資格外活動許可とは?外国人を雇用する際のポイントを企業へ向けて解説

2022年03月11日
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濵川恭一 (監修)
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net

外国人の雇用を検討する企業のなかには、「資格外活動許可とは?」「雇用する際の注意点は?」と疑問に思う方もいるでしょう。資格外活動許可とは、主に在留資格「留学」を持つ外国人留学生がアルバイトをするときに取得する許可です。このコラムでは、外国人を雇用する際のポイントや資格外活動許可を得ても従事できない業務について解説します。在留カードの確認方法も紹介しているので、雇用の際の参考にしてください。

 

目次

  1. 資格外活動許可とは?
  2. 資格外活動許可の申請方法
  3. 資格外活動許可を持つ外国人を雇用する際のポイント
  4. 資格外活動許可のない外国人を雇用してしまったら?
  5. まとめ

資格外活動許可とは?

「資格外活動許可」とは、外国人が在留資格で許可された活動範囲以外の活動を日本で行う際に取得する許可です。主に「留学」の在留資格を持つ外国人留学生が、アルバイトをするときに取得します。外国人留学生の就労は原則認められていないため、本来は企業で雇用できません。ただし、資格外活動許可を得れば、週28時間以内での就労が認められ、企業で雇用可能になるのです。

「包括許可」と「個別許可」の2種類がある

資格外活動許可は以下の2種類があります。

1.包括許可

「包括許可」とは後述する条件を満たせば、包括的な資格外活動が許可されることを指します。包括許可の対象となる外国人は以下のとおりです。

  • 在留資格「留学」を持つ外国人
  • 在留資格「家族滞在」を持つ外国人
  • 外国人の扶養を受ける配偶者もしくは子、またはそれに準ずる者として在留資格「特定活動」を持つ外国人
  • 継続就職活動または内定後就職までの在留を目的とする「特定活動」の在留資格を持つ外国人
  • 在留資格「教育」「技術・人文知識・国際業務」「技能(スポーツインストラクターに限る)」のうち、地方公共団体等との雇用契約により活動する外国人

包括許可で資格外活動許可を得た外国人は、週28時間以内(長期休業期間は1日8時間)のアルバイトが認められます。

2.個別許可

「個別許可」とは、在留資格によって認められた活動以外の就労を希望する外国人、または上述した包括許可に該当しない外国人に対する資格外活動許可を指します。個別許可の該当例は以下のとおりです。

  • 外国人留学生がインターンシップとして週28時間以上の資格外活動に従事する場合
  • 「教授」の在留資格を持ち大学で勤務する外国人が、民間企業で語学講師として働く場合
  • 個人事業主として活動する場合や客観的に稼働時間を確認することが困難である活動に従事する場合

個別許可では、外国人が活動を行う企業名や業務内容などを定めたうえで資格外活動許可を得ます。

外国人が資格外活動許可を得るための条件

外国人が資格外活動許可を得るときは、原則として以下の条件を満たしている必要があります。

  • 資格外活動によって、所持している在留資格の活動の妨げにならないこと
  • 法に反する活動でないこと
  • 外国人が収容令書の発付または意見聴取通知書の送達や通知を受けていないこと
  • 外国人の素行が不良でないこと
  • 当該機関(勤務先)が資格外活動に同意していること(外国人が公私の機関との契約に基づく在留資格に該当する活動を行っている場合)

法に反する活動はもちろん、資格外活動を行うことによって本来の活動(学業)に支障が出てしまう場合は許可を得られません。

資格外活動許可を得ても従事できない業務

資格外活動許可を得ても従事できない業務を以下に紹介します。

  • 風俗営業もしくは店舗型性風俗特殊営業が営まれている営業所
  • 特定遊興飲食店営業の営業所
  • 無店舗型性風俗特殊営業
  • 映像送信型性風俗特殊営業
  • 店舗型電話異性紹介営業
  • 無店舗型電話異性紹介事業

風俗営業に係る業務を営む営業所や事業所などで外国人を雇用することはできません。職種の具体例はキャバレーやスナック、バーなどです。また、パチンコ店や麻雀店でも外国人は雇用できないので注意しましょう。なお、上記のお店でのティッシュ配りの仕事もできませんので注意してください。

参照元
出入国在留管理庁「資格外活動許可について

資格外活動許可の申請方法

ここでは、資格外活動許可の申請方法を解説します。

申請から許可を受けるまでの流れ

資格外活動許可を申請してから許可を受けるまでの流れは以下のとおりです。

  1. 「資格外活動許可申請書」を記入する
  2. 必要書類を揃えて居住地を管轄する出入国在留管理局へ申請する
  3. 審査が完了するのを待つ(標準処理期間2週間)
  4. 許可の通知書を受け取る
  5. 在留カードの裏面に、資格外活動許可のスタンプが押される

申請から審査が完了するまでの期間は、申請する時期や地方出入国在留管理局の混雑具合によって異なります。

資格外活動許可申請に必要な書類

資格外活動許可申請に必要な書類は以下のとおりです。

  • 資格外活動許可申請書
  • 申請に係る活動の内容を明らかにする書類(労働条件通知書など)
  • 在留カード
  • パスポート

何らかの事情によりパスポートを提示できない場合は、理由書を記入し提出しなければなりません。

申請を行える人

資格外活動許可の申請を行えるのは、以下4つのいずれかに該当する人です。

  1. 資格外活動許可を希望する外国人本人
  2. 外国人本人の法定代理人
  3. 地方出入国在留管理局長に届け出た弁護士または行政書士で、外国人本人から依頼を受けた人
  4. 取次の承認を受け、以下のいずれかに該当する人のうち外国人本人から依頼を受けた人
  • 外国人が経営している機関、または外国人を雇用する機関の職員
  • 外国人が研修または教育を受けている機関の職員
  • 外国人の円滑な受入れを図ることを目的とする公益法人の職員

上記2~4の方が申請を行うときは先述した申請時の必要書類のほか、申請者自身の身分証明書も地方出入国在留管理局へ提示します。

参照元
出入国在留管理庁「資格外活動許可申請

資格外活動許可を持つ外国人を雇用する際のポイント

資格外活動許可を持つ外国人を雇用する際の重要なポイントを以下で解説します。

在留カードを十分確認する

企業で外国人を雇用する際は、面接時に在留カードの内容を十分確認することが非常に重要です。在留カードの表面に「就労不可」と記載がある場合、裏面の資格外活動許可欄も必ず確認しましょう。資格外活動許可を得た外国人留学生の在留カードには、「許可:原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く」と記載があります。

Wワークの有無を確認する

資格外活動許可を持つ外国人留学生を雇用するときは、Wワークの有無を確認することも大切です。外国人留学生は就労時間が週28時間以内でなければいけません。外国人留学生がWワークをしている場合は、ほかの勤務先と自社の就労時間の合計が週28時間を超えない範囲で雇用する必要があります。

「外国人雇用状況の届出」を提出する

雇用主は外国人を採用後、「外国人雇用状況の届出」をハローワークへ提出する義務があります。届け出る際は、採用した外国人の名前や国籍をはじめ、在留資格の種類、在留カード番号などが必要です。また、外国人が自社を離職する際も外国人雇用状況の届出を提出しなければなりません。怠ると、30万円以下の罰金が科される可能性があるので注意しましょう。

資格外活動許可のない外国人を雇用してしまったら?

資格外活動許可のない外国人留学生を雇用すると、雇用主は「不法就労助長罪」で処罰されます。不法就労助長罪は3年以下の懲役、300万円以下の罰金です。「知らなかった」「気づかなかった」といった言い分は通りません。「在留カードの確認不足=雇用主の過失」と見なされるため、処罰は免れないのです。外国人留学生を雇用するときは、面接時に在留カードを確認し資格外活動許可の有無を十分確認しましょう。

まとめ

資格外活動許可とは、主に「留学」の在留資格を持つ外国人留学生がアルバイトをするときに取得する許可です。外国人留学生の就労は原則認められていないため、在留カードに「就労不可」と記載されています。しかし、資格外活動許可を得た外国人留学生であれば、制限の範囲内での就労が可能です。外国人留学生の雇用を検討している企業は、必ず在留カードの資格外活動許可欄を確認したうえで採用しましょう。

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