特定技能「外食業」はどのような在留資格?

2020年05月01日
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中田直子 (監修)
日本ビザ国際行政書士事務所
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人手不足に悩む飲食業界の企業は多いでしょう。労働人口が減少しつつある日本で雇用を確保していくには、国内だけではなく国外の人材にも目を向ける必要があります。特定技能「外食業」の在留資格は、外食(飲食)業界の人手不足を緩和するために創設されました。このコラムでは、特定技能「外食業」の在留資格の概要を紹介。内容を参考にして、特定技能外国人の受け入れを検討してみましょう。

目次

  1. 特定技能「外食業」はどのような在留資格?
  2. 外食業の人手不足が深刻な理由
  3. 外国人が特定技能「外食業」の在留資格を得るには
  4. 【外食業】特定技能外国人を受け入れる条件
  5. 【外食業】特定技能外国人の受け入れで気を付けること

特定技能「外食業」はどのような在留資格?

特定技能「外食業」は、飲食店の深刻な人手不足を解消するのが目的で創設された在留資格です。外国料理の料理人に付与される在留資格「技能」より要件が緩くより幅広い業務を行えます。

外食業の人手不足を解消するための在留資格

在留資格「特定技能」は、人手不足の産業分野に限り外国人の単純労働を認めるものです。人手不足が深刻な職種は特定産業分野と呼ばれ、2021年11月時点で14分野あります。そのうち、外食業に関わる分野で就労する外国人に付与される在留資格が、特定技能「外食業」です。外食業は人手不足が非常に深刻な状況が続いています。以下のグラフは2013年から2018年までの外食業の有効求人倍率の推移です。(資料︓厚⽣労働省データを元に農林⽔産省にて算出※飲⾷店主・店⻑、飲⾷物給仕係、調理⼈の加重平均値)

引用:農林水産省「外食業分野における新たな外国人材の受入れについて

以上の表によると、年々人手不足は進行しており、2018年の外食業全体の有効求人倍率は4.40倍でした。全産業の平均有効求人倍率の2倍以上の数字です。職種によってはさらに高く、飲食物給仕係は7.68倍、飲食店主・店長では9.25倍とより人手不足が進んでいます。このような状況を鑑み、特定技能分野に外食業が含まれたのです。特定技能の在留資格では、最長で5年間の就労が許可されます。なお、特定技能2号では無期限での就労が可能ですが、外食業での受け入れは2022年1月時点では認められていません。

外食業で特定技能外国人が行える業務

外食業で特定技能外国人が行えるのは、飲食物調理・接客・店舗管理に関わる業務です。詳しい業務内容の一例を以下に挙げています。なお、以下の業務に加え、原材料として使用する農林水産物の生産や、客に提供する調理品等以外の物品の販売などの関連業務を行っても問題ありません。ただし、関連業務のみを行わせるのは禁止なので注意しましょう。

飲食物調理

飲食物調理とは、客に提供する飲食料品の調理、調製、製造を行うことを指します。食材の仕込みや調理、盛り付けなどが該当するでしょう。

接客

店舗を訪れた客に飲食料品を提供する業務です。席への案内や注文伺いのほか、料理の配膳やお会計時のレジ操作なども該当するでしょう。飲食店で客に接する仕事のほぼすべてが行えます。

店舗管理

店舗管理は、店舗運営に関わる業務のことです。具体的には衛生管理やシフト管理、店舗を運用するのに必要な事務作業が該当します。また、メニュー開発や食材の発注などの業務も可能です。

「技能」より取得が容易で業務の幅が広いのが特徴

特定技能「外食業」の在留資格は、調理業務を行う外国人に付与される在留資格「技能」と比べ、取得が容易です。そのうえ、従事できる業務の幅も広くなります。
2019年4月に特定技能の在留資格が創設されるまで、外食業で働ける外国人の在留資格は限られていました。そのうちの一つである「技能」は、調理業務を行う外国人に付与される在留資格です。ただし、外国料理の調理を行う人に限られ、実務経験が10年以上(タイ料理は5年以上)ないと取得が許可されません。そのうえ、調理以外の接客や店舗管理を行うのは禁止です。一方、特定技能「外食業」の在留資格は、技能と日本語能力を測る試験に合格すれば取得できます。「技能」の在留資格よりは取得しやすいといえるでしょう。また、従事できる業務の幅も広く、外食業に関わるほぼすべての業務ができます。調理や接客、店舗管理など多くの業務に携われる特定技能外国人の雇用は、企業にとって大きなメリットです。

在留資格「特定技能」については、「特定技能14業種を一覧で紹介!行える業務内容も解説」でも詳しく紹介しています。人手不足を解消したい企業の方は、ぜひチェックしてみましょう。

参照元
出入国在留管理庁「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領-外食業分野の基準について-

外食業の人手不足が深刻な理由

外食業の人手不足が深刻な理由は、業務の特性から起因する労働環境の悪さが関係しています。飲食業は休日が少ないうえ、拘束時間が長くなりがちです。また、材料費や経費が多く掛かり、利益を出しにくいので、低賃金に陥りやすい特徴もあります。以上の要因により離職率も高いので、なかなか人材不足が解消されません。外食業界でも、時短営業の導入や機械化による業務の効率化など対策を講じています。しかし、少子高齢化による労働人口減少が進む国内だけでは、今後雇用を賄えなくなることが予想されるため、外国人雇用を拡充するに至ったのです。

外国人が特定技能「外食業」の在留資格を得るには

外国人が特定技能「外食業」の在留資格を得るには、技能と日本語能力を測る試験に合格する方法があります。「医療・福祉施設給食製造」の職種で技能実習2号を良好に修了した外国人であれば、試験免除で在留資格の移行が可能です。

技能実習「医療・福祉施設給食製造」2号から移行する

「医療・福祉施設給食製造」の職種で技能実習を行っていた場合、試験を行わずに特定技能の在留資格に移行できます。条件は、技能実習2号を良好に修了することです。つまり、技能実習生として3年間、問題なく勤務することです。技能実習2号を滞りなく修了した技能実習生は、特定技能の在留資格を得るに相応しい技能水準と日本語水準を満たしていると判断されます。そのため、試験を受けなくても特定技能の在留資格への変更が可能です。「医療・福祉施設給食製造」の技能実習は3号に移行ができないため、最長で3年間しか行えません。しかし、特定技能の在留資格に移行すればそこから5年間、日本で働けます。

必要な試験に合格する

外国人が特定技能「外食業」の在留資格を得るには、技能および日本語能力を測る試験への合格が必要です。

外食業特定技能1号技能測定試験

外食業で働くための技能を測る試験の名称は「外食業特定技能1号技能測定試験」です。国内の試験は一般社団法人外国人食品産業技能評価機構(OTAFF)、海外の試験はプロメトリック株式会社がOTAFFから委託を受け実施します(2021年度)。
試験は学科試験と実技試験の2種類です。学科試験および実技試験は「衛生管理」「飲食物調理」「接客全般」の項目から出題され、合格点は満点の65%以上とされています。日本国内のほか、ネパール、インドネシア、カンボジア、タイ、フィリピンでも受験が可能です。

日本語能力を証明する試験

特定技能の在留資格を得るには、「日本語能力試験(JLPT)」のN4レベル、もしくは「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」のA2レベルの合格も必要です。日本語能力試験(JLPT)はマークシート方式、「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」はCBT方式で行われます。どちらも基本的な日本語コミュニケーションが取れていれば合格可能なレベルです。

【外食業】特定技能外国人を受け入れる条件

特定技能外国人を受け入れる企業は、特定技能外国人支援計画を自社で実施するか、登録支援機関に業務委託しなくてはなりません。また、外食業の場合は、食品産業特定技能協議会への加入も必須条件です。

支援計画の実施もしくは委託ができる

外食業に限らず、特定技能外国人を受け入れる企業は支援計画に沿った支援を行う義務があります。支援計画とは、特定技能外国人が日本で安心して就労できるよう、法律で定められた支援のことです。具体的な支援内容には、出入国時の空港からの送り迎えや日本語教育、住居の用意などがあります。本来、特定技能外国人の支援は受け入れる企業が行うべきですが、実施が難しい場合は登録支援機関に支援業務を委託することも可能です。

食品産業特定技能協議会へ加入している

外食業で特定技能外国人を受け入れる企業は、食品産業特定技能協議会への加入が必須です。食品産業特定技能協議会は、農林水産省が主体の組織で、適切な特定技能制度の運用を目的に創設されました。外食業および、飲食料品製造業に該当する受け入れ企業は、特定技能外国人の入国後4ヶ月以内に加入します。なお、加入するだけではなく、協議会に協力を求められたら必ず応じなくてはなりません。

【外食業】特定技能外国人の受け入れで気を付けること

特定技能外国人を受け入れる企業は、働ける職種や業務の制限を守りましょう。また、外食業の場合は必ず正規雇用で雇用しなくてはなりません。また、賃金は同じ業務を行う日本人と同等、もしくはそれ以上に設定することが定められています。

接待行為は行わせない

企業は、特定技能外国人が行える業務の制限を必ず守りましょう。外食業の場合、特定技能外国人は幅広い業務に従事できますが、風営法で接待とされている行為は禁止です。接待行為には「客へのお酌」「スキンシップ」「長時間の談笑」が該当します。雇用主はどのような行為が接待に当たるか把握していても、外国人本人が理解していない可能性もあるでしょう。そのため、業務に入る前にどのような行為が違反になるのか、説明しておくことをおすすめします。

直接雇用をする

外食業では、特定技能外国人を直接雇用しなくてはなりません。基本的に特定技能制度では、派遣雇用が禁止されています。ただし、農業と漁業に限っては通年の雇用が難しい業務であることから、派遣での雇用が可能です。

賃金を日本人と同等かそれ以上に設定する

特定技能外国人の賃金は、同じ業務を行う日本人と同等、もしくはそれ以上とする決まりがあります。この決まりは「外国人だから」との理由で賃金を低く設定する企業が後を絶たないため作られました。賃金を日本人より低く設定しようとする企業は、外国人を雇用できないので注意しましょう。

まとめ

特定技能「外食業」の在留資格ができたことで、飲食店での外国人雇用の間口が一気に広がりました。特定技能「外食業」の在留資格を持つ外国人は、調理や接客、店舗管理など幅広い業務を行えます。人手不足でお困りの企業は、ぜひ特定技能外国人の受け入れを検討してみましょう。

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