を参考に見てみるのもおすすめです。

教育制度の充実

人材流出も人手不足を加速させる一因です。キャリアパスを明確にして、従業員の士気を上げましょう。製造業は応募者が少なく、今就労している人材も条件が良い企業に流出しやすい傾向にあります。離職を防ぐには社内成績や勤続年数、勤務態度が職位や昇給に繋がることを明確にして従業員の向上心や労働意欲を高めるのが大切です。従業員のスキルアップを支援する研修や講座を行ったり、子育て支援制度を設けたりすると、人材流出を防げるでしょう。長く働いてもらえれば採用や教育に必要なコストも削減できるので、企業にとってもメリットが大きい対策です。

参照元
経済産業省「2022年版ものづくり白書(ものづくり基盤技術振興基本法第8条に基づく年次報告)

まとめ

まとめの画像

深刻な人手不足を解決するには、製造業を取り巻く現状や背景を知り、適切な対策を講じる必要があります。業務のDX化や外国人労働者の雇用、職場環境の改善など企業ができる対策は多いので、人材確保に成功している企業の取り組みを参考に、人手不足解消を目指しましょう。