外国人を研修生として受け入れよう!技能実習制度の利用方法を解説

2020年04月20日
小島健太郎 (監修)
さむらい行政書士法人 代表社員
外国人の在留資格・VISA・帰化、対日投資手続きを専門に扱う「さむらい行政書士法人 」の代表社員。さむらい行政書士法人は東京、名古屋、大阪と全国対応。日本においても外国人を採用する企業が年々増加傾向にある中、外国人を雇用する際の就労ビザの取得を支援し、専門性の高いコンサルティングにより高い信頼を得ている。専門分野:在留資格・VISA・帰化。年間相談実績1,000件以上。 https://samurai-law.com

日本企業が外国人技能実習制度を利用すると、外国人の技能実習生(旧:研修生)を受け入れた上で、一定期間働いてもらうことになります。これにより、技能実習生側では日本の技能・技術・知識などを身につけて帰国後に自国で活躍できる一方で、受け入れ先企業では所属する従業員にグローバル意識を根付かせられるといったメリットが期待できます。

この記事では、外国人研修生の受け入れを検討する企業に向けて、外国人技能実習制度の概要・利用するメリット・受け入れ方式や手続き方法などをわかりやすく解説していきます。

外国人技能実習制度とは?

はじめに外国人技能実習制度について把握しましょう。

・外国人技能実習制度の概要 

そもそも外国人技能実習制度(以下、本制度という)は、国際貢献を目的に開発途上国などの外国人を日本企業で一定期間受け入れる制度です。外国人人材の受け入れ期間は最長5年が上限として設定されており、期間中のOJT(実務を通じて社内の業務を教えること)によって、技能を移転していきます。

もともと海外の現地法人において実施されていた研修制度をベースにして1993年に創設されました。ちなみに本制度創設後の2017年には技能実習法が施行されており、外国人の技能実習の適正な実施や技能実習生の保護が図られています。

参照:法務省 出入国在留管理庁・厚生労働省 人材開発統括官「外国人技能実習制度について」
法務省 出入国在留管理庁・厚生労働省 人材開発統括官「外国人技能実習制度について」

・制度を利用するメリット 

日本企業が本制度を利用すると、外国人の技能実習生を受け入れることになります。そのため技能実習生側では、本制度の技能実習によって身につけた技能・技術・知識などを母国に持ち帰って役立てることが可能です。

一方で受け入れ先の日本企業側では、外国人の人材を現場に投入することで、社内の従業員にグローバル意識を根付かせることが期待できます。これにより、企業のグローバル化を推進する足がかりとすることも望めます。

さらには自社の持つ技能を技能実習生を通じて海外に伝えることで、自社と諸外国との協力体制を構築することにもつながります。このように様々なメリットが期待できるものの、本制度を利用する際には注意しておかなければならないこともあります。

知っておくべき大きな注意点としては、本制度の利用では労働力の補充といったメリットは期待できないことが挙げられます。なぜなら技能実習法の第3条第2項にて「技能実習は、労働力の需給の調整の手段として行われてはならない」と定められているためです。

つまり技能実習生を利用して企業の労働力を補充することは禁止されているのです。

このような趣旨から、技能実習期間を終えた外国人が母国に帰国して技術移転を行うことなく、そのまま日本で別の就労ビザを取得しようとすることは、原則認められておりません。

参照:厚生労働省「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」

技能実習生の受け入れ方式 

本制度を利用する際には、以下に挙げた受け入れ方式の中から1つを選択してください。

  1. 企業単独型

  2. 団体監理型

ちなみに、2019年6月末時点の速報値では、企業単独型による在留者の受け入れ総数は9,955人(2.7%)であり、一方の団体監理型による在留者の受け入れ総数は357,754人,(97.3%)であったと報告されています。

以上のことから、現時点では実際に技能実習生を受け入れる際には団体監理型の方式を採用するケースがほとんどを占めていますが、本制度の利用を検討する場合には事前に各方式の特徴を把握した上で検討することをおすすめします。ここからは、それぞれの受け入れ方式の特徴について順番に見ていきましょう。

参照:法務省 出入国在留管理庁・厚生労働省 人材開発統括官「外国人技能実習制度について」

・企業単独型 

企業単独型とは、日本企業が海外の現地法人や合弁企業・取引先企業などで働く外国人を直接的に受け入れて技能実習を実施する受け入れ方式です。そのため企業単独型を利用して受け入れることができるのは、本制度を利用する日本企業と上記の関係性を持つ法人や企業で働く外国人に限られます。

したがって、海外の現地法人や合弁企業・取引先企業を持たない日本企業は採用不可能であることから、前述した本制度の受け入れ総数のデータを見てもわかるとおり、企業単独型の方式を採用するケースは非常に稀です。

・団体監理型 

団体監理型とは、事業協同組合や商工会など非営利の監理団体が受け入れた技能実習生について、監理団体の傘下となっている企業が技能実習を請け負うという受け入れ方式です。

団体監理型は海外の現地法人や合弁企業・取引先企業を持たない日本企業であっても採用できる利点がありますが、あらかじめ監理団体の傘下となるための手続きを取る必要があります。

・実習区分と在留資格 

上記で紹介した2つの方式ではそれぞれ実習区分と在留資格が設定されており、技能実習生の人数枠を理解するほか、求められる手続きを取るために知っておくべきものです。実習区分と在留資格は、それぞれ以下のとおりです。

実習区分 在留資格:企業単独型(団体監理型)
技能実習1号(入国1年目) 技能実習1号イ(ロ)
技能実習2号(入国2・3年目) 技能実習2号イ(ロ)
技能実習3号(入国4・5年目) 技能実習3号イ(ロ)
参照:法務省 出入国在留管理庁・厚生労働省 人材開発統括官「外国人技能実習制度について」

・技能実習生の人数枠 

日本企業が受け入れることのできる技能実習生の人数枠については、原則として基本人数枠の定めに従うほか、ケースによって受け入れ方式ごとに定められた人数枠に従うことになります。まず基本人数枠は、以下のとおりです。

実習を実施する企業の常勤職員総数 技能実習生の受け入れ可能人数
301人以上 常勤職員総数の20分の1
201人〜300人 15人
101人〜200人 10人
51人〜100人 6人
41人〜50人 5人
31人〜40人 4人
30人以下 3人

そして企業単独型を採用する際の受け入れ人数枠は、以下のとおり定められています。なお優良要件適合申告書を提出して優良認定を受けた場合には、()の数値が適用されます。

  技能実習1号 技能実習2号 技能実習3号
出入国在留管理庁長官及び厚生労働大臣が継続的で安定的な実習を行わせる体制を有すると認める企業

基本人数枠

(基本人数枠の2倍)

基本人数枠の2倍

(基本人数枠の4倍)

基本人数枠の6倍
上記以外の企業

常勤職員総数の20分の1

(常勤職員総数の10分の1)

常勤職員総数の10分の1

(常勤職員総数の5分の1)

常勤職員総数の10分の3

最後に団体監理型を採用する際の受け入れ人数枠は、以下のとおりです。こちらも優良認定を受けた場合には、()の数値が適用されます。

技能実習1号 技能実習2号 技能実習3号

基本人数枠

(基本人数枠の2倍 )

基本人数枠の2倍

(基本人数枠の4倍 )

基本人数枠の6倍
参照:法務省 出入国在留管理庁・厚生労働省 人材開発統括官「外国人技能実習制度について」

技能実習生を受け入れる方法

実際に日本企業が技能実習生を受け入れる際にはさまざまな手続きを取らなければなりませんが、求められる手続きは大きく以下の2つに分けられます。

・受け入れまでに必要となる準備 

まず技能実習生を受け入れたい企業は、以下に挙げた準備を実施する必要があります。

  • 監理団体の許可申請

  • 技能実習計画の認定申請

  • 在留資格認定証明書交付申請

監理団体の許可申請は、団体監理型を採用し、なおかつ初めて技能実習生を受け入れる場合に提出が義務付けられています。ここで許可基準を満たして外国人技能実習機構による審査を通過できれば、監理団体として許可されることになります。

監理団体として許可された後は、技能実習計画を作成して認定申請を受けることが義務付けられています。この手続き以降は、企業単独型を採用するケースにおいても同様に実施が求められます。技能実習計画は、受け入れる技能実習生ごとの作成が義務付けられているため注意してください。

無事に技能実習計画が認定されれば、最後は在留資格認定証明書の交付申請です。本来であれば在留資格認定証明書の交付申請の提出者は技能実習生ですが、監理団体となった企業が代理で申請を請け負って提出します。

ちなみに技能実習生が日本に新規で入国するといったケースでは、査証申請の実施が別途求められることもあるため注意が必要です。以上の手続きがすべて終了すると、技能実習生を受け入れることができます。

・受け入れ中に必要となる手続き 

上記で紹介した準備に加えて、技能実習生の受け入れ中にも必要となる手続きが存在します。まず技能実習生を受け入れて技能実習を開始した際には、開始日などを出入国在留管理庁長官と厚生労働大臣に対して届け出ることが義務付けられています。

さらに受け入れている技能実習者の実習区分を技能実習3号に移行させるときには、技能実習計画の認定申請と併せて優良要件適合申告書を提出して優良認定を受けなければなりません。ここで認定を受けることで、技能実習3号を実施できるようになります。

まとめ

この記事では、外国人技能実習制度の概要・利用するメリット・受け入れ方式や手続き方法を解説しました。本制度を利用すれば外国人技能実習生と日本企業の双方でさまざまなメリットが期待できますが、受け入れる際に求められる手続きは専門性が高い上に煩雑であるため、受け入れを検討したらまずは監理団体に問い合わせてみることをおすすめします。

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