特定技能「建設」とは?外国人を雇用する企業に受け入れ方法を紹介

2022年01月18日
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濵川恭一 (監修)
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net

外国人を受け入れたくても、特定技能制度の仕組みが分からず困っている建設事業者もいるでしょう。建設分野における特定技能外国人の受け入れは、労働環境や安全面への配慮からほかの特定産業分野より受け入れ機関に課せられる条件が厳しくなっています。このコラムでは、特定技能外国人を受け入れる企業の要件を解説。人手不足に悩む建設事業者は内容を参考にして、外国人雇用に踏み出しましょう。

目次

  1. 建設業界は人材不足が深刻
  2. 特定技能とは?
  3. 特定技能外国人を受け入れられる建設業界の職種
  4. 外国人が特定技能「建設」の在留資格を得るには
  5. 【建設】特定技能外国人を受け入れる企業の要件
  6. まとめ

建設業界は人材不足が深刻

日本の建設業界は、人材不足が深刻です。2021年9月に国土交通省が調査した「建設労働需給調査結果(令和3年9月調査)」によると、建設業界のすべての職種で人材が不足していました。職種の分類は「型わく工(土木)」「型わく工(建築)」「左官」「とび工」「鉄筋工(土木)」「鉄筋工(建築)」「電工」「配管工」の8職種です。過不足率は全体で1.0%で、なかでも型わく工(土木)に従事する建設労働者が不足しており、過不足率は2.5%でした。建設業界の人材が不足しているのは、少子高齢化による労働人口の減少と、若年層が集まりにくい労働環境が関係しているでしょう。建設業界では、豊富な経験と熟練したスキルを持つシニア層が多く働いています。しかしながら、新しく建設業に従事する人が増えなければ、人材は減っていく一方です。建設業界は「休みが少ない」「体力的にきつい」などのイメージがあり、若者離れが進んでいます。

労働人口が減少している日本で人手不足を解消するには、外国人雇用が有効です。外国人労働者は年々増加しているうえ、年齢も若年層が多い傾向にあります。人手不足を解消したいと考える建設事業者は、外国人雇用に目を向けてみましょう。

参照元
国土交通省「建設労働需給調査結果(令和3年9月調査)

特定技能とは?

特定技能の在留資格は、特定産業分野といわれる人材が不足している業界のために創設されました。特定産業分野は、建設業を含めて14業種あります。

人手不足を解消するための在留資格

特定技能は、人手不足を解消するためにつくられた在留資格です。2019年4月に特定技能の在留資格ができるまで、人手不足の業界では外国人を多く雇用したくてもできない状態でした。理由は、外国人の単純労働が許可されている在留資格が少なかったためです。2019年4月以前は、技能実習生や身分系ビザを持つ外国人など、限られた人にしか単純労働を含む業務は許されていませんでした。しかし、特定技能の在留資格は許可された範囲であれば単純労働も行えます。特定技能の創設により、現場作業の多い建設業界でも外国人を受け入れやすくなりました。

特定技能の対象業種は14種類

特定技能の在留資格は、建設業を含めた以下の14種類です。
 

・1.介護業

・2.ビルクリーニング業

・3.素形材産業

・4.産業機械製造業

・5.電気・電子情報関連産業

・6.建設業

・7.造船・舶用工業

・8.自動車整備業

・9.航空業

・10.宿泊業

・11.農業

・12.漁業

・13.飲食料品製造業

・14.外食業
 

以上は特定産業分野といい、外国人雇用を拡充する必要があると判断された業種です。なお、出入国在留管理庁の2021年6月の発表では、最も特定技能外国人の受け入れ人数が多いのが飲食料品製造業でした。2番目に多いのが農業、3番目が建設業です。特定技能外国人の9.5%、2,781人が建設業に従事していました。

特定技能の在留資格については、「特定技能14業種を一覧で紹介!行える業務内容も解説」でも詳しく解説しています。人手不足を解消したい経営者の方は、ぜひチェックしてみましょう。

特定技能の在留資格には1号と2号がある

特定技能の在留資格は「特定技能1号」「特定技能2号」があります。特定技能2号は受け入れられる分野が限られており、2021年時点では「建設業」「造船・舶用工業」のみです。なお、2021年12月末時点では、特定活技能2号での外国人の在留はありませんでした。

特定技能1号の在留期間は最長5年で、それ以上の更新は不可です。一方、特定技能2号の在留期間は3年、1年もしくは6ヶ月で、更新ができます。特定技能2号の受け入れが本格化すれば、さらに長期的な外国人雇用が可能となるでしょう。

参照元
出入国在留管理庁「特定技能1号在留外国人数(令和3年6月末現在)

特定技能外国人を受け入れられる建設業界の職種

建設業で特定技能外国人を受け入れられるのは以下の職種です。
 

・型枠施工

・左官

・コンクリート圧送

・トンネル推進工

・建設機械施工

・土工

・屋根ふき

・電気通信

・鉄筋施工

・鉄筋継手

・内装仕上げ/表装

・とび

・建築大工

・配管

・建築板金

・保温保冷

・吹付ウレタン断熱

・海洋土木工
 

それぞれの職種によって行える作業が決まっています。また、各作業に関連する運搬や発注などの付随業務を行うことも可能です。なお、外壁塗装や外構工事は、対象職種に含まれていませんので、注意してください。

外国人建設就労者とは?建設業で働ける主な在留資格を企業に向けて紹介」でも、建設業で働くための在留資格についてまとめています。外国人を建設業で雇用したいと考えている企業の方は、参考にしてみてください。

参照元
国土交通省「建設分野における新たな外国人材の受入れ(在留資格「特定技能」)

外国人が特定技能「建設」の在留資格を得るには

外国人が特定技能「建設」の在留資格を得るには、日本語能力を測る試験および建設技能評価試験に合格する方法と、技能実習2号から移行する方法があります。

日本語能力を測る試験で合格点を得る

日本語能力を測る試験では、日本語能力試験(JLPT)のN4もしくは国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)のA2レベルの認定が必要になります。どちらのテストも、求められているのは日本語で基本的な日常会話ができるレベルです。JLPTは世界最大規模の日本語能力を測る試験で、年2回実施されています。JFT-Basicは特定技能の在留資格申請のための試験ともいえ、年6回実施されているので、受験のタイミングは図りやすいでしょう。

建設分野の技能評価試験に合格する

建設分野の技能を測る試験の正式名称は「建設分野特定技能1号評価試験」といい、建設技能人材機構(JAC)が運営しています。試験内容は職種ごとに異なり、学科試験と実技試験の2種類です。学科試験はパソコンを用いるCBT方式で行われ、30問を60分で回答します。実技試験は工具や材料が支給され、作業を行うのが一般的です。ただし、試験を行う職種によって詳細は異なります。

建設分野で技能実習2号を修了している場合は試験免除

建設分野で技能実習2号を優良に修了した技能実習生は、日本語能力を測る試験と技能を評価する試験が免除されます。ただし、試験の免除を受けるには、技能実習で行っていた作業と特定技能の在留資格で行おうとする職種が適合していなくてはなりません。もし、職種変更を希望する際は日本語能力を測る試験は免除されますが、行おうとする職種の技能評価試験を受けます。

【建設】特定技能外国人を受け入れる企業の要件

特定技能外国人を受け入れる企業にも要件があります。以下の要件が守られていなければ、特定技能外国人を雇用できませんので注意しましょう。

受け入れられる人数の制限を守る

特定技能外国人の受け入れ人数は、企業の常勤職員の人数を超えてはいけない決まりがあります。なお、常勤職員には技能実習生や外国人建設就労者、ほかの特定技能外国人を含めません。建設分野で特定技能外国人の受け入れ人数に上限があるのは、就労場所や報酬に変動が起きやすく、ほかの特定産業分野よりも配慮が必要になるためです。

雇用形態や報酬にもルールがある

建設分野において、特定技能外国人は直接雇用のみ認められています。特定産業分野で派遣が認められているのは、農業もしくは造船・舶用工業のみです。

報酬は、同じ業務を行う日本人と同等もしくはそれ以上と定められています。「外国人だから」という理由で報酬を低く設定することは許されません。

国土交通大臣による受入計画の認定を受ける

特定技能外国人の受け入れには、国土交通省に建設特定技能受入計画を提出し、国土交通大臣の認定を受ける必要があります。認定書の写しを地方出入国在留管理局に提出しなければ、外国人は特定技能の在留資格を取得できません。ただし、在留資格の申請のみならば、国土交通省に建設技能受入計画を提出していることを条件に認定を受ける前でも行えます。建設特定技能受入計画の申請を行えるのはオンラインのみです。

建設キャリアアップシステムに事業所登録をする

特定技能外国人を受け入れる建設事業者は、建設キャリアアップシステム(CCUS)への登録が必須です。また、あわせて外国人本人の技能者登録も行います。本来、CCUSへの登録は義務化されていません。しかし、外国人を雇用する場合は登録が必要なので注意しましょう。

建設業許可を受けている必要がある

外国人を受け入れられる建設事業者は、建設業許可を受けていなくてはなりません。今までに500万円以上の工事を請け負っていなかったり、公共事業への参加がなかったりする建設事業者は、建設業許可を受けていないこともあるでしょう。建設業許可の取得には時間が掛かるので、あらかじめ手続きを進めておくのが賢明です。

一般社団法人建設技能人材機構へ加入する

特定技能外国人を受け入れる条件の一つに、一般社団法人建設技能人材機構(JAC)への加入が挙げられます。JACへの加入方式は正会員と賛助会員の2種類です。正会員になるには、JACに加入している建設業者団体に加入することで、間接的に正会員になれます。会費は加入した建設業者団体ごとに異なるので注意しましょう。賛助会員は直接JACに加入し、年会費の24万円を支払います。

まとめ

建設分野では2024年までに約40,000人の特定技能外国人の受け入れが見込まれています。建設事業者は特定技能制度について正しく理解し、自社の人材不足を解消する足掛かりにしましょう。

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