在留カードの携帯義務がある理由とは?外国人を雇用する企業に向けて解説

2021年11月12日
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濵川恭一 (監修)
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net

在留カードの概要や携帯義務について知りたい企業の方もいるでしょう。在留カードは、外国人が日本に中長期間在留する際に必要なもので、入管法により、常時携帯が定められています。このコラムでは、在留カードの携帯義務がある理由や、企業が外国人を採用する際の注意点を解説。在留状況に不備がある外国人を採用した場合の罰則についてもまとめているので、参考にして外国人雇用に役立てましょう。

目次

  1. 在留カードとは?
  2. 在留カードの携帯義務がある理由
  3. 在留カードを携帯しなくても良い場合
  4. 外国人を採用する際の在留カードに関する注意点
  5. まとめ

在留カードとは?

在留カードは、外国人が日本に中長期間在留する際に必要なものです。在留カードの目的や携帯義務について、具体的に解説します。

在留カードの目的

在留カードは、出入国在留管理庁長官が、外国人が保有する在留資格や在留期間をもって、日本に中長期間在留できることを証明する「証明書」です。さらに、本来パスポートに対して行われる各種法律行為の「許可証」としての役割もあります。

日本に在留する外国人は、入管法により在留カードの携帯義務があります。入国警備官や警察官など、権限ある官憲から提示要求があった場合は、必ず提示しなくてはなりません。

交付に該当する人

在留カードの交付がされる人は、日本に中長期間在留する外国人です。たとえば、「定住者」「日本人の配偶者等」の在留資格を保有している人や、「技術・人文知識・国際業務」「経営管理」など就労している人、留学生や技能実習生、「永住者」などが該当します。在留資格を持っていない人や、日本での在留期間が3カ月以下の人は対象外です。また、「特別永住者」や「外交」「公用」の在留資格を持っている人は、国交や外交に関わる特別な理由で入国しているため交付されません。

書かれている項目

在留カードには、以下の項目が記載されています。

  • 氏名
  • 生年月日
  • 性別
  • 国籍もしくは地域
  • 住居地
  • 在留資格
  • 在留期間
  • 在留期限
  • 就労の可否

16歳以上の人は顔写真が表示されます。なお、氏名や住居地に変更がある場合は、変更の届出が必要です。

参照元
法務省 出入国在留管理庁
旅券等の携帯(入管法第23条)

在留カードの携帯義務がある理由

在留カードの携帯義務が定められている理由は、本人確認書類として用いたり警察官や入国警備官に提示を求められたりする場合があるからです。在留カードが必要な場合について、詳しく解説します。

本人確認書類になるため

在留カードは、外国人にとって本人確認書類になるものです。行政サービスを受ける際の本人確認書類として、提示が求められます。また、携帯電話を購入したり、銀行口座を開設したりする際も、在留カードによる本人確認が必要です。

警察官や入国審警備官に提示を求められることがあるため

日本では、防犯の目的から警察官に在留カードの提示を求められる場合があります。特に、大都市のターミナル駅では、私服警官による職務質問が多く行われており、その際に在留カードを見せなくてはなりません。もし、在留カードを携帯していなかった場合は、20万円以下の罰金、提示に応じなかった場合は、1年以下の懲役または20万円以下の罰金に処せらる可能性があります。ただし、16歳未満の外国人は、在留カードの携帯義務がありません。16歳以上の日本に在留する外国人に限り、在留カードの携帯義務が定められています。

在留カードを携帯しなくても良い場合

「特別永住者」の在留資格を持つ人や、在留カードを一時的に行政書士等に預けている場合は、携帯していなくても違反になりません。ここでは、在留カードを携帯しなくても良いケースについて、具体的に紹介します。

特別永住者の在留資格を持っている

特別永住者の在留資格を持つ人は、在留カードの交付に該当しないため、携帯義務は発生しません。特別永住者は、在留カードの代わりに「特別永住証明書」が交付されます。特別永住者は「特別永住者に係る歴史的経緯等に鑑み、特別の配慮が必要」とされているため、特別永住証明書の携帯義務はありません。

在留カードを行政書士等に預けている

在留期間の更新のために、在留カードを行政書士や弁護士等に預けている場合は、携帯していなくても違反になりません。この場合は、法定で定められた人が本人に代わって在留カードを提出・受領するため、罰則の対象外です。ただし、行政書士等に在留カードを預けている場合、外国人は在留カードのコピーを携帯する必要があります。なぜなら、警察官に職務質問されたときに、在留カードを証明できるものを持っていないと、不審に思われる可能性があるからです。違反にならないとしても、念のため在留カードのコピーを所持しておきましょう。

外国人を採用する際の在留カードに関する注意点

企業が外国人を採用する際、在留カードに関する2つの注意点があります。ここでは、それぞれの注意点について解説するので、参考にしてください。

在留カードの期限を確認する

外国人を採用する際、在留カードの期限を確認する必要があります。在留カードには有効期限があり、在留資格や日本に従事する活動によってさまざまです。在留期限が切れた場合、在留カードも失効します。つまり、外国人の在留カードを見れば、在留資格に問題ないかが判断できるのです。もし、在留期限が切れた外国人を採用した場合、雇用主は「不法就労助長罪」に問われ、3年以下の懲役または300万円以下の罰金、もしくは両方を課せられる可能性があります。そのような事態を防ぐためにも、外国人を採用する際は必ず在留カードの期限を確認しましょう。

特別永住者には在留カードの提示を求めない

企業は特別永住者に在留カードの提示を求めてはいけません。企業は外国人を採用する際に、在留カードを確認するために提示を求める場合があります。特別永住者にとっての在留カードは「特別永住証明書」が該当しますが、特別永住証明書には携帯義務がありません。理由は、特別永住者は歴史的背景を鑑みて特別な配慮が必要とされているためです。特別永住者に在留カードの提示を求めるのは、持ち歩く義務のないものの提示を要求することになります。特別永住者の採用活動を行う際は、上位の点を十分注意しましょう。

まとめ

在留カードは、外国人が日本に中長期間在留できることを証明するものです。日本に在留する外国人は、在留カードの携帯義務が定められており、入国警備官や警察官に提示を求められることもあります。外国人を採用する企業は、在留カードの有無はもちろん、在留期限の確認を行うのも大切です。在留期限を過ぎた外国人を採用してしまうと、罰則を科せられる可能性があるため注意しましょう。