ホテル業界で外国人を雇用するには?在留資格ごとの業務や注意点

2024年01月12日
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濵川恭一 (監修)
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net

近年、人手不足解消や外国人宿泊客の対応のために、ホテルや旅館で外国人雇用を進める動きがあります。外国人雇用は人材確保や多様なニーズに対応するための有効な手段です。ただし、在留資格によっては雇用が認められなかったり業務が限られたりするので、知識を身に付けてから外国人の採用をスタートしましょう。

このコラムでは、ホテルで雇用できる外国人の在留資格や任せられる業務を紹介します。


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目次

  1. ホテル業界は人材不足が深刻
  2. ホテル業界が人材不足なのはなぜ?
  3. ホテル業界の人手不足を解消するには?
  4. ホテル業界で外国人を雇用するメリット
  5. ホテルで雇用できる外国人の在留資格
  6. 留学生をアルバイト雇用することも可能
  7. ホテル業界で外国人が就労可能な職種
  8. ホテル業界で外国人を雇用する際の注意点
  9. ホテル業界で外国人を雇用する際の募集方法
  10. まとめ

ホテル業界は人材不足が深刻

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ホテル業界は人材不足が特に深刻な業界として知られています。帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査」の2023年10月のデータによると、正社員が不足していると答えた宿泊業界の企業は75.6%もありました。これは全業界のなかでもトップの数字です。また、非正規社員が不足していると答えた企業も73.5%と、飲食業界に続いて2番目に高い数字でした。

日本は労働人口自体が減っているため、何もせずに人材不足を解消するのは難しいでしょう。安定して人材を確保し運営をするためには、企業側の工夫が欠かせません。

ホテル業界の人手不足については「ホテルの人手不足の原因は?対策として外国人雇用を検討してみよう」で詳しくまとめています。

参照元
帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査

ホテル業界が人材不足なのはなぜ?

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ホテル業界が人手不足に陥っている原因は一つではありません。まずは要因として考えられるさまざまな要素を知ってから、対策を考えましょう。

急激に利用者が増加している

新型コロナウイルスが5類に移行されてから、ホテルや旅館などの宿泊施設を利用する人は急激に増加しました。円安の影響もあり海外からの観光客も増え、コロナ前の水準に戻りつつある状況です。コロナ禍では採用の取りやめや人員整理を行ったホテルが多かったため、利用者の急増に人材確保が追いついておらず、現場の人手不足感が強くなっています。

業務がハードになりがち

部署にもよりますが、ホテル業界は24時間顧客の対応が発生するので拘束時間が長く、業務がハードになりがちです。また、高いホスピタリティが求められる仕事のため、人によってはストレスを感じることも。体力や気力が持たなくなり、離職してしまう人も少なくありません。

賃金が低水準

ホテル業界をはじめとしたサービス業界は、賃金水準が高いとはいえません。企業規模やホテルのランクによっては高賃金のところもありますが、全体を通してみるとほかの業界よりも低く設定されています。仕事のハードさと賃金が見合ってないと感じる人が多く、なかなか人材が集まりにくくなっているのです。

ホテル自体の数が増えている

ホテルそのものの数が増えているのも、人手不足の要因といえるでしょう。日本では、2020年の東京オリンピックに向けて多くのホテルや旅館が建設されました。また、近年は海外の有名ラグジュアリーホテルが次々と日本に進出しています。人材が増えないまま数が増えているので、人手不足が加速している状況です。

ホテル業界の人手不足を解消するには?

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ホテル業界の人手不足を解消するには、「労働環境の改善」や「採用の間口の拡大」といった対策が効果的です。

まずは離職するスタッフが減るよう業務の効率化を図り、一人ひとりの業務負担を減らしましょう。また、福利厚生を充実させて賃金を見直す工夫も必要です。ただし、これらは企業の経営状況も関係してくるので、そう簡単には実現できません。そのため、すぐに人材を確保したい場合は、採用の間口を広げると良いでしょう。シルバー人材や障がい者の雇用、外国人雇用などを実施していない企業は検討してみてください。外国人雇用は、インバウンドが多いホテルでは特におすすめです。

各業界に共通する人手不足の解消方法は「人手不足の解消事例や対策方法を企業に向けて紹介!優秀な人材を確保しよう」「人手不足の原因は何?自社に合った対策と採用で人材流出を押さえよう」で紹介しているので、参考にしてください。

ホテル業界で外国人を雇用するメリット

ホテル業界で外国人を雇用するメリットの画像

以下では、ホテル・旅館業における外国人雇用のメリットを紹介します。人材確保やインバウンド対策のために外国人雇用を検討している方は、チェックしてみましょう。

人手不足が解消される

日本人だけでは賄えない労働力を外国人雇用で補填できるのは、大きなメリットといえるでしょう。日本の労働人口は減っている一方で、外国人労働者は年々増加しています。ホテル業界は、自分の語学力を活かして働きたいと考えている外国人に人気です。国籍を限定しない採用活動は、人材の間口を増やすのに効果的な方法といえます。

外国人宿泊客の対応がしやすい

ホテル・旅館業で外国人雇用を行うメリットとして、外国人宿泊客の対応がしやすくなることも挙げられます。外国人宿泊客と同じ言語を話せる外国人を雇用すれば、フロントでのやり取りがスムーズになるでしょう。また、トラブルが発生した際も通訳として仲介してもらうことで、スピーディーな対応が可能です。より細やかな接客が行えるため、外国人宿泊客の顧客満足度アップにも繋がります。

従業員の意識改革につながる

外国人雇用によって異なる常識や価値観に触れることで、従業員の意識改革につながるメリットもあります。そこから多様性を取り入れたアイデアの創出や新たな働き方の発見など、事業の発展につながる可能性も高いでしょう。

外国人採用のメリットとは?日本企業が人材を雇用する際の注意点も解説」のコラムでは、より詳しく外国人を採用する際のメリットを解説しています。

ホテルで雇用できる外国人の在留資格

ホテルで雇用できる外国人の在留資格の画像

外国人は、在留資格により働ける場所やできる業務が変わります。ここでは、ホテルで雇用できる主な在留資格を紹介するので、採用活動時の参考にしてください。

身分に基づく在留資格

在留資格「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」を持つ外国人は、ホテルのあらゆる職種での雇用が認められています。身分系の在留資格を持つ外国人は就労制限がないため、日本人と同じように働いてもらえるのが魅力です。身分に基づく在留資格を持つ人は日本在留歴が長い傾向にあるので、日本語がネイティブレベルの人も少なくありません。

技術・人文知識・国際業務

在留資格「技術・人文知識・国際業務」は、「技術」「人文知識」「国際業務」の3つの分野に関連する専門的な知識や技能を持つ外国人に付与されます。幅広い業務が該当するので取得者が多く、日本の大学を卒業してそのまま就職する外国人留学生の大半が取得する在留資格です。特徴として、専門的な知識や技能が不要な単純労働は行えません。

ホテル業界においては、10年以上の実務経験がある外国人やホテルでの業務に関連のある学歴がある外国人が取得可能です。

特定活動46号

「特定活動46号(本邦大学卒業者)」は、日本の大学や大学院を卒業した外国人に付与されます。取得条件は、日本語能力試験(JLPT)のN1もしくはBJTビジネス日本語能力テストで480点以上を取得することです。なお、日本の大学や大学院で日本語を専攻した場合、資格は問われません。

「特定活動46号」は条件が厳しい在留資格ですが、その分取得者は高度な日本語能力を有している人材といえるでしょう。

「特定活動46号」では、外国語や日本語を活かした業務を中心にしていれば、ほかの就労に関する在留資格では認められていない単純労働にも従事できます。

特定技能

特定技能は人手不足の業界に限り、外国人の単純労働への従事を認める在留資格です。ほかの在留資格のように学歴や実務経験は問われないため、比較的取得しやすいといえます。ホテル業界では「宿泊」や「ビルクリーニング」分野で雇用可能です。

在留資格「特定技能」には1号と2号があります。1号は在留期限が最長5年ですが、2号に移行すれば無期限に更新が可能です。

技能実習

「技能実習」は、日本の技術や技能を学ぶために来日した外国人に付与される在留資格です。外国人は企業と雇用契約を結び、報酬を受け取りながら実習を行います。ホテル業界では「宿泊」「ビルクリーニング」の職種で受け入れが可能です。技能実習は「宿泊」分野で最長3年、「ビルクリーニング」職種で5年と期間が定められています。しかし、先述した在留資格「特定技能」に移行すれば、継続しての就労が可能です。

解説した在留資格に関しては「特定技能「宿泊」も2号の対象に!行える業務や試験の内容とは」や「在留資格「特定活動46号」とは?就ける仕事や雇用するメリットを解説!」でさらに詳しく解説しています。

留学生をアルバイト雇用することも可能

留学生をアルバイト雇用することも可能の画像

「資格外活動許可」を得ている外国人留学生は、アルバイトとして雇用できます。資格外活動許可は、在留資格が認める範囲外の活動を行うための許可です。本来、「留学」は教育機関に通うために付与される在留資格なので、報酬を得る活動は許可されていません。しかし、外国人が住居地を管轄する地方出入国在留管理官署で資格外活動許可の申請をすれば、定められた範囲でのアルバイトが可能になるのです。

資格外活動許可を得た外国人は風俗営業に関係する業種以外であれば、週28時間までアルバイトできます。なお、留学生の場合、長期休業期間は1日8時間、合計週40時間までのアルバイトが可能です。

留学生の資格外活動許可については「留学ビザでのアルバイトには資格外活動許可が必要!就労時間や注意点は?」や「資格外活動許可は在留資格外の活動を行う外国人に必要!雇用上の注意点とは」のコラムで詳しくまとめています。

参照元
出入国在留管理庁「「留学」の在留資格に係る資格外活動許可について

ホテル業界で外国人が就労可能な職種

ホテル業界で外国人が就労可能な職種の画像

外国人が持っている在留資格によって、ホテル業界で働ける職種は異なります。なお、身分に基づく在留資格は、どの職種でも就労可能です。

フロント業務

多言語対応が求められるホテルのフロントは、外国人の語学力が重宝します。在留資格「技術・人文知識・国際業務」や「特定活動46号」「特定技能」などを持つ外国人が就労可能です。ただし、「技術・人文知識・国際業務」は、外国人宿泊客が少なく多言語対応の重要性が低いホテルだと、就労が認められない可能性があります。外国人労働者と宿泊客の多くが使う言語が異なり、通訳・翻訳が難しい場合も同様です。

在留資格「技術・人文知識・国際業務」を持つ外国人を雇用する際は、客層に応じた言語を話せるかを確認しましょう。

ベットメイキング

ベットメイキングは顧客との会話が基本的に発生しないため、まだ日本語に不慣れな外国人も無理なく働けます。ただし、単純労働に分類されるため、在留資格「技術・人文知識・国際業務」を持つ外国人は働けません。就労可能なのはビルクリーニング分野で「特定技能」や「技能実習」の在留資格を持つ外国人です。また、ほかの業務と不随するかたちであれば、宿泊分野の「特定技能」や「特定活動46号」を持つ外国人も就労できます。

レストランの調理や配膳

「特定技能」の外食分野を持つ外国人は、ホテルのレストランで調理補助や配膳などの業務が可能です。コックの場合、母国料理専門のレストランであれば、在留資格「技能」で働ける可能性があります。ただし、調理に関する業務以外には従事できません。

レジや接客、配膳業務を任せたい場合は、身分に基づく在留資格や「特定技能」を持つ外国人を雇用しましょう。

企画や営業

企画や営業に関する業務に必要なのは、在留資格「技術・人文知識・国際業務」です。インバウンドマーケティングや宿泊プランの考案といった業務を任せられます。外国人宿泊客が多く、需要拡大が見込まれるホテル・旅館であれば、企画や営業職への従事が認められるでしょう。
なお、在留資格「技術・人文知識・国際業務」を持つすべての外国人が、ホテル業界でマーケティング業務を行えるわけではありません。経済学や社会学を学んでいたり、営業の実務経験があったりする人材に限られるので、採用の段階で経歴をよく確認しましょう。

ホテルでの外国人雇用については「ホテルの客室清掃係の人手不足解消に外国人雇用が有効!必要な在留資格とは」や「ホテルや旅館での外国人採用に必要なビザ(在留資格)の種類とできる業務」のコラムでも詳しくまとめています。

ホテル業界で外国人を雇用する際の注意点

ホテル業界で外国人を雇用する際の注意点の画像

ホテル・旅館業で外国人雇用をする際は、在留資格や任せる業務以外にも注意すべき点があります。

雇用する外国人が不法就労に当たらないかを確認する

在留資格を持っていなかったり在留期限が切れていたりする外国人を雇用すると、本人が不法就労になるだけでなく、ホテル・旅館側も不法就労助長罪に問われます。本人の状況に応じて在留資格の変更や在留期間更新許可申請のサポートを行いましょう。

外国人の雇用条件は日本人と同等以上にする

外国人労働者の給料や待遇は、同じ条件で働く日本人と同等以上に設定しましょう。就労にまつわる在留資格の大半は、「日本人と同等以上の報酬を受け取ること」を取得条件の一つに定めています。そのため、正当な理由なく雇用する給料を日本人よりも低く設定した場合、外国人の在留資格の許可は降りません。労働基準法でも、国籍で報酬や労働条件に区別を付けることを禁じています。

このほか、福利厚生や保険などについても、日本人と同様に設定しましょう。

外国人労働者が働きやすい環境を作る

外国人雇用を行う際は、職場環境の整備も重要です。日本人の従業員が文化や価値観の相違を受け入れられるように説明の機会を設けるほか、外国人労働者にも日本の常識や自国との違いに関する教育を行いましょう。
外国人雇用を行っても、環境が整っていなければ貴重な人材が離職・転職してしまう可能性があります。優秀な人材に長く働いてもらうためにも、環境を整えましょう。

ホテル業界で外国人を雇用する際の募集方法

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ホテル・旅館で雇用する外国人を探すには、専門の機関を通すのが効果的です。また、学校に求人を出すのも良いでしょう。

公的機関を利用する

ハローワークでは無料で求人を掲載できるほか、外国人雇用管理アドバイザーへ相談ができます。労働契約の注意点や教育の仕方などを教えてくれるので、初めて外国人雇用を行う企業におすすめです。

また、企業に対して外国人雇用に関する指導や援助などを行っている外国人雇用サービスセンターに相談するのも良いでしょう。外国人雇用サービスセンターは、東京・名古屋・大阪・福岡の4ヶ所にあります。

求人Webサイトで募集する

求人専門のWebサイトで外国人を募集するのも一つの手です。なかには、外国人労働者をメインとしたサイトもあり、効率的に求人を募集できます。掲載料が必要ですが、担当者に掲載内容を相談したりアドバイスを受けられたりするので、初めて外国人を雇用する企業も挑戦しやすいでしょう。

エージェントサービスを利用する

日本で働きたい外国人を紹介してくれるエージェントサービスを利用すると、求めている人材を効率良く雇用できます。企業に合ったスキルを持つ外国人の紹介を受けられ、「中国語ネイティブ」「JLPTN2以上」といった具体的な要望も聞いてもらえるでしょう。人材のスキルや人柄をよく見極めて雇用できるので、ミスマッチも防げます。

トラベル関係の専門学校に求人を出す

新卒の外国人を雇用したい場合は、トラベル関係の専門学校に求人を出すのもおすすめです。専門学校を修了した外国人は、フロント業務や接客の仕方などを学んでいるので即戦力として期待できます。ホテル経営やマーケティングなどの業務を任せられる外国人を探す場合は、観光学科がある大学に募集を掛けても良いでしょう。

留学生が多い専門学校や大学のなかには、外国人の就職支援が充実している学校もあります。外国人の就職活動に慣れている担当者がいると、募集の手続きがスムーズにできるでしょう。

まとめ

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ホテル・旅館では、「技術・人文知識・国際業務」「永住者」「特定技能」など、さまざまな在留資格を持つ外国人を雇用できます。ただし、ほとんどの外国人は日本人と違って就労制限があるので、雇用形態や業務内容、待遇などに注意しなければなりません。外国人労働者は、人手不足の宿泊業において貴重な人材です。外国人雇用のメリットや注意点をしっかり把握し、ホテル・旅館の状況に応じた人材を雇いましょう。