特定技能「飲食料品製造業」とは?外国人雇用のポイントを企業へ向けて解説

在留資格 2022.01.28
小島健太郎
小島健太郎
特定技能「飲食料品製造業」とは?外国人雇用のポイントを企業へ向けて解説

飲食料品製造業の企業経営者のなかには、外国人雇用を検討している方もいるでしょう。飲食料品製造業は業界全体で人手不足が問題となっているため、労働力確保のために在留資格「特定技能」を持つ外国人の雇用が認められています。そこで、このコラムでは特定技能「飲食料品製造業」について解説。対象となる職種や従事できる業務を紹介します。また、特定技能外国人を雇用する際のポイントもまとめているので参考にしてください。

 

目次

  1. 特定技能「飲食料品製造業」とは?
  2. 飲食料品製造業で雇用可能な特定技能外国人
  3. 飲食料品製造業で特定技能外国人を雇用するポイント
  4. まとめ

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特定技能「飲食料品製造業」とは?

特定技能「飲食料品製造業」は、飲食料品製造業の深刻な人手不足を解消するために創設された在留資格です。2019年4月に創設された在留資格「特定技能」のなかに飲食料品製造が含まれており、専門的な技能を持っている外国人の雇用が期待できます。ただし、対象となる職種や従事できる業務が限られているため、雇用の際は注意が必要です。

対象となる業種

特定技能「飲食料品製造業」の在留資格を持つ外国人が働ける業種は、「日本標準産業分類」に該当する以下の7種類です。

  1. 食料品製造業
  2. 清涼飲料製造業
  3. 茶・コーヒー製造業(清涼飲料を除く)
  4. 製氷業
  5. 菓子小売業(製造小売)
  6. パン小売業(製造小売)
  7. 豆腐・かまぼこ等加工食品小売業

食料品製造業には香料製造業や医薬品製造業、上記の内容に該当しない飲食料品小売業などは含まれません。特定技能外国人を対象となる業種以外で働かせた場合、不法就労助長罪に問われるので注意しましょう。

特定技能「飲食料品製造業」で外国人が従事できる業務

特定技能の在留資格を持つ外国人が飲食料品製造業で従事できる業務は、飲食料品の製造や加工、安全衛生などです。ただし、酒類や塩に関する製造や加工、安全衛生に従事することはできません。

菓子・パンは製造だけでなく小売も認められているため、店頭販売の業務に従事させることが認められています。例えば、ケーキ屋さんやパン屋さんで外国人を雇用することも可能です。全体的な認識として、特定技能外国人に酒類や塩に関する業務は任せられないことを覚えておくと良いでしょう。

飲食料品製造業で雇用可能な特定技能外国人

ここでは、飲食料品製造業で雇用できる特定技能外国人について解説します。外国人が特定技能「飲食料品製造業」の在留資格を得るには、一定の基準を満たさなければなりません。

在留資格「特定技能」には、1号と2号があります。なお、2022年1月時点で特定技能2号の在留資格を持つ外国人はいません。特定技能外国人の技能レベルや日本語能力が気になる方は、以下の内容をチェックしてみましょう。

技能試験および日本語能力試験の合格者

「日本語能力試験(N4以上)」または「国際交流基金日本語基礎テスト(A2レベル)」に合格したうえで、「飲食料品製造業技能測定試験」にも合格した外国人は、特定技能1号の在留資格が付与されます。特定技能「飲食料品製造業」の在留資格を持つ外国人の日本語能力は、基本的な日本語を理解できるレベルです。日常的な場面でややゆっくりと話される会話であれば、おおむね内容を掴めるでしょう。飲食料品製造業技能測定試験の実施方法は、日本国内ではペーパーテスト方式、国外ではCBT方式でどちらも出題言語は日本語です。テストは150点満点で、65%以上正答しなければ合格になりません。特定技能1号の在留資格を付与されている外国人は、日本語能力や専門性、技術が備わった即戦力といえます。

日本語能力試験(JLPT)を外国人採用にどう活かす?企業に向けて解説」では、日本語能力試験を外国人雇用に活用する際のポイントをまとめています。ぜひ、参考にしてみてください。

飲食料品製造業分野における技能実習2号修了者

飲食料品製造業分野に分類される業種で、技能実習2号を修了している場合、成績が良好であれば無試験で特定技能1号への移行が可能です。なお、技能実習2号を修了している技能実習生はすでに必要な日本語スキルが備わっているとみなされるため、日本語能力試験も受ける必要がありません。

以下の業種で技能実習2号を良好に修了すれば、特定技能1号に移行できます。

  •  缶詰巻締
  •  食鳥処理加工業
  •  加熱性水産加工食品製造業
  •  非加熱性水産加工食品製造業
  •  水産練り製品製造
  •  牛豚食肉処理加工業
  •  ハム、ソーセージ、ベーコン製造
  •  パン製造
  •  そう菜製造業
  •  農産物漬物製造

外国人技能実習生を受け入れている企業は、技能実習修了後特定技能1号への移行を打診してみましょう。

参照元
農林水産省「飲食料品製造業分野特定技能1号技能測定試験について

飲食料品製造業で特定技能外国人を雇用するポイント

特定技能外国人を飲食料品製造業で受け入れる際、企業に注意してほしいポイントがいくつかあります。ここで紹介する内容を破ると不法就労助長罪に問われたり、特定技能外国人を受け入れられなくなったりするので注意しましょう。

農林水産省が制定する4つの条件を満たす

飲食料品製造業で特定技能外国人を受け入れる際は、農林水産省が制定する以下の4つの条件を必ず満たしましょう。なお、飲食料品製造業分野では、特定技能外国人の派遣雇用が認められていないため、直接雇用でのみ受け入れ可能です。

  1. 食品産業特定技能協議会の構成員になること
  2. 食品産業特定技能協議会に対して必要な協力を行うこと
  3. 農林水産省が主導する調査に必要な協力を行うこと
  4. 特定技能外国人の在留中の活動をサポートし、難しい場合は登録支援機関に支援業務を委託すること

食品産業特定技能協議会への加入は、初めて特定技能外国人を受け入れた日から4ヶ月以内に行わなければなりません。もしも、4ヶ月以内に協議会に加入しなかった場合、特定技能外国人を受け入れられなくなります。

賃金や雇用形態のルールを守る

特定技能外国人にも、日本人と同じ最低賃金法や労働基準法が適用されます。能力に応じた調整は認められていますが、外国人だからといって賃金を不当に下げることはできません。特定技能外国人を雇用する際は、報酬が日本人と同等以上であることを明文化し、労働者にきちんと示しましょう。なお、賃金規定がなかったり日本人が働いてなかったりする職場では、同じ地域の同業者に支払われる報酬を参考にします。

積極的に外国人のサポートを行う

特定技能外国人を受け入れるにあたって、受け入れ先の企業は法令で決まっている義務的な支援を行う必要があります。ただし、特定技能の制度に詳しくない会社や中小企業は、登録支援機関に支援業務を委託するのが賢明です。特定技能外国人に関するルールは変わりやすいため、専門的な部分は自社で解決するよりも委託した方が経営効率が良いといえます。細かいルールの改定や法令を知らなかったために、特定技能外国人の在留が認められなくなることもあるでしょう。採用した人材を安定して雇用し続けるためにも、登録支援機関に業務を任せることをおすすめします。

参照元
農林水産省「飲食料品製造業分野における外国人材の受入れ拡大について-分野別運用方針

まとめ

特定技能「飲食料品製造業」を持つ外国人は、人手不足が深刻な飲食料品製造業分野において、即戦力となる重要な人材です。外国人雇用を雇用したい企業は、特定技能外国人が働ける業種や従事できる業務、雇用の際に守るべきポイントを把握し採用活動に向けて準備を行いましょう。

小島健太郎

監修:小島健太郎 さむらい行政書士法人 代表社員

外国人の在留資格・VISA・帰化、対日投資手続きを専門に扱う「さむらい行政書士法人 」の代表社員。さむらい行政書士法人は東京、名古屋、大阪と全国対応。日本においても外国人を採用する企業が年々増加傾向にある中、外国人を雇用する際の就労ビザの取得を支援し、専門性の高いコンサルティングにより高い信頼を得ている。専門分野:在留資格・VISA・帰化。年間相談実績1,000件以上。 https://samurai-law.com