外国人受け入れ制度とは? 技能実習と特定技能の違いを解説

2020年03月24日
濵川恭一 (監修)
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net

少子高齢化の影響もあり、日本の労働人口が減少している中、外国人労働者の受入れが活発になっています。今回は、外国人受け入れ制度について解説していきます。

外国人を受け入れる背景

日本の人口は1940年代から2000年代にかけて増加傾向にありましたが、2015年を境に少しずつ減少し、今後もさらに減っていくことが予想されています。また、労働人口の減少はより顕著に進んでおり、将来的な労働力不足に多くの日本企業が頭を抱えています。そのような中で、外国人を受け入れようとする流れが近年進んでいます。

参照:ニッセイ基礎研究所『日本における外国人労働者受け入れの現状と今後の課題』
みずほ総合研究所「外国人材の受入拡大と今後の課題」

特定技能

外国人受け入れ対策の1つに「特定技能」による受入れがあります。特定技能とは在留資格の1つで、2018年12月に成立した「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律」に基づき新設されました。2019年4月1日からは、実際に特定技能での外国人人材の受入れが可能になっています。

 特定技能という制度により、人手不足に悩んでいる中小企業などで、専門性とスキルともった即戦力となる外国人を受け入れることができます。これまでの技能実習とは異なり、特定技能は「労働力の確保」を目的としています。

 この「特定技能」には大きく分けて以下の2種類があります。

  • 特定技能1号
  • 特定技能2号

 特定技能1号は、特定の産業分野において「相当程度」の知識や経験を必要とする業務に従事する人のための在留資格です。在留期間は原則1年毎の更新となりますが、季節労働形態に対応するため、6ヶ月、もしくは4ヶ月ごとに更新することもでき、通算で5年まで働くことができます。技能や日本語に関しては、試験などでチェックされます。ただし、後述する技能実習2号を修了している場合は試験が免除されます。また、家族の帯同は基本的には認められません。

 特定技能2号は、特定の産業分野において「熟練した技能」を必要とする業務に従事する人のための在留資格です。在留期間は3年で、1年もしくは6ヶ月ごとに更新することができ、在留期間の制限は特に決められていません。つまり、永続的に日本に滞在して働くことも可能です。技能は、特定1号と同じく試験などでチェックされますが、日本語能力に関しては試験での確認は不要とされています。また、条件を満たせば家族(配偶者および子)の帯同ができます。ちなみに、特定技能2号は2024年4月以降に制度が開始される予定です。

 なお、特定技能の対象となっている産業分野は以下の通りです。

介護、ビルクリーニング、素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業

参照:新たな外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組 出入国在留管理庁
ニッセイ基礎研究所『日本における外国人労働者受け入れの現状と今後の課題』

技能実習

特定技能と似たような制度に「技能実習」があります。技能実習の活動期間は3年〜5年となっており、計画に基づいて技能を習得するための実習を行います。また、実習生の受け入れができる職種は以下のように決められています。

  • 機械・金属関係
  • 建設関係
  • 食品製造関係
  • 繊維・衣服関係
  • 農業関係
  • 漁業関係
  • 主務大臣が告示で定める職種・作業
  • その他

ちなみに、技能実習で在留する場合、日本に入国してから1年目での技能習得を目指す第1号技能実習、2、3年目での技能などの習熟を目指す第2号技能実習、4、5年目での技能などの熟達を目指す第3号技能実習に分けられ、以下のように6つの区分があります。

「技能実習1号イ」「技能実習1号ロ」「技能実習2号イ」「技能実習2号ロ」「技能実習3号イ」「技能実習3号ロ」

また、技能実習生を受け入れる際の技能水準は特に定められておらず、日本語能力についても介護職種を除いて試験を受ける必要がありません。

特定技能と技能実習の違い

どちらも外国人が働いていることに変わりありませんが、特定技能と技能実習はそもそもの目的が違います。

特定技能は外国人を労働者として在留させ、労働力を確保することを目的としていますが、技能実習は外国人に技能を身につけてもらい、母国や開発途上地域の発展に貢献することを目的とした国際協力の一つです。在留資格を得るための条件に関しても、特定技能は試験などを突破している必要がありますが、技能実習は一部を除き特に技能や日本語スキルは求められません。

雇用する側にとっての大きな違いとしては、転職が可能かどうかという点です。技能実習の場合、転職はできません。しかし、特定技能の場合、条件さえ満たせば転職も可能です。

さらに在留期間に関しては、特定技能は通算で5年、技能実習も最長で5年と期間は同じですが、特定技能2号に関しては在留期間の制限は特にありません。

そのほかにも、特定技能の場合、目的が就労なので受け入れる外国人の国籍は問われませんが、技能実習は国際協力なので、受け入れられる国が定められています。

参照:新たな外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組 出入国在留管理庁

外国人労働者を受け入れるメリット・デメリット

ここからは、外国人労働者を受け入れる際に考えられるメリットとデメリットについて解説します。

まずメリットとしては以下のような点が挙げられます。

  • 人手不足の解消
  • 従来とは異なる発想が生まれる可能性
  • 海外進出に繋げられる可能性

特定技能の目的にあるように、外国人を即戦力の労働力として雇用することができれば、企業の人手不足解消につながります。また、日本とは違った価値観や考えを持つ外国人を受け入れることで、それまでにはなかった新しい発想やアイデアが生まれるかもしれません。会議の際にも外国人が日本人とは違った視点で物事にアプローチするといったことが起こることもあるでしょう。

そして、外国人を雇用することで、社内で扱える言語が増えることに加え、外国人の人脈を活用できるので、海外に進出できる可能性も十分にありえます。

一方のデメリットとしては以下のような点が挙げられます。

  • コミュニケーションの問題
  • 価値観の違い

特定技能では日本語能力もビザ発行の際の条件になっていますが、それでも最初のうちはコミュニケーションがうまく取れない可能性が十分にあります。また、うまくコミュニケーションが取れないために、外国人労働者と日本人労働者の間に距離感ができてしまうと、仕事もスムーズに進まなくなるでしょう。

また、価値観の違いはメリットにもなり得ますが、デメリットにもなります。例えば、日本だと残業をすることが現在でも一般的なものとなっていますが、海外では残業の文化がない国もあります。そのような国から来た人に残業をお願いすると、トラブルになる可能性があるでしょう。

外国人を受け入れる際に利用できる支援

外国人を受け入れたい場合は、国の支援制度を利用することができます。特に「外国人雇用管理アドバイザー」は、外国人の雇用管理や仕事をするうえ問題などについて無料で相談・支援が受けることができます。

参照:外国人の雇用|厚生労働省
外国人雇用管理アドバイザー|厚生労働省

まとめ

外国人を労働力として受け入れることが可能な「特定技能」という制度は、今後、対象業種の増加や、運用ルールの変更、手続き面での変更がある可能性もあります。外国人労働者の受入れを視野に入れている企業は、従来制度も含めて、外国人受入れ制度全体についてのメリットとデメリットを把握し、どれが会社にとって良いのか慎重に検討する必要があります。

技能実習生の受け入れを検討している場合はこちら:外国人を研修生として受け入れよう!技能実習制度の利用方法を解説

技能実習法について詳しく知りたい場合はこちら:外国人技能実習生を受け入れるための制度・技能実習法とは?

技能実習制度の現状を知りたい場合はこちら:技能実習制度とは?メリットと問題点を詳しく解説

技能実習制度における監理団体について詳しく知りたい場合はこちら:技能実習制度における監理団体とは?監理団体選びのポイントを解説

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