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ホテルや旅館などの宿泊業界は、コロナ後の急激な需要増加にともない、人手不足が深刻な状況といえます。今後労働人口はさらに減っていくため、早いうちから対策を進める必要があるでしょう。
このコラムでは、宿泊業の人手不足を解消する方法の一つである、外国人雇用に焦点を当てて解説します。内容を参考にして、業務が円滑に進む企業作りを目指しましょう。
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目次
ホテルや旅館などの宿泊業界は、特に人手不足が深刻な業界です。ここでは、宿泊業の人手不足の状況を紹介します。
帝国データバンクは、2023年7月に「人手不足に対する企業の動向調査」を実施しています。その結果によると、アンケートに参加したホテル・旅館業界の企業のうち、正社員の人手不足を感じている企業は72.6%もありました。非正規社員に関しては68.1%もの企業が人手不足を感じています。正社員・非正規社員ともに、人手不足の割合が高い業界であることがわかりました。
宿泊業界で働いている人の人数は増え続けており、コロナ前の水準を上回っている状況です。それでも、実際には多くの企業が人手不足を感じています。人数は増えていても、ホテルや旅館などの数そのものが増えているため、人手不足の状況は変わっていません。また、新型コロナウイルスが5類に移行されてから、ホテルや旅館の需要が急激に増加しました。その状況に見合った人材の人数には足りていないため、人手不足がより深刻になっているといえます。
日本では多くの業界が人手不足の状態です。詳しくは「人手不足の業界とは?企業で起きやすい問題や原因と対策を解説」や「人手不足の職業ランキングを紹介!働き手が不足する要因と対策を徹底解説」をご覧ください。
参照元 帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2023年7月)」
ここでは、宿泊業の人手不足が起きる理由を解説します。前述したコロナ後の需要急増に加え、人材が集まりにくい労働環境も原因といえるでしょう。
宿泊業界は高いホスピタリティを求められる仕事であるにも関わらず、賃金が低いのが特徴です。厚生労働省が発表した「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、宿泊業・飲食サービス業の平均給与は25万7,400円でした。賃金平均の31万1,800円とは開きがあり、全産業のなかで最も低くなっています。
賃金が低いと人材を募集しても応募が集まらず、人手不足を解消するのは難しくなるでしょう。
宿泊業界の主な職種はシフト勤務が一般的です。夜勤と日勤がある不規則な勤務は、体力を消耗しやすくなります。体力的にきつい仕事はどうしても若い人材に敬遠されがちなため、応募がなかなか集まらないのです。
宿泊業界は接客業ということもあり、拘束時間が長くなりがちです。突発的なトラブルやイレギュラーが起こりやすく、残業になってしまうことも珍しくありません。人材が確保できていれば問題が起きてもカバーできますが、慢性的な人手不足が続いているため、一人ひとりの負担が大きい状態が続いています。
日本全体で労働人口が減っているため、一部を除きほとんどの業界で人手不足が起こっています。内閣府の発表した「令和4年版高齢社会白書(全体版)」によると、生産年齢人口は2032年に6,971万人、2065年には4,535万人にまで減少する見込みです。現役で働ける人口が減るため、現在人手が不足している業界は、より深刻な状態に陥ることが予想されています。
参照元 厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」 内閣府「令和5年版高齢社会白書(全体版)」
宿泊業の人手不足を解消するには、業務の効率化や労働環境の改善が有効です。また、多様な立場の人の採用を積極的に増やすことで、人材を確保しやすくなるでしょう。
DX化を進めると、人員が少ないままでも業務が円滑に進むようになるでしょう。DXとは「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の略です。デジタル技術やデータを駆使して、業務やビジネスそのものを変化させていくことを意味します。
フロント業務の無人化(スマートチェックイン)は、多くのホテルや旅館が導入している手法です。このほかには、「掃除ロボットの導入」「利用客からの質問に回答するAIを導入」「ルームキーの電子化」なども効率化に有効といえます。
一人ひとりの負担を減らすために、業務の棚卸しを行うのも重要です。一日に行われる業務をすべて洗い出し、無駄なものがないか確認してみましょう。業務の効率化を進めたうえで前述したDX化を導入すれば、さらに高い効果を得られます。
今いる従業員の離職を防ぎ、求人の応募を増やすには、働きやすい職場作りが必要不可欠です。ホテルや旅館の仕事はハードというイメージを持つ求職者が、応募したくなる魅力的な労働環境を作りましょう。賃金を上げるのが最も効果的ですが、難しい企業が多いでしょう。そのような場合は、残業の軽減や福利厚生を充実させるなどの工夫が必要です。
多様な立場の人が働きやすい環境を整備すれば、採用の間口が広がります。たとえば、勤務時間や勤務場所を柔軟に選べる制度があれば、子育てをする人も働きやすいでしょう。高齢者や障がいがある人の場合は、個人の体力や特性にあわせた配慮をすることで、無理なく働いてもらえます。
近年宿泊業界では、外国人採用が注目されています。日本で働く外国人は年々増加しており、日本の経済や産業を支える大切な存在です。インバウンドの多いホテルや旅館は、多言語対応が可能な外国人人材を雇用することで、ホスピタリティや顧客満足度の向上に繋がるでしょう。
外国人採用については、「外国人採用のメリットとは?日本企業が人材を雇用する際の注意点も解説」や「外国人雇用の最新状況を紹介!企業が押さえるべき基礎知識も解説」のコラムで詳しく解説しています。
宿泊業で外国人を雇用する際は、以下の点に注意しましょう。
多くの外国人には、在留資格による業務の制限があります。在留資格とは、外国人が日本で働いたり学校に通ったりといった活動をするのに必要な資格です。身分に基づく在留資格を持つ外国人は、日本人と同じように雇用できます。一方、就労に関する在留資格の多くは、できる仕事が細かく決められているのです。
外国人を雇用する際は、在留資格のことも考えつつ採用を決めなければなりません。
留学生をアルバイトとして採用する際は、資格外活動許可の有無を確かめましょう。留学生の持つ在留資格「留学」では、本来就労は認められていません。留学生が出入国在留管理庁で「資格外活動許可」を得ているか確認する必要があります。
留学生がアルバイトをできるのは原則週28時間です。夏休みや春休み期間に限り、1日8時間週40時間働けます。
接客担当として外国人を雇用する際は、日本語のチェックを入念に行いましょう。顧客と接するフロントの仕事は、高度な日本語能力が必要です。たとえ外国人利用客が多いホテルや旅館であっても、日常会話以上の日本語能力を持ち合わせていないと、業務がスムーズに行かない場合があります。
日本語の資格だけ見て判断するのではなく、面接での質疑応答などから、実際の会話能力を判断するようにしましょう。
外国人を雇用したあとは、事業主がハローワークへ本人の国籍や在留資格などの情報を提出する必要があります。外国人が雇用保険の加入者の場合は、「雇用保険被保険者資格取得届」とあわせて提出が可能です。外国人が雇用保険に加入しない場合は、別途「外国人雇用状況の届出」を提出しなければなりません。日本人の雇用時には発生しない手続きなので、忘れないようにしましょう。
外国人雇用状況の届出については「外国人を雇用したらハローワークへの届出が必要!手続きの内容を解説」のコラムで解説しているので、参考にしてください。
参照元 厚生労働省「外国人雇用状況の届出について」
外国人は、持つ在留資格によってできる業務が異なります。必要な在留資格とできる業務を把握して、採用や配属決定に活かしましょう。
身分に基づく在留資格には、「永住者」「定住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」が該当します。これらの在留資格は日本で行う活動内容に制限がありません。フロントやレストランスタッフ、客室清掃など、あらゆる業務を任せられます。
在留資格「技術・人文知識・国際業務」では、学校や実務経験で培った知識・技能を活かせる専門的な業務を行えます。宿泊業の場合は、語学力を活かしたフロント業務や企画のほか、広報業務が可能です。単純労働は許可されていないため、客室清掃やレストランスタッフとしては雇用できません。
「技能実習」とは、日本の技術を学ぶために来日した技能実習生に付与される在留資格です。宿泊業の場合は、「宿泊」および「ビルクリーニング」の職種で技能実習生を受け入れられます。
「宿泊」職種で受け入れた技能実習生は、接客や送迎、安全衛生業務などが可能です。また、技能実習2号に移行後は、チェックイン・チェックアウト作業の補助もできます。「ビルクリーニング」職種で受け入れた技能実習生は、客室清掃やベットメイキングなどの作業が可能です。
在留資格「特定技能」は、人手不足の業界で外国人雇用を容易にするための在留資格です。接客や企画に携わる場合は「宿泊業」分野、客室清掃やベットメイキングが業務の中心の場合は「ビルクリーニング」分野で外国人を受け入れられます。
特定技能はほかの在留資格に比べ、任せられる業務の幅が広いのが特徴です。たとえば、「宿泊業」分野では、フロント業務やレストランでの配膳、利用客の案内などさまざまな業務を任せられます。
在留資格「特定活動」のうち「本邦大学卒業者(46号)」は、日本の大学もしくは大学院を卒業し、高い日本語能力を有する外国人に付与されます。特定活動46号を持つ外国人がホテルや旅館で行える業務は、「日本語と母国語を用いての接客」「翻訳や通訳を兼ねた企画・営業」「ほかの外国人への指導業務」などです。
在留資格については「ホテルや旅館での外国人採用に必要なビザ(在留資格)の種類とできる業務」のコラムも参考にしてください。
宿泊業界の人手不足を解消するためには、ITツールの導入や労働環境の改善が効果的です。また、外国人を積極的に受け入れることで、採用の間口が広がるでしょう。ただし、外国人雇用には日本人とは異なる手続きやルールがあるため、注意が必要です。