外国人採用に必要な就労ビザ(在留資格)の知識を解説!申請方法や注意点も

2023年03月08日
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外国人が日本で活動するには、何らかの在留資格が必要です。在留資格のうち、就労を目的として来日する外国人に付与される種類を「就労ビザ」と呼ぶ場合があります。就労ビザについての知識が不十分のまま外国人を採用すると、知らぬ間に法を犯して罰せられる可能性があるので注意が必要です。
このコラムでは、就労ビザの基礎知識を外国人を雇用する企業に向けて解説します。内容を参考にして、適切に外国人を採用しましょう。


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目次

  1. 外国人の就労ビザについて
  2. 外国人を採用する際はビザの種類の確認が重要
  3. 日本で働いている外国人のビザの割合
  4. 外国人採用に関係する就労ビザの申請手続き
  5. 就労ビザ申請前にチェックすること
  6. 外国人採用やビザに関するQ&A
  7. まとめ

外国人の就労ビザについて

外国人の就労ビザについての画像

外国人が日本で働くために必要な資格=就労ビザと捉えられがちですが、実は就労ビザという資格は存在しません。外国人が日本で働くことを目的に取得した在留資格を、慣習的に就労ビザと呼んでいます

就労ビザ(在留資格)とは?

就労ビザとは、就労目的で取得する在留資格を指します。日本に在留する外国人は必ず何らかの在留資格を持たなければなりません。日本で行う活動や所有する身分に合わせて、相応しい種類を取得します。

外国人は「永住者」や「日本人の配偶者等」などのビザでも就労が可能です。しかし、これらのビザは、身分に基づくいわゆる「身分系ビザ」なので、就労ビザには含まれません。就労ビザと呼ばれるのは、日本で行う仕事の内容に基づいて付与されるビザを指します。

ビザ(査証)との違い

ビザとは、外国人が日本に上陸する際に必要となる「査証」を指す言葉です。入国審査を終えたら不要になります。
一方、在留資格は外国人が日本国内で何らかの活動をするために必要な資格です。日本に在留する外国人は、必ず何らかの在留資格を持たなければなりません。在留資格を「就労ビザ」「留学ビザ」と呼ぶのは正しくありませんが、一般的に広く定着している呼び方です。このコラムでも、就労ができる在留資格=就労ビザとして説明しています。

外国人の就労ビザに関しては「外国人の就労ビザの種類や申請方法を企業向けに解説!」や「外国人が退職したら就労ビザは取り消しになる?企業が行うべき手続きとは」のコラムでも解説しています。

外国人を採用する際はビザの種類の確認が重要

外国人を採用する際はビザの種類の確認が重要の画像

外国人を採用する際は、就労ビザもしくは身分に基づくビザを持っているかの確認が重要です。就労ビザには種類があり、外国人が自社の業務を行える種類の在留資格を持っていなければ採用はできません。

ここでは、就労できるビザとできないビザの種類を紹介します。

就労ビザ

日本での就労が可能なビザ(就労ビザ)は以下の19種類です。

在留資格の名称

該当する職種の例

在留期間

外交

外国の大使、公使、総領事などとその家族

外交活動をする期間

公用

大使館や領事館の職員、国際機関から公的な業務で派遣される者などとその家族

5年、3年、1年、3ヶ月、30日、15日

教授

大学教授や准教授、大学講師

5年、3年、1年、3ヶ月

芸術

作曲家や画家、著述家

5年、3年、1年、3ヶ月

宗教

外国の宗教団体から派遣された僧侶や宣教師、牧師、司祭など

5年、3年、1年、3ヶ月

報道

外国の報道機関の記者やカメラマン

5年、3年、1年、3ヶ月

高度専門職1号
高度専門職2号

高度人材(高度人材ポイント制により高度人材と認められた者)

・高度専門職1号:5年
・高度専門職2号:無期限

経営・管理

経営者、管理者

5年、3年、1年、6ヶ月、4ヶ月、3ヶ月

法律・会計業務

弁護士や公認会計士、税理士など

5年、3年、1年、3ヶ月

医療

医師や歯科医師、看護師、薬剤師など

5年、3年、1年、3ヶ月

研究

研究者

5年、3年、1年、3ヶ月

教育

小学校や中学校、高等学校の教師など

5年、3年、1年、3ヶ月

技術
人文知識
国際業務

語学教室の講師やデザイナー、企業のマーケティング担当者など

5年、3年、1年、3ヶ月

企業内転勤

海外の事業者からの転勤者

5年、3年、1年、3ヶ月

介護

介護福祉士

5年、3年、1年、3ヶ月

興行

俳優や歌手、ダンサー、プロスポーツ選手など

3年、1年、6ヶ月、3ヶ月、15日

技能

外国料理の調理師やスポーツ指導者、貴金属の加工職人

5年、3年、1年、3ヶ月

特定技能1号
特定技能2号

特定産業分野で、相応の知識や経験、技能を有する業務に従事する者

・特定技能1号:1年、6ヶ月、4ヶ月
・特定技能2号:3年、1年、6ヶ月

技能実習1号
技能実習2号
技能実習3号

技能実習生

・技能実習1号:法務大臣が1年を超えない範囲で個別に指定
・技能実習2号:法務大臣が2年を超えない範囲で個別に指定
・技能実習3号:法務大臣が2年を超えない範囲で個別に指定

上記が、一般的に就労ビザと呼ばれる在留資格です。

身分ビザ

以下の4種類は身分に基づくビザで、職種や時間の制限なく働けます。

在留資格の名称

該当する職種の例

在留期間

永住者

永住許可を受けた外国人(特別永住者を除く)

無期限

日本人の配偶者等

日本人の妻や夫、子ども、特別養子

5年、3年、1年、6ヶ月

永住者の配偶者等

永住者・特別永住者の妻や夫、日本で出生し引き続き在留している子ども

5年、3年、1年、6ヶ月

定住者

第三国定住難民や日系3世、中国残留邦人など

5年、3年、1年、6ヶ月、または法務大臣が5年を超えない範囲で個別に指定した期間

上記の在留資格は、一般的には「身分系ビザ」や「身分ビザ」などと呼ばれます。

就労ができないビザ

以下は就労が許可されていないビザです。

在留資格の名称

該当する職種の例

在留期間

文化活動

研究員や調査員など

3年、1年、6ヶ月、3ヶ月

短期滞在

観光客や会議参加者など

90日、30日、15日以内

留学

大学や大学院、専門学校などの生徒

4年3ヶ月を超えない範囲で法務大臣が個々に指定する期間

研修

技能や技術を取得する活動をする者

1年、6ヶ月、3ヶ月

家族滞在

日本に在留する外国人が扶養する妻や夫、子ども

5年を超えない範囲で法務大臣が個々に指定する期間

上記のビザでは就労が許可されていません。ただし、「資格外活動許可」が得れば決められた範囲でアルバイトできる場合があります。

種類によって就労の可否が変わるビザ

「特定活動」は、さまざまな種類があるビザです。そのため、取得した種類によっては仕事に就くことができます。たとえば、「ワーキングホリデー」は就労が可能です。しかし、「医療・入院」は日本の病院で治療を受けるために付与されるため、仕事には就けません。

就労ビザについては「【29種類一覧】在留資格別に就労の可否や外国人を雇用する際の注意点まで解説」でも詳しく解説しています。

参照元
出入国在留管理庁「在留資格一覧表

日本で働いている外国人のビザの割合

日本で働いている外国人のビザの割合の画像

厚生労働省の「外国人雇用状況の届出状況まとめ」によると、日本で働いている外国人労働者のビザの割合は以下のとおりでした。

在留資格の分類

外国人の人数

割合

身分に基づく在留資格

595,207人

32.7%

専門的・技術的分野の在留資格

479,949人

26.3%

技能実習

343,254 人

18.8%

特定活動

73,363人

4.0%

専門的・技術的分野の就労ビザのうち、最も人数が多い種類は「技術・人文知識・国際業務」です。いわゆるホワイトカラー系の職種や外国語を使う業務、エンジニアなど多くの職種が該当します。

日本で働いている外国人の国籍別や産業別のデータについては、「外国人労働者の受け入れが多い職種は?技能実習や特定技能の業種も紹介」のコラムを参考にしてください。

参照元
厚生労働省「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和4年10月末現在)

外国人採用に関係する就労ビザの申請手続き

外国人採用に関係する就労ビザの申請手続きの画像

ここでは、外国人が就労ビザを取得するための手続きをケースごとに分けて紹介します。

海外から就職する

海外にいる外国人が日本で働く場合は、「在留資格認定証明書交付申請」を行います。採用する外国人本人が申請手続きをすることも可能ですが、日本国内から申請する必要があるため雇用する企業や申請取次者(行政書士)が申請するのが一般的です。

手続きを行う場所は外国人が日本で住む予定の場所、もしくは勤務予定地を管轄する地方出入国在留管理官署です。用意する書類は外国人が取得予定の就労ビザによって異なるので、ふさわしい種類を用意しましょう。審査後、「在留資格認定証明書」が交付されたら、海外にいる外国人に原本を送付します。そのあと、外国人は受け取った在留資格認定証明書を使って入国査証の発給申請を行い、日本へ入国する仕組みです。

留学生が新卒で就職する

留学生が就労ビザを取得する際は「在留資格変更許可申請」を行います。留学生が持つ留学ビザでは、仕事に就くことはできません。そのため、就職先で行う業務に相応しい就労ビザを取得します。在留資格変更許可申請は、外国人本人が行うのが一般的です。しかし、雇用する企業が用意する書類も複数あるので、採用する外国人とコミュニケーションを取りつつ手続きを進めましょう。

中途で就職する

外国人がすでに何らかの就労ビザを持っている場合、その種類によって手続きが異なります。外国人の有している就労ビザで許可されている活動が自社で行う業務と一致していれば、特に手続きは必要ありません。

同業種間での転職であれば就労ビザも一致するケースが多いですが、確実なのは採用予定の外国人に「就労資格証明書」を発行してもらうことです。就労資格証明書には、外国人が持っている就労ビザで行える活動が詳しく示されているので、自社で採用しても問題ないかを確かめられます。

異業種間の転職や同業種でも業務内容が大きく異なる場合は、「在留資格変更許可申請」が必要です。

参照元
出入国在留管理庁「就労資格証明書

就労ビザ申請前にチェックすること

就労ビザ申請前にチェックすることの画像

外国人を採用する際は、就労ビザの申請に関わる以下の点を必ずチェックしましょう。

業務内容と就労ビザの種類が合っているか

実際に行う業務内容と外国人が申請する就労ビザの種類が適合していなければ、審査には通りません。自社でどのような業務を行ってもらうのか、そのためにどの就労ビザが必要なのかをしっかり理解したうえで、採用や手続きを進めましょう。

外国人の学歴や職歴に不足はないか

就労ビザを取得する際は、外国人の学歴や職歴も審査の判断材料になります。外国人は、取得を希望する就労ビザにふさわしい学歴や経歴を持っていなければなりません。

「技術・人文知識・国際業務」の就労ビザを取得する場合を例に挙げると、海外の大学院や大学、短期大学の卒業資格が必要です。日本の教育機関の場合は大学院や大学、短期大学、専門学校の卒業資格が求められ、日本語学校卒業の場合は取得要件を満たしません。また、専門学校卒業でも「専門士」または「高度専門士」の取得が必要です。日本語学校卒業が最終学歴の場合は「技術・人文知識・国際業務」の就労ビザは許可されません。
外国人の採用時は、面接や履歴書で学歴や職歴をよく確認しましょう。

外国人の素行や企業の経営状況に問題はないか

外国人の素行や雇用予定の企業の経営状況も、就労ビザの取得に影響します。日本もしくは海外で1年以上の懲役や禁錮、これらと同等の処罰に処せられた外国人は入国拒否事由に該当するため、そもそも入国自体ができません(政治犯罪は除く)。留学生の場合は、許可の範囲を超えてのアルバイトや学業不振の事実があると、就労ビザの審査が不許可になる可能性が高くなります。

経営状況については、安定性や継続性が重要です。地方出入国在留管理官署は、外国人が日本で安定して職に就けると判断できなければ、就労ビザを許可しません。源泉徴収税額や決算報告書などの資料をもとに経営状況に問題ないかを確認されます。

参照元
e-Gov法令検索「昭和二十六年政令第三百十九号出入国管理及び難民認定法

外国人採用やビザに関するQ&A

外国人採用やビザに関するQ&Aの画像

ここでは、外国人採用や就労ビザに関してよくある質問を、Q&A形式でまとめています。

就労ビザの手続きはどこかに依頼できる?

就労ビザに関する手続きを社内で行うのが難しければ、行政書士に委託するとスムーズです。申請等取次者としての承認手続きをした行政書士には、地方出入国在留管理官署への書類提出などを行ってもらえます。

就労ビザの有効期限はある?

一部を除いてほとんどの就労ビザには有効期限があります。外国人が就労ビザの有効期限後も日本在住を希望する場合は、「在留期間更新許可申請」が必要です。申請が許可されれば、在留期間が更新され、引き続き日本に在留できます。

就労ビザの申請が不許可になったら?

外国人就労ビザの申請が不許可になった場合は、再申請が行えます。まずは、申請した地方出入国在留管理官署に出向き、不許可になった理由を聞きましょう。もし、書類の不備が原因であれば、再提出すれば許可を受けられる可能性が高くなります。しかし、就労ビザの適合性や外国人の経歴などに問題がある場合は、再申請しても就労ビザを得るのは難しいでしょう。

就労ビザに関する罰則は?

外国人を適切に採用・雇用しなければ、企業が不法就労助長罪に問われる可能性があります。不法就労助長罪とは、外国人に不法就労をさせた者に科せられる罪です。「就労ビザを持たない外国人を雇用する」「就労不可のビザを持つ外国人を雇う」「在留資格とは異なる業務をさせる」などが当てはまります。罰則の内容は、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはその併科です。不法就労と知らなかったとしても罰則は変わらないので、採用時は十分注意しましょう。

不法就労助長罪とは?防止する方法を外国人を雇用する企業に向けて解説」や「不法就労および不法就労助長罪の概要を外国人を雇用する企業へ向けて解説」のコラムでも不法就労について解説しているので、ぜひご覧ください。

まとめ

まとめの画像

外国人採用を始める前に、就労ビザに関する知識を十分付けておきましょう。理解が乏しいまま外国人を採用すると、トラブルに見舞われたり不法就労助長罪に問われたりする可能性があります。