外国人雇用・採用の疑問を解消するメディア
人出不足に悩んでいる企業のなかには、どんな業種や職種で人手が足りないのか気になる方もいるでしょう。このコラムでは、厚生労働省が発表した有効求人倍率をもとに、人手不足の職業をランキング形式でまとめています。また、外国人雇用のメリットや注意点も解説。外国人雇用は、労働人口の減少が進む日本において無くてはならないものになりつつあります。このコラムを、人材不足を解消する手掛かりにしましょう。
目次
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人手不足の職業ランキング1位は「建設躯体工事の職業」、2位は「土木の職業」、3位は「保安の職業」です。このランキングは、厚生労働省が毎月発表している「一般職業紹介状況」の有効求人倍率のデータを参考にしています。有効求人倍率とは、企業が出した求人数を求職者の数で割った数字です。有効求人倍率が高いほど、「求人数は多いが求職者が少ない=人手不足の職業」ということが読み取れます。上述した建設躯体工事の職業の有効求人倍率が8.73、土木の職業は5.22、保安の職業が5.13でした。4~10位は以下のとおりです。
4位…建設・土木・測量技術者(4.54)
5位…採掘の職業(4.10)
6位…建設の職業(3.90)
7位…機械整備・修理の職業(3.60)
8位…介護サービスの職業(3.37)
9位…家庭生活支援サービスの職業(3.33)
10位…電気工事の職業(3.31)
上記のランキングは、ハローワークに登録している求人数および求職者数を基にした有効求人倍率のため、正社員のほか非正規雇用の人数も含まれています。また、ハローワークに登録していない求人情報の数は、含まれていないデータです。
人手不足の業界については、「人手不足の業界とは?企業で起きやすい問題や原因と対策を解説」でも詳しく解説しています。人手不足を解消する対策についても紹介しているので、人材の確保で悩む企業の方は、ぜひ参考にしてください。
参照元 厚生労働省 一般職業紹介状況(令和3年5月分)結果の概要
人手不足になる主な要因は、「労働者数の減少」「働き方改革の影響」「労働環境や景気の悪化」の3つにあると考えられます。以下で詳しく解説するので参考にしてください。
建築業界や介護業界などさまざまな職業で人手不足の状態が続いている要因の一つが、少子高齢化による労働者数の減少です。2018年に行われた総務省の調査によると、日本の全人口の約28%が65歳以上の高齢者という結果で過去最高の人数でした。逆に、一般的に労働が可能な15~64歳の人数は減少しており、全体の60%にも満たない数で過去最低人数を毎年更新しています。また、0~14歳の子どもが12.2%で、65歳以上よりも少ない割合です。
支援を必要とする高齢者が増える一方で、看護や介護など高齢者を支える側の職業では、人手不足に困っているという悪循環が起きています。また、建設業界の職業で人手不足になる背景にも、体力のある若者の人口減少が影響しているといえるでしょう。
参照元 総務省統計局 統計トピックスNo.119統計が語る平成のあゆみ「人口減少社会、少子高齢化」
働き方改革は主に中小企業の人手不足を解消するため、「長時間労働の是正」「雇用形態に関わらず公正な待遇を確保」「多様な働き方の実現」などを目的に開始しました。職場の労働環境が見直され、働きやすさを感じる労働者が増えています。一方で、働き方改革が進んでいない企業が多くあるのも事実です。働き方改革が進んでいない企業から、進んでいる企業への人材流出によって、さらに人手不足が悪化する企業も珍しくありません。
参照元 厚生労働省 働き方改革の実現に向けて
劣悪な労働環境や景気の悪化は、人手不足に直結します。強制的な長時間労働や低賃金などが常態化している企業では人材が定着しません。それにより人手不足が加速し、さらに労働環境が悪くなる企業も多く存在します。
景気の悪化も、人手不足の大きな要因です。景気が悪化すれば優秀な人材が職を求めて企業に流入し、人手不足が解消されると思う人もいるでしょう。しかし、実際には景気が悪化すれば企業は採用を控えます。それにより新しい人材がなかなか入社しなくなるため、企業は人手不足に陥りやすくなるのです。
企業が人手不足を解消するためにできる対策は、労働環境や待遇の改善や、企業の将来性を明確にすることです。また、外国人や高齢者をはじめとした新しい人材層の雇用に目を向けることも大切でしょう。
労働環境や待遇が原因で人手不足に陥っていると考えられる企業は、改善を検討しましょう。特に、同じ地域、同じ職種の賃金相場と比べて、明らかに自社の賃金が低い場合は、人材流出につながりやすいです。賃金待遇に不満を持っている人材の流出を防ぐには、賃金を上げることが最も効果的な対策です。しかし、従業員の賃金をむやみに上げると企業の経営に悪影響を及ぼしかねません。無理のない範囲で、できる限り従業員の希望に沿う金額を提示する工夫が大切です。
業務量が多すぎたり、労働時間が長すぎたりする企業も人材が流出しやすくなります。そのため、業務の効率化を図り、従業員の負担を少しでも減らすのが人材不足を解消する対策といえるでしょう。最適な業務の効率化の手段は業種によって異なりますが、オートメーション化やシステム化を取り入れるとスムーズに業務の効率化が図れます。また、一部の業務を外部委託するのも、従業員の負担軽減になるでしょう。従業員が長く働きたいと思える労働環境を整えることが、人手不足解消に繋がります。
他社にはない強みや将来性を明確に示せると、人材の流出が防ぎやすくなるでしょう。長期の就労を考える人は、企業の将来性を見ます。5年後、10年後の事業プランを明確に示したうえで、長く働くことが従業員にとってメリットになると伝える取り組みが必要です。「この企業なら将来も安心」と思われる企業作りを目指しましょう。
外国人やシニア世代を雇用するのも、人手不足を解消するのに非常に有効な手段です。
外国人労働者は人手不足の業界にとって欠かせない存在になっています。2019年の出入国管理及び難民認定法の改正で新たにできた在留資格「特定技能」は、人手不足の業界で働ける外国人を増やすのを目的に設けられました。特定技能の在留資格ができたことにより、2019年以前は許されていなかった外国人の単純労働が特定の業種に限り可能になったのです。外国人の就労を目的とした来日は増え続けているため、積極的に外国人雇用を検討してみましょう。
外国人のほかには、シニア世代の雇用も人手不足を解消する手段といえます。特に製造業においては、熟練した技術と経験を有したシニア世代は大きな戦力になるでしょう。
企業が外国人を雇用すると、人手不足の解消以外にもさまざまなメリットがあります。たとえば、外国人を雇用することにより企業のグローバル化に繋がるでしょう。海外企業との取引を円滑に進めたり、海外で新規事業を立ち上げたりするには、語学や外国の商習慣に精通した外国人従業員がいた方がスムーズに進みます。また、日本人にはなかなか思いつかないアイデアが外国人従業員からもたらされるのもメリットです。何か新しいプロジェクトを始めようとしても、同じ文化圏で育った日本人同士では、似通った意見しか出ない場合もあります。そこに異なる価値観を持つ国から来た外国人従業員が加わることで、新たなビジネスのヒントが得られるのが期待されるでしょう。
人手不足の企業が外国人を雇用する際の注意点は言葉や文化の違いを理解することや、外国人雇用に関する正しい知識が必要な点です。
外国人と日本人は言葉の違いから、コミュニケーションが上手く取れず、行き違いが発生する可能性があります。また、文化や価値観の違いからトラブルになる事案も少なくありません。言葉や文化の違いによる問題を防ぐには、企業が従業員に対して違いを尊重し、理解するための働きかけをする必要があります。たとえば、日本人従業員に対しては受け入れ研修を行い、外国人と一緒に働くうえでの心構えを知ってもらうのが効果的です。一方、外国人従業員に対しては日本のマナーや価値観を学ぶ機会を設け、日本でスムーズに働くにはどうすれば良いかを知ってもらうと良いでしょう。
また、外国人を雇用するには、日本人の雇用とは異なる決まりがたくさんあります。その点の理解が乏しいと、法律で罰せられるので注意しましょう。たとえば、外国人は有している在留資格で許可されている業務以外は行えません。在留資格外の業務を指示してしまうと、外国人本人だけではなく雇用した企業も「不法就労助長罪」で罰せられます。罰則は3年以下の懲役または300万円以下の罰金等と大変厳しいものです。このように、外国人雇用に関する知識が乏しいと知らないうちに法律に違反してしまう可能性があります。不安な企業は行政書士や外国人雇用の専門家など、外部のサポートを受けるのがおすすめです。
人手不足に陥っている職業のランキングを見ると、肉体的にハードだったり、賃金水準が低かったりする職業が上位にランクインしていることが分かります。企業が人材不足を解消するには、外国人を雇用するのが有効な対策です。言葉や文化の違いによるトラブルを懸念する企業もあるでしょう。しかし、資料の多言語化や受け入れ研修の機会を設けることでトラブルのリスクは減らせます。人手不足に困っている企業は、外国人雇用を積極的に検討しましょう。
監修:濵川恭一
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net