技能実習法とは?企業に向けてわかりやすく解説!

2022年01月28日
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濵川恭一 (監修)
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net

技能実習法がどのような法律か知りたい人もいるでしょう。技能実習法は、技能実習生の保護と適切な技能実習実施のためにできた法律です。このコラムでは、技能実習法の内容をわかりやすく解説。また、技能実習法が制定されるに至った経緯も紹介します。技能実習の実施を検討する企業は内容を参考にして、技能実習制度についての理解を深めましょう。


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目次

  1. 技能実習法とはどのような法律?
  2. 技能実習法で制定された内容
  3. 在留資格「技能実習」について
  4. 技能実習生の受け入れ方式
  5. まとめ

技能実習法とはどのような法律?

ここでは、技能実習法の概要や創設された経緯をわかりやすく紹介します。技能実習を実施する企業は、内容を正しく把握しましょう。

技能実習制度を適切に運用するための法律

技能実習法は、技能実習制度を適切に運用するための法律です。正式名称は「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」ですが、省略して技能実習法と呼ぶのが一般的です。開発途上国の外国人への技術移転が目的である技能実習制度は、技能実習法に基づき運用されています。

技能実習法が制定された経緯

技能実習法が制定された理由は、入管法のもとで行われる技能実習制度では適切な運用が難しかったためです。技能実習法が制定された経緯を知るために、技能実習制度の歴史を紹介します。

技能実習制度の開始

技能実習制度は外国人研修制度から始まっています。

日本企業は1960年代後半から海外進出が進み、現地法人で働く外国人従業員の研修を日本で行いたいとの要望が徐々に増えていきました。また、企業のニーズと並行して現地から国際貢献としての技術移転の要望も高まったため、1993年に「技能実習制度」が開始されたのです。ただし、この時点では1年間「研修」の在留資格で技術を取得し、その後は「特定活動」で業務を行うといった現行の制度とは異なる運用方法でした。

在留資格「研修」で技能を習得する外国人は、実際に業務を行っていても労働者として扱われず、報酬も研修費・研修手当として支払われていたのです。また、労働基準法や最低賃金法が適用されなかったため、劣悪な環境での労働を強いられていた外国人が多くいました。

技能実習制度に関する詳細は「外国人技能実習制度とは?新制度についてわかりやすく解説!」でご確認ください。

在留資格「技能実習」の創設

技能実習制度における外国人の人権侵害を重くみた政府は、2009年に入管法の改正に乗り出しました。これにより、在留資格「技能実習」が創設されます。在留資格「技能実習」ができたことで、研修制度としての側面はなくなり、技能実習生の労働者としての権利を守れるようになりました。それでも、技能実習生への暴力や暴言、長期間労働の強要はなくなりません。そこで、政府はさらなる体制強化に踏み出したのです。

技能実習法の制定

入管法のもと実施されていた技能実習制度が現行のかたちになったのは、2017年です。2017年に施行された「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(技能実習法)」には、技能実習生の保護や適切な技能実習を実施するためのさまざまな仕組みが盛り込まれました。

技能実習法で制定された内容

ここでは、技能実習法で制定された内容をわかりやすく解説します。技能実習生を守る仕組みはもちろんのこと、監理団体や技能実習を実施する企業へのチェック体制を強化しているのが特徴です。

技能実習生の保護

技能実習生の保護に関する内容は、技能実習法の内容のなかでも特に重要な部分でしょう。技能実習生の保護の観点から、受け入れ企業に禁止されている項目は以下のとおりです。

  • 技能実習の強制
  • パスポートや在留カードの取り上げ
  • 違約金や損害賠償の設定
  • 強制的な貯蓄契約や貯蓄の管理
  • 外出や私生活の自由の制限
  • 違反行為を報告したことに対する制裁

以上のような禁止行為が定められたことにより、相談体制も整備されました。技能実習生は、受け入れ企業が禁止項目に該当する行為を行った場合、外国人技能実習機構に相談や通告ができます。

監理団体の許可制

技能実習法の制定により、申告制だった監理団体の業務が許可制になりました。監理団体としての活動を希望する団体は、主務大臣からの許可を得なくてはなりません。許可制になったことにより、監理団体としての整合性をより細かくチェックできます。

技能実習計画の認定

技能実習計画の認定制も技能実習法により定められました。技能実習計画は、企業がどのように技能実習を進めていく予定かを記載した書類です。技能実習法ができるまで、技能実習計画の内容は技能実習生の在留資格審査の過程で確認されていました。技能実習法では、外国人実習機構が技能実習計画を審査し、認定の可否を決定します。

外国人技能実習機構の設立

技能実習法では、外国人技能実習機構(OTIT)の設立も定められました。外国人技能実習機構ができるまで、技能実習生に受け入れに関する業務は国際人材協力機構(JITCO)が行っていました。特定技能外国人支援の役割も持つ国際人材協力機構に対し、外国人技能実習機構は技能実習生に関する業務に特化しています。

実習実施者(受け入れ企業)の届出

技能実習を実施する企業には、外国人技能実習機構へ「実習実施届」の提出が義務づけられています。技能実習法が制定されるまでは、地方出入国在留管理局が各技能実習生の在留資格取得の審査時に確認していました。届出制になったことにより、より適切な実習実施者が見極められるようになったのです。

優遇措置の制定

適切に技能実習を行っていると認められる企業や監理団体には、優遇措置が設けられています。具体的には、実習期間の延長や受け入れ人数枠の拡大などです。優遇措置ができたことにより、ルールを守って技能実習を実施する企業や監理団体が増加しました。

参照元
e-Gov法令検索「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(平成二十八年法律第八十九号)

在留資格「技能実習」について

技能実習生に付与される在留資格「技能実習」は、3つの分類があります。入国1年目の外国人には「技能実習1号」の在留資格が付与されますが、技能実習を行える期間は1年間です。その後、技能試験に合格した外国人には「技能実習2号」の在留資格が付与され、さらに2年間技能実習が行えます。技能実習3号まで移行すると通算で5年間技能実習が可能です。なお、企業や監理団体が技能実習3号を受け入れるには、外国人技能実習機構から優良認定を受けなくてなりません。

技能実習生の受け入れ方式

技能実習生の受け入れ方式は、企業単独型と団体監理型の2種類です。多くの企業は、監理団体を通す団体監理型で技能実習生を受け入れています。

企業単独型

企業単独型では、海外の法人や取引先などの自社と関係する企業の社員を技能実習生として受け入れます。海外とのやり取りや受け入れに関する手続きをすべて自社で行うため、人員や予算に余裕のある大きな企業が利用する方式です。

団体監理型

団体監理型は、監理団体を通して技能実習生を受け入れる方式です。監理団体は、技能実習生や受け入れ企業をサポートする非営利団体で、商工会議所や事業共同組合、公益社団法人などがなります。企業は監理団体に監理費を支払うことで、さまざまなサポートを受けられるのです。

監理団体には特定監理団体と一般監理団体とがあります。特定監理団体は技能実習1号と2号しか受け入れられませんが、一般監理団体は技能実習1~3号すべての受け入れが可能です。長期的に技能実習を行いたい企業は、一般監理団体を利用しましょう。

技能実習生の受け入れ人数は何人まで?新制度の概要も解説」では、技能実習生を受け入れる際の概要もまとめています。ぜひ、合わせてご一読ください。

まとめ

技能実習法は、技能実習制度の適切な運用のために作られた法律です。技能実習を実施する企業は、施行内容を正しく理解しなくてはなりません。このコラムの内容を参考にして、技能実習生の受け入れに役立てましょう。