外国人労働者受け入れの現状とは?

2020年05月10日
中田直子 (監修)
日本ビザ国際行政書士事務所
当事務所は20年以上の経験豊富な弁護士と、入国管理法に詳しい行政書士・税理士が、アドバイザーや業務をしており、他社にはない法律に基づいた交渉力がございます。これらを生かし、丁寧なコンサルティングの上、お客様のご要望にあわせて最適なサポートと各種ビザ申請業務をいたします。またリーズナブルな価格で特定技能ビザの登録支援機関として外国人の日常生活のサポートや外国人採用コンサルティング等もしています。(2019年はボランティアで、無料で登録支援機関の外国人サポートをしました)皆さまのご希望を叶えられるようベストを尽くします。資格:行政書士資格(入国管理取次資格)/税理士資格/TOEIC950点/ニューヨーク大学留学、アメリカでの勤務経験あり。 http://visa-nihon.com/

外国人労働者の受入れは、人手不足が深刻な産業分野における人手不足を解消するには重要な手段です。日本は少子高齢化が進行し、労働人口の減少を避けられない状況にあります。そのような現状に対応するため、日本政府が2019年4月に施行した「特定技能」の制度により、新たな外国人人材の受入れが可能になりました。このような流れの中、外国人労働者受入れの現状とは一体どうなっているのでしょうか?外国人労働者の受入れについて、メリット・デメリットに触れながら説明します。

外国人労働者受入れの拡大

2019年4月に施行された在留資格「特定技能」の制度により、外国人労働者の受入れは拡大しています。厚生労働省が2019年1月に公表したデータによると、日本における外国人労働者は146万人程度で、前年に比べて18万人程度増加しています。それまで日本で働くことのできる外国人は、専門的・技術的に優秀な者に限られていましたが、特定技能制度が導入されたことにより、受け入れることができる人材が拡大されたのです。

・外国人労働者の出身国

外国人労働者の出身国はアジアが中心ですが、ブラジルなどの南米の国から日本に働きに来ている外国人もいます。

国籍 人数 割合
中国 389,117人 26.6%
ベトナム 316,840人 21.7%
フィリピン 164,006人 11.2%
ブラジル 127,392人 8.7%
ネパール 81,562人 5.6%
韓国 62,516人 4.3%
インドネシア 41,586人 2.8%

この中でも、ベトナムからの外国人労働者は、前年度比で76,581人(31.9%)と大きく増加し、インドネシア出身の労働者も7,427人(21.7%)増加しています。

参照:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】(平成 30 年 10 月末現在)

・外国人労働者の多い都道府県

外国人労働者の多い都道府県は、以下の表のとおりです。

都道府県 人数
東京都 438,775人
愛知県 151,669人
大阪府 90,072人
神奈川県 79,223人
埼玉県 65,290人
千葉県 54,492人
福岡県 46,273人

外国人労働者はやはり都市圏に多いですが、前年度比では熊本県が31.2%増加、大阪府が24.7%増加、鹿児島県が23.8%増加と日本全体で外国人労働者が活躍し始めていることが分かります。

参照:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】(平成 30 年 10 月末現在)

・事業所の受け入れ状況

外国人労働者を受け入れている事業所の多い都道府県は、以下の表のとおりです。

都道府県 事業所数 割合
東京都 58,878箇所 27.2%
愛知県 17,437箇所 8.1%
大阪府 15,137箇所 7.0%
神奈川県 13,924箇所 6.4%
埼玉県 10,345箇所 4.8%
千葉県 8,865箇所 4.1%
福岡県 7,625箇所 3.5%

外国人労働者を受け入れている事業所が多いのも首都圏が中心ですが、前年度比では宮崎県が23.7%増加、熊本県が22.8%増加、鹿児島県が19.3%増加と地方でも外国人受け入れの流れが加速しています。

参照:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】(平成 30 年 10 月末現在)

外国人労働者の受入れが必要な理由

外国人労働者の受入れが必要な理由として、日本における労働力不足が挙げられます。働き手が不足することにより、中小企業の倒産が進んでいるというのも二次的な原因です。

・日本の労働人口の減少

日本の労働人口が年々減少しており、今後日本の労働人口はさらに減少すると見られています。2020年2月時点で日本の労働力人口は6850万人(総務省統計より)ですが、政府の試算では2025年には6,082万人、2040年には5,245万人にまで減少するといわれています。

日本の出生率の低下と、人口の高齢化を考えると労働人口の増加は見込めません。2018年の1年で約92万人が生まれたのに対して約137万人が死亡しており、日本の人口は約45万人減っています。

参照:厚生労働省「労働統計要覧」

・人手不足による倒産の拡大

中小企業では人手不足による倒産が相次いでおり、2019年に人手不足が原因で倒産した会社の数は2013年の調査開始以降最多を記録しました。

上で説明したように、働き手となる労働人口が減少していることが、倒産の大きな要因といえます。設備を増強して生産性を上げることは会社に資金があれば可能ですが、会社の労働力を補おうとする場合、労働力となる人の絶対数が日本国内で足りていなければどうしようもありません。

労働人口が減少し続けると見られている日本国内で人材を賄うよりも、国外から外国人労働者を受け入れる方が現実的な対策だといえます。

参照:東京商工リサーチ「全国企業倒産状況」

外国人労働者受け入れのメリット

外国人労働者を受け入れることには、企業にとって様々なメリットがあります。以下のメリットを考慮した上で、企業の担当者は外国人労働者の受入れを検討するのが良いでしょう。

・人材不足が解消される

外国人労働者の受入れは人材不足の解消のための対策になります。日本国内だけで労働力不足を補うのには限界があるからです。さらに、外国人労働者を雇用することで若い人材を補填することもできます。

・社内が活性化する

外国人労働者を採用することにより、社内の活性化に繋がることがあります。なぜなら、自国より高い賃金で働けることもあって、外国人労働者は働くことに意欲的な傾向があるからです。母国に仕送りするために働きに来る労働者もいます。前向きに働く姿勢は、他の社員にも活力を与えるでしょう。

・海外進出が円滑になる

企業が進出する予定にしている出身国の外国人を雇うことで、海外進出への移行が円滑になるというメリットも得られます。海外進出を図る上でその国の現状や文化を知っておくことは、非常に大きなアドバンテージだからです。実際、多くの企業が外国人労働者に販路の拡大の向上を期待しているというデータがあります。

参照:日本貿易振興機構|総論:データで見る外国人材受け入れの実態とその意義

・新しいアイデアが生まれる

外国人労働者は、背景にもつ育った環境や文化が日本人とは異なります。私たち日本人とは全く違った角度から物事を捉えていることもあるので、今までになかったアイデアが出てくることがあるかもしれません。また、社内がグローバル化することで、元々いた社員にとっても刺激となり、新しいアイデアが生まれてくるでしょう。

外国人労働者受け入れの際に気を付けるポイント

外国人労働者の受入れにはメリットが多いですが、雇用する際には気を付けるべきポイントもいくつかあります。メリットを最大化するためにも、ここで紹介するポイントには注意して外国人労働者の受入れを進めていきましょう。

・ビザの取得に時間がかかる

外国人労働者が日本で働くためのビザを取るのには時間がかかります。ビザの種類や社会情勢でも変わってきますが、何も問題が無ければ平均で1ヵ月、場合によっては2~3ヶ月かかることもありますので早めに準備しましょう。在留資格認定証明書を発行していない場合には時間がかかってしまうので注意が必要です。

・コミュニケーションが難しい

外国人労働者は普段使用する言語が全く違います。また、文化や習慣、国民性が異なるという点でも、コミュニケーションが難しいことは容易に想像できるのではないでしょうか。外国人労働者の文化や習慣の理解に努め、相手を尊重して意思疎通を図ることが大切です。

・価値観の相違が起こる

外国人労働者は、日本人とは仕事に対する価値観が異なることが多いです。例えば、日本では定時を過ぎても残って仕事をすることが当たり前ですが、海外には、仕事が終わっていても終わっていなくても定時で帰宅する文化の国も多くあります。そのような場合に、日本の価値観を押し付けるのではなく理解し合おうとする努力が必要です。

まとめ

ここまで、外国人労働者の受入れについて、メリット・デメリットなどに触れながら説明しました。外国人労働者の受入れは、人手不足に陥っている企業にとっては検討する価値の大いにある選択肢です。メリットや注意すべきポイントも考慮した上で、外国人労働者の雇用を考えてみてください。