技能実習生を受け入れるにあたり、技能実習責任者の役割や選定要件を知りたい企業の方もいるでしょう。このコラムでは、技能実習責任者が行う業務内容や、対象となる人の要件について詳しく紹介します。また、技能実習責任者になるために受講する講習の内容もまとめているので、参考にして技能実習生の受け入れに役立てましょう。

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目次

1. 技能実習責任者とは？
2. 技能実習責任者の主な役割
3. 技能実習責任者の選定要件
4. 技能実習責任者講習とは？
5. まとめ

技能実習責任者とは？

技能実習責任者は、主に技能実習の運営や管理を行います。企業が技能実習生を受け入れる際、必ず設定しなくてはならない役職です。

技能実習生や技能実習に関わる職員を管理する人

技能実習責任者は、技能実習指導員や生活指導員などの職員を監視し、技能実習の進捗状況を把握する必要があります。また、技能実習生が安心して実習に専念できるよう、技能実習生の労働条件や産業安全などを管理することも大切な役割です。

技能実習責任者の設置は主務省令で定められている

技能実習責任者の設置は、「技術実習を行わせる事業所ごとに、主務省令で定めるところにより技術実習の実施に関する責任者が選任されていること」と主務省令により定められています。そのため、技能実習を行う際は必ず技能実習責任者が必要です。

技能実習責任者の主な役割

技能実習責任者は、技能実習計画や実施報告書などの書類を作成します。ここでは、技能実習責任者の主な役割を紹介するので、参考にしてください。

技能実習計画の作成

技能実習責任者は、技能実習生ごとに第1号、第2号、第3号の区分に合った技能実習計画を作成し、外国人技能実習機構から認定を受けなくてはなりません。技能実習計画とは、監理団体の指導に基づき、適切な技能実習を行うために作成するものです。技能実習計画には、技能実習の目的や技能実習生に対する優遇（労働時間・給与・休日など）などを記載します。また、技能実習生の履歴書や、実習の内容を明らかにする工程表などの添付書類も必要です。外国人技能実習機構は、技能実習生の区分に合った実習内容か、技能実習生の待遇に問題がないかなどを技能実習計画で確認し認定します。

技能実習生が習得した技能の評価

技能実習生の技能評価も、技能実習責任者の役割のひとつです。検定や資格試験による評価、社内評価制度による評価を行います。主な検定の種類は、技能実習制度を推進するJITCOの認定試験やJITCO習得技能評価などです。なお、一般社団法人国際人材育成労務管理協会（労管協）では「自主的な点検」による評価を提案しています。具体的には、日本で働くために必要なビジネスマナーやチームワーク、責任感などが評価の対象です。

帳簿書類の作成・管理

技能実習責任者は、技能実習生の管理簿や実施した業務と指導の内容を記載した技能実習日誌、計画認定の履行状況に関する管理簿などの作成・管理を行います。また、特定の職種の場合、法務大臣及び厚生労働大臣が告示で定める書類も必要です。技能実習を行う事業所で、技能実習の終了日から1年間（1号・2号分を帰国後1年間）保管しなくてはなりません。

技能実習生の受け入れ準備

技能実習生の受け入れ準備も、技能実習責任者が行います。技能実習生には、日本人と同じ労働基準法が適用されるため、労働保険や社会保険への加入が必要です。また、技能実習生の住居や生活必需品の準備も欠かせません。生活必需品は、すべて準備する必要はありませんが、なるべく技能実習生が不便なく過ごせるように配慮しましょう。

実施状況報告書の作成

技能実習責任者は、毎年実施状況報告書を作成し、企業の住所地を管轄する機構の地方事務所・支店の認定課に提出します。実施状況報告書に記載する内容は、技能実習生の労働条件や行方不明者の発生状況などです。提出する際は、地方事務所へ持参もしくは郵送する方法があります。

参照元
公益財団法人　国際人材協力機構JITCO
実施状況報告書提出時の注意事項

技能実習責任者の選定要件

技能実習責任者になるには、以下の条件を満たしている必要があります。ここでは、対象となる人・対象外の人についてそれぞれ解説するので、参考にしてください。

対象となる人

技能実習責任者は、下記に該当する人が対象です。

• 実習実施者またはその常勤の役員・職員である者
• 自分以外の技能実習に関与する職員を監督できる立場にある者
• 過去3年以内に技能実習責任者に対する講習を修了した者

技能実習責任者の講習は、技能実習責任者に選任されているもしくは選任予定の人が受けるものです。合計6時間の講習を受ける必要があります。

対象外の人

下記に該当する人は、技能実習責任者の対象外です。

• 禁錮以上の刑に処せられ執行を終えた日から5年を経過していない者
• 過去5年以内に出入国または労働に関する法令に違反した者
• 未成年者

上記の欠格事由に該当する人は、技能実習生・技能実習に関わる職員の統括管理ができないと判断されます。

技能実習指導員の役割・選任に関する要件については、「技能実習生の指導員とは？役割や選任されるための要件について解説」のコラムで確認できます。技能実習指導員以外に選任が必要な人員（技能実習責任者・生活指導員）も紹介しているので、参考にしてみましょう。

技能実習責任者講習とは？

技能実習責任者講習は、技能実習生の保護に関する法律や実習での指導方法について学ぶものです。技能実習責任者になるには、技能実習責任者講習を修了しなくてはなりません。ここでは、技能実習責任者講習の主な内容を紹介します。

講習の内容

技能実習責任者講習では、下記の項目について学びます。

• 技能実習の適正な実施と技能実習生の保護に関する法律
• 技能実習生への指導方法
• 難民認定法について
• 労働関係法令について
• 労働災害防止、労働災害時の対応

項目ごとに設けられている時間が異なり、短い項目で30分、長い項目で90分です。技能実習責任者講習で、技能実習制度に関する法律や技能実習生との関わり方を学びましょう。

「技能実習責任者の養成講習とは？当日の流れやテストの詳細まとめ」でも、技能実習責任者講習の内容や受講方法を解説しています。技能実習責任者やこれからなる予定の人は忘れずに受講しましょう。

技能実習責任者講習は3年ごとの受講が必須

技能実習責任者は、「過去3年以内に技能実習責任者に対する講習を修了した者」が対象のため、3年ごとに技能実習責任者講習を受講しなくてはなりません。受講した年から3年以上経過している場合は、もう一度受ける必要があるので注意が必要です。

まとめ

技能実習責任者は、技能実習生や技能実習に関わる職員の管理を行います。具体的には、技能実習計画や実施状況報告書の作成、技能実習生の受け入れ準備などです。また、技能実習責任者になるためには、さまざまな要件があります。技能実習責任者の選定対象者について正しい知識を身に付け、スムーズに技能実習生を受け入れられるようにしましょう。