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技能実習を始めようとする企業のなかには、技能実習生を受け入れられる人数が詳しく分からない方もいるでしょう。企業が受け入れられる技能実習生の人数は、企業の常勤職員の人数や技能実習生の区分、技能実習の形式で異なります。このコラムでは、技能実習生の受け入れ可能人数を解説。また、技能実習の新制度の内容や技能実習生を多く受け入れる方法も紹介しています。参考にして、スムーズに技能実習を開始しましょう。
目次
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技能実習生の受け入れ可能人数には、基本人数が定められています。基本人数から、技能実習生の区分や技能実習の形式により人数が変動する仕組みです。以下が技能実習法で定められている基本人数です。
【技能実習基本人数枠】
なお、特有の事情のある職種や、人道的な理由でほかの実習先から技能実習生を受け入れたときなどはこの限りではありません。個別の事情で、制限人数を超えて受け入れたいときは、技能実習機構に相談することができます。
団体監理型は、技能実習監理団体を通じて技能実習生を受け入れる方法です。ほとんどの企業は、団体監理型で技能実習生を受け入れています。
団体監理型の場合、技能実習1号の技能実習生は基本人数枠と同数の受け入れが可能です。技能実習2号の技能実習生は基本人数枠の2倍の人数を受け入れられます。なお、常勤職員総数には技能実習生は含まれないので注意しましょう。
受け入れ企業と監理団体が外国人技能実習機構に優良な実習実施者と認められると、受け入れ人数枠が増加します。優良基準適合者になると、1号の技能実習生は基本人数の2倍、2号は4倍の人数が受け入れ可能です。また、優良な実習実施者のみが受け入れられる技能実習3号の技能実習生は、基本人数の6倍の数を受け入れられます。
企業単独型とは、海外に事業所を持つ日本企業が、直接技能実習生を受け入れ、技能実習を実施する方法です。企業単独型は、法務大臣及び厚生労働大臣から認定を受けた企業かどうかで受け入れ人数が異なります。
法務大臣及び厚生労働大臣が継続的で安定的な実習を行わせる体制を有すると認めた企業は、技能実習1号の技能実習生は基本人数と同数、2号の技能実習生は基本人数の2倍の人数を受け入れられます。主務大臣から認められた企業が優良基準適合者になった場合、1号の技能実習生は基本人数の2倍、2号は4倍、3号は6倍の人数が受け入れ可能です。
法務大臣及び厚生労働大臣から認定を受けていない企業は、基本人数枠が適用されません。1号の技能実習生は常勤職員総数の20分の1、2号は10分の1の人数が受け入れられます。主務大臣から認定を受けていない企業が優良基準適合者になった場合、1号は常勤職員総数の10分の1、2号は5分の1、3号は10分の3の人数が受け入れ可能です。
参照元 出入国在留管理庁「外国人技能実習制度について」
ここでは、2017年から開始された技能実習の新制度の概要を解説します。2017年以前まで、技能実習は「出入国管理及び難民認定法」のもと実施されていました。2017年11月からは「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」、いわゆる技能実習法に基づき実施されています。根拠法令の見直しとともに技能実習制度にもさまざまな変更がなされました。以下で詳しく説明するので参考にしてください。
新制度では技能実習の適切な実施のため、外国人技能実習機構が設立されました。また、出入国在留管理局の確認のみだった技能実習計画を認定制にしたり、実習実施者の届出を義務付けたりしたのも技能実習を適切に実施するためです。そのほかに、監理団体の許可制も新制度により義務付けられました。
前制度下での技能実習では、技能実習生の人権侵害が問題視されました。そこで新制度では、技能実習生の人権侵害への罰則規定を定めたうえ、技能実習生から主務大臣への申告制度ができています。また、相談・通報窓口を設置したり、人権侵害を受けた技能実習生の実習先変更を支援したりする仕組みも新制度によって定められました。
新制度では、技能実習を活性化させるための内容も定められました。具体的には優良な監理団体・実施者と認められた場合の優遇措置です。優良実習実施者に対する3号技能実習生の受け入れ許可や、技能実習生受け入れ人数枠の増加は、新制度で新たに定められました。また、優良な監理団体・実習実施者に限り、技能実習対象職種の拡大も認められています。
技能実習生の受け入れ人数を増やすには、優良な実習実施者と認められるのが最も有効な手段です。技能実習生の受け入れ人数は、常勤職員の総数で決まりますが、技能実習生を増やすためだけに常勤職員も増員するのは難しいでしょう。そのため、外国人技能実習機構に優良実習実施者と認められるための対策を取るのをおすすめします。優良な実習実施者の要件は以下です。
【優良な実習実施者の要件】
以上の項目の点数の合計が満点である120点の6割以上(つまり72点以上)であれば、優良な実習実施者と認められます。なお、団体監理型の場合、企業だけではなく監理団体も優良でなければならないので注意しましょう。最も点数配分の高い「技能実習の習得に係る実績」の項目では、今まで受け入れた技能実習生の過去3年間の技能検定の合格率や、実習実施者の技能実習指導員・生活指導員の養成講習受講歴などが加算ポイントです。
参照元 出入国在留管理庁「外国人技能実習制度について」
技能実習生を多く受け入れると、企業の社会貢献に繋がったり、若い人材が増え企業が活気づくメリットがあります。また、企業の国際化が進みやすくなるのもメリットといえるでしょう。
技能実習生の受け入れは社会貢献の一環といえます。技能実習制度の目的は、発展途上国の外国人に日本の技能を移転することです。日本は先進国としての役割をはたし、他国と調和しながら発展していくために技能実習生を受け入れています。企業の社会貢献が求められている昨今において、人材を確保しながら国際社会への発展にも繋がる技能実習を実施するのは、企業にとって大きなメリットがあるといえるでしょう。
人手不足の企業においては、技能実習生を受け入れると人材が確保できるのも大きなメリットでしょう。技能実習制度はあくまで外国人への技能の移転が目的であり、人材確保の手段ではありません。しかし、技能実習を受け入れられる職種の多くは人手不足が深刻であるため、技能実習生の受け入れにより人手不足が解消された企業も多いようです。人材確保のための手段ではないことに留意したうえで、上手に技能実習制度を活用しましょう。
技能実習生を受け入れると、職場が活気づきます。技能実習生は18歳から35歳までの若者です。また、勤労に対して意欲的な人が多く「日本の技術を学びたい」「日本で働いて母国の家族に仕送りをしたい」などといった前向きな気持ちを持っています。そのため、技能実習生の受け入れにより職場の雰囲気ががらっと変わる企業は多いようです。また、元々働いていた日本人の従業員が技能実習生に刺激を受け、勤務態度や生産性が良くなるのも期待されます。
技能実習生を受け入れると、海外との結び付きが強くなります。それにより、企業が国際化を目指しやすくなるでしょう。また、技能実習生の受け入れ実績や外国人雇用のノウハウがある企業は、海外から優秀な人材を呼び寄せやすくなるメリットもあります。
技能実習生を受け入れられる人数は、技能実習生の区分や企業規模、技能実習の形式によって異なります。自社が何人受け入れられるのかを確認してみましょう。
技能実習生を多く受け入れると、企業の活性化や人材の確保などさまざまなメリットがあります。技能実習生を多く受け入れたい企業は、優良実習実施者の認定を受けられる要件を確認し、高得点を得る工夫が必要です。
「外国人技能実習生の受け入れに必要な知識を企業に向けて解説」では、技能実習制度の基本情報や監理団体の役割を紹介。また、技能実習制度にまつわる問題点も解説しています。技能実習制度について正しく理解して、実際に技能実習生を受け入れる足掛かりにしましょう。
監修:濵川恭一
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net