雇用契約書のひな形はある?雇用契約書と労働条件通知書の違いとは?

2020年06月23日
濵川恭一 (監修)
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net

「雇用契約書のひな形ってあるの?」「雇用契約書と労働条件通知書は必ず作成しなければいけないの?」

このように、雇用契約書のひな形があるのか気になっていませんか?

結論から言えば、厚生労働省は雇用契約書のひな形を用意していません。しかし、労働条件通知書のひな形は提供されているので、そのひな形に雇用契約書の内容を盛り込むこともできます。

こちらの記事では、雇用契約書と労働条件通知書の違いから、雇用契約書の書き方、そして雇用契約書を作成する際の注意点まで紹介しています。

雇用契約書と労働条件通知書の違い

雇用契約書と労働条件通知書は同じものではありません。

雇用契約書は民法に定められているもので、雇用主と労働者が内容を確認しあい、お互いが納得した上で署名・押印する書類です。一方で、労働条件通知書とは労働基準法に定められているもので、雇用主が労働者に対して労働における条件を明示する書類のことです。

雇用契約書と労働条件通知書の大きな違いは交付義務の有無で、雇用契約書は口頭でも可能なので必ずしも書面で交わす必要はありません。しかし、労働条件通知書は雇用主が労働者を採用する際に、書面あるいは電子メール等で交付する必要があります。

また、雇用契約書は労使間で労働内容について確認しあって契約するのに対し、労働条件通知書は労働条件を雇用主から労働者へ一方的に通知するといった違いがあります。

雇用契約書は作成した方がいい

雇用契約書の作成は必須ではありませんが、基本的に作成した方がいいです。特に外国人を雇用する場合は、労使トラブルを避けるためにも、作成しておいたほうがよいでしょう。

雇用契約書を作成すれば労使間の紛争を極力避けることができます。

本来、雇用契約自体はお互いの合意があれば問題なく、雇用契約書を作成せずとも雇用契約を結べます。雇用するにあたって明示義務のある事項についても、「労働条件通知書」を作成して必要な事項を記載すれば法的に問題はありません。

そのためか厚生労働省では、雇用契約書のひな形が用意されていません。

しかし、雇用契約書を作成せずに、雇用契約における事項を明記していない場合、雇用主と労働者との間でトラブルが発生した時にスムーズな解決が難しくなります。たとえば労働者が問題行動を起こした場合のペナルティや制裁内容を取り決めて書面として残しておけば、従業員が起こしたトラブルもすぐに解決することが可能です。

このことから、雇用契約書は作成した方がいいと言えるでしょう。

雇用契約書や労働条件通知書の作成方法は3種類

雇用主は労働者を採用した際、労働条件通知書(必須)と雇用契約書(任意)の作成を行う必要があります。従業員の雇用に関わるこれら書類の作成方法については以下の3通りがあります。

  1. 労働条件通知書のみを作成

  2. 労働条件通知書と雇用契約書を別々に作成

  3. 労働条件通知書と雇用契約書を1つの書類にまとめて作成

基本的には労働条件通知書と雇用契約書を1つの書類にまとめて作成するのが一般的です。

雇用契約書も作成でき、2種類の書類をそれぞれ作成する手間も省けるので、事務処理にかかるコストを大幅に減らすことができます。

また、雇用契約書の内容を強調させたい場合や、就業規則などで特に重要なポイントを伝えたい場合は、労働条件通知書と雇用契約書を別々に作成する方法もあります。

雇用契約書の書き方

従業員を雇用するにあたって、労働者に対して必ず明示しなければいけない項目があります。その必要な項目については、労働条件通知書で記載すれば雇用契約書を作成する必要はありません。

しかし、必要な項目とは別に明示したい項目がある場合は、雇用契約書を別途作成するか、あるいは労働条件通知書に含めて明記する必要があります。

・必ず記載すべき項目

雇用契約書および労働条件通知書を作成するにあたって、必ず記載すべき項目には以下のものがあります。

  • 契約期間

  • 就業場所

  • 業務内容

  • 就業時間

  • 定休日

  • 有給休暇

  • 賃金

  • 退職に関する事項

雇用時に作成する書類では、これらの項目をそれぞれ具体的に記載しなければいけません。

たとえば賃金について書く際は、基本賃金・諸手当の額・割増賃金率・賃金締切日と支払日など細かく書く必要があります。この時、勤務開始時点での最低賃金以上になっていることが必要です。

また、雇用契約書もまとめた書類を作成する際は、従業員が署名・押印できる欄を設ける必要があるので注意しましょう。

・記載を推奨される項目

上記で紹介した項目のほかに、労働者と交わしておきたいルールがあれば必要に応じて明示することが大切です。

主に記載を推奨される項目には以下のものがあります。

  • 安全や衛生

  • 職業訓練

  • 災害補償や業務外の傷病扶助について

  • 制裁

  • 表彰

  • 休職

  • 秘密保持義務

  • 社会保険などの加入

  • 福利厚生

仮に食品を取り扱う仕事で、安全や衛生を守るためにやるべきことがあれば、それらを雇用契約書に明記することで、安全や衛生において一律の基準を設けることができます。

従業員を雇用するにあたって、労働者に対して一律に共有したい事項があれば、雇用契約書および労働条件通知書に記載しましょう。

雇用契約書と労働条件通知書のひな形

結論から言えば、厚生労働省では雇用契約書のひな形を提供していません。実質的に雇用契約書は自由な書き方が認められています。

一方で、労働条件通知書のひな形は厚生労働省によって提供されており、以下のリンクからダウンロードすることができます。

参照:厚生労働省「労働条件通知書

また、厚生労働省が提供する労働条件通知書のひな形はモデル様式なので、絶対にこれを使用しなければならないわけではありません。上記で紹介した記載すべき項目さえ明示されてさえいれば書き方は自由です。

雇用契約書を作成する際の注意点

パートやアルバイトを雇用する際は注意が必要です。

パートやアルバイトをはじめとした非正規雇用者に対しても、労働条件通知書や任意で雇用契約書を作成して、上記で紹介した必ず記載すべき項目を明示しなければいけません。

さらに、パートを雇用する際はパートタイム労働法第6条において、以下の内容の明示も必要なので注意しましょう。

  • 昇給の有無

  • 退職手当の有無

  • 賞与の有無

違反した場合は行政指導が行われ、それでも改善が見られなければパートタイム労働者一人につき10万円の罰金が課せられます。なお、上記の3つの項目についてはパートタイム労働者が希望した場合にのみ電子メールでの交付が可能です。

参照:厚生労働省「パートタイム労働法の改正について」

まとめ

雇用契約書は作成するべきという法律上の決まりはなく、厚生労働省でも雇用契約書のひな形を用意しておりません。

しかし、雇用契約書は雇用主と労働者とのトラブルを回避するためには非常に重要な書類です。雇用関係において雇用主と労働者の双方が納得した上で気持ちよく働いていくためにも雇用契約書の必要性は高いと言えます。

正社員やアルバイト・パートといった雇用形態に関わらず、すべての労働者に対して雇用契約書を作成しましょう。

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