特定技能「外食業」で可能な業務を解説!取得に必要な試験とは【2号拡大】

2023年08月09日
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労働人口が減少しつつある日本で雇用を確保していくには、国内だけではなく国外の人材にも目を向ける必要があります。特定技能「外食業」の在留資格は、飲食店の人手不足を緩和するために創設されました。
このコラムでは、特定技能「外食業」の在留資格の概要を紹介。内容を参考にして、特定技能外国人の受け入れを検討してみましょう。


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目次

  1. 特定技能「外食業」の概要
  2. 外食業が人手不足におちいる原因
  3. 特定技能「外食業」で外国人ができる業務
  4. 外国人が特定技能「外食業」を取得するための試験
  5. 在留資格「技能実習」からの移行も可能
  6. 特定技能「外食業」の外国人を雇用できる企業の条件
  7. 特定技能「外食業」を持つ外国人を雇用するプロセス
  8. 特定技能「外食業」の雇用で気を付けること
  9. まとめ

特定技能「外食業」の概要

特定技能「外食業」の概要の画像

特定技能「外食業」は、飲食店の深刻な人手不足を解消するのが目的で創設された在留資格です。外国料理の料理人に付与される在留資格「技能」より取得しやすいうえ、幅広い業務を行えます。

外食業界の人手不足を解消するための在留資格

「特定技能」は、人手不足が深刻な産業分野に限り外国人の単純労働を認める在留資格です。人手不足が深刻な業界は特定産業分野と呼ばれ、2023年7月時点で12分野あります。そのうち、レストランや飲食店で就労する外国人に許可される在留資格が、特定技能「外食業」です。

外食業は人手不足が非常に深刻な状況が続いています。2023年5月の接客・給仕職業従事者の有効求人倍率は2.29倍、飲食物調理従事者は2.55倍でした。適性基準が1なので、ほかの業界と比較しても高い状況といえるでしょう。

外食業界は、国内の人材だけでは人材確保に限界があると判断されたため、特定産業分野として認められました。

特定技能「外食業」で働く外国人の数

2022年12月末時点で、外食業分野で働く外国人の数は5,159人でした。ほかの飲食料品製造業や製造3分野と比較すると、人数が特別多いわけではありません。しかし、近年の増加率がめざましく、徐々に受け入れ需要が高まっている状況といえます。

特定技能「外食業」は2号への拡大が決定している

特定技能の在留資格は1号と2号があり、「外食業」は2号への移行が可能です。特定技能の在留資格ができた当初は、2号を受け入れられるのは建設分野および造船・舶用工業分野の溶接区分だけでした。しかし、2023年6月の閣議決定により、外食業分野でも2号の在留資格の受け入れができるようになったのです。試験などの詳細は、2023年中に整えられていくでしょう。

特定技能1号は、在留期限が最長5年で家族の帯同も不可なのに対し、2号は在留期限が実質無期限で家族の帯同ができます。今後外食業分野でも特定技能外国人の受け入れがさらに活発になっていくでしょう。

在留資格「技能」よりも取得しやすい

特定技能「外食業」の在留資格は、調理業務を行う外国人に付与される在留資格「技能」と比べ、取得が容易です。そのうえ、従事できる業務の幅も広くなります。
「技能」は、調理業務を行う外国人に付与される在留資格です。母国の料理の調理を行う人に限られ、実務経験が10年以上(タイ料理は5年以上)ないと取得が許可されません。一方、特定技能「外食業」の在留資格は、技能と日本語能力を測る試験に合格すれば取得できます。実務経験が問われない分、取得しやすいといえるでしょう。

また、在留資格「技能」では、調理以外の業務が禁止です。一方、特定技能「外食業」は、従事できる業務の幅も広く、外食業に関わるほぼすべての業務ができます。調理や接客、店舗管理など多くの業務に携われる特定技能外国人の雇用は、人手不足の企業にとって大きなメリットです。

在留資格「技能」と「特定技能」にはそれぞれメリットがあります。「外国人コックが技能ビザを取得するには?申請の条件や必要書類を解説」や「特定技能1号と2号の違いとは?【2023年6月に方針変更決定】」のコラムを参考にして、自社はどちらの在留資格を持つ外国人を雇用すべきなのか検討しましょう。

参照元
出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数の公表」
厚生労働省「一般職業紹介状況(令和5年5月分)について

外食業が人手不足におちいる原因

外食業が人手不足におちいる原因の画像

外食業の人手不足が深刻な理由は、業務の特性から起因する労働環境の過酷さが関係しています。飲食業は休日が少ないうえ、拘束時間が長くなりがちです。また、材料費や光熱費の関係で利益を出すのが難しいので、低賃金に陥りやすい特徴もあります。以上の要因により離職率が高く、なかなか人材不足が解消されません。外食業界でも、時短営業の導入や機械化による業務の効率化など対策を講じています。しかし、少子高齢化による労働人口減少が進む国内だけでは今後、人材を賄えなくなることが予想されるため、外国人雇用を拡充するに至ったのです。

特定技能「外食業」で外国人ができる業務

特定技能「外食業」で外国人ができる業務の画像

外食業で特定技能外国人が行えるのは、飲食物調理・接客・店舗管理に関わる業務です。また、材料として使用する農林水産物の生産や調理品等以外の物品の販売といった関連業務を行っても問題ありません。ただし、関連業務のみを行わせるのは禁止なので注意しましょう。

飲食物調理業務

飲食物調理とは、顧客に提供する飲食料品の調理や調製、製造業務を指します。食材の仕込みや調理、盛り付けなどが該当するでしょう。

接客業務

店舗を訪れた顧客に飲食料品を提供する業務です。具体的には、席への案内や注文伺いから料理の配膳などが該当します。ほかにも、レジ操作や電話番号など、顧客に接する仕事のほぼすべてに従事することが可能です。

店舗管理業務

店舗管理は、店舗運営に関わる業務のことです。具体的には衛生管理やシフト管理、店舗を運用するのに必要な事務作業が該当します。また、メニュー開発や食材の発注などの業務も可能です。

調理や接客業務がともなえばデリバリーも可能

デリバリー業務に関しては、注文に応じて調理した商品を顧客のもとに届ける形態であれば従事可能です。既製品を運ぶだけの業務は行えません。また、料理をバイクや車で顧客に届ける業務のみを行うのも禁止です。

外国人が特定技能「外食業」を取得するための試験

外国人が特定技能「外食業」を取得するための試験の画像

外国人が特定技能「外食業」の在留資格を得るには、技能および日本語能力を測る試験への合格が必要です。

外食業特定技能1号技能測定試験

外食業で働くための技能を測る試験の名称は「外食業特定技能1号技能測定試験」です。国内の試験は一般社団法人外国人食品産業技能評価機構(OTAFF)が実施します。海外の試験はプロメトリック株式会社がOTAFFから委託を受け実施。ベトナムやインドネシア、フィリピンなどの国で行われます。

試験の実施方法

外食業特定技能1号技能測定試験は、マークシートを使ったペーパーテスト方式で行われます。学科と実技があり、時間は80分です。

試験の問題

学科試験および実技試験は「衛生管理」「飲食物調理」「接客全般」の項目から出題されます。学科は各項目で必要な日本語能力、実技は仕事に必要な能力を測る試験です。食中毒に関する知識やクレーム対応に至るまで、幅広い範囲から出題されます。

試験のテキスト

外食業技能測定試験については、一般社団法人フードサービス協会が勉強用のテキストを作成しています。実際の試験はすべてルビ付きの日本語で行われますが、テキストは翻訳版があるため外国人は母国語で勉強可能です。

日本語能力の試験

特定技能の在留資格を得るには、「日本語能力試験(JLPT)」のN4レベル、もしくは「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」の合格も必要です。日本語能力試験(JLPT)はマークシート方式、「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」はCBT方式で行われます。どちらも基本的な日本語コミュニケーションが取れていれば合格可能なレベルです。

参照元
OTAFF一般社団法人外国人食品産業技能評価機構「特定技能1号技能測定試験」
一般社団法人日本フードサービス協会「新たな外国人材受け入れ制度の試験について

在留資格「技能実習」からの移行も可能

在留資格「技能実習」からの移行も可能の画像

「医療・福祉施設給食製造」の職種で技能実習2号を良好に修了した外国人であれば、試験免除で特定技能への移行が可能です。相応しい技能水準と日本語水準を満たしていると判断されるため、試験を受けなくても特定技能の在留資格への変更ができます。「医療・福祉施設給食製造」の技能実習は3号に移行ができないため、最長で3年間しか行えません。しかし、特定技能の在留資格に移行すればそこから5年間、日本で働けます。

特定技能「外食業」の外国人を雇用できる企業の条件

特定技能「外食業」の外国人を雇用できる企業の条件の画像

特定技能外国人を受け入れる企業は、特定技能外国人支援計画を自社で実施するか、登録支援機関に業務委託しなくてはなりません。また、外食業の場合は、食品産業特定技能協議会への加入も必須条件です。

支援計画の実施もしくは委託ができる

外食業に限らず、特定技能外国人を受け入れる企業は支援計画に沿ったサポートを行う義務があります。支援計画とは、特定技能外国人が日本で安心して就労できるよう、法律で定められた支援のことです。具体的な支援内容には、出入国時の空港からの送り迎えや日本語教育、住居の用意などがあります。本来、特定技能外国人の支援は受け入れる企業が行う業務ですが、実施が難しい場合は登録支援機関に支援業務を委託することも可能です。

食品産業特定技能協議会へ加入している

外食業で特定技能外国人を受け入れる企業は、食品産業特定技能協議会への加入が必須です。食品産業特定技能協議会は農林水産省が主体の組織で、適切な特定技能制度の運用を目的に創設されました。外食業および飲食料品製造業に該当する受け入れ企業は、特定技能外国人の入国後4ヶ月以内に加入します。なお、ただ加入するだけではなく、協議会に協力を求められたら必ず応じなくてはなりません。

特定技能「外食業」を持つ外国人を雇用するプロセス

特定技能「外食業」を持つ外国人を雇用するプロセスの画像

特定技能「外食業」を持つ外国人は以下の手順で雇用します。

【海外在住者】

  1. 人材を募集し、技能試験および日本語の試験に合格しているか確認して採用を決める
  2. 外国人と雇用契約を締結し、必要であれば登録支援期間と委託契約を結ぶ
  3. 支援計画を策定する
  4. 在留資格認定証明書交付申請を行う
  5. 本人に在留資格認定証明書を送る
  6. 外国人が在外公館にて査証(ビザ)を発給の手続きをする
  7. 入国後業務開始

【日本在住者】

  1. 人材を募集し、技能試験および日本語の試験に合格しているか確認する(技能実習から移行の場合は要件を満たしているか確認する)
  2. 外国人と雇用契約を締結し、必要であれば登録支援期間と委託契約を結ぶ
  3. 支援計画を策定する
  4. 外国人本人が在留資格変更許可申請を行う
  5. 在留資格の変更が完了後、業務開始

基本的には、外国人が特定技能の在留資格を得るための各試験に合格してから、雇用契約を締結します。ただし、合格前に内定を出すことも可能です。

参照元
特定技能総合支援サイト「雇用の流れ

特定技能「外食業」の雇用で気を付けること

特定技能「外食業」の雇用で気を付けることの画像

特定技能外国人を受け入れる企業は、働ける職種や業務の制限を守りましょう。また、外食業の場合は必ず正規雇用で雇わなければなりません。

接待行為は行わせない

企業は、特定技能外国人の業務における制限を必ず守りましょう。特定技能外国人は幅広い業務に従事できますが、風営法で接待とされている行為は禁止です。接待行為には「お酌」「スキンシップ」「長時間の談笑」が該当します。雇用主はどのような行為が接待に当たるか把握していても、外国人本人が理解していない可能性もあるでしょう。業務に入る前にどのような行為が違反になるのか、説明しておくことをおすすめします。

直接雇用をする

外食業では、特定技能外国人を直接雇用しなくてはなりません。基本的に特定技能制度では、派遣雇用が禁止されています。ただし、農業と漁業に限っては通年の雇用が難しい業務であることから、派遣での雇用が可能です。

賃金を日本人と同等以上に設定する

特定技能外国人の賃金は、同じ業務を行う日本人と同等、もしくはそれ以上とする決まりがあります。この決まりは「外国人だから」との理由で賃金を低く設定する企業が後を絶たないため作られました。賃金を日本人より低く設定しようとする企業は、外国人を雇用できないので注意しましょう。

まとめ

まとめの画像

特定技能「外食業」の在留資格ができたことで、飲食店での外国人雇用の間口が一気に広がりました。特定技能「外食業」の在留資格を持つ外国人は、調理や接客、店舗管理など幅広い業務を行えます。人手不足の企業は、ぜひ特定技能外国人の受け入れを検討してみましょう。

実際に受け入れを考えている企業様は、弊社の特定技能専門のチームがおりますのでご相談から承ることができます。特定技能の方の受け入れの為のフォローや人材の紹介まで対応可能です。まずは気軽にお問合せ下さい。