外国人が日本の永住者ビザ(永住権)を取得するための3つの条件!取得後の注意点とは?

2022年03月15日
WeXpats Bizは技能実習/特定技能の外国人採用・雇用支援サービスを提供しているLeverages Global Supportの関連サイトです。行政書士監修の下、外国人採用の現場で役立つ情報を発信しています。
濵川恭一 (監修)
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net

 永住権取得を検討している外国人従業員がいる企業もあるでしょう。手続きを行うのは、永住を希望する外国人本人です。しかし、雇用企業が協力することで永住権が取得しやすくなる可能性があります。このコラムでは、外国人が永住権を取得する要件や流れを解説。また、外国人従業員が永住権を取得することで企業が得られるメリットもまとめています。内容を参考にして、外国人の永住権取得をサポートしましょう。

 目次

  1. 外国人の永住者ビザと帰化の違い
  2. 外国人が永住者ビザを得る要件とは
  3. 外国人が永住者ビザを取得する流れ
  4. 永住者ビザ取得は外国人にも雇用企業にもメリットがある
  5. 外国人から永住者ビザ取得の身元保証人を頼まれたら?
  6. まとめ

外国人の永住者ビザと帰化の違い

外国人の永住者ビザ取得と帰化には明確な違いがあります。永住権取得とは、在留資格「永住者」を得ることです。帰化は、日本国籍を取得することを指します。以下で詳しく説明するので、永住と帰化の違いを把握しましょう。

日本国籍の有無が違う

永住者ビザと帰化の最も明確な違いは、日本国籍の有無です。

永住者ビザを取得すると、無期限の在留が許可されたり職種の制限がなくなったりします。しかし、国籍はあくまで母国です。一方、外国人が日本に帰化すると、今まで持っていた外国籍を放棄し日本国籍になります。

帰化により母国の国籍を放棄すると、再度取得しなおすのは非常に難易度が高いです。そのため、将来母国に帰国する可能性がある外国人は、永住者ビザの取得を選ぶ傾向にあります。

帰化より永住者ビザ取得の方が難易度が高い

永住者ビザの取得と帰化のどちらも、外国人がほかの在留資格を得ることより難易度が上がります。イメージでは、日本人となる帰化申請の方が難易度が高いように感じられるでしょう。しかし、実際には永住者ビザの申請のほうが許可率が低くなっています。理由は、帰化申請は許可がある程度確実な人が行うためです。また、帰化の要件と比べ、永住者ビザの年収要件や在留期間の要件が厳しいことも関係しているでしょう。

「帰化」と「永住者」の違いについては「外国人が帰化するメリット・デメリットは?永住との違いは?企業に向け解説」「帰化とは一体何か?永住者ビザとの違いや申請方法を解説」のコラムでも詳しく解説していますのでぜひ参考にしてください。

外国人が永住者ビザを得る要件とは

ここでは、外国人が日本の永住者ビザを得る要件を解説します。なお、外国人が現在有している在留資格によっては、一部の条件が緩和されることも知っておきましょう。

素行が善良であること

「素行が善良である」とは、法令を遵守し懲役や禁固、罰金等の刑罰を受けていないことです。また、法律違反以外にも、日本で社会的に非難される言動が見られると永住者ビザは得られません。なお、犯した罪が軽犯罪に該当する場合、時間がかなり経過していれば永住者ビザを取得できる可能性があります。

独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること

外国人が永住者ビザを取得するには、生活保護や公的支援を受けずに生活を営める程度の収入が必要です。具体的に条件を満たす年収は公表されていません。しかし、活動内容に基づく在留資格から永住申請を行う場合、年収300万円程度(扶養者なしの場合)がボーダーラインといわれています。扶養家族がいる外国人はさらに多くの年収が必要になるでしょう。

その者の永住が日本国の利益に合すると認められること

外国人が永住者ビザを取得するには、日本にとって、その外国人の永住が有益だと判断されなければなりません。具体的には以下の4つの要件を満たす必要があります。

引き続き10年以上日本に在留している

外国人は、原則継続して10年以上日本に在留していないと永住権を得られません。また、そのうち5年以上は、「特定技能」「技能実習」以外の就労可能な在留資格や居住資格を持って在留していることも条件です。

外国人が現在有している在留資格によっては、永住者ビザ取得の在留要件が緩和される場合もあります。たとえば、「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」の在留資格を持つ外国人は、実態を伴った婚姻生活が3年以上継続してあることに加え、引き続き日本に1年以上在留していれば永住権を取得できます。実態を伴った婚姻生活とは、住居を共にし生活を営むことです。書類だけの婚姻関係は条件に当てはまりません。また、日本への貢献が期待できる外国人や高度外国人材、難民認定を受けた外国人なども永住者ビザ取得のための在留要件が緩和されます。

公的義務を果たしている

公的義務を果たしている状態とは、年金や健康保険料、各種税金を滞りなく納付していることです。近年の永住審査では、公的義務を果たしているかが特に厳しく審査されます。企業が雇用する外国人は毎月の給与から社会保険料が天引きされているため、未納になる可能性は低いでしょう。個人事業主や経営者の外国人は、直近3年間で滞納・遅延がないか確認する必要があります。

現在の在留資格で最長の在留期間が許可されている

現在の在留資格で最長の在留期間が許可されていることも、永住者ビザ取得の要件の一つです。たとえば、在留資格「技術・人文知識・国際業務」の在留期間は5年・3年・1年・3ヶ月の4種類があります。永住者ビザ取得のためには、原則5年の在留期間の許可が必要です。ただし、在留期間の最長が5年になったのは2012年からで、まだ許可されている外国人は多くありません。そのため、出入国在留管理庁は、当面の間は3年の在留期間を最長とみなして永住申請を審査するとしています。

公衆衛生上有害となる恐れがないこと

日本の公衆衛生に害を及ぼすと判断される外国人は、永住者ビザを取得できません。具体的には「感染症に罹患している」「薬物中毒の状態である」「住居をゴミ屋敷にしている」などです。周囲の人々の健康を害す行為をする外国人の永住は、まず許可されないでしょう。

外国人の永住申請が不許可になる例

外国人の永住申請は、許可率が低いことで知られています。出入国在留管理庁の発表した「出入国管理統計」によると、2020年に永住申請をした57,570人のうち、永住権を取得できたのは29,747人でした。許可率は約51.7%と、半分の外国人の永住申請が不許可になっています。

外国人の永住申請が不許可になる理由でよく挙げられるのは以下の状態です。

  • 転職をしたばかりで勤続年数が浅い
  • 海外渡航が多く日本に継続して在留していない
  • 年収が安定しない、または低い
  • 提出書類に誤りや不備がある
  • 夫婦仲が悪く別居している(日本人の配偶者等や永住者の配偶者等からの変更の場合)

永住者ビザをスムーズに取得するためには、必要な要件を満たしたうえで以上の点にも注意しなければなりません。

参照元

出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン(令和元年5月31日改定)」
出入国在留管理庁「出入国管理統計 入国審査・在留資格審査・退去強制手続等

外国人が永住者ビザを取得する流れ

ここでは、外国人が永住者ビザを取得するまでの、おおまかな流れを解説します。

1.提出書類を用意する

2.永住許可申請書や申請理由書などの申請書類を作成する

3.住居地を管轄する地方出入国在留管理官署で永住許可申請を行う

4.審査結果が出るのを待つ

5.永住許可を知らせる葉書を受け取ったら、地方出入国在留管理局に出頭し手続きを行う

6.新しい在留カードを受け取る

手続きは原則外国人本人が行います。しかし、必要書類の準備や申請理由書の添削など、企業として行えるサポートは積極的に行いましょう。

永住許可申請の標準処理期間は4ヶ月とされています。しかし、実際には6ヶ月〜1年近く掛かることも珍しくありません。そのため、余裕を持った申請が求められます。

永住者ビザ取得は外国人にも雇用企業にもメリットがある

永住者ビザの取得は、外国人だけではなく雇用する企業にもメリットがあります。ここでは、双方が得られるメリットを解説するので参考にしてください。

外国人が永住者ビザを取得するメリット

外国人が永住者ビザを取得する大きなメリットは、在留期限がなくなることです。就労にまつわる在留資格の多くには在留期限があります。期限が来る前に、その都度「在留期間更新許可申請」をしなくてはなりません。永住者には在留期限がないため、在留期間更新許可申請をする必要がなくなります。在留カードの更新は必要ですが、運転免許証の更新のように1日で済む簡単な手続きです。また、在留期限がなくなることで日本での社会的信用が高まり、住宅ローンや車両ローンが組みやすくなるといったメリットもあります。

また、「技術・人文知識・国際業務」や「技能」などの活動内容が制限されている在留資格を持っていた外国人は、永住権を取得することで職業選択の幅が広がります。「永住者」は身分に基づく在留資格なので、活動内容に制限がありません。そのため、日本人と同じように仕事を選び働けます。外国人は永住者ビザを取得することで、より日本で暮らしやすくなるでしょう。

外国人が永住者ビザを取得した際に企業が得られるメリット

雇用する外国人が永住者ビザを取得すると、長期的な就労が望めます。在留期限のある在留資格を持つ外国人は、在留期間更新許可申請が不許可になれば帰国しなくてはなりません。しかし、永住者ビザを取得すれば半永久的な日本在留が可能になるので、人材の定着が望めます。そのため、重要なポストも任せやすくなるでしょう。

活動内容に制限がなくなるのも、企業にとってのメリットです。活動内容に制限のある在留資格を持つ外国人には、限られた業務しか任せられません。しかし、外国人が永住者ビザを取得すれば、業務内容を気にせず配置転換が行えます。例えば、専門知識を必要としない単純労働に従事させることも可能となります。

永住者ビザについてさらに理解を深めたい方は「日本の永住権とは?取得が難しいって本当?外国人を雇用する企業に向け解説」のコラムもおすすめです。

外国人から永住者ビザ取得の身元保証人を頼まれたら?

外国人が永住許可申請をする際、身元保証人が必要です。身元保証人になれるのは、日本人もしくは永住者に限られています。そのため、勤務している企業の上司や同僚に依頼する外国人が多いようです。身元保証人と聞くと、引き受けるのを躊躇してしまう人もいるでしょう。しかし、永住申請の身元保証人は、借金の連帯保証人のように法的責任が発生することはありません。あくまで人道的な責任に限定されます。具体的に保証する内容は、「帰国時の旅費」「日本での在留に係る滞在費」「外国人に法令の遵守を指導すること」の3つです。万が一外国人が法令違反や問題を起こしても、身元保証人が責任を負うことはありません。このことは、出入国在留管理庁の公式サイトでも明記されています。身元保証人の役割を理解したうえで、外国人から依頼があったら前向きに検討してみましょう。

まとめ

外国人が永住者ビザを取得すると、在留期限や仕事の制限がなくなるなどさまざまなメリットがあります。また、企業も多くのメリットを得られるでしょう。しかし、永住者ビザ取得の難易度は非常に高く、永住申請をしても約半数が不許可になっているのが実状です。そのため、雇用する企業は永住者ビザに関する知識を深め、できる範囲でフォローをすることが望まれます。