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産業機械を製造する企業のなかには、特定技能「産業機械製造業」とは何か気になっているところもあるでしょう。特定技能「産業機械製造業」は労働力確保を目的とした在留資格で、日本人と同じように働けるのが特徴です。このコラムでは、産業機械製造業で特定技能外国人が従事できる業務や雇用条件を解説します。人手不足緩和や事業発展のために外国人雇用を検討している企業は、ぜひチェックしてみましょう。
目次
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特定技能「産業機械製造業」は、人手不足が深刻な特定産業分野において、一定の専門性や技術を持った外国人に許可される在留資格「特定技能」の一種です。即戦力となる特定技能外国人を雇用することによって、産業機械製造業における労働力確保を目的としてます。なお、特定技能「産業機械製造業」の受け入れ上限人数は、2019年から2023年までの5年間で5,250人です。
特定技能「産業機械製造業」が創設されたのは、人手不足解消と産業の発展が目的です。産業機械製造業は、製造業の生産活動を支える重要な業種で、日本の経済社会に大きく寄与しています。人間が行うのは不可能だったり難しかったりする作業を行える産業機械は、日本だけでなく世界各国でも需要が高いのです。そのため、産業機械製造業は重要な産業とされていますが、一定の専門性を持つ技能人材が少なく業界全体が慢性的な人手不足に陥っています。事態が深刻になることを懸念した日本政府は、人手不足の解消と産業の活性化を実現させるために特定技能「産業機械製造業」を創設しました。なお、2021年9月末時点では3,180人の特定技能外国人が就労しています。
特定技能「産業機械製造業」を持つ外国人が従事できる業務は、以下のとおりです。
特定技能外国人は日本人と同じように働けるため、業務に付随する関連業務にも従事できます。関連業務の範囲は、基本的に同じ業務を行う日本人が普段から従事しているかで判断されるようです。たとえば、自動車工場で溶接業務に従事している日本人従業員が、自動車部品の組立て業務も担当している場合は関連業務とみなされ、特定技能外国人も従事できます。特定技能外国人が従事する業務によっては、原材料・部品の調達および運搬作業やクレーン・フォークリフトの運転作業なども関連業務として認められるでしょう。ただし、関連業務ばかりに従事することは認められません。
特定技能「産業機械製造業」を持つ外国人は「特定技能1号」に該当するため、在留期間は通算5年が上限です。在留資格「特定技能」には1号と2号があり、それぞれ在留期間の上限や技能水準が異なります。なお、産業機械製造業で受け入れられるのは特定技能1号のみです。人手不足解消のために特定技能外国人の雇用を検討している企業は、採用時期をずらしながら継続的な受け入れを行うことをおすすめします。
参照元 出入国在留管理庁 「新たな外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組」 「特定技能在留外国人数の公表」
外国人が特定技能「産業機械製造業」を取得するには、一定の技能水準と日本語能力を有していることを証明する必要があります。特定技能外国人の業務遂行能力を事前に把握しておきたい方は、どのような方法で在留資格が許可されているのかチェックしてみましょう。
特定技能「産業機械製造業」を取得するには、「製造分野特定技能1号評価試験」に合格する必要があります。この試験は業務ごとに試験区分が異なり、それぞれ学科試験と実技試験の両面から外国人の技能水準を測るのが目的です。製造分野特定技能1号評価試験に合格した外国人は、上長の指導や自発的な行動によって、業務に従事できる技術を持っていると認められます。また、特定技能「産業機械製造業」の在留資格を得るには、従事する業務に必要な日本語能力もなければいけません。「日本語能力試験(JLPT)」のN4レベル以上、もしくは「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」に外国人を合格させましょう。
技能実習2号修了者は、製造分野特定技能1号評価試験が試験基準としている「技能検定3級試験」に合格しているため、試験免除で在留資格を変更できます。また、技能実習を行うなかで日本人とのコミュニケーション能力が身に付いていると判断され、日本語能力に関する試験を受ける必要もありません。
特定技能「産業機械製造業」の取得に必要な試験は海外でも行われていますが、実施国が限定されているのが現状です。技能実習生として受け入れたのちに特定技能1号に移行してもらう方が、在留資格を取得しやすく実践的な技能を身につけられるでしょう。「長く受け入れを行いたい」「学習コストを抑えたい」という企業は、技能実習2号修了者に特定技能1号への移行を打診することをおすすめします。
参照元 経済産業省「製造分野特定技能1号評価試験」
企業が特定技能「産業機械製造業」を持つ外国人を雇用するには、一定の条件を満たす必要があります。特定技能外国人の雇用を検討している企業は、雇用条件を把握しておきましょう。
特定技能「産業機械製造業」に限らず、雇用する外国人は日本人と同等以上の給与・待遇で雇用しなければなりません。外国人だからといって、不当に賃金を引き下げたり長時間労働をさせたりするのは違法です。昇給や賞与についても日本人と同じように与える旨を、雇用条件に明記します。なお、特定技能「産業機械製造業」は派遣雇用が認められないため、雇用形態は直接雇用のみです。
雇用条件はあらかじめ外国人にも提示し、理解度を確認しつつすり合わせを行いましょう。可能であれば、雇用する外国人の母国語で書類を作成すると親切です。
特定技能「産業機械製造業」を持つ外国人の受け入れが認められている企業は、以下の日本標準産業分類に該当する企業に限定されています。(各業種に割り振られている番号は、日本標準産業分類番号)
従事させたい業種で特定技能外国人の受け入れが可能か、企業はあらかじめ確認しておきましょう。
特定技能「産業機械製造業」を持つ外国人を雇用する企業は、在留資格に関する申請を行う前に「製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会」に加入する必要があります。特定技能制度の趣旨や優良事例の周知、法令遵守の啓発などを行っている団体で、加入しないと特定技能外国人の雇用が認められません。協議会では、地域別に人手不足の状況を把握・分析したり適正かつ円滑な受け入れ実施のために課題を共有したりするので、構成員となった企業はできる限り協力しましょう。
特定技能外国人を雇用する企業は、支援計画を作成し適切に実施する義務があります。たとえば、特定技能「産業機械製造業」を持つ外国人と同じ言語を話せる社員による相談対応、生活オリエンテーションの実施などです。支援計画を適切に実施できない企業では、特定技能外国人を雇用できません。ただし、企業内で支援計画の実施が難しい場合、登録支援機関に業務を委託することで十分な支援体制があると認められます。
参照元 特定技能外国人材制度(製造3分野)ポータルサイト「特定技能外国人材(製造3分野)概要資料」
特定技能「産業機械製造業」は、技能人材の不足が著しい産業機械製造分野において即戦力となる重要な人材です。日本人と同じように業務に従事してもらえるため、産業機械製造業の発展にもつながるでしょう。一定の雇用条件さえ満たせば、特定技能外国人の雇用が認められます。特定技能「産業機械製造業」を持つ外国人の雇用を検討している企業は、あらかじめ雇用条件や注意点を把握してスムーズな受け入れを行えるようにしましょう。
監修:濵川恭一
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net