ホテルの業務に必要な就労ビザとは?知識を身につけて外国人を雇用しよう

2023年05月26日
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ホテル・旅館業の集客力アップや接客サービスの質向上のために、外国人の雇用を検討している企業もあるでしょう。外国人をホテル・旅館で働かせるには、就労ビザが必要です。インバウンド需要への対応や日本人従業員への外国語による接客指導のために、外国人労働者の受け入れを検討している企業は、取得要件を把握しておきましょう。就労ビザの許可事例・不許可事例もまとめているので、申請の参考にしてください。


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目次

  1. ホテルでの業務が認められている就労ビザ
  2. 身分系の在留資格を持つ外国人もホテルで雇用可能
  3. 外国人労働者に任せられるホテルの業務
  4. 就労ビザの許可事例・不許可事例
  5. ホテル・旅館業で就労ビザ取得が認められるポイント
  6. まとめ

ホテルでの業務が認められている就労ビザ

ホテルでの業務が認められている就労ビザの画像

ホテル・旅館での就労が認められている在留資格(就労ビザ)は複数あります。就労可能な在留資格を有する外国人であっても、ホテル・旅館での就業が許可されていない場合は雇用できません。在留資格をきちんと確認してから雇用手続きを進めましょう。

在留資格「技術・人文知識・国際業務」

ホテル・旅館で働く外国人の多くは、在留資格「技術・人文知識・国際業務」(通称:技人国)を有しています。専門的な技術や知識、または国際的な業務に関わる仕事に就く場合に与えられる在留資格です。母国語での外国人宿泊客への対応やフロント受付、通訳・翻訳といった業務を任せたいときは、在留資格「技術・人文知識・国際業務」を有する人材を雇用しましょう。また、海外向けに宣伝を行うための企画・広報業務を任せることも可能です。

在留資格「特定活動」

在留資格「特定活動」を持つ外国人のうち、ホテル・旅館での業務を認められている外国人の雇用が可能です。例えば特定活動46号を持っていれば、常勤雇用が可能です。「特定活動」は特殊な在留資格で、法務大臣が外国人ごとに在留中の活動内容を指定します。指定書と呼ばれる書類に就労可否や在留中の活動内容がまとめられているので、雇用の際は必ずチェックしましょう。

在留資格「特定技能」

即戦力となる人材を雇用したいときは、在留資格「特定技能」を持つ外国人の採用を検討しましょう。十分な人材確保が難しい業界の生産性を向上すべく、専門性を持った外国人を受け入れやすくするために創設されたのが、在留資格「特定技能」です。日本語試験と宿泊技能測定試験に合格した者のみが与えられる在留資格なので、一定水準以上の能力が担保されています。

特定技能外国人を宿泊業界で雇うには?注意点を企業に向けて解説」では、在留資格「特定技能」の取得要件や採用時の注意点を紹介しています。あわせて参考にしてください。

身分系の在留資格を持つ外国人もホテルで雇用可能

身分系の在留資格を持つ外国人もホテルで雇用可能の画像

「永住者」「定住者」「永住者の配偶者等」「日本人の配偶者等」の身分系の在留資格も、ホテル・旅館での就労が認められています。身分系の在留資格を持つ外国人は、就労制限がありません。日本人の従業員同様、幅広い業務を任せられます。

在留資格に関する知識を深めたい方は「【29種類一覧】在留資格別に就労の可否や外国人を雇用する際の注意点まで解説」のコラムもチェックしてみましょう。就労の可否や採用時に確認するポイントをまとめています。

外国人労働者に任せられるホテルの業務

外国人労働者に任せられるホテルの業務の画像

技人国ビザで働く外国人労働者は、基本的にできる業務に制限があります。認められていない業務に従事させた場合、雇用主は不法就労助長罪に問われるので注意しましょう。

フロントでの受付

レセプションやインフォメーションといったフロント業務は、技人国ビザを持つ外国人も担当できます。宿泊客の予約確認やキャンセル、部屋割りの確認、国際電話の応対、会計など、受付に求められる業務であれば基本的に任せられるでしょう。また、コンシェルジュ業務も担当できます。

通訳・翻訳

外国人の宿泊客が訪れた際に、日本人スタッフが伝えたい内容を通訳・翻訳してもらうことも可能です。インバウンド需要の対応のために外国語を話せるスタッフを雇用したいホテル・旅館は、言語能力に優れた外国人の雇用も検討してみてください。

企画・広報

外国人旅行客向けに宿泊プランを展開したり海外での知名度を上げたりするために、企画・広報業務を任せることもできます。ただし、外国人旅行者が少ないホテルの場合、企画・広報は外国人従業員を雇用する必要性が薄い仕事です。こうした状況の場合、相応の理由がないと技人国ビザが許可されません。

就労ビザの許可事例・不許可事例

就労ビザの許可事例・不許可事例の画像

外国人がホテル・旅館で働くための技人国ビザは、雇用理由次第で不許可になる場合があります。せっかく外国人を採用しても、技人国ビザの許可が下りなければ雇用できません。以下で紹介する許可事例・不許可事例を参考に、自社で外国人を雇用できるか確認してみましょう。

許可事例

外国人労働者の技人国ビザが許可される事例は以下のとおりです。

  • 中国語を母語とする宿泊客が多いため、中国人を雇用してフロント業務を任せる
  • 日本の大学で観光ビジネス学を学んだ留学生を、海外向けの企画・広報業務に従事させる
  • インバウンド需要対応のため、宿泊業経験者の外国人に英語での接客指導を行ってもらう
  • 海外の旅行代理店との交渉に必要な通訳・翻訳業務、日本人従業員への言語指導を任せる
  • 海外版Webサイト作成および館内の多言語表記のために、外国人を雇用する

従事する業務が専門性を必要とする内容であり、日本人では遂行が難しいと認められれば、就労ビザが許可されます。

不許可事例

外国人労働者の技人国ビザが不許可になるのは、以下のようなケースです。

  • 経営学を学んだ留学生を雇用して清掃やベッドメイキング、荷物運びに従事させる
  • 外国人宿泊客がほとんどいないホテルで、通訳のために外国人を雇用する
  • 服飾の専門学校を卒業した留学生を、ホテルのフロント業務に従事させる
  • 海外向けWebサイト作成を担う外国人を、同じ業務を行う日本人より低い報酬で雇う
  • ホテルのレストランで配膳を行う外国人を、在留資格「技術・人文知識・国際業務」で申請する

技人国ビザの不許可理由に多いのは、外国人を雇用する必要性の欠如や日本人との待遇格差、業務内容と在留資格で認められる活動の不一致などです。出入国在留管理庁はホテル・旅館で働く外国人の在留資格について、許可・不許可に係る具体的な事例を公表しています。

外国人の雇用を検討している方は、実際の事例を参考に、技人国ビザが許可される雇用理由か今一度考えてみましょう。

参照元
出入国在留管理庁「別紙4(ホテル・旅館等において外国人が就労する場合の在留資格の明確化について)

ホテル・旅館業で就労ビザ取得が認められるポイント

ホテル・旅館業で就労ビザ取得が認められるポイントの画像

外国人は「在留資格認定証明書交付申請」や「在留資格変更許可申請」を経て、ホテル・旅館で働くための就労ビザを入手します。申請の際は労働契約書や実際の業務内容が確認されるので、就労ビザの取得許可が下りるようにポイントを抑えて書類を用意しましょう。

業務内容と外国人の専門性に関連がある

在留資格「技術・人文知識・国際業務」や「特定活動」の場合、業務内容と外国人の経歴・資格に関連性がなければ、就労ビザの許可が下りません。例えば、専門学校でWebデザインを履修した留学生は海外版Webサイト作成業務、観光学を学んだ人材はフロント業務など、適材適所で採用活動を行うと就労ビザの許可を得やすくなります。

申請する在留資格と従事する業務が一致している

在留資格で認められる活動と業務の不一致は、就労ビザが不許可になる原因です。外国人雇用を検討している企業担当者は、在留資格の知識を身につけ、申請内容が適切かチェックできるようにしましょう。社労士や行政書士といった専門家に依頼するのも一つの方法です。

十分な業務量がある

外国人旅行客の少ないホテル・旅館の場合、「わざわざ外国人を雇用する必要性はない」と判断され、就労ビザの申請が不許可になる可能性があります。また、業務量が少なく継続的な仕事として成り立たない場合も、就労ビザが認められにくいので注意しましょう。

報酬や待遇が日本人と同等以上と認められる

外国人を雇用する際は、同じ業務につく日本人と報酬や待遇が同等になるように契約を結びます。外国人労働者であることを理由に、日本人より給料を下げたり待遇を悪くしたりするのは違法です。合理性が認められない報酬や待遇の差が発覚した場合、就労ビザは不許可になります。

まとめ

まとめの画像

ホテルや旅館で働ける就労ビザは、「技術・人文知識・国際業務」「特定技能」「特定活動」です。従事させる業務によって、申請してもらう在留資格の種類が異なります。条件を満たしていないと就労ビザの申請が認められないので、在留資格に関する知識を身につけておきましょう。