外国人の日本での就職活動の実態を解説!新卒と中途で異なる動きが特徴

2020年06月23日
濵川恭一 (監修)
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net

「優秀な外国人を採用するためには、どうすれば良いだろうか?」「日本人と外国人では就職活動の仕方は異なる?」

外国人労働者の受け入れ拡大を受け、外国人の採用を検討されている企業も多くなっています。この記事では、外国人の日本での就職活動の実態を解説します。

外国人の就職活動における基礎知識

日本人とは異なり、外国人が日本の会社に就職するには、在留資格を取得しなければなりません。外国人の就職活動における基礎知識ともいえる在留資格についてみていきましょう。

・在留資格とは

日本における様々な活動の根拠となる資格が、在留資格です。

外国人が日本に滞在するためには、在留資格を必ず一つ取得しなければならず、複数所持することは禁止されています。現在、どのような在留資格が存在するのかみていきましょう。

外交 外国政府の大使や公使、総領事とその家族が取得します。

公用 外国政府の職員等やその家族が当てはまります。

教授 大学の教授、講師などが対象です。

芸術 画家や作曲家、作家などが取得します。

宗教 外国の宗教団体から派遣される宣教師や僧侶が対象です。

報道 海外の報道機関の記者やカメラマンなどが当てはまります。

高度専門職 ポイント制で一定基準を超えた専門性の高い外国人に与えられます。

経営・管理 企業の経営者、管理者が対象です。

法律・会計業務 弁護士や公認会計士などが該当します。

医療 医師や歯科医師、薬剤師、看護師に与えられます。

研究 政府関係機関や企業などの研究者が対象です。

教育 小・中・高校の語学教師などが当てはまります。

技術・人文知識・国際業務 企業のエンジニア、デザイナー、人事、営業などが対象です。企業内転勤 外国の事業所からの転勤者に与えられます。

介護 介護福祉士が対象です。

興行 歌手やダンサー、俳優、プロスポーツ選手などが当てはまります。

技能 外国料理のコック、貴金属加工職人、パイロットなどが取得します。

技能実習 技能実習生が対象です。

特定技能 特定技能1号、2号外国人が取得します。

文化活動 日本文化の研究者などに与えられます。

短期滞在 観光や短期商用、親族・知人訪問などが該当します。

留学 大学・短期大学・高等専門学校などの学生が取得します。

研修 研修生が対象です。

家族滞在 就労外国人が扶養する配偶者や子供が取得します。

特定活動 外交官等の家事使用人、難民認定申請中の者、卒業後就職活動を行う留学生、ワーキングホリデー、アマチュアスポーツ選手、EPA協定に基づく看護師・介護福祉士候補生など

永住者 法務大臣から永住の許可を受けた者が対象です。

日本人の配偶者等 日本人の配偶者や実子、特別養子が当てはまります。

永住者の配偶者等 永住者や特別永住者の配偶者、日本で出生し引き続き在留している実子が対象です

定住者 インドシナ難民や条約難民、日系3世、外国人配偶者の実子などが当てはまります。

文化活動、短期滞在、留学、研修、家族滞在以外の、24種類の在留資格を所持すれば、日本で働くことが出来ます。その中で、身分や地位により与えられる永住者や日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者の在留資格保有者については、就労に一切の制約がありません。

参照:法務省、在留資格一覧表(平成30年8月)

・在留期間と特定活動

永住者以外の在留資格には在留期間が設定されており、更新可能な場合は、その期限までに更新手続きを行わなければなりません。在留期間が満了すると、基本的に帰国することになります。

新卒で内定先が決まらない留学生は学校卒業後、「留学ビザ」から「就職活動目的の特定活動ビザ」に移行することが可能です。しかし在留期間は最長で6ヶ月、更新は原則1回のみとなります。

外国人の就職活動【新卒】

留学している外国人の就職活動は、学校側が主導して行うことが多いです。。留学生を多く抱える大学や専門学校は留学生の内定率を重視しています。外国人向け合同企業説明会に引率したり、企業を学校に呼び説明会を開催するなど様々です。これから外国人の新卒を採用しようと考えられている企業は、学校のキャリアセンター等に連絡をとるとスムーズに物事が進みます。

・専門学校と大学で在留資格の選択肢が異なる

留学生は大きく日本語学校、専門学校、大学の3つに分かれます。多くの留学生は日本語学校卒業後に就職はせずに、専門学校、大学に進学します。

ほとんどの留学生は就職の際に、在留資格「技術・人文知識・国際業務」を希望します。家族を日本に呼ぶことができ、永住者ビザ取得まで繋がるからです。この在留資格には学歴要件があり、専門学校卒業では専攻と業務内容との関連性がより強固に求められる一方、大学卒業ではそのハードルが下がります。つまり大学卒業の方が、就職先の幅が広がるのです。

しかも2019年5月より新たな在留資格「特定活動(本邦大学卒業者)」がスタートしました。これは、日本の大学を卒業し、一定の日本語能力基準をクリアした留学生が、比較的容易に取得できます。この在留資格では、業務内容に制限が少なく、企業側の実情に則したものとなっています。ごく簡単に説明すると、通訳翻訳の要素がある仕事であれば、広い範囲で就労が可能となっています。たとえば、工場内作業や建設作業、介護ヘルパー、タクシー乗務員などの仕事も可能です。

・必要な手続きと気を付けたいポイント

新卒の外国人を採用した際に必要な手続きは、在留資格変更許可申請になります。気を付けたいポイントは2つ、①業務内容と学んだ内容に関連性があること、②留学生時代にオーバーワークをしていないかです。①については、はじめての場合は行政書士などの専門家に相談した方が確実でしょう。②は課税証明書を提出してもらうことで確認することができます。

外国人の就職活動【中途】

日本国内での転職をする外国人は、友人や知り合いを通じての紹介か、転職サイトを利用することが多くなっています。特に友人や知り合いを通じての紹介については、国や地域ごとにネットワークがあります。

・在留資格に縛られ時間的制約がある

転職をする外国人の就職活動の最大の特徴は、在留資格と時間的制約です。多くの外国人は現在保有している在留資格を変更したくないと思っています。それは在留期間を更新する手続きの方が、在留資格を変更する手続きより容易だからです。日本人のように未経験で違う職種を希望することができず、今までのキャリアの延長線上で求人を考えます。また離職後3ヶ月以上経過すると、現在の在留資格が取り消される恐れがあるので、なるべく短期間の就職活動となります。

・必要な手続きと気を付けたいポイント

同じ在留資格内での転職の場合、特に必要な手続きはありません。ただし、就労資格証明書交付申請を行ったほうが、次回の在留期間更新の際にスムーズに手続きが可能です。就労資格証明書は、転職先での業務が現在の在留資格内であることを証明する文書になります。

実際の業務内容、会社の規模などにより不許可となる場合もあるので、申請書類や添付書類の準備に気をつけましょう。

外国人の就職活動【特定技能】

2019年4月よりスタートした新たな在留資格が「特定技能」です。まだまだ始まったばかりの制度ですが、外国人留学生が流入するケースが増えてきました。

・特定技能の概要

特定技能1号は、下記のように定義されています。

”特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格(※)”

特定産業分野は人手不足が深刻な14業種が該当します。在留期間は最長5年であり、家族を呼ぶことはできません。試験に合格するか、技能実習2号を修了することで要件を満たすことができます。

参照:出入国在留管理庁「新たな外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組」P6

・技能実習からの移行で抑えるべきポイント

技能実習先の企業がそのまま特定技能1号として雇用する場合は、必要書類の準備は容易です。しかし技能実習先と特定技能1号の雇用先が異なる場合は、技能実習先との書類のやりとりが必要となるので時間に余裕をもって準備を行ってください。また技能実習での作業が特定技能1号の業務と対応しているかも確認が必要です。

・途中での転職も可能

特定技能1号は、技能実習とは異なり途中での転職も可能となっています。雇用先からの事情での解雇では、登録支援機関などの支援の対象となります。この場合も転職先は、あくまで許可された業種・業務内容の範囲内です。

まとめ

外国人の就職活動の実態を、新卒、中途、特定活動に分けて解説しました。自社のターゲットに合わせて最適な採用手法を選び、優秀な外国人の採用を成功させてください。

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