出国命令制度とは?出頭から適用までの流れを外国人を雇用する企業へ解説

2021年11月18日
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濵川恭一 (監修)
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net

「出国命令制度って何?」「退去強制との違いは?」と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。また、どのような外国人が出国命令制度を利用できるのか知りたい方もいるでしょう。出国命令制度は、日本に不法残留している外国人が、自ら地方出入国在留管理局へ出頭した場合に適用されます。
このコラムでは、出国命令制度の概要を詳しく解説。企業で雇用する外国人が不法残留になったときの参考にしてください。


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目次

  1. 出国命令制度とは?
  2. 出頭から出国までの流れ
  3. 出国命令制度を利用するメリットとデメリット
  4. まとめ

出国命令制度とは?

出国命令制度とは、不法残留している外国人が自ら地方出入国在留管理局へ出頭した場合、収容されることなく出国できる措置のことです。出頭すると審査が行われ、特に問題がなければ2週間程度で日本を出国します。不法残留の外国人が、出頭せずに退去強制で収容・強制送還になると、5年間(事情によっては10年間)は再入国できません。一方で、出国命令制度を利用して出国すると、再入国できない期間は1年間です。企業で雇用する外国人が不法残留をしてしまったときは、早急に地方出入国在留管理局への出頭を促すのが賢明でしょう。

出国命令制度の対象となる外国人

不法残留の外国人が出国命令制度を利用して出国するには、以下の条件すべてに該当しなければなりません。

  • 出国の意思を持って自ら地方出入国在留管理局に出頭した
  • 不法残留以外の退去強制事由に該当しない
  • 懲役または禁錮刑に処せられていない
  • これまで退去強制または出国命令を受けて出国したことがない
  • 速やかに日本から出国することが確実である

出国命令制度を利用するには、「不法残留の外国人に出国の意思がある」「自ら地方出入国在留管理局に出頭した」という部分が大事なポイントになります。従って、外国人が在留を希望している場合や、既に摘発・収容されている場合は出国命令制度の対象外です。また、不法入国や刑法違反をした外国人も、出国命令制度を利用できません。

参照元
出入国在留管理庁「出国命令(入管法第24条の3及び第55条の2から第55条の6まで)

なお、出国命令制度を利用できない場合についての解説は「外国人の強制送還とは?退去強制と出国命令の概要や対策を企業へ解説」のコラムにまとめています。合わせて参考にしてみてください。

出国命令制度の注意点

出国命令制度を利用する外国人は出国するまでの期間であっても、日本では就労できないので雇用する側は注意しましょう。外国人が自ら地方出入国在留管理局へ出頭しても、不法残留が取り消される訳ではありません。不法残留している外国人の就労は、「不法就労」として法律で禁止されています。不法就労は出国命令が取り消されるだけでなく、退去強制および刑事罰の対象です。企業も「不法就労助長罪」で罰せられる可能性があるので注意しましょう。また、出国命令の期限を過ぎたあとに、対象の外国人が在留している場合も、同様に処罰の対象になります。

「不法就労助長罪」については、「不法就労助長罪とは?防止する方法を外国人を雇用する企業に向けて解説」で詳細な内容をご確認ください。

出頭から出国までの流れ

不法残留の外国人が地方出入国在留管理局へ出頭する流れは、「審査を受ける」「出国命令書が交付される」「出国する」の3段階に分けられます。以下で詳しく解説するのでご参照ください。

1.地方出入国在留管理局へ出頭し審査を受ける

不法残留の外国人が地方出入国在留管理局へ出頭するときは、パスポートの提示が必要です。出頭後は、入国警備官によって出国命令の対象者かどうかの調査が行われます。外国人が出国命令の対象者だと認められれば、外国人の身柄の収容はありません。その後入国審査官による審査が行われ、そこでも出国命令の対象者であると認められると主任審査官へ報告が行くという流れです。

なお、調査や審査の課程で出国命令の対象者と認められなかった場合は、入国警備官へ差し戻され退去強制の手続きが取られる場合もあります。

2.出国命令書が交付される

審査において、主任審査官により出国命令の対象者と認められれば、出国期限が記載された「出国命令書」が交付されます。出国命令書交付に当たり、行動制限や居住地など何らかの条件が示されている場合はそれに従わなければなりません。

3.出国する

出国命令書を受け取った外国人は、出国期限内に必ず出国しなければなりません。出国期限を過ぎても日本に在留した場合、退去強制および刑事罰の対象になります。先述したように出頭から出国までは通常約2週間です。企業で雇用する外国人が出国命令制度を利用するときは、期限内に速やかに出国できるようサポートしましょう。

出国命令制度を利用するメリットとデメリット

出国命令制度を利用するメリットは、不法残留の外国人が収容されることなく比較的簡易な手続きで出国できる点です。対して、1年後に必ず再入国が認められるとは限らない点などがデメリットといえるでしょう。以下で、出国命令制度を利用するメリットとデメリットを詳しく解説します。

出国命令制度を利用するメリット

出国命令制度を利用するメリットは以下のとおりです。

  • 比較的簡易な手続きで出国できる
  • 出国命令の対象者と認められれば収容されない
  • 再入国できない期間は1年間

不法残留の外国人が退去強制で強制送還になると、5年間(事情によっては10年間)は日本に再入国できません。しかし、出国命令制度を利用して出国する場合は収容されることなく出国でき、再入国できない期間も1年間に短縮されます。

出国命令制度を利用するデメリット

出国命令制度を利用するデメリットは以下のとおりです。

  • 1年後に必ず再入国が認められるとは限らない
  • 不法残留以外の外国人は利用できない
  • 出国命令制度は一回しか利用できない
  • 出国命令書が交付されたら速やかに出国しなければならない

出国命令制度によって出国した場合、再入国できない期間は1年間と法律で定められているものの、「1年後であれば必ず日本へ入国できる」と約束されている訳ではありません。
そのため、雇用中の外国人が一度出国命令で出国してしまえば、働き手として再度企業に戻って来るとは限らないのです。また、「出国命令制度を利用する=在留を継続しない」手続きを行うため、出国期限内に速やかに出国する必要があります。

まとめ

出国命令制度とは、不法残留している外国人が自ら地方出入国在留管理局へ出頭した場合に、退去強制扱いにならずに出国できる措置です。出国命令制度を利用して出国すると、1年間は日本へ再入国できません。しかし、退去強制で強制送還になった場合は最低5年間再入国できないため、出向命令制度を利用するほうが、より早い時期に再入国が可能になるといえます。ただし、「過去に出国命令制度を利用したことがない」「不法残留以外の退去強制事由に該当していない」など、いくつかの条件が設けられているので確認が必要です。
企業で雇用する外国人の不法残留が発覚したときは、速やかに地方出入国在留管理局への出頭を促し、手続きのサポートをしましょう。