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外国人を雇用する企業のなかには、外国人社員が日本語でのコミュニケーションで苦戦するポイントを知りたい方もいるでしょう。外国人は日本語で会話をする際、曖昧な表現や難しい単語を理解するのに苦戦するようです。
このコラムでは、外国人を雇用する際に意識すべきことを紹介しています。また、外国人社員と会話をする際の注意点もまとめているので、参考にして円滑なコミュニケーションを取りましょう。
目次
外国人は、日本語の曖昧な表現や省略された主語を理解するのを難しく感じるようです。ここでは、コミュニケーションにおいて外国人が苦戦するポイントを4つ紹介します。
外国人は、省略された主語を読み取るのに苦戦します。たとえば、「17時までに終わらせておいてください」という文章は主語が省略されているため、外国人は「何を」終わらせておくのか理解できません。また、「これ」「あれ」などの指示代名詞も分かりにくく感じるようです。日本人同士であれば、主語が省略されていたり指示代名詞が使われていたりしても、前後の文から内容を推測できます。しかし、日本語に慣れていない外国人にとって、相手の伝えたい内容を推測して理解するのは困難です。
外国人は日本語の曖昧な表現を理解できません。特に、日本人が日常的に使用している「なるべく」は、外国人にとって分かりにくい表現といえます。日本人であれば「なるべく明日までに完成させてください」と言われたら、明日には完璧な状態を見せられるように準備するでしょう。しかし、外国人は明日までに完成できなくても問題ないと思ってしまう可能性があります。日本人は曖昧な表現でもそのときの状況から言葉の意味を読み取りますが、外国人にとっては難しいでしょう。
外国人はビジネスシーンで頻繁に使用される「真摯」や「遵守」などの難しい単語の理解に苦戦します。日本人は「真摯な対応を心掛けましょう」や「入社にあたり遵守すべき事項を確認してください」と言われれば、すぐに意味を理解できるでしょう。しかし、正しい日本語や敬語の使い方に苦戦している外国人にとって、さらに難しいビジネス用語を理解するのは困難といえます。
外国人にとって長い文章は、どこで意味が切れるのか分からず理解するのに時間が掛かります。さらに、長い文章のなかに難しい単語が複数出てくると余計に混乱してしまうでしょう。外国人にとって意味が切れる箇所が分かりづらいと感じる文章の例は、以下のとおりです。
「今回のプロジェクトを成功させるためには、お客様の指摘を真摯に受け止め、これまで以上に努力を重ねて一人ひとりが自分の業務に責任を持つことが大切で、もし悩むことがあったら社員同士で相談し合い円滑にプロジェクトを進めましょう」
上記のような一文が長い文章は、日本人でも読みづらいと感じるでしょう。
外国人社員とコミュニケーションを取る際は、曖昧な表現や長い文章を避けて分かりやすく伝えましょう。ここでは、外国人を雇用する企業がコミュニケーションを取る際に意識するポイントを紹介します。
外国人社員に何かを伝える際は、主語を明確にしましょう。「17時までに終わらせておいてください」ではなく「資料の作成を17時までに終わらせておいてください」と、「何を」を明確にして伝えることが重要です。また、「これ」「あれ」などの指示代名詞は使用せず名詞に置き換えて話しましょう。
外国人社員とコミュニケーションを取るときは、曖昧な表現や難しい単語を避けましょう。日本人は、相手が意図していることを言葉だけでなく状況でも判断しますが、外国人は言葉をストレートに受け止めます。そのため、日本人であれば理解できる言葉のニュアンスが外国人には伝わりません。外国人社員と会話するときは、曖昧な表現を避けてはっきりした言葉で伝えましょう。また、難しい単語を簡単な言葉に言い換えて伝える必要があります。外国人向けに言い換えた文章の例は、以下のとおりです。
・真摯な対応を心掛けましょう
「真面目で熱心な対応をしましょう」
・入社にあたり遵守すべき事項を確認してください
「入社にあたり守るべきことを確認してください」
・進捗状況を連絡してください
「仕事がどのくらい進んでいるのか連絡してください」
日本人が意識せずに使用している言葉も、外国人にとっては難しく感じる場合があります。最初のうちはビジネス用語を多用せず、簡単な単語を使用するよう心掛けましょう。
外国人社員とスムーズにコミュニケーションを取るには、文章を短く区切って伝えるのがおすすめです。一文が長いと意味が伝わりづらいので、以下のように短い文章に分けましょう。
「今回のプロジェクトを成功させるには、お客様の指摘を真摯に受け止める必要があります。また、これまで以上に努力を重ねて一人ひとりが自分の業務に責任を持つことも大切です。もし、悩むことがあったら社員同士で相談しましょう。」
外国人には「です・ます」で区切った文章が伝わりやすいようです。伝えたい内容が多いと文章が長くなりがちですが、一文に情報を盛り込みすぎず「です・ます」で区切りましょう。
外国人社員と会話をするときは、内容を理解しているか確認する必要があります。確認せずに話を続けるとあとから多くの質問をされるため、説明の手間が掛かるでしょう。また、異なる意図で伝わっている可能性も考えられます。そのような事態を防ぐために、一つひとつの内容を丁寧に確認しながら会話を進めるのが重要です。確認をする際は、「理解しましたか?」と聞くのではなく実践させると良いでしょう。
「職場の異文化コミュニケーションのコツとは?よくある失敗事例とポイントを紹介」や「異文化コミュニケーションへの理解を深めよう。グローバル企業に求められる心構えとは?」では、異文化コミュニケーションの概要や、前提となる心構えについて詳しくまとめています。まずは前提となる心構えを身に着けた上で、異文化コミュニケーションをビジネス分野で活用していきましょう。
企業は外国人社員に対して、積極的に話しかけたり正しい日本語の使い方を指導したりしましょう。ここでは、外国人社員を雇用する企業が意識すべきことを紹介します。
外国人社員とコミュニケーションを取る際は、簡単な日本語ばかり使用しないようにしましょう。なぜなら、日本語を勉強してきた外国人のプライドを傷つけてしまう恐れがあるからです。日本語能力は人によって異なりますが、日本語能力試験の最難関レベルであるN1レベルを取得している外国人は日本語を必死に勉強してきたといえます。企業は外国人社員の日本語レベルに合わせた難易度の言葉を使用しましょう。
外国人社員がいないところで、陰口や雇用に関する内容を話さないようにしましょう。ほかの社員が聞いた場合、内容が社内に広まり外国人社員の耳に入ってしまう可能性があります。陰口や生活に関わる重大な内容は、外国人社員に精神的なダメージを与えるでしょう。慣れない環境で働いている外国人を不安にさせないように、伝えたい内容は本人に直接言いましょう。
外国人社員の日本語の使い方が誤っていたら、タイミングを見計らって指摘することが重要です。日本語の文法や敬語の使い方などを覚えられず苦戦する外国人もいるでしょう。気になる間違いを指摘して正しい日本語を指導するのも、企業の役割といえます。ただし、指摘するタイミングを考えるのも大切です。問題なく理解できるレベルの間違いであれば、外国人社員の話を止めてまで指摘する必要はありません。誤解を生みそうな間違いのみ指摘するよう意識しましょう。
外国人社員には、積極的に日本語で話しかけましょう。ある程度の日本語能力を持つ外国人社員であっても、実際に日本語でコミュニケーションを取らなければ上達しません。また、ビジネス用語や敬語を覚えるのも難しいでしょう。外国人社員の日本語能力を向上させるためにも、日本語で話しかけたり日本人社員とコミュニケーションを取る機会を与えたりすることが重要です。
外国人社員の話は最後まで聞きましょう。外国人社員が何を伝えたいのか理解するのに時間が掛かる場合もあります。しかし、最後まで話を聞き理解しようとする姿勢を見せることで外国人社員も安心して話せるでしょう。話の途中で遮ったり急かしたりせずに聞くことが大切です。
外国人は、日本語の曖昧な表現や難しい単語を理解するのに苦戦するようです。そのため、日本人社員が外国人とコミュニケーションを取る際は、遠まわしな表現を避けたり難しい単語を簡単な言葉に言い換えたりする必要があります。ただし、極端に簡単な言葉を使用するのではなく、外国人の日本語レベルに合わせた難易度の日本語を使用しましょう。
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