経営管理ビザの更新はどうすれば許可される?

2020年06月19日
濵川恭一 (監修)
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net

企業の経営者や管理者が取得する経営管理ビザ。会社設立の経営者が申請する場合、一般的には1年の滞在期間が許可されます。事業を日本で継続するには、1年の滞在期間が切れる前に次の経営管理ビザを申請しなければいけません。更新が認められるかは、事業の業績や納税実績が大切なポイントになります。

経営者や起業家の経営管理ビザの更新には、活動実績が大切

経営管理ビザとは、外国人が日本で起業したり、日本の会社の管理職や工場長といった経営に携わるポジションの外国人が取得できる在留資格のことを指します。

一般的に、起業する外国人が経営管理ビザを申請した場合、1年の滞在期限が許可されます。この間に、事業をスタートし、本格稼働することが望ましいです。そして1年という滞在期限が切れる前に、経営管理ビザの更新手続きをしなければいけません。

このビザ更新の審査では、直近1年間(状況によっては3年間)の事業活動の実績が、大きなポイントになります。さらに、当初のビザ申請の際に提出した事業計画書と、実際の事業計画が大幅にずれていないかも確認の対象です。

事業活動の実績というと、「赤字だとビザ更新できない」と心配になる方もいると思います。しかし、経営管理ビザの更新申請は事業活動が赤字だからといってすぐに不許可になるとは限りません。

第1期の決算の場合、赤字でも借入金以上の損失を出していなければ、第2期の事業計画、売上の見込みと根拠を説明書にして提出することで、ビザの更新が許可される可能性が高いです。

更新申請にあたっては、必要な基本書類とともに、滞在中の事業活動の内容がわかる書類をきちんと用意しましょう。例えば、直近1年間に取引先とやりとりした見積書、請求書、会社名義の預金通帳のコピーなどです。

経営管理ビザの更新に必要な書類

それでは、実際に経営管理ビザの更新で必要となる書類について説明します。

【基本の提出書類】

  • 在留期間更新許可申請書 

  • 写真(縦4cm×横3cm)

  • パスポート

  • 在留カード

  • 直近の年度の決算文書の写し、または確定申告書の写し(個人事業主の場合)

  • 直近年の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(税務署受付印、もしくは受付番号のあるもの)

  • 申請人(本人)の住民税の課税証明書(直近年度)

  • 申請人(本人)の住民税の納税証明書(直近年度)税証明書

参照:法務省 経営・管理 提出資料

【必要に応じて提出する書類】

  • 登記事項証明書(本店所在地、社名などが変更になった場合)従業員との雇用契約書

  • 今後3年間の事業計画書等

そのほか、法人名義の通帳の写しや社会保険の支払実績がわかる領収書が必要になりますこともあります。また、提出資料が外国語の場合は日本語の訳文を添付したほうがよいでしょう。

更新の申請は、今持っている在留資格が切れる3か月前から行うことができます。ビザ更新を確実に行うため、事業の売上を見ながら毎月の決算を行い、納税等の義務を果たし、必要な書類を適切に管理しておきましょう。

経営管理ビザの更新申請の審査で、重視されるポイント

起業して経営管理ビザを取得している場合、ビザの更新申請では、その事業がこの先も存続するかどうかが審議されます。その際、ポイントになるのは以下の点です。

  • 事業計画との整合性

  • 納税などの法令順守

  • 会社の経営状態と事業の継続性

つまり、「事業がうまくいっているか、いきそうか?」「企業活動に必要な法人税・消費税・社会保険の費用をきちんと納めているか?」「外国人本人が、所得税や住民税を納めているか?」といった点が審査での大切な基準です。

・事業計画との整合性

事業計画との整合性とは、ビザを取得する際に提出した事業計画書と初年度の事業活動に乖離がないかどうかをチェックするものです。事業計画から大幅に変更した経営活動を行っている場合は、整合性に疑問が残り、ビザの審査が厳しくなります。もし事業内容が計画と大幅に変わっている場合は、なるべく早くに必要な手続きを行ったほうがよいでしょう。

たとえば、当初の事業計画から変更があった場合、経営管理ビザの更新前に行うべきことが3つあります。

  • 会社の所在地の変更登記

  • 当初の事業内容にない事業を行う場合、事業目的の追加の登記

  • 変更した事業内容の実施に伴う営業許可の取得(例:飲食事業の営業許可など)

事業内容が変更になっているにも関わらず、登記が済んでいない、必要な営業許可を得ていない場合は、更新の審査に際し、かなり不利となりますので注意が必要です。

・納税などの法令順守

法人税や消費税の支払いがきちんとなされているかチェックされます。

従業員を雇用している場合は、厚生年金や労災保険、健康保険といった社会保険の支払いも、規定に従って支払わなければいけません。

・会社の経営状態と事業の継続性

経営管理ビザの審査で重要なポイントです。法務省のガイドラインによれば、事業の継続性は単年度の決算のみで判断されるものではありません。そのため初年度が赤字でも、経営管理ビザが許可される可能性は残されています。

・直近期末で余剰金がある場合

当期純利益があり、余剰金がある、もしくは欠損金もないケースです。いわゆる黒字を指します。

この場合は、事業の継続性に問題はなしと判断されます。ただし、売上があまりにも少ない場合、役員報酬が極端に少ない場合などは、事業の継続性に疑義ありと判断されることもあります。

また当期純利益がマイナスでも余剰金が減っただけで欠損金(資本のマイナス)にまでならなければ、事業の継続性には大きな影響はないと判断されます。

・当期期末で欠損金がある場合

欠損金があっても、債務超過となっていなければ、事業計画書と収益予想の資料の提出で、事業の継続性があると認められます。ただし、この場合に提出する資料は、中小企業診断士や公認会計士などが作成したものを求められる場合があります。

債務超過になっていても1年以上継続していなければ、1年以内に具体的な改善があることを前提に、事業の継続性が認められます。追加資料については、公認会計士等が作成することを求められる場合もあります。

【参考事例】

直近期決算書で、当期損失が発生しているものの、債務超過とはなっていなかった。また、第1期の決算である事情にも鑑み、事業の継続性があると認められた。

(売上高総利益率:約60%,売上高営業利益率:約-65%,自己資本比率:約30%)

参照:法務省 外国人経営者の在留資格基準の明確化について 

1年以上債務超過が続いている場合は、事業の継続性があるとは認められませんので注意が必要です。

・直近期および直近前期において、両方とも売上総利益がない場合

売上高が売り上げ原価を下回っているケースでは、企業活動を行っているものとは認められません。

二期連続で売上総利益がなければ、事業の継続性はあると判断されないため、ビザの更新が難しくなります。

参照:法務省 外国人経営者の在留資格基準の明確化について 

経営管理ビザの更新は、事業の継続性を証明する書類の準備を

経営管理ビザの更新許可申請では、事業の継続性を証明することが重要です。1年間にわたって事業活動をつづけた結果、売り上げが芳しくないという状況でも、すぐに悲観することはありません。

初年度のみの赤字であれば、事業計画を練り直し、経営努力の熱意を見せることによって、継続性と安定性が認められるケースがあります。

決算書類や売り上げ予測の資料作成にあたっては、公認会計士など専門家が作成することを求められる場合がある点に注意しましょう。なお、上記参照元には、公認会計士などと記載がありますので、税理士も該当します。

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