技能実習法に基づく技能実習制度とは?

2020年03月24日
濵川恭一 (監修)
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net

技能実習制度は1993年に創設され、出入国管理及び難民認定法(入管法)とその省令を根拠法令として実施されてきました。しかし、技能実習制度には改善すべき点が多かったため見直しが必要となり、新たに「技能実習法」とその関連法令が2017年11月1日に施行されたのです。 

技能実習法の制定により、入管法で規程されていた技能実習法の大部分が技能実習法に規程されるようになりました。今回は、この法改正を基に、外国人の技能実習制度とはどのようなものか詳しく解説していきます。

技能実習法について

技能実習法の正式名は「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」と言い、外国人技能実習生の受入れに関する法律です。

どのような法律か?

技能実習法が施行される前の外国人技能実習生の受入れに関しては、入管法とその省令を根拠法令とした技能実習制度を基に運用されていましたが、2017年11月1日の技能実習法の施行により制度が大きく見直されています。

大きな改善点として、外国人技能実習機構 (OTIT)の設立が挙げられます。今まで国際研修協力機構 (JITCO)が行ってきた業務や権限が、外国人技能実習機構に引き継がれ、技能実習の適切な実施と技能実習生の保護が図れるようになったのです。

技能実習法の役割

技能実習法に基づく技能実習制度は日本の優れた技術やスキルを技能実習生に伝授することにより、開発途上地域の人づくりに貢献することを目的としています。技術やスキルを日本で取得した技能実習生が、開発途上地域に帰国して現地で活躍することは、日本の国際貢献においても重要な意味を持っています。

外国人の受け入れ方式

外国人を技能実習生として受け入れる方式は、団体監理型と企業単独型の2種類あります。2種類の受け入れ方式のうち、団体監理型が約97%を占めています。

企業単独型

企業単独型とは、日本の企業などが海外の現地法人や合併企業や取引先企業などの自社に関連する外国人職員を受け入れて技能実習を行う方式です。主に、日本の上場企業、大型工場を持つ企業などで活動されています。この場合の海外の現地法人や合併企業などとは、以下の条件を満たした企業のことをいいます。

  • 現地法人・・現地の法律に基づいて設立された法人であること

  • 合弁会社・・複数の企業が共同で出資した企業であること

  • 子会社・・議決権の過半数を所有する会社であること

  • 関連企業・・議決権の20%以上を所有する会社であること

また、取引先企業とは、以下の条件を満たした企業のことをいいます。

  • 1年以上の国際取引があること

  • 1年以内に10億円以上の国際取引があること

  • 国際的な業務上の提携を行っていることなどにより法務大臣、厚生労働大臣が認めたこと

団体監理型

団体監理型とは、営利を目的としない団体から人材を受け入れて、関連企業や傘下企業が実習実施者になることにより技能実習を行う方式です。技能実習生が実際に働く場所は、中小企業、個人事業主の農家などになります。また、送り出す国や地方公共団体の推薦を受けて、日本で受ける技能実習と同じ業種に従事した経験がある人が対象になっています。

監理団体

監理団体とは、団体監理型により技能実習生を受け入れる場合の営利を目的としない団体のことです。営利を目的としないため、事業協同組合などの中小企業団体、商工会議所、商工会がそれにあたります。

2017年11月1日の技能実習法の施行により、外国人の技能実習生を受け入れる監理団体が活動していくためには、主務大臣による許可が必要になっただけでなく、外部役員または外部監査人を設置する義務、技能実習機構による立ち入り調査も行われるようになりました。

外国人の技能実習制度

技能実習制度は、2017年11月1日の技能実習法の施行により大きく制度が見直され整備されました。

在留資格「技能実習」とは?

技能実習制度により日本に在留する外国人は、在留資格「技能実習」を持つことになります。在留資格「技能実習」は3種類に分かれていて、在留期間の最長は5年になります。

技能実習1号

技能実習1年目の外国人実習生が対象で、企業単独型の場合の在留資格は「技能実習1号イ」、団体型の場合の在留資格は「技能実習1号ロ」です。

技能実習2号

技能実習2年目、3年目の外国人実習生が対象で、企業単独型の場合の在留資格は「技能実習2号イ」、団体型の場合の在留資格は「技能実習2号ロ」です。

技能実習1号から技能実習2号への移行は、所定の技能試験に合格している必要があります。

技能実習3号

技能実習4年目、5年目の外国人実習生が対象で、企業単独型の場合の在留資格は「技能実習3号イ」、団体型の場合の在留資格は「技能実習3号ロ」です。

技能実習2号から技能実習3号への移行は、所定の技能試験に合格している必要があります。

参照:厚生労働省「新たな外国人技能実習制度について」

技能実習の職種と作業範囲

技能実習1号の場合、対象職種に制限はありませんが、技能実習2号または技能実習3号の場合は、それぞれ移行職種に制限があります。

実習実施者とは?

実習実施者とは、外国人実習生を企業などのことをいいます。技能実習法では、実習実施者が受け入れる技能実習生ごとの技能実習計画を作成しなければなりません。この技能実習計画書は、監理団体の指導に基づいて作成し、外国人技能実習機構の認定を受ける必要があります。

また、実習実施者は一年に一度技能実習の実施の状況に関する報告書を、外国人技能実習機構の地方事務所、支所に提出しなければなりません。実習実施者が認定計画通りに技能実習を実施していない、出入国・労働関係法令に違反していると認められた場合は、主務大臣が改善命令をします。さらに、実習実施者の出入国・労働関係法令の違反が不正または著しく不当な場合は、実習実施者の実習認定を取り消すことができます。

外国人技能実習生の保護

過去には、技能実習制度で入国した技能実習生が人権侵害行為を受けたり、転籍が不可能であったことから劣悪な条件で働き続けたりしていました。例えば、雇用主による暴力、暴言、パワハラ、セクハラなどです。また、最低賃金以下の就労、サービス残業の強要といった問題も多くみられました。しかし、技能実習法の施行により、外国人技能実習生の就労環境は少しずつ改善されつつあります。

外国人技能実習機構(OTIT)の設立

外国人技能実習機構(OTIT)は、技能実習法の施行により設立された外国人技能実習のための監査機関です。技能実習法施行前までの実地検査は、行政指導をすることができず、不十分なものでした。しかし、外国人技能実習機構の設立により、技能実習制度の適正な実施や技能実習生の保護が行われるようになったのです。

外国人技能実習機構の業務について

外国人技能実習機構の業務は以下になります。

  • 技能実習計画の認定

  • 実習実施者の届出の受理

  • 監理団体の許可申請の受理等

  • 実習実施者に対する指導監督

  • 監理団体に対する指導監督

  • 技能実習生からの申告や相談

実習生の保護に関する禁止事項

技能実習法による技能実習生の保護のための禁止事項は以下になります。

  • 技能実習の強制

  • 違約金の設定

  • パスポートや在留カードの保管

これらの禁止事項に対して違反した場合の罰則を定めると共に、実習実施者または監理団体の法令違反に対して、技能実習生からの通報や申告が認められるようになったのです。

まとめ

2017年11月1日の技能実習法の施行により、監査機関である外国人技能実習機構を設立することで、技能実習制度の適正な実施や技能実習生の保護が行われるようになったのです。

技能実習法について詳しく知りたい場合はこちら:外国人技能実習生を受け入れるための制度・技能実習法とは?

技能実習制度を利用したい場合はこちら:外国人を研修生として受け入れよう!技能実習制度の利用方法を解説

特定技能と技能実習の違いを知りたい場合はこちら:外国人受け入れ制度とは? 技能実習と特定技能の違いを解説

技能実習制度の現状を知りたい場合はこちら:技能実習制度とは?メリットと問題点を詳しく解説

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技能実習制度を活用する前に知っておきたいことはこちら:外国人技能実習制度とは?技能実習生を受け入れる前に知っておきたいこと