永住者ビザ(永住権)の取得方法と「日本人の配偶者等」のビザからの申請方法

2020年06月22日
濵川恭一 (監修)
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net

「日本人の配偶者等」の在留資格を持っている外国人や実子が、滞在期限を気にせず日本に住む場合、「永住者」の在留資格を取得する方法があります。「日本人の配偶者等」の在留資格を持っていると、他の在留資格のケースにくらべ、永住者ビザの審査条件が緩和されます。

永住権取得要件や注意点を詳しく知りたい場合はこちら:外国人が日本の永住者ビザを取得するための3つの条件!取得後の注意点とは?

日本の永住者ビザを取得するメリット・留意点

日本人の配偶者や実子として日本に滞在する人々は、日本に滞在して最短1年後に、永住者ビザを申請することができます。

・永住者ビザを取得するメリット

外国人が日本の永住者ビザを取得した場合、以下の2つのメリットがあります。

  • 滞在期間の定めがなくなる(つまりビザ更新が不要になる)

  • 銀行の住宅ローン審査等が有利になる場合がある

一番大きなメリットは、日本で暮らす期限に心配がなくなるという点です。「日本人の配偶者等」の在留資格では5年が最長の滞在期間ですが、永住者ビザは期限の定めがありません。そのため永住ビザを取得することで、生活の安定度が増します。

・永住者ビザの留意点

次に、永住ビザを取得しても考えられる懸念点をみてみましょう。それは、「強制退去の可能性が残る」という点です。

  •  強制退去の可能性が残る

永住者ビザと日本国籍は扱いが異なります。たとえ永住ビザを取得しても、日本国籍保持者とはみなされません。滞在期限の定めがなくなっても、引き続き外国人として日本に滞在することになります。そのため犯罪や不法行為を犯したとき、母国に強制退去される可能性がある点に注意が必要です。

・永住者と帰化の違い

永住者と帰化の違いについてみてみましょう。

永住者ビザは、滞在期間に上限がなくなることが最大の特徴です。ただし日本国籍は取得できません。日本は二重国籍の取得を認めていないため、帰化した場合は母国の国籍を放棄しなければいけませんが、永住者ビザの場合は母国の国籍を保持したまま、日本に期限に定めなく滞在できます。帰化と永住者ビザの主な違いは、国籍の取り扱いと選挙権にあります。帰化して日本国籍を取得した場合は、国政選挙に立候補も投票もすることができます。永住者ビザでは、選挙権・被選挙権はなく、公務員になるための制限が設けられています。例えば、現在の法律では、外国人が日本の警察官になることはできません。

永住者ビザ(永住権)を取得するための3つの基本要件

外国人が日本の永住ビザを申請する場合、以下の3つが基本的な要件です。

  1.  素行が善良であること

  2.  独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること

  3.  国益要件

ただし、日本人の配偶者等の在留資格を持っている人は、すでに日本に生活基盤があることなどから要件が緩和されます。そのため、3の「国益要件」が申請の際に審査される大きなポイントです。そのうえで審査においては過去の犯罪履歴や、納税の義務を果たしているかなど、1と2の要件に関連する事柄も審査されます。

日本人の配偶者等から、永住者ビザを申請する要件 

では、「日本人の配偶者等」の在留資格を持っている外国人が、国益要件で審査される主なポイントを観てみましょう。

・日本に滞在している期間  

まず大切なのが、日本での滞在期間です。

通常の永住者ビザの申請条件では、「原則として引き続き10年以上滞在している」ことが審査要件になります。しかし、「日本人の配偶者等」の在留資格を持っている外国人には、下記の特例が適用されます。

  • 配偶者の場合:実態を伴った婚姻生活が3年以上、かつ、引き続き1年以上日本に滞在している

  • 実子:1年以上日本に滞在している

つまり、日本人と婚姻関係にある外国人の方で「日本人の配偶者等」の在留資格で日本で暮らしている場合、結婚して3年たち、そのうち日本に直近1年以上滞在していれば、永住者ビザを申請できます※。

このとき、婚姻生活は実態を伴ったものでなければいけません。婚姻生活が破綻していたり、別居しているケースでは、実態がないと判断される可能性があるので注意が必要です。

参照:永住許可に関するガイドライン 2.原則10年在留に関する特例

・納税の義務等を果たしている 

永住者ビザの審査では、住民税や所得税、さらには年金、健康保険といった支払うべき納税等の義務を果たしているかどうかを確認されます。最終的に支払っているかどうかではなく、期限までに税金を納めているかどうかが審査のポイントです。さらに、事業を経営している場合は、法人税や社会保険への加入状況などもチェックされます。

そのため、永住者ビザの申請をいま考えている外国人の方は、納税するべき税金をきちんと収めましょう。日本人の配偶者が永住申請する場合、直近3年間の課税証明書や納税証明書の提出が求められます。

参照:法務省 永住許可申請「日本人の配偶者等」提出資料

・持っている在留資格の滞在期間  

永住者ビザの申請時に、持っている在留資格(日本人の配偶者等)の滞在期限が、最長である必要があります。「日本人の配偶者等」の在留資格の最長滞在期限は5年です。しかし、現時点では、「3年」もしくは「5年」の在留資格を持っていれば、基準を満たしていると判断されます。

・公衆衛生上の観点と健康 

麻薬や大麻などを保持、使用していないことや、ペストなどの重大な感染症に罹患していないことも審査基準になります。

・前科や犯罪歴、交通違反 

日本の法律に反して、懲役・禁固等の犯罪歴がないことが重要です。犯罪による罰金も審査の対象になります。交通違反を何回も繰り返している場合なども、審査に影響します。

永住者ビザ(永住権)の申請に必要な身元保証人とは

日本人の配偶者等のビザを持っている外国人が永住権を申請する場合、身元保証人が必要になります。

・身元保証人になれる人の条件

身元保証人になれる人の条件は以下の通りです。以下3つ全てを満たす必要があります。

  •  日本人もしくは永住者ビザを持つ外国人

  •  安定的な収入がある

  •  納税義務を果たしている

「日本人の配偶者等」の外国人が永住者ビザを申請するケースでは、通常、配偶者である日本人に身元保証人になってもらうのが一般的です。もし配偶者が身元保証人でない場合は、実態のない婚姻であると疑われ、審査が難しくなる可能性があります。

・身元保証人が負う責任

身元保証人となった人は、道義的な責任として、滞在費・帰国費用・法令順守の責任を負うとされています。ただし、これらは法律的な責任を問われるものではありません。

つまり、身元保証人が、本人の滞在費や帰国費用を必ず支払うという法的な義務はありません。しかしながら、身元保証人が十分な責任を果たしておらず、滞在費用等の問題が発生した場合、それ以降、その人が身元保証人としての社会的信用を継続することは難しくなります。つまり、その人は「外国人の身元保証人として」は不適格と判断され、他の外国人の身元保証人となることができなくなります。

参照:Q&A出入国在留管理庁 Q7 

まとめ

「日本人の配偶者等」の在留資格から永住者ビザを申請する場合、求められる日本の滞在期限には特例があります。通常であれば10年の滞在期間が求められるところ、「日本人の配偶者等」の在留資格保持者は、1年もしくは3年しか求められません。そのため、就労ビザ等で働く外国人が永住権を取得するケースと比較して、要件が緩和されているといえます。

しかし納税の義務を果たしているなど、日常の生活が善良であることが求められます。また、収入や納税義務を証明する書類の提出も必要です。「日本人の配偶者等」から永住ビザの申請は、時間をかけて準備をするほか、日ごろの生活で法律やルールを守り暮らしていくことが大切です。

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