外国人社員とのコミュニケーションが上手くいくコツ

2020年06月23日
濵川恭一 (監修)
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net

「外国人社員が部署に入ったけど、どう話したらよいかわからない」「部下の外国人に日本語が通じていない気がする」

企業における外国人社員の雇用が一般化するにしたがって、こうした悩みを持つ方も多いのではないでしょうか。この記事では外国人社員との日本語でのコミュニケーションが上手くいくコツを説明します。

あなたも当てはまる?外国人社員とのコミュニケーションの良くない事例

まずは上手く行くコツをご紹介する前に、外国人社員とのコミュニケーションの良くない事例をみていきましょう。あなたも当てはまっていたら注意が必要です。

・わかりにくい表現を使う

「この事態を”真摯に”受け止めて、注意してください」「進捗状況は”適宜”報告してください」

日本人ならすぐに理解できる言葉ですが、外国人にとっては馴染みがなく、わかりにくい表現となります。その上、発音がはっきりしない、早口などの要素が加わると、たとえ意味を知っている単語だったとしても、理解できずに困惑することになります。

上記の例では、以下のように話すとよいでしょう。

「この状況は、大きな問題です。皆非常に困っています。今後同じことが起きないように十分注意してください。」「仕事がどこまで進んでいるか、毎日(毎週)報告してください。」

・長い文章で話す

「今回の案件はわが社を挙げた一大プロジェクトであり、重役一同とても期待しており、しかるに部署のみんなは休日返上の心持で・・・・」

ついつい一文が長くなってしまうことはありませんか?長い文章は、どこで意味が切れているのかわかりずらく、外国人には意味が通じません。

・主語や述語などを過度に省略する

「ちゃんとやらせといて」

誰に何をさせるのかが、シチュエーションにより異なる言葉は、外国人にとって難しく、意味の取違いが頻発します。正確に指示を出すためには、面倒臭がらず、ちゃんと省略せずに話すことが大切です。

代表的な事例を3つ取り上げました。外国人社員を日本人と同じように扱うこと自体は良いことですが、コミュニケ―ションにおいては、やはりある程度の配慮が必要となります。

コミュニケーションが上手くいく3つのコツ

ここまで良くない事例をみてきましたが、コミュニケーションが上手くいくためには、どのようなことを工夫すれば良いのでしょうか。3つのコツをご紹介します。

・1度では伝わらない前提で丁寧に話す

心構えになりますが、1度では伝わらない前提で丁寧に話すことが重要です。仕事が忙しい時には、丁寧に説明する時間がとれないことも多いです。しかし間違った指示が伝わる方が、トータルで考えると時間のロスになります。特に細かい内容を指示するときは、繰り返す気持ちで話し、最後には理解しているか確認した方が良いでしょう。焦っている態度を表すと、外国人の方も萎縮してしまうため、余裕をもって接するようにしてください。

・難しい単語を使用せずに、短い文章で話す

良くない事例でも取り上げたように、難しい単語を使用せずに、長い文章を区切り、短い文章で話すことが、上手にコミュニケーションをとるコツです。カタカナ語などは、英語由来なのでわかりやすいと思われがちですが、本来と意味が異なる使われ方をしている場合もあります。例えば、「コンプレックス」という単語。日本語では、劣等感という意味で使われることが多いですが、英語では「複雑である」という意味で使われることが多いです。また、カタカナ英語は日本式に発音しますので、外国人相手に通じないこともあります。相手の反応を確認しながら、わかりやすい日本語を使うようにしましょう。

もしどうしても業務で必要な難しい日本語があれば、一覧にして意味を訳してあげるなどの、こちらの協力も必要です。外国人社員を複数雇用するようになると、先輩が後輩に教えるようになり、こちらの手間も省けるようになります。最初の一人に対してどれだけ丁寧に教えるかが重要です。

・笑顔と感謝を忘れずに

お互いが気持ちよく働くためには、外国人に限らず、笑顔と感謝を示すことが重要です。言葉だけでは伝わらない、非言語のコミュニケーションを積極的に活用してください。日本人は海外と比較して、表情が乏しいといわれています。仕事中に笑顔はふさわしくないという意見もありますが、仕事を円滑に進めるためにも多少オーバーに笑顔を見せたほうがよいでしょう。ただし、時と場合にもよりますので、そのあたりは注意してください。

また感謝の言葉は、日本人、外国人関係なく、かけられると嬉しい言葉です。何か手伝ってくれた際など、機会を見つけて「助かった。ありがとう。」ときちんと目をみて声をかけてください。

外国人社員を相手に気を付けるべきポイント

最後に、外国人社員とコミュニケ―ションをとる上で、気を付けるべきポイントを3つ説明します。

・日本語レベルに応じて、過度に簡単な言葉を使う必要はない

上手くいくコツと矛盾するかもしれませんが、過度に簡単な言葉を使う必要はありません。日本語のレベルは、外国人により様々です。目安として日本語能力検定というものがあり、N1からN5までのレベル分けがされています。N1は最難関のレベルであり、日本人でも落ちることがあります。このN1試験に合格している外国人は、日本語を一生懸命勉強してきた自負があり、過度に簡単な言葉を使うと、馬鹿にされていると感じるのです。外国人社員のレベルに合わせた難易度の言葉を使用するようにしましょう。

・難しい日本語はわからないだろうと、陰で悪口を言う

日本語の意味はわからなくても、悪口は雰囲気で敏感に外国人に伝わります。陰で悪口をいうことは絶対にしないでください。慣れない環境下では、本来の実力が出せずミスが多くなりがちです。また外国人本人が、意図せずにとっている行動や、文化の違いからくるズレが周りをイライラさせていることもあります。もし気になることがあれば、本人に対して直接注意してください。この時に、別の部屋に呼ぶなど、周りの人にわからないように注意するとよいでしょう。日本人とは異なり、多くの外国人は体面、プライドを重視するので、注意される姿を他人にみられることを嫌がるからです。

・不安にさせる内容の話はしない

外国人が一人で日本で働くことは想像以上にハードなことです。母国の家族の生活を支えなければいけないというプレッシャーや、家族や友達などが周りにいない寂しさ、そして外国人という疎外感などを感じながら日々を過ごしています。そうした精神状態では、ちょっとしたことでナーバスになるのも無理はありません。

不安にさせる内容の話はしないようにしてください。特に、リストラや契約終了などの雇用関係の話題や、不許可などの在留資格更新に関する話は、外国人の生活基盤に直結します。外国人社員が社内に一人だけの場合は良いですが、多数の外国人社員がいると噂話に尾ひれがつきます。

まとめ

外国人社員との日本語のコミュニケーションが上手くいくコツを説明しました。

〇外国人社員とのコミュニケーションにおいて良くない事例は3つ

 ・わかりにくい表現を使う

 ・長い文章でだらだらと話す

 ・主語や述語などを過度に省略する

〇日本語でのコミュニケーションが上手くいくためのコツは3つ

 ・1度では伝わらない前提で丁寧に話すこと

 ・難しい単語を使用せずに、短い文章で区切って話すこと

 ・笑顔と感謝を忘れないこと

〇最後に外国人社員とのコミュニケーションで気を付けるべきポイントは

 ・日本語レベルに応じて、過度に簡単な言葉を使う必要はない

 ・難しい日本語はわからないだろうと、陰で悪口を言う

 ・不安にさせる内容の話はしない(雇用や在留資格の更新など)

外国人社員との意思疎通が上手くいくことで、モチベーションがアップするだけでなく、本来のポテンシャルの高さを発揮するなど、良い影響は増えるでしょう。

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